神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
「さ……サンキュ……何で……助けて「さっきお前言ってただろ?」え?」
佑は俺を足場に降ろしてはくれず、むしろより高々と俺を持ち上げた。
「『生き残る作戦を思いついた』って。それが知りたいだけだ、教えろ。言わなきゃ落とす。
その作戦がクソでも落とす」
……冷や汗がドッと溢れてきた。佑は冗談を言う人間じゃない……それはこれまでの短時間の間で良くわかってる。俺の思いついた作戦がクソなら、本当に俺は落とされる!
「……おい、お前には後で聞きたい事があるんだ。こっそり離れてくんじゃねぇ」
そう言うと、佑の背後で茶髪の男の肩がビクッ、と揺れた。
「えっと……じゃあ仮に……ここにいる7人でやるとするぞ……
まず第一に7人で、何でもいいから数字のアルファベットを探す。見つけたのがとりあえず『8』としよう。その次に、ジャンケンで1人、生き残る奴を決める。そいつは周りにバレないように、その『8』のゴールプレートを狙える位置につき、待機。残ったメンバーは『8時』になった瞬間、ゴールを出現させてやるんだ。それで、その1人はほぼ確実にゴールできる。めちゃくちゃシンプルな作戦だろ?」
明石の作戦はなかなか理に適ってる。確かにそれなら、確実性が高い!
ただ、明石の話はそこで終わらなかった。
「でももし……思うように作戦が運んだとして……7番目。最後の1人だけ、生かす奴がいなくなるんだ。つまりこの作戦は……
7番目の奴が十中八九死ぬ。『バイバイ
ここで東浜が、明石の服を握る力を強めた!?
「何だ、そのクソみたいな作戦は」
東浜はそれだけ言うと、明石の服を離した。
明石を近くのプレートに投げる形で。
「最高じゃねーか」「へ?」
何とか右足でプレートに着地し、バランスを取る明石に、東浜は言う。
「その策、乗ったぜ」
東浜は堂々と宣言する。その言葉に、作戦の立案車であるはずの明石が、しかし反対する。
「ちょ、ちょっと待て!ダメだ今のは……言えって言われたから言っただけで、こんなの作戦と言える代物じゃないんだ……!!皆で他の方法を考えた方がいい!そんな悪魔じみた作戦じゃなくて、誰も死なない様な、もっと良いものを「私は乗る」!?」
声をあげたのは、俺の隣にしっかりと立った、千夏ちゃんだった。
「鳥のせいで救助は期待できないし……こうしてる間にもゲームは進んで足場は減ってるし……始めるなら早い方がいい。
生きる為なら、悪魔にでもなるし」
「……クソぉっ……やるよ!!」「やるしかねぇんだろぉ!?」
チャラ男2人も千夏ちゃんに追随する。更に、
「わかりました……覚悟します、私!たとえ最後の1人になっても、この作戦をやり遂げます!」
天馬ちゃんも賛成を表明した。そして、
「……俺もやる!1人でやるよりも生き残れる可能性が高いし!」
俺も作戦に加わった。
明石は俺達を見て逡巡していたが、少しして「わかった、乗るよ」と口に出した。
「……で、それはいいとして。お前だよ、お前」
……ですよねー。
東浜はこちらを向き、俺を睨んだ。
「空を飛べる人間がいる訳がねぇ。お前の正体は何だ……と言っても、選択肢は限られているが……かみまろの手下かどうか、それを聞きたい」
東浜はそうこちらに尋ねる。その眼光は、嘘をすべて見透かされそうな鋭いものだった。
「……明石。あの事を話すぞ」
俺は明石に一応の確認を取ると、話し始めた。
……自分がカミーズJr.だって事、そして『戯』の事、今の俺はその能力で空を飛べる事、明石も同じカミーズJr.だと言う事を。
……いや、だって『俺は悪魔だ……』なんて言ったって誰も信用してくれないし、それならカミーズJr.の話の方がまだ現実的だし……って、どっちも現実なんだけど!……まぁ、嘘は半分くらいしかついてないし、その嘘は明石もホントの事だと思ってるからバレないだろう……バレないよな!?
「……カミーズJr.……ねぇ」
東浜は、どこか疑問あり気ではあったが、信じてくれている様だ。俺は無駄にかいた冷や汗を拭く。
こうして、俺と明石の正体が判明した所で、俺達は『バイバイ7th作戦』を開始した!
最初の数字のスペルは、もうチャラ男2人が見つけてくれている。『SEVEN』の綴りが俺達の前にあった!
「ジャンケン……ポン!!」
『バイバイ7th作戦』、最初の生還者は……
「……お、やった、よし!!よぉおし!!」
チャラ男のうちの1人、白川馬皿!
「頼むぜ、ちゃんとゴール出現させてくれよ!」「あぁ、任せろ!」
そして、案山子の手の針が『7時』を指した時、1番近くにいたもう1人のチャラ男、宇治原 才が『SEVEN』を踏み、ゴールプレートが出現した!
「待ってましたぁ!!」
白川は他のどの神の子よりも早く『7』のプレートに辿り着くと、そのゴールプレートに足をつけた!
そして、白川馬皿は虹色の光と共に消えていった。
「よし、この作戦、いけるぞ!」
俺達は、この作戦の成功を確信した!これなら、最後の1人以外はほぼ確実に生き残れる!
イッセー、カミーズJr.バレ……まぁ、人外ってバレないだけまだマシだと思いますよ、うん……
2人目のクリア者が出ました!これで残りの席はあと10個!生き残るのは、落ちて消えゆくのは誰か!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!