神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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第37話---予知

「……あー、もう何なんだよこいつらぁ!ラップしたり言い逃げしたりよぉ!誰が快楽虐殺者だ!誰がわがままっ子だ!ゴミくず共が!!」

巴、柘植ちゃん、アーシアの3人に馬鹿にされ、ついにカミがキレた!

「はい次!!お前だ!!ドブス!!」

 

その後、次だった里見ミカから始まり、3人がジャンケンに負けた。そのうち1人は、カミの気迫にビビって手を出せなかった様だ。

そして、次の挑戦者の名前が呼ばれる。

『次、紫村影丸』

 

紫村はその肩を大きく震わせる。身体もガタガタと震えている。無理もない……前の奴らが3連敗した後だ。怖くなって当然だ。

……と思っていたら、紫村はこっちを向いて、息を大きく吸い、叫んだ!

 

「イッセー君、明石君!他の皆も!皆で一緒に生き残りましょう!僕、勝ちますから!皆も続いてください!」

……!!

 

紫村はそう言うと、階段を上っていく。それに対し、3人倒して気持ちも落ち着いてきたらしいカミは、楽しそうに言う。

「参加者中最も弱い精神力(メンタリティ)でありながら、よくここまで生き残りましたね、BOY♪しかし……それは全て仲間のおかげだと言えるでしょう。YOUはまだ、1人で戦ってはいない。

その悪運が本物かどうか……量る時が来ましたよ」

『セット』という声が周りに響く。

 

「紫村、勝てよ!」

俺は紫村に言う。あいつは横目でこちらを見て、頷いた。もう、足の震えも止まっていた。

『さーいしょーは、グー。ジャン、ケン……

 

……ポン』

 

カミはパー。紫村は………チョキだ!!

 

「や……やった!やりましたよ!」

紫村はこっちを向いて歓声を上げる。俺は紫村にガッツポーズをすると、あいつもこっちに手を振った。次第にその身体が浮き始める。

「イッセー君!皆!上で待ってますよ!」

 

そう言って紫村は、天へと昇って行った。辺りにまた勝利ムードが戻ってくる。

 

「……さぁ、次は私ね!」

そう言うと次の挑戦者、紫藤イリナは、自分から階段を上っていく。

「エンジェル、頑張ってください!」「エンジェル、勝って!」

順番が来ていない2人……木村萌美ちゃんとミツバが甲高い声援を送る。その表情は、イリナが勝つことを確信しているかの様だ。

 

……と、そこで片方の声援が止まる。彼女はハッ、とした表情となり、声を止めた。

 

「……?どうしたの、ミツバちゃん?」

萌美ちゃんが急に応援を止めたミツバに声をかける。その声に、ミツバは震えた。

 

「……男の子が空を飛んだ後にエンジェルが階段を上る。応援が止んだ時に声をかけてくる仲間…ここまで全てが同じ……次のエンジェルの台詞は……『「皆、私も絶対に勝つわ!」』、ああっ!?」

ミツバはイリナが言うセリフを、1文字も間違わずに言った。ミツバは……未来が見えてるのか?

「ミツバ……もしかして、坤の予知夢の内容が来てるのか?」

明石が言う。明石に聞いたところ、3日目に戦った(?)坤の能力は、『未来を見せる』ことで、今ミツバは過去に見た内容をもう一度見ているんじゃないか、ということだった。

『セット、さーいしょーはグー。ジャン、ケン……ポン』

 

出した手はカミもイリナもパー。あいこだ!

 

「あ…あああ、やっぱり……ここであいこなら、次は……」

ミツバは弱々しい声を出す。身体は震えて、汗がダラダラと流れていた。

「……イリナ!負けるなっ!」

俺は思わず声に出す。嫌な予感が止まらなかったからだ。

……そして、こういう時の『嫌な予感』は、よく当たるものだった……

 

『あーいこーで……しょ♪』

 

イリナが出したのはチョキ、それに対しカミの手は、

 

 

ギュッと握られていた。

 

 

カミはニンマリと笑顔を作り

 

 

朝礼台の上で血が飛散した。

 




……残りあと8人、いよいよ『こぶし』の試練も終わりが近づいて来ました!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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