とある愚兄賢妹の物語   作:夜草

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残骸編 狂信者

残骸編 狂信者

 

 

 

RFO 体育館

 

 

 

「―――さあ、皆、このホールの中心に集まって。早くしないと、また“飛ばす”わよ」

 

 

バスが止まったのは、教育機関。

 

降りてきた男たちは、全員が拳銃を携帯しており、そこに住まう子供たちは全員ぎょっとして、息を呑む。

 

すぐに逃げようとした

 

しかし、最後に降りてきた少女が軍用懐中電灯を振るい―――あっという間に捕まってしまった。

 

 

「……最後の一人、見つけました」

 

 

そうして、最後の金髪ツインテールの女の子も黒服の男に捕まってしまい、ホールに転がり込む。

 

この人手不足で在中するスタッフの少ない施設の子供たちを一ヶ所にまとめるのは、10分もかからず、その間、白井黒子は黙って見ることしかできなかった。

 

 

「木山先生……」

 

 

男たちに捕まった責任者で校長の木山春生に、子供たちは心配そうに。

 

けど、事前に情報封鎖が行われ、誰にも助けを呼ぶ事ができない。

 

 

「ごめんなさい。皆を怖がらせる気はないの。でも、お姉さんも皆が言う事を聞いてくれないと困るの」

 

 

そう言って、結標は男達に拳銃を仕舞うように目配せするが、子供たちはただ凍りついているだけだった。

 

異様な雰囲気にのまれる中、一人だけ優しそうに笑っている結標が、……とても恐ろしい。

 

 

「もう、仕方ないわね。こうなったら、誰か、壁の中にでも埋め込ませましょうかしら。そうすれば、壁を怖がって中央に集まってくれるよね」

 

 

「……やめたまえ……ここでの危険行為は、条約違反だ……こんな馬鹿な真似―――」

 

 

バギンッ! 木山の発言は暴力によって中断された。

 

結標が警棒にもなれる軍用懐中電灯で、後ろ手に手錠をかけられ、自分の身を庇う事も出来ない木山を殴ったのだ。

 

額を切ったのか鼻血を出したのか、顔から出血する。

 

……今の結標には限度が無い。

 

 

「ふぅ……ここは一体どんな教育をしてるのかしら? じゃあ、<風紀委員>の白井さんに頼もうかしら」

 

 

ズキン、と。

 

最低限の治療をされた怪我が痛んだのではない。

 

何と恐ろしい目だ。

 

狂気に澱んだ目。

 

狂気をなぜ人は恐れるのか。

 

狂気とは、他者との価値観や社会常識を共有できていないということだ。

 

普通の人間であるなら、無闇に人の命を奪わないはずだ。

 

つまり、どんな相手でも、例え悪人でも、価値観や社会常識、道徳観念が共有できていれば、相手の善意を信じられる。

 

しかし、正気を失っている相手には善意など期待できるはずが無い。

 

善意の通じない相手というのは、上から落ちてくる断頭台(ギロチン)のようなものだ。

 

意志疎通の余地のない、人間でない存在に感じる恐怖。

 

それが、狂気。

 

だから、幼くも多感な子どもたちは、それを敏感に察知して、恐怖を抱いている。

 

理屈抜きで、交渉の余地が無い恐ろしさを全員が理解しているのだ。

 

 

「……わかりました、ですの……皆さん……彼女の指示に従ってくださいまし」

 

 

今の結標は今や火薬のようなもの。

 

一見優しそうな表情は、僅かなきっかけで爆発するだろう。

 

そして、その爆発は僅かの容赦も伴わない。

 

そう、自分や木山春生を攻撃するのに、何の罪も躊躇いも感じなかったように……

 

 

(……わたくしの<空間移動>では2、3人を外へ転移させるのが精々。それでは残った子供たちが危険……それに木山春生が捕まっていては妙な真似はできませんの)

 

 

お通夜のように静まり返る中で、子供たちは言うとおりに中央に集合する。

 

 

「じゃあ、今度は全員を後ろ手に縛ってもらえるかしら。ほら、彼らじゃ、子供たちも怖がるでしょう」

 

 

「……く、……わかりました、ですの……」

 

 

「あとでちゃんと縛れてるか、全員確認させるから。緩かったらその場で“埋めてしまう”から、しっかり縛ってね」

 

 

もっと力があれば、と黒子は悔やむ。

 

もっと力があれば、彼らを救出できただろう。

 

もっと力があれば、お姉様達の力になれただろう。

 

もっと力があれば、結標淡希を止められただろう。

 

黒子はこれ以上結標を不機嫌にさせないため、とりあえず、指示に従い、うつ伏せになった子供たちを与えられた紐で次々と後ろ手に縛っていく。

 

要求に応じている内は、少なくとも流血の惨事は起きない。

 

