神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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場面は変わって……


第4話--ー蜘蛛

これまでの明石。

 

あっちこっちハッチをクリアした後、明石は天馬ちゃんが別の扉に入っていくのを見て、同じくその部屋に入っていく。その時彼は、助けられる人を助けると決意したのだった。

次の部屋の試練はジグソードール。その部屋をクリアした明石は、天邪鬼迷宮の真のルールを知るのである。

(この迷宮では、全てのルールが逆なんだ!さっきの部屋ではルールをそのままクリアしたから、他の人は皆死んでしまった。あのルールも本当は逆!つまり、制限時間内に『脱出せよ』じゃなくて、『時間切れまで脱出するな』ってことだったんだ!

「そして今回のジグソードール……パズルを完成させての逆は、パズルを完成させるな……さっき死んだ奴が言ってたな、パズルを嵌める箇所すらないドールがあるって!」

 

明石はそのドールを持つと、上に抱きかかえる!

「これが本物の天馬ちゃんだ!」

明石は叫ぶ。と同時に、天馬ちゃんの人形に違和感を覚える。

(あれ……?でもこの人形……あれが付いて……)

 

『「ジグソードール」の部屋……クリア。

 

明石靖人、天馬遊、生きる』

そして明石は、天馬ちゃんが実は男の娘だということを知るのだった!!

 

そして現在。

 

「じゃあ!」「あ」

明石はお礼を言う天馬ちゃん(くん?)に背中を向け、逃げる様にその場を去る!天馬ちゃんはそれを見て明石を追う!

「……ついてきたら今度こそ死ぬよ!……天馬くん!」「『ちゃん』でいいですってば!別に私、死んでも構いません!

 

私がついていきたいからついていくんです!私が死んでも、明石さんのせいじゃありませんから!!」

 

そんな風に半分追いかけっこの様に走り回りながら青山を探す明石。その視界に、倒れている男が見えた。

「あ……あれ?紫村!?」

明石は紫村を介抱し、なぜ倒れているのかと声をかける。紫村が言うには、迷わない様に指を噛んで血で目印を書くうちに、その血を見すぎて気分が悪くなったそうな。

そんな事を聞いていると、急に近くの扉が開き、中から3人の男が文字通り飛び出てきた。3人とも血まみれで、所々腫れている。

「せっかく天邪鬼のシステムがわかったのに……俺らがクリアしたのに……返せよ!俺らのカギだぞ……う、嘘です嘘です!殺さないでぇ……」

男達は、扉の中にいるらしい参加者と揉めている様だ。明石はそこで見た。1人の男が……大量のカギを持った男が、扉から出てくるのを。

 

その男の名は、青山仙一。

 

青山は男達にはもはや興味が無いと言うかの様に彼らから背を向け、また次の扉に入っていく。それを見て明石は立ち上がった。

「紫村を頼む、天馬ちゃん!青山は俺の親友なんだ……今はあんなヒドい奴だけど……本当はいい奴なんだ……

俺は青山を元に戻す為に、ここまで来たんだ!だから1人で行かせてくれ!」

それだけ言うと明石はその扉に向かって走った。背に「絶対生きて戻ってきて」と言う言葉を聞きながら。

 

部屋の中に入るとそこにあったのは、数本のロープ。そして青山の他にもう1人、知らない男が楽そうに座っていた。

まだ試練は始まっていない様だと思った明石は、青山に話しかける。すると、

 

青山の拳が、明石の顔面を襲った。

もろに喰らった明石は受け身も取れずに倒れる。青山は更に明石の左手を踏みつけ、手を開かせた。そこにあるのは、『あっちこっちハッチ』と『ジグソードール』をクリアした時にもらったカギ。青山はそれを奪い取る。

「何でだよ、青山……わかるだろ?

 

俺の事忘れたのかよ!?青山ぁがっ!?」

明石の顔に、更に青山の蹴りが入る。長年サッカーをして鍛えた青山の右脚の威力に、明石はもう1人の男の方まで吹き飛ばされる。

それでも諦めずに、青山を説得しようと立ち上がろうとする明石に、声が掛かった。

 

「おーい、あのカギ、どこで手に入れたの?」

明石は、一瞬この男が何を言っているのかわからなかった。

「俺、真田ユキオ。カギの取り方教えてくれよ。他の部屋で取ってきたのか?俺、この部屋が初めてなんだ。お前の方が、話通じそうだし」

 

何だこの人、と明石は思った。人が蹴飛ばされて吹き飛ばされているこの状況を全て無視できるこの男のマイペースさにもはや頭がついていけてない。

と思っていると、男……真田は更なる暴挙に出た。

 

「あ、そーだ。お前いっぱい持ってんだから1個くれよ。いいだろ1個くらい?頼んます」

そう言って近づく真田の顔に、青山の拳が飛ぶ!

 

 

「何だよケチ臭ぇ」

が、真田はそれを避けた!?

次々に飛んでくる青山の驚異的な拳や脚を、真田はこれまた驚異的な運動能力で全て避ける!

明石はその姿に一瞬気を引かれたが、今の状況が危険だと思い2人を止めに入る!

「や、やめろ青山!その人は関係無い!キミももうやめとけ!カギの取り方教えるから!」

「え?マジ?」

真田の動きが止まる。止まってしまう。

その顔面に、青山のグーが衝突する!

しかし真田は明石と違いきちんと受け身を取ると、血の混じった唾を吐いた後にのんびりとした口調で告げる。

「……あー、でも必要無いかも。

 

今ので1個、(パク)ったし」

真田の左手には、カギが1つ握られていた。

 

それを見た青山は再び真田に突撃する……その時。

 

 

部屋の床の底が抜けた。

 

エレベーターに乗った時の様に一瞬の無重力を感じた明石は慌ててロープにつかまる。どうやらその選択肢は正解だった様だ。落ちた床の下を見ると、そこには一面の針山が広がっていた。

「うわぁ、何だこれ!?」「いやぁ!助けて!」「あ、握力が……あ、ああぁぁぁ!?」

 

周りを見ると、明石達3人以外にも多くの人がいる。そのうちの何人かが上を向いて叫んでいる。それを見て明石も上を向いた。

 

そこにいたのは、巨大な蜘蛛。ただし背中には、大きな仏様の顔がくっついている。

その下には、『あっちこっちハッチ』や『ジグソードール』と同じく、成功条件や制限時間が書かれたプレートがあった。

 

 

『「釈迦蜘蛛の部屋」制限時間内に蜘蛛の糸を昇れ!』

 

 

 

 




明石君、『釈迦蜘蛛の部屋』開始!元の青山を取り戻す事が出来るのか!?

青山って誰!?って思ってる人は原作を確認だ(今更)!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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