神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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さぁ、今回こそ本当にすなとりの終わりです!そろそろ原作と違うところが出てきだすかも……?


第15話---見えざるもの

「……砂?」「何でおまえ、手から砂を……?」「取って……無いよな?」

その言葉に明石は口を紡いだままだが、丑三はべぇっと舌を出した。

『ジャッジ!!!

 

「南山」……明石靖人………182g

「北山」丑三清志郎………103g

よってこの「すなとり」の試験!!「南山」「北山」の勝利とする!!!』

 

!席に固定するベルトが外れた!

「……やった、やったぞイッセー!生き残った!」「やりましたよイッセー君!」

俺は生き残った元浜と紫村と抱き合う。丑三が砂を異常な量の取った時はどうなるかと思ったが、何とか生き延びる事が出来た。歓喜に沸いたその後に生き残った者に残ったのは、明石と丑三への疑問だった。

「……明石お前……いつから砂を握り込んでた……てかどーやって!?説明しろ……!」

南山のガタイの良い男のセリフに、明石は説明する。丑三は異常な量を取ったすなとりの時、明石はふらっと倒れかけた時に砂をあらかじめ掴んだそうだ。で、その後はずっと、この最後のタイミングまで砂を握りしめたまま座って待機していた訳らしい。

倒れそうになった後明石がやりたくないと言ったのは、信用を無くして最後の最後まで場に出ない為だった様だ。丑三が暴走したかのように大量の砂を取った理由もそうだろう……そうだと信じたい。

 

説明を受けて俺達教室にいる生き残りは納得した。ただ……

『おい……お前ら……俺が見てない所でそんなことやってたのか……フザケやがって……』

それはそうだよな!こんなに大々的にネタばらししたら、当然見猿の耳にも入るよな!

ああ、こいつが聞か猿だったら良かったのに!

『この「見猿」の本質を理解してないようだから教えてやるよ……』

その言葉に、俺は構えた。もう試験は終わった、こいつらは生き残った。それを全部無しにする様な真似はさせない!もし襲ってくるなら、こいつは俺が倒す!

 

『「見えざるものは、咎めざる」』

そういうと見猿は目を隠していた手を離し、グッドとOKの形にした。その顔は……笑ってる!不気味だ……。

しかし、こいつは襲って来ないようだ。2人の反則じみた行為も許してくれるみたいだな。良かった、と俺は安心して力を抜く。

『「すなとり」の試験、これにて終了。15名生きる』

その言葉に、みんなの歓声が教室内で上がった。

……ありがとう、松田、乾物屋、クール巨乳さん。俺達、生き残ったよ。お前らの分も生きていくよ。だから……見守っていてくれ!

北山の3つの席に、別れを告げる。そこに彼らがいる気がした。

 

『他の2つの試験も終わったみたいだね。次の試験へ向かうよ、皆。グラウンドへ集合だ』

見猿(もう目を隠してすらない、ただの猿?)はニッコリ笑顔のまま優しい声でそう言った。さっきまでの汚い口調とのギャップが激しすぎて、違和感が半端ないんですが!

 

外に出て行く見猿に付いて歩いていく。グラウンドに到着すると、明石の仲間達の姿が見えた。明石達はサンタクロースの3択の時に、自分が行きたい試練に行く、という取り決めの元で別れたらしいが、ほかの試験に行った仲間達がグラウンドにいた。最初に声を掛けてきたのは、

「おーい皆ぁ……!!はは…よかった……皆生きてる……!!」

原 海(はら かい)だ。チーム明石の一員で、『まめまき』の際には活躍したらしい、横に大きな気弱そうな男子だ。遠くには同じく明石チームの一員、柘植ちゃんも見える。良かった。

 

ハラカイが試験内容を話そうとした時、ハラカイ達とは反対方向から、ミツバがフラフラと現れた。ミツバも『まめまき』時の明石の仲間で、アフロの藤春といつも一緒にいたはずだが……

「ミツバって『いすとり』だよね?藤春も一緒じゃなかったっけ?」

その言葉に顔を曇らせるミツバ。枯れた声で、彼女は言った。

 

「彼は……死んだわ」

 

ミツバの目から涙が溢れる。とうとう立っていられなくなった彼女は膝から崩れ落ちた。

「こんな別れが来るなら……ちゃんと『好き』って言えばよかった……うぐっ……今さら後悔しても遅いのにね……うう……」

泣き続けるミツバ。それに対しどう声をかければいいかわからない俺達。そんな中、彼女の後ろから1人の女子が現れた。

 

「哀しむのを我慢しないで。思う存分泣けばいいわ。死んだ者はもう、戻らないから」

栗色のツインテールを揺らし、彼女はミツバの肩に手を置き、言う。

「涙が溢れるのは、それだけ大事な人だった証拠。死に向けられた涙は恵みの雨になって、やがてはあなたが1歩を踏み出す大地になる」

「うう……ううう……うわああああ!!!」

「そう、今はそれでいいの。落ち着いたら、貴方は彼の死を乗り越えられるはずよ」

彼女はそう言うと号泣するミツバの頭を撫でてから、視線をこちらに向ける。俺と目があった彼女は、驚きで目を見開かせる。それは俺も同じだった。

 

「イッセー君!?ここに来てたの!?」

「イリナ……?お前もここに……」

そう、目の前にいた彼女は俺の幼馴染み、紫藤(しどう)イリナだった。

 




すなとりが終わり、次の試練の前の閑話休題、ハイスクールD×Dから4人目の欠席者、参戦です!
次回は更に2人のD×Dキャラが出てきます!D×Dに詳しい人は、誰かはすぐにわかると思いますが。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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