 

(……すまない。大人しく従ってくれ……)

 

 

木山と目を合わせれば、同じように人質を全員救える結果を導き出せなかったのか彼女は頷く。

 

黒子は背中を晒し震える子供たちの手を、その手で実感し、<風紀委員>になってから味わったことのない情けなさに震え、反発する肉体と精神の拒絶に上手く力が入らない。

 

けれど、きつく縛らなければ、本当に結標自ら<座標移動>で地面に埋めるという拘束を実行するだろう。

 

だが、きつく締めれば、それは苦痛となり、子供たちは痛さに呻く。

 

その声が無力な自分を苛んだ。

 

今はチャンスを待つしかない、と黒子は自分に言い聞かせる。

 

ATM強盗の時、自分の独断行為で、初春を危険な目に遭わせてしまった。

 

二度とあのような失態は犯してはならない。

 

こうして、自分を縛らずに自由にさせている余裕―――隙がある。

 

結標さえどうにかできれば、男たちだけなら黒子でも相手できる。

 

しかし、そのチャンスはいつやってくるのか。

 

黒子の焦りが掌に汗となって表れる。

 

 

「……縛りました、ですの……」

 

 

最後の一人の腕を縛り、結標の方に振り返る。

 

 

「ありがとう、白井さん。やっぱり、貴女は頼りになるわ。ええ、貴女に何も教えようとしない彼女達よりも私は貴女を信頼してる」

 

 

そして、結標は改めて木山春生と対峙し、

 

 

「それじゃあ、<妹達>、<最終信号>がどこに隠されてるか、教えてもらえるかしら」

 

 

「……、」

 

 

「ここの責任者である貴女が知らないはずが無いでしょう? 『実験』後に匿った<妹達>、そして、<最終信号>の在り処を。上条詩歌が夏休みの間、頻繁にここに通っていたのは調べがついてるのよ」

 

 

「さあ? 詩歌君は臨時スタッフ、言わばアルバイトみたいなものだ。彼女がここでしていたのは、子供たちのケアと教師役としての指導だけだよ。中々の働き者でね。おかげでどうにか養育施設としての形を―――」

 

 

その瞬間、横殴りの衝撃が脳を揺らした。

 

頭の芯まで響くような痛みと吐き気に襲われながらも、木山は子供たちの前で無様は晒すまいと倒れるのを堪えた。

 

 

「嘘は禁止。戯言も聞きたくないわ。はっ、養育施設? 馬鹿言わないで。貴女がここで何をしてたのか私は知ってるのよ。子供達をどんな目に遭わせたのか」

 

 

その言葉に、木山は殴られたよりも痛々しい表情を浮かべる。

 

黒子には結標の言う<妹達>、<最終信号>について知らないし、分からない。

 

だが、木山春生が、幻想御手事件でどれほど罪を背負ってきたのかを知ってる、このRFOでどれほど罪滅ぼししてきたのか、も知ってる。

 

子供たちもそれは分かってる、彼女に感謝している。

 

しかし、それでも完全に罪は消えていない。

 

自分で自分を許せる日が来るまで。

 

永遠に来ないかもしれない時まで己を責め続けるだろう。

 

 

「ねぇ、白井さん、皆。貴女達は初めてその能力を手に入れた時、どんな気分がしたかしら?」

 

 

そして、結標は結標自身の、いや、結標達の本当の目的を語り始めた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「べ、別に。周りの大人達は結構騒いでいましたが、手に入れた当人としては驚くような事でもありませんでしたわ。わたくしにとってはそれが普通でしたので」

 

 

発言の許可が与えられ、黒子は少しでも木山から気を引かせるためにも、その問いに対する自分の意見を述べる。

 

 

「そう。―――私は正直恐ろしかったわ」

 

 

右手に持つ軍用懐中電灯で左手を、パンパンと叩きながら、記憶を掘り起こすように結標は語り始める。

 

 

「この能力で何ができるか考え、怯えて。実際にその通りの結果が出てしまい、さらに脅えて。私はね、白井さん。この手に力がある事がこの世の何よりも怖かったの。他愛のない想像通りに人すら殺せてしまうだろうこの力が」

 

 

現在の少女に過去の震えはすでにない。

 

少女は、自分が力を得たのには何らかの理由があり、それを得た自分には使命があると信じてきた。

 

信じて……そうやって自分を誤魔化して今まで苦しい想いと共に能力を使ってきた……

 

だが、この力が自分だけに宿るものでなかったら、自分でなくても良かったのではないのか。

 

仮に人でなくても良いのなら、なぜ人に力を与えたのか?

 

何故自分がこの苦しみを味合わなければならないのか?

 

何故自分が2年前、奴らの実験動物とならなければならなかったのか?

