ルパン四世と学園モノ!   作:早乙女 涼

1 / 13
初の投稿となります、早乙女涼と申します。
ルパン三世、放送されていますね。今回は三世ならぬ『ルパン四世』を書いてみようと思い立ちました。
ネットで調べてみるもルパン小僧と呼ばれる作品もあったため、設定もかなりあやふやになってしまうとは思いますが、どうかご容赦をいただければと思います。
遅筆かつ拙い文ではございますが、読んでいただける皆様にとって楽しい作品にしていきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。


峰紬・ルパン四世

 ――イタリアが愛の国であるならば、全ての愛は俺の手中(しゅちゅう)にある。

 お父様がそう言うのだったら、(ボク)はこう言おう。

 日本が慈愛の国であるならば、全ての愛は私の手中にある、と。

 

 

 

「――おい、ちょいと話が違うじゃねーか」

 場所はイタリア某所。とある街にある宝石店向かいに聳え立つ高級ホテルの一室で、相棒の次元玄哉(クロヤ)は唸るようにそう訊ねる。

「おっかしいなぁ……どーしてとっつぁんがいるんだろ?」

 ボク――峰(ツムギ)は喘ぐように呟いて答えた。

 

 双眼鏡を携えた二人組。黒髪で長身といった次元は黒いスーツにソフト帽を被り、白い髪に、パッチリとした黒い瞳を備える峰は、赤い上着のスーツに白いスラックス、上着の中は紺色のシャツに黄色いネクタイという姿で、その向こうの様子を眺めている。

 そこに居るのは、ベージュ色のトレンチコートにこげ茶色のスーツに白ワイシャツを着込み、臙脂色のネクタイを締めた、コートと同色のソフト帽を被った大人が、レストラン始め様々な店で聞き込みをしていた。

 次元と峰はそれに畏怖の念を抱く。彼にとっては自分たちの行動などお見通しなのだろう。二人のうち峰は特に内心で舌を巻く。

 彼の名前は銭形幸一。ICPOに所属する銭形は、峰の父の古き好敵手(ライバル)であり、それでいてこの二人の()指導役(センセイ)でもあった。

 

「とっつぁんが居るんだったらまあ……引き上げるっきゃねーか」

「いンやあ~? そうでもないさー。とっつぁんが相手だったらやり様はい~くらでもあるのだよん」

 半ば諦めムードの相棒に、ボクは希望を見せておく。自分でも自覚できるほどボクの顔はお母様似で、美少女顔負けの美貌なんだ。

 そんな顔で片目をパチリとウィンクすると、相棒はふーっと呆れ混じりの息を吐く。よかった、どうやらやる気になってくれたみたいだね。

「それじゃあ、行動開始といきますかねー」

 軽く舌で唇を舐め、袖を捲ったボクは、ポケットからあるモノ(・・・・)を取り出した……。

 

 

       * * *

 

 

『――見つけたぞルパーン!!』

「げえっ! とっつぁん!?」

「あっちゃあ~もう気付かれちゃったか!」

 玄哉の悲鳴にも似た声が、透明の催眠ガス(無機質)が充満した宝石店内に響き渡る。

 ボクはボストンバッグひとつ、玄哉はまん丸になった風呂敷袋二つを肩に提げて、ズカズカと店内へ足を踏み入れたとっつぁんから逃走を図った。

 ショーケース越しにフェイントを掛けながらうまく店外へ出て、裏路地へと入れば――ボク達の車が置いてある。

 催眠ガスだってかなり強力だったはずだ。だとしたら、お父様との掛けっこで耐性が付いているのかもしれない。本当にトンデモナイ人だ。人間なのあの人!?

(アシ)がなきゃ逃げ切れねぇぞっ!」

「とっつぁん、ひょっとして薬物に耐性でも持ってんのかなっ!?」

 ボクは速攻で車――赤い塗装のされたプリムス・ロードランナーへと飛び込み、差したままのキーを捻った。ワンテンポ遅れてゴトンッ! と車の上へと覆いかぶさった玄哉はバンバン! と真下に居るボクへ合図を出して、思い切りアクセルを踏み込んだ。

 だが、――ガシッ!! ずるずるずる……!!

「えっ……えェェ―――ッ!!?」

 とっつぁんはそれを許してくれない。車のお尻のあたりに手を掛けたままひっついている。

『逃がさんぞルパンッ! 今日こそ逮捕だ!!』

「うわぁ~お……本気(マジ)の顔だよとっつぁんったらまぁ」

 ボクは苦笑いを浮かべ背中で冷や汗を流しながらも、タイミング良く地面とタイヤの摩擦がかみ合った事を感じ取り、なんとかとっつぁんを振り切る事に成功する。

「ふぃ~っ。毎度ながらあっぶなっ!」

 そこでガスマスクを取り去り、後部座席へと放り投げてから、前後部座席の窓を全開にした。

 広い道へ出てから、その窓から器用に風呂敷二つとボストンバッグを後部座席へ投げ入れ、助手席へとガスマスクを付けた玄哉が飛び込んでくる。

「やあ、お疲れー」

「はぁ~ったく、簡便してほしいぜ。毎度こんなんじゃあ心臓が持ちやしねぇ」

 スーツの懐からマルボロを取り出してライターで火を付ける玄哉はうんざりしたように言うけれど、口の端っこ、上がってるよ。

「まっ、今後もよろしくね」

 一服する相棒と拳を突き合わせると、ボクらはそのまま拠点へ帰るのだった……。

 

 ――さて、ここでご紹介しよう。

 彼……もとい彼女(・・)の名前は峰紬・ルパン四世。

 世界に名の知れ渡っているルパン三世の隠し子であり、峰不二子の娘である。

 彼女にはひとり兄がいるが、彼について語るのは野暮というもの。よってこのお話は、不遇の子供、峰紬とその愉快な仲間達によって語られる――いうなればそう、珍道中だ。

 




次元「いや、待て作者。珍道中ってのはおかしい」
峰「チンドウチュウ……なんかの虫かな?」
?「俺の辞書にはどこにもないのだが……」
銭さん「バッカモーン! そういう時はネットを使うんだ!!」
三人『それだっ! ってどうしてとっつぁんが!?』


ここまで読んでいただきまして、有難うございます。
今後も投稿してまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。