神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
--3日目、午後9時48分。俺達は今日もカラオケルームに集まっている。
「皆一晩考えてくれた結果……これが総意で間違いないね?」という明石の言葉に、実際に七×七不思議を経験して少し余裕が出てきたトロイが代表して「ああ」と答える。
「今回我々は逆転のため……角を取ります」
七×七の方眼のようになったマス、その端っこを取る。そうすればこのリバーシ・ルールで有利に立てる、という考えだ。
『いすとり』……イリナ達のチームも昨日のポイントの変化からリバーシ・ルールに気づいたようで、左下の端っこを選択している。今回俺達が選んだのは、そのちょうど対角である、7番だ。
「じゃあ入れるよ……不思議番号7……右上の角……送信!!」
右上の角、7番を明石が送信すると、モニター画面が暗転し、そして今回の不思議のタイトルが表示された。
『艮(うしとら)不思議番号7』という文字の背後には、昨日や一昨日と違って絵ではなく、砂嵐が写っている。凶と書かれたお札は……10枚!?難易度上がり過ぎじゃないか!?やはり角はそれだけ取りづらいと言う事なのか!?
『艮…それは四隅の一角を司る…神…姿…見し者…思…出す…苦…過…死……』
映像が流れない……壊れているようになってるな。
『決…して…挑む事勿れ……』
その言葉を最後に映像は途切れ、モニターには砂嵐が流れ続けた。これはまたヤバそうなのが来たのか?
「終わり?さっぱりわからんかった……」「ボス的な感じか……?」などと皆がざわめいてる中で、1人だけ別の事を言っている奴がいた。
「! 艮……右上……北東!?鬼門の方角じゃないか……」
末成兄のその言葉に、俺は少し引っかかった。言葉の意味を聞こうとした時、モニターが明るくなる。
ピピッ『すなとりBOX 不思議番号7
本日のリーダー 持田 涙』
「う……来たか……」
涙ちゃんは緊張した顔つきになる。
「あと2人はどうすんだい?」というスージーの声に、周りが騒めく。
「経験者の俺が行くよ。ここは勝負所だからね」
明石が立候補する。カッコ良いぞ、明石!
明石はボソッと何かを涙ちゃんに伝えてたが、そんな小さな音を聞き取れるほど俺の耳は万能ではなかった。
「あと誰行く?あと1人……いない?」
その声に誰も反応しない。それはそうだろう。お札1枚の時点で(まぁそいつに殺された訳ではないが)死亡者が出て、2枚で1人が重症だったんだ。10枚なんて高難易度の試練、余程の死にたがりか余裕のある奴しか立候補しないだろう。しかし、俺は立候補する!
「じゃあ俺「ハイハイ私〜、来々留やりまーす」
なん……だと……
「え……キミ未経験だよね?別にムリしなくても誰か男子が……」
と言う明石の気遣いに「大丈夫!私ダンスとかやってる系なんでー、結構動ける系女子なんでー」と来々留ちゃんは答える。
「え……でも……」と明石が許可するか迷ってると、更に声が増えた。末成兄弟だ。
「いいじゃん、本人がやりたいって言ってんだからさ!」「そーだそーだ!本人の意思優先でいいじゃないか!」
その声に明石も押される。
「お……おう……わか「いや、待て!」
来々留ちゃんと末成兄弟、明石や涙ちゃん、それ以外のここにいる皆も声を上げた方……俺の方を向いた。
「いや、明らかに難易度高そうな不思議なのに女子2人とか危な過ぎだろ。ここは男子2人で行くべきだ。だから……俺が行く!」
やっと言えた!やっと俺が行くって言えた!
「……イッセー、助かるよ。俺も男子2人の方が安心だと思ってたんだ」
と明石もホッとした顔で言い、3日目のメンバーは涙ちゃん、明石、俺に決まった。
何故か来々留ちゃんが末成兄弟を睨んでいたが、そんなの俺には関係ない。俺は、やっと巡ってきた妖怪との出会いへの期待に心躍らせていた。
「さーて、何を持って行こうかな……どうする、明石?」「俺はテケテケで役に立った拳銃かな……イッセーは?」「俺はハンマーかな」
俺達2人男子2人組は道具を決めていた。この大木槌、ミョルニルよりは軽いな……当たり前か。
涙ちゃんにも何を持っていくか聞こうとしたが、ナツメグと何かを取り込み中だったから、話しかけるのはやめておいた。
〜〜〜〜〜〜〜
という訳で、3日目スタート!
すなとりBOXを出ると、辺りは真っ暗……という程でもなく、薄暗い程度だった。もう10時なのに……カミが明るさ設定間違えたのかな?空模様は自動で変えられるみたいだし。
「ん?あれは……なんだ?」
辺りを見回していると、近くの広場の電灯の上に、一匹のスラッとした変な奴が立っているのが見える。俺は小声で明石にそれを伝える。
「背中に『
そう涙ちゃんが漏らす。
明石は銃を構えた。
「こっちに気づいていない……今なら殺れる……!!」
難易度10だから、そんなに甘くはないと思うが……
俺は艮が反撃をしてきた時の為に、動ける態勢になる。いつでも涙ちゃんと明石を守れる様に。
「一撃で仕留めてやる……!!」
明石は引き金を引こうとする……寸前、艮がこちらを向いた!
「う……!?」
明石は変な声を上げる……
「大丈夫か、明石!?」「明石君、どうしたの!?」
小声で声をかける俺達のことを、明石は見えていないようだった。
バチュン!
その音と共に、明石が消えた。服と拳銃を残して。
パチン、と艮が更に指を鳴らす。すると、隣にいた涙ちゃんも服だけになり、消えた。
「は……!?」
艮はこちらに向かってくる。
「お前……明石と涙ちゃんをどこにやった!」
俺は
パチン、と指がなる音が聞こえた。
「あ、あれ……?」
おかしい……急に視界がぼんやりしてきた。頭が痛い……クラクラする。
そして俺は意識を失う。最後に聞いたのはバチュンと言う何かが潰れたような音だった--
イッセー、そしてチームすなとり、危うし!
彼らはどうなってしまったのか!?続きは次回!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!