 

 

「ねえ白井さん。当然と信じて思考を止めているそこの貴女。これは、私一人の物じゃないわ。『残骸』を持ち帰るために、作りかけのビルであの子達を盾にしたけど、最初に進言したのはあの子達だったの。あの子達は意識が落ちる前にこう言ったわ。任せたと、ただ一言を笑みと共に」

 

 

結標の視線は宙に固定され、その表情には絶えず笑みが浮かんでいた。

 

懐中電灯で手を叩くリズムは一定であり、彼女の話もそれに遭わせるように緩やかだった。

 

感情は込められていないのか。

 

感情だけで話しているのか。

 

聞いている黒子にはその判断は付けない。

 

内容の真偽のほども分からない。

 

ただ、彼女が何を言いたいのかは少しずつ見えてきた。

 

 

「……、」

 

 

頑張っても能力者になれないLevel0が落ちこぼれて行くのと同様に、強力な力に目覚めても社会に馴染めないものも出てくる。

 

強力であれば強力であるほど、本気を出してはいけない。

 

本気を出せば、その時点で怪物扱いにされ、社会から爪弾きされる。

 

ある意味これは手枷足枷と何ら変わりはないだろう。

 

 

「知りたくはない? 本当に私達がこの力を持たなければならなかったのか否か。理由があるにしても、ないにしても、きちんと確かめてみたくない」

 

 

結標は歓迎するように両手をそっと広げる。

 

 

「貴女にだって、あるんでしょう? 自分の能力を使って誰かを傷つけてしまった事が。そして、思ったでしょう? 何故こんな力を宿さなくてはならなかったのかと」

 

 

そうか……

 

だから、彼女は自分に止めを刺さなかったのか……

 

この言葉を告げるために。

 

 

「私には分かる。私と貴女は似ているもの。瞳を閉じれば、思い浮かぶわ、貴女がどんな風に人を傷つけてきたのかが。だからこそ」

 

 

歌うように。

 

恋人の耳に囁くように。

 

この世界で結標淡希こそが、純然たる白井黒子の唯一の理解者だと語りかける。

 

 

「私には貴女の苦しみが分かる。誰よりも、ね。そして苦しみが分かるから、それを取り除く方法も手に取るように理解できている。どう、白井さん? 共に真実を知る気があるなら、私は貴女を招待するわよ」

 

 

一か八かで反抗するリスクを背負ってまでも黒子を側に置き続けたのは、この台詞のため。

 

結標の言葉は、能力者なら誰しも疑問に思う事だ。

 

この街の能力者で一度は喧嘩をした者なら必ず考える。

 

 

どうすれば、自分の力を使って相手を傷つけられるか。

 

 

それは、どの程度のダメージを与えるのか。

 

 

痛いか。苦しいか。壊せるか。止められるのか。薙ぎ倒せるか。吹き飛ばせるか。

 

 

そして全部終わった後で、ふと寒気に襲われるのだ。

 

そもそも自分は、そうしてそんなものを持っているのだろう、と。

 

だから、結標は言う。

 

 

「ええ、もちろん貴女達も招待するわ。能力のせいで、どんなに酷い目に遭ったのを私はちゃんと理解してる。そこにいる木山春生のせいでどれほど苦しい想いをしたのかも共感できる」

 

 

本当に、あの時感じた寒気は覚えなければならないものだったのか、と。

 

その答えを知るために、外部組織と接触して<樹形図の設計者>を組み立てないかと。

 

それを失敗してでも、今度は<妹達>の演算能力を代用にする。

 

 

「だから、貴女達も一緒に―――」

 

 

その時、不意に結標を邪魔するように黒子の携帯の着信音が鳴った。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

携帯電話の画面を見てみるとそこには『御坂美琴』の文字。

 

黒子は余計な刺激を与えぬよう結標にその表示を見せれば、少し考えた後、怪しまれぬように出なさい、と。

 

けど、内緒話させないようにスピーカーモードで、合図するまで余計な発言は禁止。

 

黒子は慎重に通話ボタンを押し、電話に応じる。

 

 

『あー、黒子? アンタ今どこにいんの?』

 

 

お姉様だ。

 

彼女の声なら、たった一言だけでも、吐息1つだけで聞き間違えるはずがない。

 

 

「え、えっーと。ちょっと守秘義務な感じの場所ですの」

 

 

『ん? そっかそっか。まだ仕事中、か。ごめん、邪魔しちゃったみたいね』

 

 

「いえいえ。で、何か御用が? もしかして、大お姉様絡みですの?」

 

 

『違うわよ。それで、黒子? 何だか声の調子おかしくない?』

 

 

「あ、ああ、今朝からちょっと風邪気味でして」

 

 

『そうなの? まあ、あんな薄い寝間着じゃ寒過ぎない?』

 

