神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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『あ痛くてあ痛くて』による電撃を受けてなお意識を持っていた明石は、愛甲龍臣の態度の急変を、そして自分達の危機を感じていた。『あやとり』チームの田中によって動きを封じられたあ痛くて。その前に立つ愛甲。その手には拳銃が一丁。
「愛甲くん、やめて!この子を倒したら、皆で生き残れなくなるのよ!」
『いすとり』のリーダー、『エンジェル』イリナの言葉を、愛甲は低く笑って返す。
「俺はそこの青髪に勝てればそれで良い。あいつが全員生存での勝利を望むなら、俺はそれをさせない!そうすれば俺の勝ちだ!」
「違うわ!それはただの八つ当たり……足を引っ張ってるだけよ!」
その言葉に愛甲は顔を背け、あ痛くての方に向き直した。
「『エンジェル』……俺が予定していたのとは大きく異なったが、お前は俺の考えていた以上に良くやってくれた。お前が活躍してくれたから、俺はただの『いすとり』のチームメンバーの1人となり、目立つことは無かった。そのお陰で今このチャンスが巡って来ている。これは運命だ!俺が神になる男だ!

勝者・愛甲!!!」

「待てやめ……!」(ムリだ……俺達は……負け………)


明石……!!

明石の頭の中に、1人の男の声が木霊する。

立てっ明石!!立って止めろ……!!

(青山……)

彼の脳裏によぎったのは、ケンカをしたまま、出席者の試練の為に離ればなれになった友。小さい頃から共にプロサッカー選手を目指した、親友だった。
明石の目に映るのはサッカーグラウンド。その中に自分は倒れている。ボールは前を転がり、敵チームに渡った。
後ろから味方がそれを全速力で取りに行く。あれは……青山だ。

この1プレーさえ凌ぎゃ俺達にも勝ちの目がある!!脚ちぎれても走れ!死んでも止めろ!!


チームの為に、死んで魅せろ!!

(チームの為に、死んで魅せろ……!?)
意識がこちらに戻る。愛甲の指が引き金に掛かる。

その時、明石の脚は勝手に動いていた。



第31話---救世主

……このままじゃ、死ぬ!

そう思った俺は必死に身体を動かそうとするが、全身に痺れが残っていて、思うように動けない。

(こんなところで……リアス、すみません……)

 

そして、銃声が鳴り響く……その一瞬前。俺は見た。

銃口の先に飛び出る1つの影を。

 

そして銃声が鳴り響く。

銃弾はそのまままっすぐ行くはずが、前の障害物に阻まれる。

愛甲の前に躍り出た、明石に。

 

ドゥン、という音と共に明石の額に銃弾が衝突する。

「マジか」

その言葉と共に、愛甲が血溜まりに変わる。『道具で敵を攻撃したら死亡』というルールが適用されたんだ。

 

「う、うぁぁぁ!!明石いぃ!!」

先に痺れが取れたハラカイや柘植ちゃんが近づき、倒れた明石を見る。

「……血……血が……!!ドクドク出てる……!ドクドク出てるよぉおおお!!」

遅れて痺れが取れた俺やイリナも明石に近づく。彼の額からは、ハラカイが言った通り血が止めどなく流れる。

「死んじゃうよぉおお!!」「あかしざぁぁん……!!」

 

「退け」

 

丑三がハラカイや柘植ちゃんを退かすと、明石の上半身の制服のボタンを乱雑に外し、胸を露出させる。

丑三失礼します(エクスキュウシミー)……」

 

そう言って彼は明石の胸が自分の顔の位置に来るように抱きしめる。そのまましばらく目をつぶると、その目を開いた。

「ダメだ……生きている音(ハートビート)が聴こえない。

救世主(ヒーロー)は、もう……」

その場に泣く声が響く。それは幾重にも重なり、場を悲しみにくれ「あのう……お取り込み中すいませーん」!!?

 

不意に、地面からカミが現れる。

 

「時間切れまで待つのかったるいんで、今日はもう終わりにしちゃっていいですか?どーせもう誰も倒さないでしょ10番?あ、一応倒せばそのチームが優勝になりますけど……倒したい人いますか?」

悲しんでいたところに急に現れたカミに、俺達は動揺して返す言葉が見つからなかった。それをカミは肯定と捉える。

 

「いいっすか?いいっすね?……ハイ!!終了〜〜〜〜♪」

カミは手のひらの中に『あ痛くて』を挟むと、そのまま両手で潰してしまった。

 

『ピンポンパンポーン♪「学校の七×七不思議」全日程終了しました。BOX内にいる人は、外へ出て集合して下さい。繰り返します。全日程が終了しました--』

「いやぁ急かしちゃってすいません。観たいアニメ全部観終わっちゃったんでヒマでヒマで……「oh、カミよ……」

 

丑三はカミに懇願する。

「今すぐ神の力を与えたまえ。明石を生き返らせたいんだ」

「え?」

PLEEEEEASE(プリーーーーーズ)……」

 

カミはそれを聞くと、息を深く吸いながら明石の頭を掴み上げる。

 

 

「起ぃいい床ぉおおおお!!力ぃいいいいい!!」

 

カミは、最初の最初に不良にやったように、明石にもその大声を浴びせる!

「おはようBOY。次、始めますよ」

 

「ほぇ……?」

 

明石の口から、間の抜けた声が出る。

「あれ……?何で俺……?」

疑問に思う明石含めた皆に、カミがネタバラシをする。

カミ曰く、『どの武器も、攻撃が不正に当たった場合は、その瞬間に道具が消滅するように設定してありますから』だそうで、明石の額に当たった弾丸は脳に届く前、当たった時点で消滅したそうだ。明石は銃撃とそれ以前の感電のショックで一時的に仮死状態になっており、それをカミが通常状態に戻したのだそうだ。

 

「やった……!!やったぁ!」「良くやったぁ!」「スゲエよお前らぁ!」

そう言いながら仲間達、『すなとり』『いすとり』『あやとり』の生き残り達がこちらに向かってくる。

「……!?……」

その中で1人が明石の様子に気づくと、明石に走って近づいてくる奴がいる。あれは、ナツメグ?

彼女は明石に近づくと、彼を……ビンタした!?

 

「その額の傷……そしてあの血溜まり……何をしたかは想像が着くわ。仲間の為に1人で死ぬなんて……アンタ、司令塔失格よ!!」

「……ゴメン。でも、負けない為にはアレしか……」

「……そういう事言ってんじゃない……」

そう言うとナツメグは明石を抱き締める。

「勝手に1人で死んじゃヤダって言ってんの……

 

1人で戦ってるって思うなぁ……!バカぁ……!!」

「……うん、ゴメン……ゴメンね……」

そう言いながら明石はナツメグの頭を撫でる。その様子を皆は、微笑みながら見ていた。

 

「……さてと、そろそろ良いですかね……ゴホン。『学校の七×七不思議』終ーーー了ーーー!これより次なる試練(ネクストラウンド)!!」

 

カミが告げると、その下から、学校のグラウンドにある様な朝礼台が現れた。




〜〜☆祝・UA20000&50話突破☆〜〜
これは今回ではなく前回の時点だったんですが、ここで言わせてもらいますね。

皆さん、このSSを読んでいただき、また感想やお気に入り登録などをしていただき、ありがとうございます!もうハイスクールD×Dも神さまの言うとおりも終わりが近づいて来ていますが、一応ほとんど完結まで書いていくつもりですので、これからもよろしくお願いします!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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