神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作：兵太郎
何も起こらない？そんな訳が無い……そう思っていると壁の一部が内側へと出っ張ってきました。その出っ張りはそのまま上に行き、なくなった壁部は窓になりました。
外は白い砂と壁が囲むフィールド。そしてその中に…
「外だ！外で何かやってます！」
外にいるのは、しょんべん小僧。それも今度は2体。彼ら（？）は例の『KEEP OUT』ラインの上で何かを引っ張り合っています。
……よく見ると、線を挟んだ反対側にも人がいるらしき姿が確認できます。他の建物から出てきたのかしら？
不意に彼らが真ん中のしょんべん小僧達の元へと走り出します。と、それより少し早く、KEEP OUT線のこちら側から6名が視界に入ってきて、真ん中のしょんべん小僧にいち早くたどり着きました。
こちら側から出てきた7人の……おそらく高校生の方々は、真ん中のしょんべん小僧を引っ張って、こっちに引き寄せています。あれは、綱引き？
なるほど……。あの『KEEP OUT』の線は綱引きの勝敗決定の為に付けられていたんですね。
いち早くついた7人はそのままこちら側のしょんべん小僧を引っ張り、反対側のしょんべん小僧が線を越えるまで精一杯引っ張ります。本当の綱引きならばここで勝敗がつくはずですが……
と、今まで引っ張り合いをしていたしょんべん小僧達が綱を取り外し、向こうにいる、今まさに中央へと走ってきた7人の周りに立ちました。それと同時に、建物の上からポッと音がしたかと思うと、更に5体、合計7体で負けたチームの周りを囲みます。
次の瞬間、しょんべん小僧の股間から何かが飛び出しました！
よく見るとそれは巨大な針で、負けたチームの人達の心臓部に深々と突き刺さり、その身体を貫通しています。これは、惨い……
「これはもしかして…部屋の数毎に戦うリーグ戦…？それともトナメか…？」」
匙は窓に齧り付くように、外の様子を見張っています。
と、しょんべん小僧が何かを言うと、生き残った7人はこちら側に向かって歩いてきて、そして視界から消えました。隣の建物に入ったのかしら？
この状況、そしてKEEP OUT線の位置から察するに、これはリーグ戦やバトルロワイヤルではなくチーム戦？この建物に入る前に、線を挟んでこちら側にとあちら側に4つずつ建物があるのは把握している。つまり、こちら側チームとあちら側チームの総力戦、つまりは殺し合い？
「次の試練もまた、大変なものになりそうですわね……主に精神的な意味で」
姫島さんが言う通り。私達なら綱引きくらい余裕で勝てる。7人全員で行かなくても、2、3人で引っ張っても普通の人達に勝ってしまいます。そもそも、相手チームが綱に触ることなく勝負が決してしまうでしょう。しかし、そのせいで相手チームの7人は死んでしまう。自分達が生き残る為には、他の人達を殺すしかない……なんて残酷な試練なのでしょう。
「恐らくですが、この試練は全員で挑まなくても、綱引きに勝てればいいようですね。さっき1人遅れて来ていましたが、特に何のペナルティも無いようでした。後は試練の始まるタイミングと、私達の番になるまでのローテーションの仕方などを考えたい所ですが……ここに着いてから1組目の綱引きが始まるまでの時間は約45分。その間隔で綱引きがあると計算すると『オーイェス！！』！？」
再び建物内のしょんべん小僧が叫び始めました。
今度は私達の部屋のドアが開いた？次は私達の番ですか！
「サジ、プロモーションを許可します！サジと木場君は騎士のスピードで綱に近づき、サジはそこで戦車に再びプロモーションしてください！そうすれば2人だけでも勝てます！」
私達のチームは結局、私達他の5人が中央に着く前に、サジと木場君の2人だけで相手チームに勝ちました。相手チームの7人は、全員胸を貫かれて亡くなりました。
『OK、戻れ。4対2ベイベー。Wait for the NEXT！』
私はそれをききながら、相手チームを殺したのは、サジや木場君の手を汚させたのは自分なんだと、心に言い聞かせていました……
今回はソーナ会長の回です。彼女の心の声(ナレーション)を書く時、語尾に☆とかつけた方がいいのかな…と一瞬考えて、すぐにやめました
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします！