神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
こんなギリギリですいません…
学校を出てからは、自然と解散になった。松田も元浜も体育館の様子を見て、エロい気持ちなど吹っ飛んだようだ。俺が家に帰ると、父さんも母さんも驚きの表情を浮かべ、そして俺を強く抱きしめて泣いた。両親の顔には涙のあとがくっきりと残っており、俺が死んだと思ってただ泣いていたのだと分かった。
「イッセー!お前が生きていてくれて良かった!無事で本当に……良かった!」
昼間なのに仕事から帰ってきている父親が言った。その顔を見ると、胸が痛む。俺はしばらく両親と抱擁を交わした。
「なぁ父さん、今何が起こっているんだ?」
両親が落ち着いたころ、俺は父親に質問する。父親は事情を知らなかった俺に少し驚いた顔を見せながら、テレビをつけた。
『--で……生存者は現在わずか3名です』
「っ!」
いきなり俺の知りたかったことが出てきた……と思っていたが、違う。駒王学園で生き残ったのは5人以上はいた。よく覚えていないが、朱乃さん、小猫ちゃん、木場、匙、ソーナ元会長はいたはずだ。ではこのニュースは?
『被害に遭ったのは同校の生徒や教員とみられていますが……生存者・死亡者問わず全ての個人情報は--未だ明らかにされておりません。これで全国各地の高校で起こった謎の大量殺傷事件の被害者総数は--
--300万人以上にのぼるとみられています』
「全国……?」
どういうことだ?俺たちを狙った訳じゃなく、全国の高校で?何が目的、いや、そもそも何が起こって?
『--事件に関して彼らは共通して……「ダルマがやった」「ネコに鈴をつけた」などと語っているそうです』
???
わからない。何が起こったのか?なんでみんな死んだんだ?どうなってんだ?
『たった今続報が入りました……!?えっ、ホントに!?……ゴホン、失礼致しました。えー……今入ってきた情報によりますと、新たに中国・韓国・アメリカ・スペインでも同様の事件の報告があり、この一連の事件は世界規模で起こっている模様です--』
テレビの電源を切る。訳がわからないままだ。全国で高校生が一斉に大量に死亡?どういうことだ?こんな事をして、誰にどんなメリットがある?人間を絶滅させるつもりか?いや、それならば高校生に限定する理由が見当たらない。全国の高校生をほぼ同時に大量に殺す事ができるような奴なら、人類殲滅くらい余裕だろう。
考えても疑問が増すばかりだ。俺は両親を身体から離し、ボゥッとした気分で寝室に向かうと夜まで仮眠を取った。目が覚めたら、悪い夢は終わっているんじゃないかと信じて--
夜……それは悪魔にとって最も活動しやすく、力が溢れてくる時間帯だ。俺は家の屋上で、空を観ていた。空には、気持ち悪いほど多くの流れ星が見える。
ドン!と、屋上に落下音が響いた。
「な、なんだ!」
音の方向にあったのは1つの銅像……これは、見た事あるぞ……二宮金次郎像だ!
『お前今日学校休んだろ?』
しゃ、しゃべった!?
「そうだとしたら、なんだよ!」
『だから迎えにきたよ、「にの」迎えにきた』
そういうと二宮金次郎……にのは後ろに背負っている……ゴミ箱?を開けた。
『さぁ、乗りな。じょいなす』
欠席者編、スタートです!ここからはイッセーのターン!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!