神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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今日はこっちを投下!


第12話---低レベル

「……はぁっ、はぁっ、今度こそ死ぬかと思った。助かった……」

私、桐生藍華はそう言うと、床に倒れこんだ。周りの人は皆悪魔だけど、私はあくまでも人間だ。肉体の疲労は、彼ら彼女らの倍以上はある。

さっきまで私を殺そうとしてきたこけしは、匙君と木場君に変わった。悪魔の変身能力かと思ったけどそうでは無く、別の奴から無理やりこけしに変えられたらしい。

木場君にどうやってこけしに変えられたのかを聞くと、彼はそれまでのいきさつを話し始めた。

 

「僕達は2人で飲み物を買いに1階の自販機に行ってたんですよ。そのついでに匙君を外に待たせてトイレに行って、外に出たら匙君はこけしに変えられていました」

匙君は頷く。彼曰く、何者かに背後を取られたと思ったら、糸みたいなものを身体に絡められ、そこからは記憶にないらしい。

「匙君がこけしになったのを見て、僕は静かに騎士の速さでそこから離れました……が、匙君をこけしにした、大きなこけしの親玉は、僕を見ていたようです。そのこけしーー顔が異様に厳くて、腹には『えんがちょ』と書いてありました。それから逃げている途中、2人の男子に会いました」

 

木場君はその男子らに、厳つい顔のこけしが来るから逃げろ、と言ったらしい。そこで2人の男子はこう言ったそうだ。

 

「『手を繋いでいれば大丈夫だから』って……それがどういう事か聞こうとした時に、その2人の後ろから『えんがちょ』が現れました。その時僕は、『えんがちょ』からこう聞かれました。『お前……ひとりか?ともだち……いないか?』と。僕がその意味を考える間もなく『えんがちょ』は迫ってきて、僕はこけしになりました」

 

それを聞いて、私は単純に考えてしまう。

「えっ、なんでそいつらが知ってたかは知らんけど…じゃあ手を繋いでいれば、そのボス的なこけしからは何もされないの?」

「さぁ、そこまでは……っ!一か八か、確かめる機会が来たようです。みんなで手を繋ぎましょう!」

私の後ろを見て木場君はそう言う。会長さんに腕を引っ張って起こしてもらって、私達7人は手を繋いで輪を作った。

私が興味本意で後ろを向くと……ホントにデカイのがいる!さっきの木場君や匙君のこけしの倍位の大きさのこけしがいる!顔怖っ!

「動くな皆!離れちゃダメだ!!」

匙君にそう言われ、前を向いて目を閉じ、必死にボスこけしが通り過ぎてくれることを願う。

 

ボスこけしはジロリ、と大きな目でこちらを凝視する。一人一人の顔、身体、そして手を見て、7人全員が繋がっているのを確認する。そして……

 

『7人……ちっ!7人揃ってて仲良しとかフザけんなしマジで……ありえんし……マジキモいし……マジ死ねし……』

……ボスこけしは、なんか低レベルな悪口言いながらどっか行った。

 

「--はぁ〜〜〜。ホントに手を繋いだだけで大丈夫だったんだ。超キンチョーしたわ〜」

私達はホッと一息つく。これでこけしにされる事は無くなったと言ってもいい。7人一緒に行動すれば、こけしにされる事はまず無いみたい。

「僕達は試練が始まる前から外に出てたので、試練の内容を知らないんですけど、誰か知っている人いますか?」

 

その言葉に会長が答える。

「『カギで扉開けたならおわり』……そう書かれていました」

「カギ……俺が持ってるこれか!」

 

匙君は手に持ってるカギを高々と持ち上げる。そういえば私が病室のベッドから起きたあと、こけしに見つかって縄跳びに参加した時、一緒に跳んでた1人が「これが終わればカギが手に入る……!」って言ってたけど、そのカギの事かー。さっきは助けてもらいたくて必死に言葉を繋いだけど、彼の言うことは本当だったのね。

 

「そのカギに書いている7の文字……それは試練をクリアする為に必要な人数なのでしょうね。ちょうどここには7人揃っています。後は扉の場所ですが……」

 

皆が思考する。と、そこで木場くんがパチンと指を鳴らす。こんな時にも様になっているのがズルい。

 

「扉……そういえば不思議な扉を見ました!1階の自販機の『上』で!」

「『上』?」

 

何かよくわからないけど、扉も見つけてるらしい。さすが木場くん、有能。

「では、すぐにそこに向かいましょう。ここは3階の端っこ、階段の近くです。木場君、道案内を。それと……」

「わかっています、会長!えっと、桐生さん!俺の背中に乗ってくれ!」

何か良くわからないけど、私は匙君におんぶされる形で乗った。

「サジ、プロモーションを許可します!」

「はい、会長!プロモーション《騎士》!」

 

そこから先、私の意識が少し飛んだ。気がつくと私は頰を軽く叩いて起こされ、起きた真上には扉があった。

「すまねぇ、桐生さん。俺が何も考えてなかったばっかりに……」

「うん?……何か知らないけど、別に大丈夫。それよりこの扉を開ければクリアなの?」

「それは、開けてみてからです。木場君、塔城さんを肩車してください。塔城さんはカギで扉を開けて」

 

会長に指示された通り、木場君が小猫ちゃんを肩車してカギを開けた。すると、扉はギギギッと音を立てて、自動で横に開いた。そして、中からヒモが垂れてくる。

「これで正解だったようです。皆さん、これに掴まって、登ってみましょう」

とりあえず言われた通りにヒモを掴んで……って、えええ!

「きゃああああああああ!」

私が掴んだ瞬間、ヒモが異様な勢いで引っ張られる!ヤバいヤバい、体力のない私じゃ振り落とされちゃうって!!

 

「ヒモが引っ張られている!皆さん、早く掴まって!」

会長がそう言いながらロープをよじ登り、私の真下へとやってくる。そして、私の足にササッとロープを結んだ。

 

「結び目を浮かせればすぐ解けるようになっていますが、それ以外では解けません。身体は私がフォローしますので安心してください」

会長の御心遣いが身に染みる。さすがは我らが駒王学園のリーダーである。

こうして、私達7人は引っ張られているヒモに掴まって、病院を脱出した。

 

桐生藍華(きりゅう あいか)支取蒼那(しとり そうな)塔城小猫(とうじょう こねこ)由良翼紗(ゆら つばさ)姫島朱乃(ひめじま あけの)木場祐斗(きば ゆうと)匙元士郎(さじ げんしろう)……生きる』

 

登っていく先に光が見える。外に出られるの!?




〜〜〜祝・UA10,000突破〜〜〜
読んでくれている皆さん、お気に入りしてくれている皆さん、感想をくれた皆さん、本当にありがとうございます!これからも頑張って書いていきますので、今後も「ハイスクールD×D×神さまの言うとおり」をよろしくお願いします!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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