 

普段通りと心掛けているが、今の黒子の声は、いつもより少し掠れている。

 

明るく振る舞おうとしても、どうしても痛々しさが滲み出てしまう。

 

もし今の姿を連想させるような事をすれば、きっと彼女は背負い込む。

 

御坂美琴は、彼女が自分で思っているより遙かに他人の悩みを背負い込みやすいタイプだ。

 

 

「く、クールビズというヤツですのよ、お姉様。ムーディな薄暗闇の中でお姉様とベッドを共にすれば身体が火照って―――おやまぁお姉様。『うげっ!?』とはまた淑女らしからぬお言葉遣いですわよ」

 

 

黒子はくすくすと笑い、少しだけ気が楽になった。

 

電話口を通して、美琴の声を聞いただけで、少しずつ元の調子を取り戻していく。

 

 

「それで、お姉様は黒子に何か御用で?」

 

 

『ああ、黒子。<風紀委員>はどうしたのよ? さっき初春さんから『まだ来てないんですけどそちらにいますか』って連絡が来たから心配したのよ』

 

 

そうだった。

 

そういえば、まだ<風紀委員>に連絡してなかった。

 

でも、

 

 

「どうして……」

 

 

『ん?』

 

 

「どうして……お姉様は、わたくしなんかを気にかけるんですの?」

 

 

自分は何の力になれていない、なれない。

 

そう、黒子は実感した。

 

先日の紅白戦だって、結局、自分はお姉様を守り切れなかった。

 

今もこうして捕まってしまっている。

 

迷惑ばかりかけて、役立てない。

 

自分にはお姉様の側にいる資格はない。

 

 

 

「馬鹿ねぇ」

 

 

 

美琴から呆れた声が返った。

 

それは物覚えの悪い子供に教えるようなものだった。

 

 

 

「アンタは私の後輩なんだから。『お姉様』に甘えるなんて、それ以上の資格なんて必要ないわよ。だから、『なんか』なんて二度と言わないでちょうだい」

 

 

 

声を通じて、分かった。

 

お姉様は、白井黒子を認めてくれている。

 

 

『ええ、だから、黒子。……何か不安な事があって私に聞きたい事があれば、言ってちょうだい』

 

 

詰めの甘い言葉だ。

 

それで本当に気になる事を聞いたらどうするつもりなのだろう。

 

 

「いえ、何もありませんわ」

 

 

黒子は薄く笑いながら、しかし聞かない。

 

放つべき言葉は1つ。

 

夕暮れに、美琴が告げてくれた台詞。

 

その心中を改めて思い返し、黒子は告げる。

 

 

「そうそう。雨、降らないと良いですわね。“近頃は天気予報も当てになりませんから”」

 

 

『……、』

 

 

美琴は一瞬だけ、驚いたように息を呑んだようだ。

 

それから、少しだけ沈黙があって、美琴の声が少しだけ柔らかくなる。

 

肩の力を抜いたように。

 

 

「そうね、“心配してくれてありがとう”。でも、安心して今日はもう雨は降らないわ」

 

 

 

 

 

 

 

そうして、美琴からの電話が切れた。

 

黒子は歯を食いしばる。

 

自分に力が与えられた理由。

 

自分に力が与えられなくても良かったかもしれない理由。

 

彼女は己の心の支えを作る、ある種の土台のようなものが揺らぐのを感じ―――けど、勇気をもらった。

 

美琴のためでも、詩歌のためでも、誰のためでもない、黒子は決して後悔しないよう自分の正義を貫くための。

 

 

「残念だけど、御坂美琴はここに来ないわよ」

 

 

結標は言う。

 

 

「知ってる? 今、上条詩歌が<警備員>に追われてるの」

 

 

昨日の敵は今日の友。

 

互いの利益の為に、結標は『狩人』と手を組んだ。

 

今朝、美琴の電話に、<警備員>に詩歌が追われているとの極秘情報を送りつけ、そしたら案の定、寮を飛び出していった。

 

今頃、『狩人』達と遊んでいる事だろう。

 

ここで後輩が捕まっている事なんか知らずに。

 

 

「そう―――だから、貴女の事なんて本当は気にしちゃいないの」

 

 

結標は改めて黒子を迎え入れるように両手を広げ、黒子はその結標を見つめ、そして、そんな二人の耳についさっきまで聞いていた彼女の声が聞こえてきた。

 

 

 

「邪魔するわ」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

二人の視線が向かった先には、出入り玄関を開け放ち、軽やかに入ってくる御坂美琴の姿。

 

そして、結標が何か言うよりも行動を起こすよりも早く、子供の中から一人の少女が立ち上がった。

 

 

「目を瞑って」

 

 

閃光。

 

その改造義体に仕組まれた眼球から閃光が瞬いた。

 

