神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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第64話---K・K・P

無事に着地できた事にホッと一息つき、俺は皆に合図する。

「皆、大丈夫だ!この足場は……ってもこれはPか……」

そう、足場のプレートには2種類ある。俺が今両足で立っている『P』の安全性は確認したけど、元々俺達がいた安全地帯の周りにあるのは『P』ではなく『K』。そっちの安全は俺には保証できない。他の誰かが行ってくれれば……!

 

「おらぁ!!」

 

1人の男がこっちに向けて、跳んだ。彼は右足1本でスタッ、と着地する。

「……よし、これで『K』も『P』も踏める事がわかった!!」

少し顔を強張らせながらも、冷静な口調で告げるのは明石。あいつが『K』も安全だ、という事を証明してくれた。

俺はそれを見ながら、左手に『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』をこっそりと出し、皆の視線が明石に集中しているのを見て懐から2つの物を取り出した。

1つは、さっき落としかけた写真。もう1つは、カミーズフォン。どちらも『戯』を使う為……つまりリアス達に会う為には必要不可欠なものだ。落としてしまってはいけない……と思った俺は、赤龍帝の籠手にその2つを取り込む事にした。それならいつでもどこでも好きなタイミングで取り出せるし、他の奴に盗まれる事も無いし!

 

そうして俺が10数秒目を離して、視点を他のメンバーに戻した時、2人が新たに別々の『K』のプレートに踏み出そうとしていた。あれは前掛け男子と、天馬ちゃん!!2人が今にも跳ぼうとするのを、明石と俺は見守……あれ、明石が下を向いて何かやり始めた……

「え。

……あ…待て!! ダメだ、まだ来るな!!」

明石が2人を制止した!!だけど時既に遅く、2人はもうプレートに向かって跳躍した後だった。

前掛け君は両足で、天馬ちゃんはスラッとした右足で『K』のプレートに足をつける。

 

が、前掛け君の足がプレートをすり抜ける。彼の身体は黒い水か何かの中にどんどんと沈んでいく。

「のぉぉぉぉ……あっ」

その言葉を最後に、前掛け君は完全に水の中に沈んだ。明石達が声をかけるが反応は無い。

 

「礼を言う」

 

そこで、メガネ男子がハッキリとした声で言う。

「今落ちたバカのおかげでルールがわかった。これは『PK』じゃねぇ。『K』・『P』だ。片足しか踏めない『K』と、両足で踏める……いや、おそらく両足でしか踏めない、2つ並んだ『P』……

今回の選別(ゲーム)は…『ケンケンパ』だ。

そして生きるのはこの俺だ」

 

メガネは『K』と『P』を交互に踏みながら明石の横を抜け俺の横を過ぎ、ゴールへと向かう……ってマズイ!!1人だけ合格とかだったらヤバい!そう思った俺も慌ててメガネに追随する。根性で俺はメガネに追いつく。しかしその時にはメガネはゴールらしき足場に足を出していた。

その足はゴールに着地する。

『クリアどすぅ。

 

 

ここからが、本番どすえ』

その言葉を聞きながら、俺は遅れて足場に到着する。どうやらクリア人数1人ではなかったみたいだ。俺はまた安堵の息を吐く。

と、そこで黒い水らしきものがだんだんと消えていっているのに気づいた。俺はゴールの足場から下を覗いてみる。そこにあったのは、建物?

 

だんだんと周りの黒も晴れていく。上一面を見渡す限りあるものといえば……空。青空の中に雲が浮かんでいる。

俺は察した。ここは……空だ!翼で飛んでいる時に見ている風景と何となく似ているからすぐわかる。

 

次に俺は周囲に目を配る。周りにも『K』と『P』のプレートが広がっている。

「ああああぁああ……」「無理だぁぁぁああああああぁぁぁ……」

そして、その上にいるたくさんの人……恐らく、神の子。不注意か足の負担が大きすぎて耐えられなくなったかでどんどんと落ちていく。恐らく落ちたら死亡だろうな。そんな中、俺は真後ろを見て、仰天する。

 

「……え?」

後ろ……恐らく次の目的地っぽい場所の下には、スカイツリーが立っている。どうやら俺達はスカイツリーよりも高い所に来てしまったみたいだが問題はそこじゃなくて。

その上に、超巨大案山子が突っ立っている事だった。

 

「あれは……カミを殺した奴!?」

そう、カミにトドメを刺したあの超巨大案山子がスカイツリーの真上に立っている!多分あそこがゴールだろうけど……ゴールじゃなかったら下手したら潰されそうで下手にいけない。俺は大人しく他の4人がこっちに無事たどり着くのを待つ事にして、改めて明石達の方を向いた。

と、そこで前から1人が、喋りながらこっちに向かってきた。

 

知能指数(IQ)150超えの天才、東浜 (たすく)

人口の上位2%のIQを持つ者しか、入会する事を許されない集団、『ダ・ヴィンチャーズ』のメンバー。史上最年少でメンバー入りして、今や世界の10傑となる頭脳の持ち主。まぁ、簡単に言うと……」

 

そう言いながら彼女は、俺達と同じ足場に到着する。……ゲームをやりながら。

「日本で1番IQの高い人間、ってTVの神の子特集で見たよ。『神に最も近い男』って有名だし」

あくまで下を向きながら独り言のように呟く。それに対しメガネ……東浜は少し顔をしかめながら問う。

「そういうお前は何なんだ?」

その問いに彼女……巨乳はゲーム機を弄りながら応える。

「私は安 千夏。ただのパズルゲー好き過ぎ女子だし……あ、20連鎖キタ」

巨乳……千夏ちゃんはゲームをやめない。その頭を、俺は軽く叩いた。

千夏ちゃんはゲームをポーズ画面に移行させると、再びこっちを睨みつけた。さっきは頭に血が昇っていたせいで全く気が着かなかったけど、睨むと中々迫力がある……まぁ、もっと迫力がある奴を何人も見てきたから、いちいちビビラないけど。

「何、さっきからゲームの邪魔ばっかりしてきて。迷惑だし」

「迷惑だし。じゃねーよ!お前、どーゆー神経してんだ!落ちたら死ぬかもしれないのにゲーム機離さないで!依存症にでもなってんのか!?」

「ゲーム依存症なんてなって無いし。やる事なくて暇だからやってるだけ」

「このデスゲーム中にやる事とは思えないんだけど!?ていうか他の人と話す時はゲームするのやめろ!失礼だろ!」

「失礼?親も友達も先生も、皆『千夏ちゃんはそれが普通だもんね』って言ってくれてたけど?」

「もう諦められてるやつじゃん!もう改善の余地なしって思われてるって事だろそれ!?」

「もう……うるさいな。いいじゃん、会話も成立してるし、ちゃんと選別はこなしてるし」

「ダメです!これはしばらく没収します!」

「あっ、ちょっと!今いいとこなんだから!もうすぐ1341ステージクリアするから……あぁあ!?電源切った!?まだセーブしてなかったのに!」

 

 

「お前ら、反抗期の娘とお節介な母親か……」

そうボソッ、と呟いてからハッ、鼻で笑う佑の声が耳に入った。




千夏ちゃんと佑の扱い方に困る……天才キャラとか特に動かしにくいし……

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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