神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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ここから、神さまの言うとおりの原作とストーリーが少し変わります!


第4話---赤

 

赤鬼はド派手にゴロゴロと転がる。茶色のドデカい鬼の腹にぶつかり、ようやくその動きを止めた。

横目でやつを見ながらも、視点を膝に移す。赤き鎧は燃えて穴が空いている、などということはない。それなら、十二分に戦える…!

 

今、このグラウンドに残っているのは、俺、赤鬼、そして他2体と違ってグラウンドから動こうとしない茶色鬼。その胸には、『まばゆ〜い』という文字が刻まれ、胡座を組んでいながらその身体が宙に浮き、時折りそのまま移動する様子が見える。

カミはいつのまにか姿を消し、残る人間はいない。

 

『マジヤバ〜!腕がポッピンしちゃった☆』

『我らが肉体を、あれなしで吹き飛ばすとは。なかなかなる兵よ』

 

奴らは、俺を値踏みするように見る。対して俺も、警戒は怠らない……と

 

『兵の道にこそ、救いは必須たらん。しからば、我が光を届けようぞ』

茶鬼の身体が、不意に莫大な光を発する!兜のお陰で目のダメージは幾分か減少した……が、光ってのは悪魔の天敵…!どうにも力が入らなくなる…!

 

と、風を切る音が前から聞こえる。俺は慌てて空へ飛び退いた!

俺の顔があった位置を、棍棒を持った赤い腕が通過していく。赤鬼が、自身の腕を蹴り飛ばしてきたようだ。

 

『wow!ヤバくな〜い?空飛んでんだけどぉ』

 

赤鬼は大袈裟に驚きポーズを取る。と、側面から巨大な衝撃が……!

 

『衆生を救うために、この身体を動かすのも悪くなかろう』

茶鬼が浮いたまま、飛んで体当たりをして来たようだ…!俺の身体はグラウンドに生える巨大な木にぶつかり、共に薙ぎ倒される!

それを待ってましたと言わんばかりに、赤鬼が走って来るのが見えた。こっちに来るなら容赦はしねぇ……!

 

赤鬼の腕が、俺の顔面を狙って伸びる。そのニヤついた笑みが、急に引っ込む。

俺が、その股間を蹴っ飛ばしたからだ。赤鬼の身体が、空へと吹き飛ぶ!

 

 

『BOOST!BOOST!BOOST!BOOST!BOOST!』

俺の天から貰った力、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』は、俺の力を10秒ごとに2倍ずつ増やしていく。俺は奴らと戦い始めて1分は経過してる……つまり、普段の俺の1000倍の力だ!

 

「粉々に吹き飛びやがれ!ドラゴン・ショット!!」

『Explosion!』

 

赤い弾が、吸い込まれるように赤鬼へと飛び込み、弾ける!

轟音と共に、空を一瞬赤が支配した。

 

「さぁ、あとは1匹……!」

 

茶色鬼が再び、身体を発光させる。今度は顔を覆い、その光を完全にシャットアウトする。多少の弱体化は、俺の能力で補う……

 

 

 

『頭上がお留守よん♪』

不意に肩にのしかかる重み。目の前に脚が迫り、なすすべもなく蹴り飛ばされる。倒れた木でできた茂みの中に飛び込んだ身体を、大きな枝が受け止める。

 

 

俺を蹴ったのは、吹き飛ばしたはずの赤鬼。身体は焦げているものの、目立った損壊は見えない。

 

『我らは貴様らの頂点の一角に触れ、その力を肌に触れた。貴様らのような人の姿見をしながら人の生を歩まぬ者には、相応の力を持って対応せんと、特殊なる力を得た』

『つまりぃ、ちゃーんと試練を受けないと殺されてやんね!』

 

くそったれ、赤鬼の腕もくっついてる。俺みたいな悪魔用の対策はしてるってか……

と、その手に何かが触れる。木の枝の中に隠れてる、丸くてすべすべとした物体。手に取ると、それはカプセル。表には、豆の文字。

これは、つまり……!

 

 

『てなわけで、さいならさいなら〜!』

今度は両腕で、俺の足元目がけて赤鬼が突撃を図る。咄嗟に足を引き、木の枝を折って赤鬼の腹へぶん投げる!

 

『わかんねぇかな?こんなの効かないって!』

赤鬼はその木を叩き落とし、木は瞬く間に炭となる。

 

その、一瞬を使い、顔面に一撃叩き込む。

 

 

最初と同じように、赤鬼はゴロゴロと地面をバウンドしながら吹き飛んでいく。今度は茶鬼が進行先に周り、その身体を受け止めた。

 

『暴の力は、試練の前には余りにも無力。そして、暴の力を覚えた者は、その力が通じねば弱き存在へと堕ちる

なれば、我らが救ってやるのは必定也……!』

 

茶鬼の口が、途中で止まる。その腹にあるのは、顔面が半分溶けてなくなった赤鬼の、無惨な姿。

 

 

「木の中にあったこいつは、そういうことだったんだな」

俺がカプセルをわざと見えるように投げると、茶鬼も少なからず動揺したように見えた。表情が変わらないから、よくわかんないけどな。

 

「このカプセルに入ってたのは豆の文字。つまり、この試練は

 

「豆があああああああああ!

効くぅううううううう!」

 

校舎から響き渡る声。それは、赤鬼を倒したことを裏付けてくれた。

 

「カプセルに入ってる豆を、鬼にぶつける。『豆まき』だってこった。

そして、こう堂々と宣言されてるってことは、少なくとももう1匹はやられたってことだな!」

 

『ぬう…』

 

唸り声を出す茶鬼。その時、茶鬼の太い腕が弾け飛ぶ。

 

「行け行け行け!」「顔狙え顔!」「わかってる!」

茶鬼の背後から飛び出した4人組。彼らから飛んでくる豆がついには茶鬼の顔にも当たり……

 

『見事也』

 

茶鬼の顔面も弾け飛び、その動きを止めた!!

 

 

 




無事投稿です。今日書いて明日休み、そしてその後29から1月の3日まで連続で書く予定です。あくまで予定なので、無理かもしれませんが…正月忙しいかもしれないし…
ただ、1回休んだ時に年末年始は頑張ると言ったので、頑張ります!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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