白い閃光は眼球の底に焼きついたように、真っ白に染め上げ、一瞬怯ませた。

 

 

「なっ、この子、腕が―――」

 

 

「うん? ああ、これ義体だよ。ちょっと痛いけど取ろうと思えば簡単に取り外せるんだよ」

 

 

見れば、金髪ツインテールの少女が“腕を外して”、拘束を振り解いて立ち上がっていた。

 

木原那由他。

 

RFO在中の<風紀委員>―――で、身体の半分以上が機械だ。

 

 

「ったく、占拠されるなど仕事内容に入って無かったぞ」

 

 

木山春生を拘束していた黒服が、その木原那由他を連れてきた黒服に、いつの間にか持っていた原始人が扱うような石刃で殴打され、気絶。

 

 

「すまないな。機を見てて、助けには入れなかった」

 

 

「何、構わないさ。子供たちが傷つかなかったんだからな」

 

 

一応、雇い主でもある木山春生の身体を支える。

 

そして、顔を剥ぎ取るとそこには夏休み明けからRFOに入った新入りスタッフの顔が。

 

どうやって変装した、とは木山も訊かない。

 

推薦した詩歌からその人柄については良く聞いているので、そうしたたかが技能一つで驚きはすまい。

 

 

「ムカつくわ」

 

 

そして……

 

 

(お姉様……)

 

 

「私はムカついてる。頭の血管がブチ切れそうなぐらいムカついているわ」

 

 

その眼光は、真っ直ぐ結標淡希を射抜く。

 

あの『実験』は皆のおかげで凍結した。

 

あの時できた深い傷痕も、徐々にではあるが小さくなってきている。

 

そして、美琴は2つのことを心に誓った。

 

<樹形図の設計者>の『残骸』を掘り返そうとしたり、

 

私欲のためにそれを強奪する馬鹿が現れたり、

 

やっとこさっと皆で治めた『実験』が再び蒸し返そうとされたり、

 

<妹達>に手を出そうとしたり、

 

その傷痕に触れようとするなら絶対に阻止する。

 

もう1つは……

 

あの時の彼女達のように……大切なものを守れる人間になろう、と。

 

しかし、

 

 

「ええ! 私はムカついてるわよ!!」

 

 

電話口からでも分かる。

 

この件に白井黒子が関わってしまった。

 

きっとあの後輩は酷い怪我を負ったのだとその息遣いから分かった。

 

そして、詩歌は大切なものを守るためなら我が身を削るのも躊躇わない。

 

それはここ最近強くなっているような気がする。

 

実際、詩歌は病院を無断で抜け出し、大怪我を負った身で、美琴の姿を探した。

 

 

「優しすぎて傍若無人な姉と、完璧すぎて馬鹿馬鹿しい後輩と、巻き込んだ目の前のクズ女と、何よりこの最悪な状況を作り上げた甘ったれな自分自身に!!」

 

 

紫電が迸り、男達から拳銃を磁力で絡め取り、電撃が気絶させる。

 

あっという間に制圧。

 

黒子は呼吸が止まるかと思った。

 

彼女が何に怒りを感じているのかを知った。

 

黒子の、胸が、詰まる。

 

美琴の『正義』は結標には理解できないだろう。

 

御坂美琴は、今の今まで、そして今この場において、何の為に動いているのか、などと。

 

 

「逃がさねぇぞ!」

 

 

ハッ、と結標は振り向く。

 

そこには裏口から入ってきた少年。

 

 

『―――あのキザ野郎との約束を守ってください』

 

 

彼女からの伝言はそれだけ。

 

全くもって、あとで説教だ。

 

約束を守った後で―――が、

 

 

「ひっ―――」

 

 

美琴か、それとも当麻の重圧が強すぎたのか、結標は戦うという選択肢を見る余裕もなく―――消えた。

 

 

 

 

 

 

 

何が最善か。

 

闇雲に向かっても彼女とは能力差があるし、何より自分が不用意に動く事で戦況を下手に揺るがし、結果としてお姉様に傷を負わせるような事態だけは絶対に避けたい。

 

でも、ここで止まってなんかいられない。

 

 

(さて。ここからは、わたくしの出番ですわよ。お姉様方)

 

 

同じ空間移動能力者の自分だとしたら、『常盤台の姫様』の追撃を逃れるためにどこへ跳び込むか。

 

そして。

 

あの<超電磁砲>から逃げ延びたと思った瞬間、どれほどの安堵と隙が生まれるかを。

 

 

(相手の身になって、行動せよ、ですか……大お姉様。貴女はわたくしを止めても無駄だと分かっていたんですのね。ありがとうございますの)

 

 

その足跡を追いかけるには、やはり同じ能力者の力が必要だ。

 

 

「―――黒子っ!」

 

