神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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さあて、投稿です!


第3話ーーー1年生

ーー先生の頭が吹っ飛んだ。

言葉にするとシンプルだけど、私、塔城小猫(とうじょう こねこ)にはこの光景が信じられなかった。

「ふえっ?」

後ろにいるギャー君もこの急な出来事に対処できない様だ……いや、いつもこんな感じかな?

今日は1年生は朝から漢字のテストで、先生の監視の元で必死に漢字と格闘していた、はず。最初の異変は、その監視の先生の方から聞こえた。

 

「あと5分だぞおおおぉぉぉぉぉぁ!?」

 

先生が急に叫びだしたから、思わず私は前を向いた。すると、先生の頭が変形し、破裂した。これが今の状態だ。

 

新手の敵?それにしたってわざわざこんな危険地域を襲ってくるなんて……ここは、悪魔と天使、堕天使が友好協定を結んだ場所。もしかして、またコカビエルみたいな戦闘狂が、協定を破棄しにやってきた……?

ふと、破裂した先生の頭の中から、何かが飛び出てくるのが見えた。あれは……ダルマ?

数秒遅れて、ドアや窓が急に勢いよく閉まる。窓際の席にいる私は窓を開けようとする。しかし、開かない。ガラスを叩いても、割れない。まさか、魔法?閉じ込められた!?

 

みんながパニックになっている中で、ダルマは何かをしゃべり始めた。

『だー、るー、まー、さー、んー、がー、』

……!

「みんな、止まって下さい!」

『転んだっ!』

私の声がパニック状態のクラスメイト全員に届くはずはなく、転んだの後も10数人は外に出ようと動いている。

これは『だるまさんが転んだ』だ!昔オカルト研究部室でイッセー先輩達と遊んだからわかる。確かルールは

 

 

ダルマが振り返った時に、動いてたら

負け(死亡)

 

『パパパパァン』と銃声の様な音が連続で聞こえる。動いていた人達が一斉に倒れる。

 

「な、これはどういうことですの!動いた人達がみんな倒れて……」

ルールを知らないレイヴェル・フェニックスが叫ぶ。彼女は上級悪魔のフェニックス家の長女で、人間界のことを学ぶためにこちらに送られてきている。彼女に軽くルールを説明してあげた。

 

ダルマが後ろを向く。確かルールでは、ダルマ役の人にタッチしたら終わりだったはず!

「ダルマがあっちを向いてる時に近づいて、タッチしたら勝ちっていう『だるまさんが転んだ』って遊びが元になっているみたい……はっ!」

事をすぐに終わらせる方法があった!振り返った時に動いたら死ぬのなら、振り返らせなければいい。

「ギャー君、停止世界の邪眼(フォービトゥン・パロール・ビュー)で時間を止めて!」

ギャー君は皆が死んでいくのにひどく動揺して、吐いてすらいた。けど、私が言うと彼は両目を見開いて時間を止める。ギャー君、ギャスパー・ヴラディは吸血鬼と人間のハーフで、時を止める神器、邪眼を持っている。神器というのは人間に神が与えた特別な力で、人間の血を引く者のごく一部が持っている。私の周りだとイッセー先輩やアーシア部長、木場副部長やギャー君なんかが持っている。

邪眼の能力は強力で、この停止世界の中で動けるのはここにいる中では私とギャー君くらい!

「あのダルマの動きは止めたよ、小猫ちゃん!」

「ありがとう、じゃあタッチしにいこう」

 

『パァン!!』

 

ダルマの時を止めたものの、周りの惨状に動揺して肩を揺らしていたギャー君が吹っ飛んだ。腹に大きな穴が空いている。

私は目を見開いた。

 

ギャー君によって止められていたダルマが、ギャー君が動いた瞬間にこちらを向いた!

 

そんな……停止世界の中でも動けるの!?あのダルマは!

