やはり三浦優美子の青春ラブコメは幕を開けたばかりだ。 作:Minormina
少しずつ登場人物が増えてくる中で葉山氏をどこで出そうか?と考え中です……。できたら今週末にもう一回上げたいな……。(なぜかは……お察しください)
土曜日。俺は一週間の疲労とストレスを睡眠で発散しようと、惰眠を貪っている……はずだった。というのも、朝早くから放っておくとめんどくさいことが起こったからだ。
「……うん……?」
ブルブルと痙攣を続けるスマホに起こされた俺は、とりあえず時間を確認する。午前7時30分。……まだNHkの朝ドラすら始まる時間じゃねぇじゃんかよ。
(……こんな時間に一体誰だよ……)
まだ半分も醒めてないアタマにむち打ちながら、スマホのロック画面を表示させる。そこには、
一色いろは> 今日は時間ありますか? 7:28
……。はっきり言おう。あいつは何を企んでるんだ?休日のこんな時間に俺を叩き起こすほどのメリットがあることなのだろうか。
(とりあえず事情だけでも聞いてみるか……)
LINEをぱぱっと起動して一色のページを開く。……またなんか眠気が襲ってきた。まあ、無理もないか。休みの日にこんな時間に起きるなんて久しぶりだからな……。ともかく目を覚ますためにMAXコーヒーを取り出して飲んでいると、
一色いろは>もしかして既読スルーですか先輩? 7:32
なぜか知らんがあいつの若干上目遣いであざとく微笑む姿が一発で浮かんでくるんだ?
比企谷八幡>……あのなあ、こんな時間に叩き起こしてどうしたいんだよ? 7:34
せめてもの恨み言である。
一色いろは>ちょっと付き合ってほしいんですけど……あ、そういう意味じゃないですからね?勘違いしないでくださいね? 7:34
いろはすレス早っ!っていうかどんだけ文字打つの早いんだよ。……それになんでLINEになってまで拒否られないといけないんだ?
比企谷八幡>それで?どういう事情なんだ? 7:36
一色いろは>それは会ってからお話します。10:30ぐらいに千葉駅でどうですか?
それならこんな時間に叩き起こす意味なかったんじゃないか?
比企谷八幡>わかった。それじゃ10:30に千葉駅でな 7:38
一色いろは> わかりました〜 7:38
しばらくの間ぼぅーとして部屋の天井を眺める。早起きは三文の得とは言うが、実際3文てとんでもなく安いもんだと気付いてから早起きは返ってマイナスなんじゃないか?と思うようになったことは秘密だ。
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4月とはいえまだ肌寒いので軽く薄めの上着を着て、千葉駅へと向かう。程なくして着いた俺は駅ナカにあるミスドで一色が来るのを待つ。まだ時計を見ると10時か……。
(そういえばあいつが休みの日にわざわざ呼び出すなんてよっぽのことなんだろうか?)
ふとそんなことを思ってしまう。あいつの場合、基本的に学校の放課後とか昼間に呼び出すことが多かった。それに生徒会選挙の時のように奉仕部に相談しにくる、といった様子でもない。となれば、雪ノ下や由比ヶ浜には知られたくないってことなのかもしれない。
「せんぱーい……ってこんなところにいたんですか?」
一色が小走りでやってくる。黒いニーソに少し丈の長めのワンピースに薄いカーディガンを羽織っている。その姿を言い表すなら、快活といった表現がぴったりだろう。
「……あの……私のことじぃーと見てどうかしたんですか?気持ち悪いんで勘違いとかホント勘弁してくださいねごめんなさい」
たぶんこういうところがなければ本当に俺、落ちてると思うんだがな……。
「……お前人を呼び出しておいてそれはないだろ……」
やれやれとしてやっぱ一色は一色なんだな、と痛感する。
「……あ……ごめんなさい。今日はホントに相談があって先輩に来てもらったんです」
さっきのあざとい表情から一転、急に真面目な顔をしてそんなことを言う一色。
「まぁ、とりあえず座れ、な?」
俺の目の前の席を促すと、一色は少しうつむいて座る。恥ずかしいのかなんなのかはよくわからんが。
「それで、一体どういうことなんだ?」
「実は……三浦先輩のことなんですけど……」
(三浦?なんでここであいつの名前が出て来るんだ?)
一色は自分で買ったらしいドーナツをひとかじりした後に続ける。
「戸部先輩によると、最近三浦先輩が異常ってぐらいに葉山先輩たちとの付き合いが悪いらしいんです。……戸部先輩はなにも事情を知らないらしいんですが、もしかしたら先輩なら何か知ってるかな……と思って」
それでピンときたのがこの間の授業の一幕だ。となると、何か葉山たちと三浦の間で何かしらの諍いがあった、と考えるのが自然か。
「このことに関して葉山は何か言ってたのか?」
こう聞いたのは一色自身はあの最上位カーストには属していないからだ。一色にこの話が伝わるまでに誰かしらクッションがあるはずだ。
「……いや、なにも聞いてないですね…」
「それじゃなんで三浦のことを?」
「三浦先輩にはいろいろお世話になってますし……。なにかできることがあったら助けになりたいんです」
(なるほど。三浦のオカン属性ゆえの人徳、か)
「……まぁ思いあたる節はあるんだが……」
あの最後にあいつが言い放った言葉が引っかかる。
「…だったらさ、ヒキオはなんとかしてくれるの?…」
俺がなんとか出来る問題ということなのだろうか。だが、三浦は俺が知る中ではかなりプライドは高いはず。そのあいつが俺を頼る、とは考えにくいんだがな……。
「……先輩?……やっぱりなにかあるんですか?」
一色が心配そうに俺を覗き込んでくる。といっても、原因や結果がわからないようじゃ「仮説」は立てられても論理性を持たない。雪ノ下ならそう突き放すだろう。……なら俺がここで取るべき最善の方法はなにか?
「……由比ヶ浜なら何か知ってるかもしれない」
三浦に一番近い存在といえばこいつと海老名あたりだろうか。ここらあたりから考えてみるしかないか……。
「……そうですね……。なら、私は結衣先輩に聞いてみますね」
「わかった」
まだどこかすっきりとしない顔の一色。……それでもさっきよりは幾分か顔色は良くなっていた。
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先輩が帰った後、しばらく私は三浦先輩のことを考えつつ、ショッピングモールを回っていた。……なぜなら、三浦先輩がああなった原因のだいたい予想がついたから。
(おそらく、三浦先輩は葉山先輩に告白して振られたんだろうな……)
私も葉山先輩に振られたうちの1人。三浦先輩が葉山先輩のことが好きだったってことも知ってたし、どこか葉山先輩も三浦先輩を意識してたところがあるのも知ってた。
(なら、どうして葉山先輩は三浦先輩を振ったの……?)
そこが一番納得のいかないところだった。あと、先輩が一瞬見せたあの顔。先輩もどこかで三浦先輩に想うところがあるのかな……。なんて思っているうちに家からの着信を知らせるケータイが震えていた。
さて、だんだんと長くなってきました……汗。に比べてなかなか話が進展してないような……?気はしますが。
次回は再びあーしさんの出番がある……はず。
PS;なんだか知らない間にUAが5000超えで全話pvが13000なんかになってました(驚愕)。……まだまだみなさんの評価やコメントを待ってますので、気になったら是非とも。……それでは、また〜。