 

(そして、ごめんくださいね、お姉様。貴女の馬鹿な後輩は、貴女の言葉を聞き、貴女がどれほどわたくしを心配してくれているのか分かっていても、なお戦い抜くという考えがまったく揺らぎませんの)

 

 

道路の流れも壁の厚さも無視して自在に移動できる力を持つ者が。

 

 

「さぁ、行きますわよ白井黒子。決着をつけるために」

 

 

制服の方に付けた<風紀委員>の腕章を直す。

 

例えこれが正気を失った狂信者の解だとしても、己の答えだと言える。

 

直後。

 

己の役目を再確認した彼女の姿が、虚空で消えた。

 

 

 

 

 

RFO 屋上

 

 

 

<超電磁砲>を相手にしては、直線的な距離をどれだけ開けたところで何の意味もない。

 

それどころか彼女に気付かれた時点で終わりだ。

 

光の速度の雷撃の槍だけでなく、電磁波による行動干渉ができる<超電磁砲>の制圧力は流石Level5といったところだ。

 

だから、今までの交戦経験から導き出されたのは、

 

 

―――距離はどれだけ近くても良いから、とにかく美琴の死角へ逃げ込む事。

 

―――そして御坂美琴が自分を見失った事実を、安全な場所から確認する事。

 

 

重要なのはその2点だ。

 

そのために選んだのが『上』という居場所だった。

 

美琴の支配領域がどれほどのものかは皆目見当もつかなかったが、これ以上の選択肢は思い浮かばない。

 

 

(うっぷ……ッ!!)

 

 

猛烈な吐き気が襲いかかってきた。

 

結標の喉が焼き付く胃酸の痛みを発する。

 

それでもかろうじて喉元で腹の中身を押さえつけ、表面上は事なきを得る。

 

軍用ライトを握る手の中に、嫌な汗が溜まった。

 

結標は過去に自分の能力<座標移動>の制御を乱されて事故を起こしてしまった。

 

そのせいで、彼女は自分の体を自分の能力で転移させると、体調を狂わせるほどの壮絶な緊張と恐怖に襲われるのだ。

 

だから、結標は極力自分の身体だけは移動させたくない。

 

 

(くそ。また邪魔を……結局、何も)

 

 

思えば、“あの人”の命令に従ってVIPを窓のないビルへ案内するのも嫌だったのだ。

 

人間を壁の向こうに送る事だけならまだしも、“万に一つも失敗があってはならないとして”、常に要人と一緒に<座標移動>しなければならなかった所が、特に。

 

その上、VIPの中には金髪にサングラスの高校生や赤い髪の神父やら、ちっとも偉そうに見えない連中まで混じっていた。

 

それでも引き受け続けたのは、体の変調を差し置いても従うだけの価値があったからなのだが。

 

金網に背を預け、結標は額に浮いた汗をハンカチで拭う。

 

どうせ普通の人間は『道路』に従って街を捜索する。

 

それは御坂美琴も例外ではないはずだ。

 

なら、ビルの屋上から屋上へ転移していけば地上からの死角になるだろう、と結標は思う。

 

彼女の一度の最大移動距離は800mを超す。

 

が、自分の体の連続移動については自信がない。

 

昨夜も4度渡っただけで胃の中身を口からぶちまけ、精神は錯乱し、しばらく能力の使用できる状態ではなくなった。

 

精神的負担を考えれば、<座標移動>で自分の体を飛ばすのは1度か2度。

 

その移動で相手の追撃から逃れ、後はゆっくり地上を走って移動するしかないか、と結標はあれこれ計画を組み立てて、

 

 

 

カツン、と。

 

 

 

「―――ッ!?」

 

 

何者かの気配が突然屋上に。

 

結標はすぐに軍用ライトを構え―――降ろした。

 

彼女、一人。

 

一人だけ。

 

つまり、それは―――

 

 

 

「勘違いしないでくださいます?」

 

 

 

ドブッ!! と。

 

 

手を差し出そうとした結標淡希の右肩に、高級コルク抜きが貫通した。

 

その見覚えのあるコルク抜きはほんの数時間前に、自分が彼女に突き刺したものだ。

 

 

「お返ししますわ。あまりにセンスがなさ過ぎるので、持っていても白い目で見られるだけですし。ついでにこちらも」

 

 

声と同時。

 

 

ドスドブガスッ!!

