神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
……状況を整理しよう。
カミを殺そうと思ったら、クラスハウスに帰ってきた時にはカミは殺された。そしてそのカミを殺した張本人--人ではないと思うけど--アシッド・マナに転移させられて、この謎のフィールドに来てる。フィールドは円形で、その周りは黒い水?か何かで覆われている。そして、近くにいるのは明石と、知らない奴らが計5人。
そこまで考えた所で、そのうちの1人、制服の女の子がこっちに話しかけてきた。
「天馬 遊です。よろしくです」
そう言ってぺこりと一礼する。俺と明石も自己紹介した。他の人は自己紹介の流れに乗らなかったけど……他の人の事も知りたいんだけど……特に巨乳さんとか!
天馬ちゃんはそのまま話を続ける。
「やっぱりあの男……
?……神の子?あれ、俺達は今からその神の子と戦うんじゃなかったのか?高畑や木場達と戦わなくていいっていうのはありがたいけど……今度は神の子に混じって選別に参加しろっていうのか!?
と、そこでグラサンの男が持っていたノーパソを開いて喋りだした。
「ヴゥーン♪ ハロー、KAMITUBE。
どーも、ピカキンです!俺はなんと今、次の
「!?何アイツ?」
明石が天馬ちゃんに問う。天馬ちゃんが言うには、アイツは毎日動画サイトに動画をUPしている有名神の子チューバーで、今回も神の子を代表して、この映像をインターネットに生配信するそうな。こんな状況でも動画とは……プロだな、こいつ。
俺が感心してそっちを眺めていると、明石の隣に不意に何かが出てきた!?
「!?明石!横横!」「!?」
そう知らせると明石も気づいて後ろに下がる。
そこにいたのは……小さな案山子。旅館の女将の様な髪型と浴衣を装着している。そいつは『おいでやすぅ』とだけ告げると、黒い水の上をぴょんぴょんと跳んでいく。そして奥にある、今俺達がいる様な陸地に着地した。
着地したと同時に、今いる陸地と案山子のいる陸地の間にたくさんのプレートが出現した!
プレートは2種類、『K』と書かれてある大きなプレートと、『P』と書かれてある小さなプレートがある。それが持っている意味がわからないけど……
『おいでやすおいでやすぅ。ここまでおいでやすぅ』
案山子はこちらに来るように、と指示してくる。とは言っても、何していいかわからないしなぁ……
その時、
「え!?ちょっと待って何すんの!?あぁあ!?」
実況者・ピカキンがメガネ男子にパーカー部分を掴まれ、黒い水の上に宙吊りにされているのが見えた。
「……って、おい!何やってんだよ!」「やめろ!」
俺と明石は急いで止めに入る。
「まだどんなゲームかわかんねぇだろ!?無理矢理やらせて死んだらどうすんだよ!?」
「それはそれで生きる為のヒントになる。これから俺がやることは、生きる為の選択だ」
明石の言葉にメガネ男子は冷静に、冷徹に返す。そして、明石を罵倒する。
「そんな甘い考えで、よくここまで生きられたもんだなぁ」
と、そこでさっきの巨乳さんもゲームしながら会話に加わってくる。
「私もそのメガネしましま服に賛成だし。だって、どうせ誰かが行かなきゃ始まらないんだし。
この中で1番死んでも良さげなの、そいつだし」
……は?
気づいた時には、俺はその子の顔を張っていた。ゲーム機がカラカラと床を転がる。
巨乳は俺を横目でギロリと睨む。その眼を真正面から受けながら、俺は言う。
「死んでもいい命なんて、あるわけねぇだろ!小学生でも知ってる常識だ!いくらこんな状況になってるからって、いくら美人だからって、何言ってもいいなんて思うなよ!」
吐き捨てる様に言うと、今度はメガネ男子の方を向く。俺はその顔にも1発お見舞いしようとしたが、冷静になり止める。これは戦いじゃない。本来こいつら神の子は仲間なんだ。仲間割れをしてはいけない。俺は息を吸いこむと、メガネに向かって声として一気に吐き出した。
「代わりに今から俺が行ってやる!参考にでもヒントにでも何でもしろ!」
そう言うと助走をつけて、俺は跳ぶ!目標は3mくらい先の、ちょっと離れた『K』!両足を使ってそのまま着地する……寸前で、俺の胸ポケットから何かが飛び出す……って!?
あれは……大切な写真!
俺は空中で急遽方向転換すると写真を掴み、そのまま足場を探す。下には2つの『P』のプレート。俺はそこに片足ずつ着地した。
「どうだ!」
さて、今回の試練のルールは何なのか?
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!