神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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タイトル変更しました!


第22話---リバーシ

『「紫々しくて」不思議番号23』とカラオケのモニターに映った。

今日は2日目。鳳の死があった1日目から気持ちを切り替えていきたいところだ。

『紫々しくて』の凶のお札の数は2枚。昨日明石達が戦ったらしいテケテケより難しいようだ。

 

『--その老婆は便器にいる。奥から3番目、便器の中に、紫ばばあが。合言葉は「ムラサキムラサキシクテムラサキムラサキシクテ……ばばあに負けて胆を抜かれるとツライヨォ〜……』

紫ばばあ、これまた結構有名な妖怪だな。今日こそ会いに行きたいもんだ。ただ……ばばあとは言っても女だし、女子トイレだよな……俺が入って良いものか……良いよね!誰も使って無いだろうし。

 

ピピッ『すなとりBOX 不思議番号23

本日のリーダー 星川芽衣』

「ふえっ……」

芽衣ちゃんは持っていたジュースを落とす。そして騒ぎ出す。

 

「ヤダーーーーー!!行きたくない〜!!てか男子代わってよ〜〜!!芽衣、この部屋の掃除とかちゃんとするからぁ〜!!」

そんなことを言ってもリーダーにされた時点で行くのは決定だ。ゴネたって仕方がない、

「そんな事言ってもルールなんだから仕方ないでしょ!」というナツメグの言葉を聞いても芽衣ちゃんはダダをこね続ける。それは置いておいて、問題は残りのメンバーだ。

「ったく、ガキね……問題はあと2人……誰が行く?」

シンと静まった部屋。その中で、裏返った声が聞こえる。

 

「俺だ……」

 

声がした方を振り向く。そこにいたのは……頼りになると思っていた、しかし今回の試練では役に立たないと思っていた男……戸呂井アキラだ。

「お……俺が行こう……!!」

トロイは震えた声で言う。完全にビビってるじゃん!足とか産まれたての子鹿級にガックガクじゃん!

「お前、足ガタガタじゃねーか!?いけんのかよそんなんで!?」

俺の(というかトロイ以外の)気持ちを明石が代弁する。その言葉に、トロイは震えた、しかし芯の通った声で言う。

「や……やらせてくれ!俺も……戦う……!!足手まといにはなりたくないんだ!!」

その決意は堅そうで、俺達は皆水を差すような事はしなかった。

「あと1人はアカッシーがいい〜」「え?俺?あ……じゃあ……」

芽衣ちゃんが明石の腕に抱きついて上目遣いでおねだりする。羨ましいぞ明石!!

だがしかし明石にばかりいいところはやらん!……明石も昨日の試練で疲れてるだろうし、俺が行く!

「いや、ここは「ダメだ」

カラオケルームに声が響く。また俺の声が消された……

声の主は続ける。

「明石は昨日の傷が癒えていない。

俺がイク。明石は溜めてろ」

……という訳で、丑三が代わりに行く事になりました。とりあえず、彼らが無事に帰って来られる事を祈っておこう……俺に行かせてくれよぉ!!

 

……という訳でまた1日晩から朝までカラオケルームで過ごすワケですが。流石に昨日と同じ流れには成らず、今後の作戦会議になった。

「全BOXが16日間の不思議を全てクリアしたら、全チーム16ポイントで引き分け……引き分けになったらどうなるんだろうな」

「何人かの生き残りを出すって言ってたし、全員死亡は無いと思うけど……わからないな。もし全員生きて次の試練、だったら良いんだけどな」

「そもそも引き分けになるのが簡単かどうかもわからないヨ。不思議の難易度はまだ低い方だと思うけど、これから出てくるであろう高難易度の不思議を全て、全部のBOXがクリアできるとは思えない。どこかで差が生じると思うヨ」

「それに、他チーム……いすとりやあやとりが妨害して来ないとも限らないわ。皆自分達が生き残ろうと必死なはずだから」

 

そうやってあーだこーだと議論を交わしているうちに、いつの間にか時間は12時を過ぎ、丑三つ時になる位にトロイ達も帰ってきた。

「おかえ……!?」「丑三!?」

 

トロイの背中には、気絶した丑三がいた。今日は、ハラカイ達の『あやとり』チームに刺された後、『紫ばばあ』と素手で闘い、勝つという赤龍帝の俺もびっくりな事をやってのけたらしい。本当に人間か、こいつ……?

 

あやとりチームは敵意……殺意を持って攻撃してきたようで、明確に俺達の敵に回った様だ。丑三か明石と会ったら殺せと命令されてたらしい。その命令の為に丑三は日本刀で刺され……相手が血溜まりになったそうだ。その直後に出てきた不思議によると、道具を他チームへの攻撃に使ったら即死亡らしい。そうだろうな、人間同士で争ってたら試練にならないしな。

 

そして、問題が1つ出てきた。

「どうして『すなとり』のマスが1つで……『いすとり』のマスが3つなんだよ……!!?」

我ら『すなとり』のマスが1つになり、昨日取ったはずの22番のマスが『いすとり』のものになっていた。22番のマスの上と下には同じく『いすとり』のマスがある。これはもしかして……

「リバーシだヨ……」

スージーも俺と同じ考えになった様だ。『すなとり』のマスは『いすとり』のマスに挟まれて『いすとり』のマスに変わってしまった……つまり、他のBOXのマスを挟んだらそのマスも貰える様になるリバーシ・ルールになってるのか!?

 

「……現状、我がチームのマス取り数は最下位、丑三はこの様子じゃしばらく戦えそうにない……つまり大幅な戦力ダウンは必至。第三者的、冷静な判断をさせてもらうと……踏んだり蹴ったりね」

 

「ンナコト言われなくてもわかってるよ!!」

と、ここで末成兄がキレた!!額には大量の汗が浮かんでいる!どうやら減ったマスを見て焦ってるようだ!

「コイツ、さっきから口だけじゃないか!!」という末成兄を、明石が落ち着かせる。

「落ち着いて……ナツメグは口だけじゃないよ。昨日テケテケを倒してくれたのもナツメグだし、勇気だけなら丑三に負けてないかも……

ナツメグは、頼りになる仲間だよ」

 

その言葉に、場も落ち着く。末成兄も言い過ぎた、とナツメグに謝罪した。皆の不安や不満も少しは晴れたようだ。明石、良いこと言った!

 

「……作戦は明日考えよう。今日は皆お疲れ!」

という訳で、2日目はすなとりBOXは1人も犠牲を出さずに乗り越えた。俺は、明日もこうであります様に、と祈りながら1人では広く感じるベッドに横になった……

 

 




マガジン本誌では1つの試練が終わりましたね。詳しい事は言いませんが、生き残った人数的にも、次か次の次が最後の試練かもしれません。果たしてこのSSは追いつけるんでしょうかね?

次は3日目、運命の日です。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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