 

 

という泥の詰まった布袋を突き刺すような音が連続した。

 

脇腹、太股、ふくらはぎ。

 

心当たりのあり過ぎる場所に、金属の矢が次々と突き刺さる。

 

灼熱の痛みが全身で生まれ、脳に収束して炸裂する。

 

 

「は……が……」

 

 

「慌てる必要はありませんわよ。急所は外してますの。……分かりやすいですわよね。自分がやられた場所をそのまま貫けばいいんですもの。ああ、そうでしたわね」

 

 

黒子はわざとらしくスカートのポケットの中に手を入れると<風紀委員>の応急キットのチューブ型止血剤を取り出す。

 

黒子はチューブを指で弾いて、止血剤を結標の足元の床にポトリと落とす。

 

にっこりと、ツインテールの少女は“邪悪に笑って”、

 

 

「どうぞ、ご自由にお使いになさって? 服を脱いで、下着も取って、みっともなく這いつくばって傷の手当てをしてくださいな。“そこまでやって初めておあいこですのよクズ野郎”」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

黒子と結標が対峙する。

 

誰もいない屋上で。

 

2人の距離はおよそ10m前後。

 

<空間移動>、<座標移動>、どちらにしても能力効果圏内であるため、もはや距離などという言葉は何の意味も持たない。

 

そして、両者は全く同じ武器で同じ場所を攻撃されている。

 

しかし、結標には分からない事がある。

 

 

(どう、して……)

 

 

何故、御坂美琴を連れていないのか。

 

どうやら自分がここに来る事は分かっていたようだが、ならどうして美琴と<空間移動>しなかったのか。

 

悔しいが結標は、まともにぶつかれば美琴に敵わない事を認めている。

 

あの空間能力者殺しは恐ろしい。

 

<超電磁砲>の支配領域に入れば、1秒の隙も与えてもらえず制圧される。

 

つまり、御坂美琴がここに辿り着いた時点で結標の負けだ。

 

傷だらけの黒子が、無理に戦って結標を倒す必要はない。

 

最早、黒子など相手にせず、一刻も早く<座標移動>でここから逃げなければ―――

 

 

「無理ですのよ」

 

 

思考を遮るように黒子は告げる。

 

 

「貴女に逃げ切る事は出来ない。分かっていますわよね? わたくしと貴方は大変良く似ていますもの。この状況で、この怪我で、この場所で、この能力で、あのお姉様に追われて―――さてどうするか。貴女の行く先を、同系統の能力者であるわたくしが予測できないと思ってますの?」

 

 

「!? やって…くれる…わね……ッ!?」

 

 

焦る。

 

焦りのあまり、結標は二の句が継げない。

 

そんな彼女に黒子は薄く薄く笑いかける。

 

 

「わたくしがハッタリでも使っているとお思いですの? だとしたらその楽観は即座に捨てなさい。<書庫>からの事前情報、貴女と今日行動を共にした時に得た経験、そして同系統能力者としての、似たような心理構造。わたくしは自分の直感を、既に様々な情報で補強していますわよ」

 

 

その時になって、ようやく結標は知る。

 

白井黒子が取った行動の、その全ての意味を。

 

自分と同じ場所にコルク抜きや矢を突き刺したのは、“自分と同じ状況を作るため”。

 

少しでも両者の差を埋める事で、より一層行動パターンを読みやすくするためだ。

 

似たような能力を持ち、似たような傷口(ハンデ)を持ち、似たような事を思って―――黒子はこれからの結標の指し手を先読みしようとしている。

 

 

不味い。

 

 

不味い不味い不味い不味い不味い。

 

目の前にいる彼女は自分の『影』だ。

 

同じ空間移動系能力者で、同じ個所に傷を負い、同じように思考して……

 

逃げられない。

 

どんな人間だろうと、『影』から逃げる事は出来ない。

 

1秒でも早くここから逃げ出さなければならないというのに。

 

たった1回の転移すらも無駄にできないというのに。

 

あのLevel5が来たら一瞬で終わるというのに。

 

仲間のいないたった一人っきり、誰も盾にできないこの状況で、取れる選択肢は限りなく狭い。

 

結標淡希は戦慄に体を震わせた。

 

 

(ん?)

 

 

―――瞬間、気付いた。

 

不自然な点がいくつかある。

 

一つの事に気づくとそれを起点に新しい事実が次々と湧き上がってくる。

 

白井黒子が自分の思考を投影したならば、逆に結標淡希もまた彼女の思考が投影できる。

 

意識が冷え、結標は冷静さを取り戻す。

 

 

「全く……素晴らしい愛縁奇縁ね。結局貴女は、わざわざ自らが勝つチャンスを2度も放棄したのでしょう?」

 

 

目の前の<風紀委員>は、<超電磁砲>の介入を良しとしない。

 

 

「1度目は、<超電磁砲>を連れてここに来なかった事」

 

 

巻き込むつもりなら、“初めから”<超電磁砲>を連れてここに転移してくれば良かったのだから。

 

 

「そして、2度目は、今の奇襲。勝ち負けの形にさえこだわらなければ、脳でも心臓でもぶち抜いて私を殺せたはずなのに。それらが全て、あの<超電磁砲>の可愛い寝言のためだとしたら、貴女は本当に哀れだわ」

