神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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「言ったろ、『2』は俺のもんだぁッ!」
既に出現していた『2』のゴールプレート。その前に待機していた2人は案山子が2時を指した瞬間、ゴールへと飛びかかった。1人はゴールプレートを踏み、もう1人は勢いよくはるか下に見える東京の街へと落ちていった。

残りプレートはあと8個。生き残りは15人!


第71話ーーー分断

--「あっ!『T・H・R・E・E』!『3』の綴りだ!」

涙ちゃんが弾んだ声で言う。ただ、もう3時になってから2分以上経っている。今『THREE』を踏んだところで3時には間に合わない。俺達はそこを記憶しておこう、という事にして『3』のゴールを出現させないまま、その場を離れた。

 

そして……

「あっ……!?ちょっと待ってストップ!

この先……足場が無い!!」

千夏ちゃんが告げる。確かに、進行上に足場のプレートが1つもない。俺は、そこが最初の『1』のプレート争奪戦で踏み荒らされた場所だと思い出した。

「……無理に進むのは危険だな。ここに沿って避けて、安全なルートへまわり込もう」

東浜の提案に俺達は従う。今までの時間の中で、東浜の頭脳と、それによる作戦に対する信用は出来ていた。東浜の指示通りに動いていれば、皆生き残れると思っていた。

 

「明石、兵藤。お前ら、そっちに回れ。あとの4人は一旦そこで待機だ」

「おう」「了解」

俺と明石は東浜の指示通り、少し先に進む。すると、プレートを10個ほど進んだところで「ストップ、そこでいい」と再び指示があった。そこで俺は後ろを振り向くと、東浜もこっちに近づいてきていた。

 

「え……ちょっと待ってよ……」

千夏ちゃんが、少し震えたような声を出す。

 

「ダメじゃんこれ……どーすんの、この足場……そっちとこっちで、分断されてっし」

千夏ちゃんの言葉に、俺は自分達3人が進んできた足場を見る。俺達が進んできた道、その周りにプレートが無かった。俺達と朱乃さん達の間に、プレート10個……10mくらいの何も無い空間が出来ていた!

「問題ねぇよ。計算通りだ」

東浜は冷静に……あくまでも冷静に告げる。

「ハメたんだよ。『バイバイ7th』作戦に乗ったのは演技(ポーズ)。お前らは、俺の仕込んだ策を完成させるための駒だ。お疲れ」

「な……どういうことだ東浜ぁ!?」

俺は東浜に向かって叫ぶ。それに対し東浜は淡々と話す。

「バカでもわかるように教えてやるよ。

まず1時……俺が『ONE』を踏んでゴールを出現させたあの時、実際は既に他のスペルも見つけていた。あっちにある『ELEVEN』と『TWELVE』だ。ただ、俺達が最初にいた端っこ……あそこで出現させてもゴールまで距離がある。だから2時…『TWO』をお前らが探していた時、俺は『11』と『12』のプレートのある辺りの周りを、5本の離れた一本道だけ残し全て消し、他の奴に踏まれない様に細工した」

「は?何で他の奴に踏まれないって言える?」

「根拠は2つ。1つは、仮にここへ誰か来たとして、帰ってこれるかわかんねぇ一本道に、誰が侵入する?『11』と『12』のスペルは目視できないし、たとえ行ったとしても行き止まりだったら死。そんなリスクを犯す奴は、まずいない。そしてもう1つ…ゴールが中央に出現するというルールがあるのに、わざわざ距離の遠いフィールドの外側で探す奴はいない」

……なるほど、と思ってしまう。確かに、わざわざゴールの反対方向に行ってプレートを探そうとは思えないし、そこへの行き道が一本道ならなおさらだ。探すならゴールの出現位置近く……それこそ自分が出してそのままゴールできる距離をうろつくに決まってる。

「そして……明石。俺はお前の作戦を利用した。その1つが、6人の扇型布陣。あれは単にスペルを探すためのものじゃなく、6人で進むことにより一気に数mの幅の足場を消すという目的があった。

……とはいえ、その段階ではまだ、策は確立してなかった」

そこで東浜は一息つく。皆が睨んでいるのも気にも止めない様に、東浜は続ける。

「状況が一変したのは……明石。お前がそこの仲間とか言うバカを助けたあの瞬間。おれの『生』は確信に変わった」

その一言に明石が動揺する。まさか自分がその裏切りに関わっていたとは思っていなかったんだろう。

「それまで時計回りに進んでいた俺達の布陣が、お前とビリヤード野郎の暴走によって中断され、他のプレイヤーは反対側に逃げ、ウチのチームは『10』のプレート付近に集まった。そこで俺はお前らと合流しつつ中央に進み、足場を削った。ちょうど、その前まで進んでいた道を使い、その内側と外側を分ける様にして。そして、『もう一度作戦をやり直そう』としたお前を利用して、『11』と『12』のゴールに続く足場は残しつつ、あらかじめ消滅していたエリアをわざと経由し、元の場所まで誘導したんだ」

元の場所に戻った……って事はつまり!

「今の移動で、内側と外側が完全に分断されたって事か……?」

そう言うか言わないかのタイミングで、他の生き残りプレイヤーも、外に出れない事に気づいたらしい。いろんなところで悲鳴をあげているのが聞こえる。

「安心しろ、兵藤、明石。俺達3人はほぼ100%助かる。エリアを2つに分断した今、俺達の邪魔をする者は外にはいない。俺は『11』時、明石は『12』時、空を飛べる兵藤は、さっき見つけた『3』時で、それぞれゴールすれば終わりだ」

「フザけんなお前……天馬ちゃんと千夏ちゃん……涙ちゃんとポニーテールの人はどうなる!?ていうか何で……こんな事しなくても『バイバイ明石』作戦でお前は生き残れたのに!」

「明石。俺はお前という人間をグッチャグチャにしたい。『仲間の為に死ぬ』とほざくお前の自意識が、どれほど低レベルで幼稚かということを、完膚なきまでに叩き込みたいんだ。こうやってバカみたく絶望教えてやったのも、その為だ」

「佑……てめぇ!」

 

「そんな怖い顔すんなよ、明石」

俺は明石に言ってやる。

「俺達は内側を探すから、お前は外でスペルを見つけてくれ」

それだけ言うと、俺は……飛ぶ!

 

10mはある間を、翼で飛んで向こう岸までたどり着いた。

「な、イッセー!?」

驚く明石に、グッとハンズアップをする。

「俺達がゴールできるプレートはあと、『3』・『4』・『5』・『6』・『8』・『9』の6個。俺達は5人いるから、全員生き残れる!全員生き残る為にプレート出現、頼んだ!」

そう言うと内側にいる他の4人と合流する。

「イッセー君ならそうすると思ってましたわ♪」

朱乃さんの言葉が、信用されているようで嬉しかった。

 





この状況で東浜君突然の裏切り!内側に残った5人、そして明石と東浜は、全員生き残る事ができるのか!?

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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