神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
--夕暮れの公園。
町外れにある公園だ。人気がなく、俺ら以外に人はいなかった。
いつの間にか
「今日は楽しかったね」
噴水をバックに微笑む夕麻ちゃん。
くーっ!なんてかわいいんだ。ちくしょう、バックの夕暮れ太陽がいい演出になってるぜ。
「ねぇ、イッセー君」「なんだい、夕麻ちゃん」
「私たちの記念すべき初デートってことで、ひとつ、私のお願い聞いてくれる?」
来た、これ。来ましたよ!これはアレだ!アレ以外にあり得ない!
口の臭い!よし!心の準備!うーん!バクバク心臓なってるぅぅ!
「な、何かな、お、お願いって」
あああああ。声が上ずってる。バカな妄想してるってバレちまう!
しかし、夕麻ちゃんは俺に微笑んでくれるだけだ。
そして、はっきりと俺に向かって言った。
「死んでくれないかな」
……聞き間違いだ、そう思ったから訊き返したんだよ。
でも--
「死んでくれないかな」
また、はっきりと俺に言った。笑いながら。
夕麻ちゃんの背中から黒い翼が生えた。バサバサっと羽ばたきをすると、黒い羽が宙を舞い、俺の足元に落ちた。
「楽しかったわ。あなたと過ごしたわずかな日々。初々しい子供のままごとに付き合えた感じだった」
夕麻ちゃんの声は、なんとも冷たい。
ブゥン。ゲームの起動音よりも重たい音が空気を揺らす。
耳鳴りに等しい音を立てながら、それは夕麻ちゃんの手に現れた。
1本の槍のようなもの。
光ってる?光が結集しているような……つうか、槍じゃねぇか、アレ。
ヒュッ。
風切り音。そして、すぐに鈍い音がする。
ドン!
俺の腹に何かが触れた……と思ったとき、夕麻ちゃんの持っていた光の槍が俺の腹を貫いていた--
……はっ!
あれ?夢……?何で俺は、夕麻ちゃん……レイナーレの事を……
「ゔ……おえええぇ…………」
吐いた。気持ち悪い……どうしたんだ?ここはどこだ?校舎内?
……あれ、俺は今大事な事に気づいてしまったぞ。
服がない。俺の着ていた服が無くなってる!
やばい、俺のドラゴンが丸見えじゃねぇか!何か隠すもの!
俺は教室のガラスを割ると中のカーテンを取り、下半身に巻きつけた。ターザンのような服装になったと言う事だな。
「……あ、そうだ!明石と涙ちゃん!」
そうだ、あいつらを忘れてた!俺はそのことを思い出し、すぐに彼らを探しに向かう--
--その頃、明石。
「エンジェルを信じ、主を信じる者は救われるのよ!」
ミツバは明石に力説する。ミツバの隣に立つのは、ゼノヴィアとイリナ……いや、『
イリナは、ニコニコと明石の方を向いていたが、その表情が変わった。
「何だ、あいつ!」「ミツバちゃん、前、気をつけて!」
そう言われて、ミツバはそちらを向く。
直後、明石の後ろから『明ェェェェエ!!!』と言う声が聞こえ……ミツバが消えた。
「ミツバちゃん!?」「ミツバ!?……消えた?あいつの仕業か!?」
いち度転移させられた明石は、(また艮か!?)と思い、横眼でそちらを見る。そこにいたのは艮とは別の妖怪だった。
(口に模様……しまった!)
口の模様を見てしまった為、明石は再び転送される。
明石もまた、夢を見る。
手のひらを染める真っ赤な血、その中で弱々しい声が聞こえる。
『……かしくん……明石君……』
声をした方を向く。視界に映ったのは、血まみれの……
『あなたに会えて……私は幸せでした……』
(え……!?)
『生きて明石君……』 (何これ……!?涙ちゃん!?どうしたの……?)
『生きて……』 (何言ってんの?涙ちゃん……!?)
『ゴメンね……もっと一緒に……いたかった……』
(嫌だよ、そんな……!?涙ちゃん……!!!)
血溜まりの中に横たわる彼女を遠くに見ながら、悪夢は終わりを告げた。
…話が全く進んでない!
『自由登校のルシファー』を読んでいて、この作品で殺しちゃった人(悪魔)が出てきて、『ヤベッ!』って少し思いました。まぁ、仕方ないよね…
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!