 

その後もどうしようもなく、『パァン』という音が連続した。最前列にいた私は振り返る事ができない。

『だー、るー、まー、さー、んー、』

ダルマの声が聞こえてきたので、急いで後ろを振り向く。そこには、誰も立ってはいなかった。

 

「あ……いや……何が起こって……」

ただ1人、レイヴェル・フェニックスただ1人だけが、死体の山の上にへたり込んでいた。返り血を浴び過ぎて、制服がどす黒く変色している。

「レイヴェル、あのダルマが後ろを向いた時にタッチしたら、このゲームは終わり。あれがこっちを向いた時に動いたら死ぬ。今から私はボタンを押してくる。あなたはここで座って見ていて」

掻い摘んで説明して、落ち着いてきたレイヴェルに待つように言ったけれど、彼女は私の案には従わなかった。

「……こんな非常事態に座って見ているなんて、フェニックス家の娘として、赤龍帝のマネージャーとして失格ですわ!私なら撃たれても死なないし、穴が空いても再生できます。フェニックスの涙で他の人の回復もできます。私1人で全てを解決するのを、あなたこそここで指を咥えてみていなさいな!」

そう言うと彼女はダルマの背中に向かって走りだした。

私も負けじと走りだす。

そうだ、レイヴェルは死なない。フェニックス家は最上級悪魔の1つで、その家にはある特殊な力がある。

治癒能力。それもただの治癒ではない。頭を切られても、心臓を抉られても、全身を消滅させられても、フェニックスは蘇る。

そうだ、フェニックスは死なないーー

 

ダルマがこっちを振り返る。私は一旦止まるがレイヴェルはそのまま走りだす。

「ダルマをタッチして!そうすれば全て終わる!」

「言われなくても!」

そう言ってタッチしようとする。ダルマはレイヴェルのお腹に穴を空ける。でもそんな事をしても無駄だ。レイヴェルは不死身なのだから!

 

しかし、バタン!とレイヴェルは仰向けに倒れる。

 

 

「レイヴェル、何をしているの!?しっかりして!」

ダルマが振り返ったのを見て背中のボタンを押し、レイヴェルの方に向かう。ダルマが何かを言っていたが、そんなもの耳にも入らない。

レイヴェルに駆け寄り、彼女を抱き抱える。

レイヴェルは、穴の空いたお腹をさすりながら言う。

「これは……予想外でしたわ……あれが……こんなにも強いなんて……許容値を超えた……ビーム、普通の……レベルじゃない……これは……神さまのちかーー」

 

レイヴェルの話が途中で切れた。彼女は力無く両手を降ろしピクリとも動かなくなった。

昔、レイヴェルと喧嘩している時に彼女が言っていた。

『我がフェニックス一族は再生の能力を持っているので、貴方の打撃のような弱々しい攻撃なんて効きませんわよ!私達の一族を倒したいのなら、魔王・神レベルの力を持ってくることですわね!』

神や魔王レベルの攻撃でしかフェニックスは倒せない。

では、レイヴェルを殺したこのダルマは、一体何?

 

「あなたは、何者?」

思わずダルマに問いてみる。返事なんて期待していなかったが、ダルマは口を開けた。

 

『お前はネズミや』

 

言葉の意味が分からず、ダルマの次の言葉を待つ。しかし、帰ってきたのは同じ言葉。

「違う、私は猫…いや、立派な悪魔!!」

『お前はネズミや!もうすぐくるでー、ネコくるでー。

はよ体育館行きなされ!』

 

訳が解らないが、この死の試練はまだ終わって無いらしい。私は、レイヴェルとギャー君の亡骸を隣同士に置き、お祈りしてから教室を出た。おぼつかない足取りで、体育館に向かうーー




これにてダルマ編、完全に終わり!
今のところ生き残っている主要キャラは
姫島朱乃
塔城小猫
死んでしまったのは
リアス・グレモリー
ギャスパー・ヴラディ
レイヴェル・フェニックス
神羅椿姫
くらい?
原作ファンの方々、キャラ好きの方々、本当にすいません!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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