神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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俺は佑に腕を掴まれ、胸ぐらを掴む形に移行しながら上に持ち上げられた。正直、佑に助けられたのと同じくらい、佑に俺を持ち上げるほどの筋肉がある事が意外だった。
「さ……サンキュ……何で……助けて「さっきお前言ってただろ?」え?」
佑は俺を足場に降ろしてはくれず、むしろより高々と俺を持ち上げた。
「『生き残る作戦を思いついた』って。それが知りたいだけだ、教えろ。言わなきゃ落とす。

その作戦がクソでも落とす」
……冷や汗がドッと溢れてきた。佑は冗談を言う人間じゃない……それはこれまでの短時間の間で良くわかってる。俺の思いついた作戦がクソなら、本当に俺は落とされる!
「……おい、お前には後で聞きたい事があるんだ。こっそり離れてくんじゃねぇ」
そう言うと、佑の背後で茶髪の男の肩がビクッ、と揺れた。



第69話ーーー7th

「えっと……じゃあ仮に……ここにいる7人でやるとするぞ……

 

まず第一に7人で、何でもいいから数字のアルファベットを探す。見つけたのがとりあえず『8』としよう。その次に、ジャンケンで1人、生き残る奴を決める。そいつは周りにバレないように、その『8』のゴールプレートを狙える位置につき、待機。残ったメンバーは『8時』になった瞬間、ゴールを出現させてやるんだ。それで、その1人はほぼ確実にゴールできる。めちゃくちゃシンプルな作戦だろ?」

明石の作戦はなかなか理に適ってる。確かにそれなら、確実性が高い!

ただ、明石の話はそこで終わらなかった。

「でももし……思うように作戦が運んだとして……7番目。最後の1人だけ、生かす奴がいなくなるんだ。つまりこの作戦は……

 

 

7番目の奴が十中八九死ぬ。『バイバイ7th(セブンス)作戦』……!?」

ここで東浜が、明石の服を握る力を強めた!?

「何だ、そのクソみたいな作戦は」

 

東浜はそれだけ言うと、明石の服を離した。

 

明石を近くのプレートに投げる形で。

 

「最高じゃねーか」「へ?」

何とか右足でプレートに着地し、バランスを取る明石に、東浜は言う。

「その策、乗ったぜ」

東浜は堂々と宣言する。その言葉に、作戦の立案車であるはずの明石が、しかし反対する。

「ちょ、ちょっと待て!ダメだ今のは……言えって言われたから言っただけで、こんなの作戦と言える代物じゃないんだ……!!皆で他の方法を考えた方がいい!そんな悪魔じみた作戦じゃなくて、誰も死なない様な、もっと良いものを「私は乗る」!?」

声をあげたのは、俺の隣にしっかりと立った、千夏ちゃんだった。

「鳥のせいで救助は期待できないし……こうしてる間にもゲームは進んで足場は減ってるし……始めるなら早い方がいい。

生きる為なら、悪魔にでもなるし」

「……クソぉっ……やるよ!!」「やるしかねぇんだろぉ!?」

チャラ男2人も千夏ちゃんに追随する。更に、

「わかりました……覚悟します、私!たとえ最後の1人になっても、この作戦をやり遂げます!」

天馬ちゃんも賛成を表明した。そして、

「……俺もやる!1人でやるよりも生き残れる可能性が高いし!」

俺も作戦に加わった。

明石は俺達を見て逡巡していたが、少しして「わかった、乗るよ」と口に出した。

 

「……で、それはいいとして。お前だよ、お前」

……ですよねー。

東浜はこちらを向き、俺を睨んだ。

「空を飛べる人間がいる訳がねぇ。お前の正体は何だ……と言っても、選択肢は限られているが……かみまろの手下かどうか、それを聞きたい」

東浜はそうこちらに尋ねる。その眼光は、嘘をすべて見透かされそうな鋭いものだった。

「……明石。あの事を話すぞ」

 

俺は明石に一応の確認を取ると、話し始めた。

……自分がカミーズJr.だって事、そして『戯』の事、今の俺はその能力で空を飛べる事、明石も同じカミーズJr.だと言う事を。

……いや、だって『俺は悪魔だ……』なんて言ったって誰も信用してくれないし、それならカミーズJr.の話の方がまだ現実的だし……って、どっちも現実なんだけど!……まぁ、嘘は半分くらいしかついてないし、その嘘は明石もホントの事だと思ってるからバレないだろう……バレないよな!?

「……カミーズJr.……ねぇ」

東浜は、どこか疑問あり気ではあったが、信じてくれている様だ。俺は無駄にかいた冷や汗を拭く。

こうして、俺と明石の正体が判明した所で、俺達は『バイバイ7th作戦』を開始した!

最初の数字のスペルは、もうチャラ男2人が見つけてくれている。『SEVEN』の綴りが俺達の前にあった!

「ジャンケン……ポン!!」

 

『バイバイ7th作戦』、最初の生還者は……

 

「……お、やった、よし!!よぉおし!!」

チャラ男のうちの1人、白川馬皿!

 

「頼むぜ、ちゃんとゴール出現させてくれよ!」「あぁ、任せろ!」

そして、案山子の手の針が『7時』を指した時、1番近くにいたもう1人のチャラ男、宇治原 才が『SEVEN』を踏み、ゴールプレートが出現した!

「待ってましたぁ!!」

白川は他のどの神の子よりも早く『7』のプレートに辿り着くと、そのゴールプレートに足をつけた!

そして、白川馬皿は虹色の光と共に消えていった。

 

「よし、この作戦、いけるぞ!」

俺達は、この作戦の成功を確信した!これなら、最後の1人以外はほぼ確実に生き残れる!

 




イッセー、カミーズJr.バレ……まぁ、人外ってバレないだけまだマシだと思いますよ、うん……
2人目のクリア者が出ました!これで残りの席はあと10個!生き残るのは、落ちて消えゆくのは誰か!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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