 

 

敵である結標でさえ、なるべく無傷で済まそうとした<超電磁砲>の甘い理想。

 

それに付き合ったせいで黒子はたった1度の奇襲を効果的に発揮できなかったのだ。

 

非力な人間が、強者の真似事をした不相応な高望みをしたせいで。

 

さらに、今の黒子は限界だ。

 

今の会話の最中も、黒子の体の芯はぐらぐらと不安定だ。

 

結標は分かる。

 

同じ傷を負ったものとして、それがどれほどのダメージを与えるのかを。

 

加えて黒子は、その状態で何時間も耐えている。

 

失った体力は、傷口を塞いだ程度で回復するものではない。

 

結標以上に消耗しているのは明らかだ。

 

今、ここで傷ついた結標と傷ついたまま走り続けた黒子では体力の残量が違う。

 

だから結標は笑う。

 

自分の優位と、相手の無謀さに。

 

 

「無様ね。素直に彼女を連れてくれば良かったものを。そこまでして、自分の命を危険にさらす価値があるのというの? そんなに大事? <超電磁砲>が、身勝手に思い描く世界を守る事が」

 

 

その問いに黒子は簡潔に、

 

 

「……守りたいですわよ」

 

 

蝋燭の火が消える寸前の少しの間、眩い輝きを放つように黒子の目に強い光が宿る。

 

もう体力もほぼ底をつき、自力で立つ事さえ困難で、もう相手に自分の手札の少なさが露見していようとも。

 

虚勢など捨て、ただ己の中にある『正義』を奮い立たせ、『悪』を真正面から見据える。

 

 

「守りたいに、決まっていますの。当たり前でしょう?」

 

 

一言一言に数少ない体力と共に、己の『正義』を籠めるように、

 

 

「どれだけ身勝手でも、わたくし達の事情なんてこれっぽっちも考えていなくても、お姉様は、そして、大お姉様も、望んでいるんですのよ。わたくしも、貴女も、こんな事をしなくても良い状況を。馬鹿みたいに身勝手でしょう? お姉様はね、わたくしも、貴女も、皆ぶん殴って叱って説教して、“それで終わりにしようと本気で考えているんですのよ”。こんな土壇場まできておいて。わたくしはもちろん、ここまでやらかした“貴女の身”をも助けようなんて、本気で考えていますのよ」

 

 

白井黒子は笑う。

 

皮肉ではないただの笑みだ。

 

 

「争って欲しくないと、殺し合いなんかやめて欲しいと、この状況を見て真顔で言えるような人間なんですよ、お姉様は。相手の不幸でさえ嫌い、それを失くすためにご自分さえも平気で犠牲にされる人間なんですよ、大お姉様は」

 

 

あの2人は本当の姉妹のようによく似ている。

 

今、ここで黒子の傷を見たら、2人はきっと“痛い”と思うだろう。

 

この傷は黒子のもの。

 

美琴や詩歌のものではない。

 

だから、共感するものでも同情するものでもない。

 

その必要もない。

 

他人の不幸に同情は不要、共感なんて自己満足、ましてや理解なんて幻想だ。

 

それでも、彼女達は、黒子どころか相手ですらも不幸に遭ったら、同情し、共感し、理解する。

 

賢者であるはずなのに、もっと賢い選択ができるはずなのに、愚者の道を歩む。

 

そんな彼女達だからこそ、黒子は、

 

 

「この黒子の姿を想像して何も感じなかったはずはないのに、その気になれば貴女なんかあの時、粉々にできたはずなのに―――“だからこそ、それをしない”。どうにかならないかと。ちょっと指でコインを弾けば即座に終わるくせに、この期に及んでまだ何とかならないかと願ってばかりで」

 

 

「……、」

 

 

「そんな馬鹿馬鹿しいほど稚拙な願いを、この白井黒子が蹴るとお思いですの? 不意打ちで貴女の脳天を金属矢でぶち抜いて! 死と鮮血でさっさと幕を下ろして! 自分の保身のために! 他人様が広げた風呂敷を汚すような無粋を働くとでも思いますの!?」

 

 

黒子は叫び、立つ。

 

震える足で、しかし力強く。

 

ここから先が黒子の本気だ。

 

 

「これから貴女を日常へ帰して差し上げますわ。どこかで誰かが願い、このわたくしが賛同した通りに」

 

 

詩歌と美琴の『正義』を己のものとして受け継いだ白井黒子の本気。

 

 

「ならば、それを裏切れれば私の勝ちかしらね」

 

 

結標淡希は嗤いながら答える。

 

彼女達の『正義』がまったく理解できないと言わんばかりに。

 

 

 

つづく


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