神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
『--ある冬の夜……踏切で女子高生が列車に撥ねられた。その女子高生の体は上半身と下半身に真っ二つに切断された……のだが……彼女は即死に至らず……数分間……上半身だけで生き…動き続けた……
失くした下半身を探すかのように……腕だけで這い……「あし……あし……」ともがき苦しみながら息絶えたという……
その後、彼女の霊は生きた人間の下半身を求め母校をさまよい……今でも、この話を聞いた者を襲うのだという……あなたも誰もいない廊下を通る時は……くれぐれも後ろにご注意を……』
おお、なかなか迫力のあるムービーだった。夏休みの怪談特集でテレビの中の俳優が喋るよりも怖かったと思う。
ここで、ムービーが終わって消えたと思ったモニターがまた明るくなった。
ピピッ『すなとりBOX 不思議番号22
本日のリーダー 夏川めぐ』
今回はあのテケテケを倒せばいいわけか。ヒントって言うのはさっきの『誰もいない廊下』ってところかな?つまり廊下を歩いてたら出てくるって訳か。
リーダーはナツメグ。すなとりの時みたいに口だけじゃ無いといいけど。
「あ、画面の中に他のBOXが選んだ『不思議』が……」
「『人体芸術』……『青春ハミーゴ』……?」
まあ、それは置いといて。
「フン、やってやろうじゃない。今回は私がリーダーだから、参加メンバーは私が指名するわ……明石!参加するのはアンタよ」「え……俺!?」
というわけで、1日目の参加者はナツメグ、明石ともう1人になった。
「もう1人は誰でもいいわ」と言うナツメグに、「女子2男子1じゃ危ないヨ!あと1人も男子がいいんじゃないかい!?」と西野・スーザン・花、通称スージーが言う。あいつ絶対自分が行きたくないだけだろ。
「あ、じゃあお「じゃあ……トロイとかどうなの?」
「……ということらしいけど、どうかなトロイ、一緒に……」
トロイ、すなとりでは別チームながらその格好良さにはグッとくるものがあった。『自信とは、読んで字の如く「自分を信じる」という事だ』なんて、俺じゃあ到底言えないようなカッコいいセリフとか言ってたしな。
今回はトロイに任せようか……と思いながら彼を探す。あれ、どこ行ったと思ったらカラオケルームの席の端っこで顔を隠して座っていた。
「そいつはできないな」
トロイはキッパリと断言する。え、どうしたんだ?
「え……何で。頼むよトロイ……」
「できない。そう言ってるだろ……」
そう言ってトロイは顔を上げる。その顔は涙と汗で濡れ、全身はカタカタと震えていた。
「だって怖ぇえんだよぉお〜〜〜〜……」
「俺ぁ昔から……暗い所と狭い所と……お化けが怖くて仕方がねぇんだぁ……だから、この生活が16日間も続くなんて…ダメなんだ……期待しないでくれぇええ……」
そう言って、おろろんおろろんと泣き出した。ダメだこりゃ。俺の中でトロイの株が下がっていく。……その分仲良くしやすくなりそうではあるけどね!人は短所や弱点があった方が親しみやすいと思うんだ。
ちなみに紫村と元浜の方を見ると、あいつらは何とも無さそうだった(今のムービー怖かったですねーくらいは言ってるけど)。見た目的にあいつらの方が色々怖がりそうだと思ってたけど、2人とも少しはホラーに耐性はあるようだ。紫村は現実にいないもの……幽霊や神なんかは信じない主義らしく、そう言ったものは信じてないから怖くないらしい。悪魔や天使や妖怪はホントはいるんだけどな!
トロイが行けないとなった今、他の男子達……俺達に注目が集まる。よし、ここは俺が出るか!戦闘は得意だし!
「あ、それならお……「明石がイクなら俺もイ……「じゃあ、俺がいくよ。『すなとり』でもあんまり役に立ってないしな」
「おぉ、
あれ……俺のセリフが丑三に潰された上に丑三のセリフも鳳に潰され、結局鳳になっちゃったぞ……。ただ、ここで他の人が立候補してくれるとは思わなかった。ボックスの中も鳳で決まり、という雰囲気だし、ここはこいつに任せよう。
という事で、明石がお札、ナツメグが拳銃、鳳が手榴弾をそれぞれ持ってBOXを出ていった。
「んで、俺達は何やればいいんだろう?」
「「「「「あ……」」」」」
凛平のその言葉に、一同が今気づいた、というような顔をする。
「カラオケでも……する?」
こうして、『第1回すなとりBOXカラオケ大会』が始まった!
1日目はほとんど描写なしになると思います。イッセー君が参加してなくても描写は入れた方がいいのかな?その場合は一人称じゃ無くなりそうですが。
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!