神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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「……どーゆー神経してんだよ、アイツら……?」
明石は片足で立ったまま愚痴る。隣の天馬ちゃんを見ると、天馬ちゃんも血の気が引いている。
と、そこで。
(ヤベェ……足つりそう……!!)
明石の足に限界が近づいていた。だんだんとバランス感覚を失ってきた明石は、一か八か勝負に出る。
(落ちるくらいなら!!!行く!!!)

明石はその場から大きく跳び、何とか『P』のプレートに着地した。
「セ……セーフ……あれ?」
そこで明石は後ろを向き、先程までいたプレートが消えていくことに気づいた。
(そうか……1回使った足場は消えて使えなくなるんだ。……てことは、ゴールまでの足場は有限!つまり早い者勝ち!!取り残されたら、足場が無くなる!!)
明石がそこまで考えたところで。

「ヴゥーン♪ハロー神チューブ」
その明石の隣を、1人の実況者が通り過ぎた。

「ルールもわかったところでお待ちかね、God・childピカキン、【『空中ケンパ』やってみた】スタートだ!!」
ピカキンは右足でぴょんぴょんとリズム良く跳びながら、実況している。意外とうまい。こういうゲームに慣れてるのだろうか。
「あーコレ意外と行けるー!!勢いで結構行けるー!!
このまま一気に行きまーす♪
はいケン♪ケン♪ケーン♪『ズボォ』!?」
ピカキンが着地した足場が急に消えた。

「ウソぉおおおおぉぉぉぉぉ!?

ママー…………」




第65話ーーー信じる

ピカキンが落ちたことで、また1つルールがわかった。

普通のケンケンパは地面につく足はいつも同じじゃないといけない。もう片方の足を出したら反則だって事だ。ピカキンは勢いに乗って右足の次に左足を出してしまった。だから反則、プレートが消えて落下って訳だな。

 

「ビーフ!!」

明石と天馬ちゃんが足場にたどり着いた。良かった、2人は無事にたどり着けて。

これでルールもある程度わかったな、などと思いながら、俺は真ん中を向き直す。

「多分ゴール、あの真ん中の案山子だし」

ゲームを取られて少し拗ね気味の千夏ちゃんが、小さく言う。

とりあえず同調したら、また睨まれた。

「ビーフになれ、俺……」

明石が呟く。それに対し、意外な奴が反応した。

 

「そーいやいたなぁ。そんな風に『ビーフ』『ビーフ』ほざいてたバカが。

まぁ、そいつは現実に耐えきれず心を失くし、今はただのゴミだけどな」

東浜の思わぬ台詞に、明石が訊く。

「お前、それ……青山のこと言ってんのか?」

それに東浜は振り向きもせず、巨大案山子を視界に収めたまま興味なさそうに言う。

「あおやま?

バカの名前なんていちいち覚えてねーよ。お前、あのバカの知り合いか?」

「青山は俺の親友だ」

「なるほど、どーりでバカ面だ」

「てめぇ、もっぺん言ってみろ」「バカ面バカ面バカ面」

 

なんか不毛なケンカが始まろうとしていたので、俺が軌道修正に入った。

「何でお前がその……青山の事を知ってる?」

「……!そうだ、青山とどういう関係だ!?」

その問いに東浜はダルそうに言う。

「同じ立方体の生き残り。それだけだっつーの」

東浜はその立方体の話をしてくれた。青山は試練中ずっと、『力を合わせよう』『信じ合えば生き残れる』と他の参加者を鼓舞し続けた。周囲もそれを信じて戦った。その結果……

 

青山と信じ合った人間は、ほとんど死んだ。

他人と信じ合うことは選別において、何の意味も持たなかった。そして、青山はそれ以来、心を失ったーー

 

「な?バカだろ?」

そういう東浜の胸ぐらを明石は掴む。

「いい加減にしろよ東浜 佑コラァ!?信じた仲間と生きようとする事のどこがバカなんだ!?」

「別に、否定するつもりはねぇよ。その行為が、俺にはバカに映るだけだ。生憎……俺は生まれて1度も、他人を信じた事がないもんでな。

 

教えてくれよ。他人を信じるってどんな気持ちだ?」

 

その言葉に対し、明石が返答に窮し口を閉じたその時、

「よっしゃいける!!」「あと1歩!お前で最後だ!!」

「うぉおおいしょおらあ!!」

「うぉおおクリアぁあ!!」

最後の神の子が別の足場に到着した。それを見て、明石も東浜から手を離す。

『みなさん、スタート位置についたみたいどすなぁ。ほな』

足場の上にいた、小さい案山子が足場の真ん中に立ち、ピョンと跳んで着地する。すると、足場に『3』という文字が浮かんだ!巨大案山子への道程の為のプレートも出現したぞ!

『おいきやす、おいきやす。24時間以内においきやすぅ』

 

「こんなとこに、24時間もいるつもりないし」

「ゴールと思しき巨大案山子までは、目算250m。それ以外は今の所意味不明……まぁ……やることは一緒だな」

そういうと東浜は跳び出す。さっきと同じ圧倒的な速さで中央を目指し『K』と『P』の足場を駆け抜ける!……ってしまった!

「「クソ、出遅れた」!」

 

……千夏ちゃんと台詞がカブった。

……俺はゴホン、と1回咳払いすると、気を取り直して中央を目指し足を動かす!

そうして真ん中まで残り100mくらいの所までたどり着く。なぜか東浜がそこで止まっていたから、俺と千夏ちゃんもそこで止まる。その先のプレートを見て、俺は驚いた。

 

プレートに書かれているのは、PとKだけじゃない。

AからZまで、アルファベットがランダムに並んでいる。

 

『ほった芋いじんなぁ』

不意に、上から声が聞こえてきた。俺は声の主を探す。

「……あれは、案山子が言ってんのか?」

『ほった芋いじんなぁ』

巨大案山子の声が、空の中に染み渡った。

 




空中ケンパはこれからが本番!果たしてイッセーは案山子へとたどり着けるのか!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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