神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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祝日投稿!
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第25話---数

さてと……食事も終わってしばらく経った事だし、次の競技待ちかしら。ちょっと身体をほぐしておこうかしら、なんて私、桐生藍華が柔軟体操に精を出していると、数分して上から声が聞こえてきた。

『皆さーん、次のプログラムに行きますよー♡』

 

サイコロの方を見ると、育子が衣装替えをしていた。今度はヘソ出しのこれまたピチピチのチアリーダー姿。両手に応援用のポンポンを持っている。ただ、顔は情けないイキ顔のままなのね……

その横で、くるみ割り人形がプログラムの紙をめくっていくのが見える。『おべんとう』が終わって次は……『ぼうたおし』!!ぼうたおしって、あの防衛学校とかで有名な、闘って相手の陣地にある棒を倒すアレ?これは悪魔陣のいるウチらが超有利なんじゃないの、なんて思ったら、かみまろがまた筆を持ち、プログラムを書き加えた!

 

次の競技は、『ぜつぼうたおし』

 

「ぜつ……ぼう……たおし?」

皆が一様に首を捻る中で、育子が言う。

『この競技は、実行委員会によるルール説明をします☆

フィールドオープン☆レツゴー☆』

 

すると、競技場の一角にそこそこ広いフィールドが現れ、そこに実行委員会のくるみ割り人形達が集まる。フィールドは横長の丸の端っこ2つに円があり、その中に1本、棒が立っている仕様だ。

それにしても……今まで唐突に始まってきたのにここに来てルール説明って、何かあるのかしらねぇ?

 

『ルールは簡単、先に相手チームの棒を地面に倒せば勝ち☆

V・I・C・T・O・R・Y、ビクトリー☆イェーーー☆

では、早速実際に闘ってもらいましょー☆』

くるみ割り人形達が端っこの2つの円の中に入る。そして、審判役らしいくるみ割り人形がフィールドの外で旗を上げた。それと同時に選手達が動き出す!

『殴る蹴る何でもありです☆まぁ、気をつけなきゃなんないのは攻守のバランスですよね☆

早く倒すには攻撃に人数を割かなきゃいけないけど、守りが少ないとすぐにやられちゃいますので注意☆でも、「ぜつぼうたおし」はそれだけじゃなーい☆何と言ってもこの競技の醍醐味は、倒した棒が……』

くるみ割り人形の内の1体が敵陣の棒に掴まり、棒が傾く!お、これいけるの!?倒れる!?倒れる!?倒れた!!

その時、

 

 

ゴッ!!

 

 

一瞬何が起きたのかわからなかった。一瞬目の前に広がったオレンジ色。そしてその後こっちに来た激しい熱風。あまりに強い風に押されて私は後ろ回りを決めてしまった。

『爆発する事でーす☆

つまり、1番頑張った人が絶対に死んじゃうルールなのです☆爆弾は衝撃に弱いので、取り扱い注意なーのだ☆そして、負けた学年は爆発で死ななくても実行委員が処分しますので、ご安心を☆』

 

倒した棒が爆弾!?そう聞いて私はフィールドを再び見る。爆煙らしい煙がだんだんと晴れてきたそのフィールドの上にあったのは、沢山のくるみ割り人形の残骸だった……

「こんなん誰もやらないでしょ!ゲームとして成立しないわ!」

そう口にしたのが聞こえたのか聞こえてないのか、育子がルール説明を続ける。

『制限時間は2分、これを過ぎても決着がつかない場合は、両チームの棒が爆発しますのでよろ☆

 

これが、Z・E・T・S・U・B・O・U・TAOSHI☆』

 

競技場中が静まり返る。その中で1年生の1人、真田ユキオが平坦な声で告げる。

「ダメだなこりゃ。俺ら絶対に死ぬぞ、コレ」

「え、ちょ、ちょっと待ってよ。まだ私達に勝機がないなんて事はないでしょう?1年生は強い人ばっかだしさ?」

ポジティブに考えたい私がそう言うと、彼はこう返してくる。

 

「だって俺らが1番心配してた団体戦ってやつだ。人数少ないチームは、物理的に勝てねぇよ」

 

この言葉に、1年生チームに重苦しい空気が流れる。1年生は1人しか『どきょうそう』で犠牲を出さなかったと言っても、元々数が少ない。現在の人数は14人。それに対して他の学年は、少ない6年生でも18人、それ以外の学年は20人を超えてる……純粋な人数差では、確かに勝てない……けど、他の皆は知らないけど、ウチには悪魔達が!

「なるほど、奴らもエグい事考えたね……」

と、ここで同じ箱だった坂東が肩を揺らしながら言う。

 

「ルール説明は絶望感を煽るため。このゲームは今までと違って、自分の力だけじゃ生き残れない……必要なのは……

 

犠牲だよ」

 

犠牲……そうか、倒した棒が爆発するって事は、倒した人が確実に死ぬって事じゃん。悪魔だってなんだって、あんな爆発受けたら死ぬじゃんよ。

「そんじゃ、1回戦。いきまーす」

 

と、ここでかみまろが緊張感のない声で告げ、そして手に持った何かをドンブリらしきものの中に投げる!……何あれ、ちっちゃ過ぎて見えないんだけど……

とりあえず、私達の順番来るな来るな来るな来るな来るなぁ!!

 

「……2年生と、3年生。フィールドへ」

 

……ふぅー!!よかったぁ。今回は順番を免れたみたい。私達の順番が来る前に、何か起こってなぁなぁになったりしないかしらね……




次回、Z・E・T・S・U・B・O・U・TAOSHI☆

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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