神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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さあて、3日目です!


第23話---艮

--3日目、午後9時48分。俺達は今日もカラオケルームに集まっている。

「皆一晩考えてくれた結果……これが総意で間違いないね?」という明石の言葉に、実際に七×七不思議を経験して少し余裕が出てきたトロイが代表して「ああ」と答える。

 

「今回我々は逆転のため……角を取ります」

七×七の方眼のようになったマス、その端っこを取る。そうすればこのリバーシ・ルールで有利に立てる、という考えだ。

『いすとり』……イリナ達のチームも昨日のポイントの変化からリバーシ・ルールに気づいたようで、左下の端っこを選択している。今回俺達が選んだのは、そのちょうど対角である、7番だ。

「じゃあ入れるよ……不思議番号7……右上の角……送信!!」

右上の角、7番を明石が送信すると、モニター画面が暗転し、そして今回の不思議のタイトルが表示された。

 

『艮(うしとら)不思議番号7』という文字の背後には、昨日や一昨日と違って絵ではなく、砂嵐が写っている。凶と書かれたお札は……10枚!?難易度上がり過ぎじゃないか!?やはり角はそれだけ取りづらいと言う事なのか!?

 

『艮…それは四隅の一角を司る…神…姿…見し者…思…出す…苦…過…死……』

映像が流れない……壊れているようになってるな。

『決…して…挑む事勿れ……』

 

その言葉を最後に映像は途切れ、モニターには砂嵐が流れ続けた。これはまたヤバそうなのが来たのか?

「終わり?さっぱりわからんかった……」「ボス的な感じか……?」などと皆がざわめいてる中で、1人だけ別の事を言っている奴がいた。

「! 艮……右上……北東!?鬼門の方角じゃないか……」

末成兄のその言葉に、俺は少し引っかかった。言葉の意味を聞こうとした時、モニターが明るくなる。

ピピッ『すなとりBOX 不思議番号7

本日のリーダー 持田 涙』

「う……来たか……」

涙ちゃんは緊張した顔つきになる。

「あと2人はどうすんだい?」というスージーの声に、周りが騒めく。

 

「経験者の俺が行くよ。ここは勝負所だからね」

明石が立候補する。カッコ良いぞ、明石!

明石はボソッと何かを涙ちゃんに伝えてたが、そんな小さな音を聞き取れるほど俺の耳は万能ではなかった。

 

「あと誰行く?あと1人……いない?」

その声に誰も反応しない。それはそうだろう。お札1枚の時点で(まぁそいつに殺された訳ではないが)死亡者が出て、2枚で1人が重症だったんだ。10枚なんて高難易度の試練、余程の死にたがりか余裕のある奴しか立候補しないだろう。しかし、俺は立候補する!

 

「じゃあ俺「ハイハイ私〜、来々留やりまーす」

なん……だと……

 

「え……キミ未経験だよね?別にムリしなくても誰か男子が……」

と言う明石の気遣いに「大丈夫!私ダンスとかやってる系なんでー、結構動ける系女子なんでー」と来々留ちゃんは答える。

「え……でも……」と明石が許可するか迷ってると、更に声が増えた。末成兄弟だ。

「いいじゃん、本人がやりたいって言ってんだからさ!」「そーだそーだ!本人の意思優先でいいじゃないか!」

その声に明石も押される。

 

「お……おう……わか「いや、待て!」

 

来々留ちゃんと末成兄弟、明石や涙ちゃん、それ以外のここにいる皆も声を上げた方……俺の方を向いた。

「いや、明らかに難易度高そうな不思議なのに女子2人とか危な過ぎだろ。ここは男子2人で行くべきだ。だから……俺が行く!」

やっと言えた!やっと俺が行くって言えた!

「……イッセー、助かるよ。俺も男子2人の方が安心だと思ってたんだ」

と明石もホッとした顔で言い、3日目のメンバーは涙ちゃん、明石、俺に決まった。

何故か来々留ちゃんが末成兄弟を睨んでいたが、そんなの俺には関係ない。俺は、やっと巡ってきた妖怪との出会いへの期待に心躍らせていた。

 

「さーて、何を持って行こうかな……どうする、明石?」「俺はテケテケで役に立った拳銃かな……イッセーは?」「俺はハンマーかな」

俺達2人男子2人組は道具を決めていた。この大木槌、ミョルニルよりは軽いな……当たり前か。

涙ちゃんにも何を持っていくか聞こうとしたが、ナツメグと何かを取り込み中だったから、話しかけるのはやめておいた。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

という訳で、3日目スタート!

すなとりBOXを出ると、辺りは真っ暗……という程でもなく、薄暗い程度だった。もう10時なのに……カミが明るさ設定間違えたのかな?空模様は自動で変えられるみたいだし。

 

「ん?あれは……なんだ?」

辺りを見回していると、近くの広場の電灯の上に、一匹のスラッとした変な奴が立っているのが見える。俺は小声で明石にそれを伝える。

「背中に『(うしとら)』って書いてあるし……モロアレじゃん……」

そう涙ちゃんが漏らす。

明石は銃を構えた。

「こっちに気づいていない……今なら殺れる……!!」

難易度10だから、そんなに甘くはないと思うが……

俺は艮が反撃をしてきた時の為に、動ける態勢になる。いつでも涙ちゃんと明石を守れる様に。

 

「一撃で仕留めてやる……!!」

明石は引き金を引こうとする……寸前、艮がこちらを向いた!

「う……!?」

明石は変な声を上げる……

「大丈夫か、明石!?」「明石君、どうしたの!?」

小声で声をかける俺達のことを、明石は見えていないようだった。

 

バチュン!

 

その音と共に、明石が消えた。服と拳銃を残して。

パチン、と艮が更に指を鳴らす。すると、隣にいた涙ちゃんも服だけになり、消えた。

 

「は……!?」

艮はこちらに向かってくる。

「お前……明石と涙ちゃんをどこにやった!」

俺は赤龍帝の贈り物(ブーステッドギア・ギフト)で強化したハンマーを持って、艮に飛びかかる。艮は掌をこちらに向けた。俺はその手を警戒する。掌にあるのは、変な模様。

 

パチン、と指がなる音が聞こえた。

「あ、あれ……?」

おかしい……急に視界がぼんやりしてきた。頭が痛い……クラクラする。

そして俺は意識を失う。最後に聞いたのはバチュンと言う何かが潰れたような音だった--




イッセー、そしてチームすなとり、危うし!
彼らはどうなってしまったのか!?続きは次回!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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