神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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第弐ノ63.55話---襲来

とっさに部屋のゴミ袋の群れの中に隠れた4人。息を殺して侵入者をやり過ごそうとする。

「かみまろー、ちょっと入るねー……クッセ!」

ドアから入ってきたのは、1人の少女……の見た目をした異形。マナと呼ばれる少女だ。

「…てか汚ねーな、この部屋…こんなとこでやってたの?」

マナは、4人が隠れているゴミの山を素通りしていく。どうやら気づかれてはいないようだ。

マナはそのまま、先程のゲーム機のあった部屋へと向かった。

「あのさーーー、かみまろの予定のジャマしないからさー。やってもいいよねー?

 

マナの作ったゲーム。

 

…いないの?…まいっか。やっちゃお」

マナは、先程まで刺さっていた『ごみ箱だよ!全員集合!』のゲームカセットを抜くと、自分が持ってきたらしい新たなカセットをゲーム機に挿した。

モニターが一瞬光り、その後暗くなった。その画面に、文字がどんどん浮かび上がってくる。

 

『世の中には2種類の高校生しかいない。

今日学校へ行った者と、そうでない者である。

 

流星はどちらにも等しく降り注ぎ、その輝きの代償として、倍量の闇を科す。

 

明日を賭せ、神さまの言うとおりに。

 

「選ばれの子」

 

アシッド・マナ』

 

「えーっと、どのモードにしようかな」

マナがやっているゲームのモニターを、丑三達も遠目で見る。そこに映し出されているのは、ステージセレクトの文字と、8つの選択肢。その中からマナは、1つ選ぶ。その名は、『空中ケンパ』。

 

次に、キャラセレクトの画面に移る。そこに出ているのは、ナツメグ達を含めたカミーズJr.10人の写真。

「あと、メンバーだよねぇ。キャラ10人ってちょい少なめ?ギリギリできる?どーしよっかな?カミのせいで、半分くらいどっか行っちゃったしな……とりあえず省いてー」

ナツメグ達の顔にバツが付けられる。付けられていないのは、明石、紫村、涙ちゃん、イッセーの4人。

「やっぱ少ないなぁ。どっから新しいの連れてこよっかなー。中学生とか参加させる?でも、それじゃあかみまろが作ったゲームバランス、崩しちゃうしなー……

 

ま、こうするのが一番いっか。ゴメンね、かみまろ」

マナは画面の右の方にあった『移動する』を選択。すると、1つのフォルダーが画面に映し出された。

フォルダー名は『神の子』。マナはそのフォルダーを開くと、ポチポチポチっとその中の写真に適当にバツを付けていく。

「神の子メンバー、ちょっともらいまぁーす。抽出ー。

 

……ふぅ、さてと。あとは、さっき捕まえたコイツらでしょー。どーやって使おっかなー」

その言葉と共に画面に大きく映し出されたのは、自分達の仲間の1人。

 

「!!明石…ムゴっ!!」

丑三が叫ぶ。すぐに取り押さえ、恐る恐るマナの方を向く。

 

マナは、4人の方を向いていた。

 

「あ…ヤバい!!こっちくる…!!来る来る来る…!!ヤバいヤバいヤバいヤバい…!!」

 

殺される!!

ゼノヴィアがデュランダルに手を掛けた。しかし、

 

マナはまたしてもこちらを素通りすると、今度はゴミの山の横にあった本棚の中の箱を取り出した。

そして、それをモニターの前に持っていく。ひとまず去った恐怖に、思わず4人とも緊張が弛緩する。

 

「あったコレコレ。次何やるんだっけなぁ、かみまろ……げ。一丁前にロックかけてんじゃねーし…」

そう言いながらトントンと箱の上を叩くマナ。数秒すると、『アンロックします』という機械質な声が聞こえて、箱が開いた。

 

開いた瞬間、中からダルマが飛び出す!!

 

『おいワレェ!!なに勝手に触っとんねんコラぁぁあ!!触った奴はお仕置きや!!「あーなるほど」あっ』

ダルマはマナの裏拳ビンタで部屋の隅に吹き飛ばされた。マナは箱の中から、1つの本を取り出す。

「神の子は次、コレやるんだぁ…運動会ねぇ…第1種目で半分死ぬとしてもぉ…まぁ、100人くらいなら大丈夫だよねぇ…

 

こっちも『空中ケンパ』はじめちゃお」

それと同時に、モニターの中には多くの高校生らしい人の映像が出てくる。どの人も、不意に何もない所から出てきた案山子らしきものに話しかけられ、そのままワープさせられていた。

 

「マナも、お着替えしてこよーっと」

そう言うとマナもどこかに消えた。数秒経ち、丑三はゴミの山から出る。モニターの前に座ると、先程までマナがいじっていたゲームのコントローラーを操作し始めた。

「何やってんの丑三!?」

 

「俺も空中ケンパに参加する。明石のとこに行くんだ。……おぉ…これが『空中ケンパ』のステージ……スカイツリー……

 

いまイク」

 

丑三は急に立ち上がると、乱雑にドアを開けて外に出ていく。それを追おうとするやえちゃんとゼノヴィアだが、1人ナツメグは別の行動をしていた。

 

「……え、その本持ってくの?」

ナツメグが手にしている本を見て、やえちゃんは驚愕する。危険信号がやえちゃんの頭の中で頻繁になっていた。

「確かめたい事があるの。いいよね?」

「どーなっても知らんで……」

 

こうして、4人はかみまろ宅を後にした。

ちょうど出席者の『うんどうかい』が始まろうとしていた、そんな時だった。




イッセー達の新たな試練、その名は空中ケンパ!次回、本格的に空中ケンパ、スタート!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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