神機使いだって人である   作:アルバード

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また遅れたぜ

憂さ晴らしにエミール殴りに行ってくる


バレンタイン特別編

 

寂しさを残す空母の残骸の上

 

 

夕焼けに二つの影が落とされている

 

 

ひとつは桃色の長い髪を結んだポニーテールを揺らし

 

 

ひとつは夕焼けに映える黄金色の短髪を煌めかせている

 

 

黒松高等学校の制服に身を包んだ少女は頬を赤らめながら、後ろに手を回し恥ずかしそうにしている

 

 

その手にはリボンでラッピングされた袋が握られている

 

 

「あ、あの…」

 

 

一間おいて絞り出すように少女は声を出した

 

 

そして勢いよくお辞儀すると同時に箱を差し出す

 

 

「先輩、その…受け取ってください!!」

 

 

ふわりと風が吹く

 

 

それは恋の行方を示したのか

 

 

あるいは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スバル「いや、これなんの茶番?」

 

 

シルフィ「こういうのぐっときません?ムラムラしません?私の赤ちゃん欲しくありません!?」

 

 

スバル「やかましいぞ、駄妹。さっさと帰投する」

 

 

シルフィ「せめて!せめてチョコだけでも!」

 

 

スバル「わかった!貰うからズボンを脱がそうとするな!」

 

 

 

 

 

帰投後、ラウンジにて

 

 

カノン「みなさーん、今日はバレンタインですよ〜」

 

 

アルバード「わーい」

 

 

スバル「何やってるんですか」

 

 

アルバード「クッキー貰ってんだ」

 

 

カノン「ボルケーノクッキーです、スバルさんもどうですか?」

 

 

スバル「なんてデンジャラスな名前」

 

 

アルバード「年々名前の威力が上がってんな」

 

 

スバル「あ、アリサさんだ。…あれ、アルバードさんが消えてる」

 

 

アリサ「リーダーがどこいったか知りませんか!?」

 

 

スバル「さっき、煙のように消えました」

 

 

アリサ「露骨に逃げてますね、探してきます」

 

 

シエル「隊長、少しよろしいでしょうか?」

 

 

スバル「うん、何かな」

 

 

シエル「部屋に来て貰ってもいいですか」

 

 

スバル「?」

 

 

ブラッド区画、シエル自室

 

 

シエル「えっと、そのチョコを受け取ってください!(唐突)」

 

 

スバル「はい!(混乱)」

 

 

スバル・シエル「…」

 

 

スバル「落ち着こうか」

 

 

シエル「はい…」

 

 

スバル「えっと、バレンタイン?(良発音)」

 

 

シエル「はい、その手作り…です」

 

 

スバル「本当!?やべ、めっちゃ嬉しい…!食べてみていい?」

 

 

シエル「どうぞ、召し上がってください」

 

 

スバル「では、ひとつ…。紅茶に合う程よい苦さ、すごく美味しいよ」

 

 

シエル「良かった…」

 

 

スバル「こんな美味しいの貰っちゃったら、ホワイトデーはすごいのお見舞しなくちゃなあ」

 

 

シエル「お返しなんて気にしないでください、君には貰ってばかりなんですから」

 

 

スバル「貰ってるのはお互い様だよ」

 

 

シエル「そうでしょうか?」

 

 

スバル「そうなの」

 

 

シエル「では、そういうことにしておきましょう」

 

 

スバル・シエル「ふふっ♪」

 

 

少し甘めのハッピーバレンタイン

 

 

 

一方その頃

 

アリサ「リーダー、今回はいい出来だと思います」

 

 

アルバード「なら何故目隠しをして腕を縛る必要がある」

 

 

アリサ「だって逃げるじゃないですか」

 

 

アルバード「お前が追いかけてくるからだろ!だいたい…んぐ!?」

 

 

アリサ「ほら、どうですか?(カノンのクッキー)」

 

 

アルバード「んむんむんむんぐ、表面はサクサク中はしっとり甘過ぎないところもいい。茶が欲しくなる」

 

 

アリサ「はい、あーん(自信作のクッキー)」

 

 

アルバード「んむんむんむんぐ、表面はゴリゴリ中はネバネバ甘過ぎず苦過ぎる味わいが…んごぱっ!」

 

 

アリサ「やっぱりダメでしたか」

 

 

アルバード「に、苦え!砂糖無しのカカオマスを黒焦げにした後に口に突っ込まれた感じがする!」

 

 

アリサ「あ、拘束外しますね」

 

 

アルバード「最初のはカノンのクッキーか!味見はしたんだろうな!」

 

 

アリサ「モチロンデストモ」

 

 

アルバード「いい度胸だ、今夜は眠れないと思え!」

 

 

アリサ「リーダー、そんな強引に…!」

 

 

アルバード「後ろをとっちまえばこっちのもんだ。今夜は体が覚えるまでやるからな!」

 

 

アリサ「そんな、昨日も徹夜だったのに…」

 

 

アルバード「俺が満足するまで寝かせはしねえ!」

 

 

 

このあと滅茶苦茶、料理の基礎を叩き込んだ

 




アルバード「りあじゅうばくはしろ」

スバル「あの後、滅茶苦茶いちゃいちゃした」

シルフィ「あの後等身大お兄ちゃんチョコを余すことなくぺろぺろしました」

スバル「さぶいぼでた」


作者「ホワイトデーも頑張る」

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