絶対支配者と暗殺神、虚圏に光臨。【現在凍結】   作:小狗丸

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藍染惣右介という死神

「初めまして、異世界からの来訪者達よ。私の名は藍染惣右介。そして後ろにいるのが私の部下の市丸ギンと東仙要だ」

 

 俺達がこの世界で発見した三人の人間達に接触をすると、藍染と名乗る三人の人間達のリーダーらしき男が最初に挨拶をしてきた。

 

 三人の人間達は全員、黒の着物の上に白の羽織、そして腰には一振りの刀という昔の侍のような格好をしていた。夜の砂漠に現れた三人の侍……微妙に違和感を覚える光景である。

 

 藍染は自信に満ち溢れているが同時におおらかな印象で、一見すると信頼できそうなのだが、ユグドラシル時代に何十回のPKプレイヤーの奇襲や裏切りを体験してきた俺の勘が「コイツらは危険だ」と警鐘を鳴らしていた。

 

「私の名はアインズ・ウール・ゴウン。アインズ、と呼んでください。あと、ここにいるのは私の部下であるアルベドとセバスです。……それで何故私達が異世界から来たのだと分かったのですか?」

 

 アインズさんが威厳がある口調で話しかけると藍染は口元に笑みを浮かべて答える。

 

「分かるさ。私達はこれでも『死神』でね。魂を見る目はあるつもりだ。そして貴方達の魂は死神と『虚』のどちらでもありどちらでもない、私も今まで見たことのない異質なものだ」

 

「死神? 虚? それは一体何なのでしょうか?」

 

 藍染はアインズさんの質問に簡潔に順序立てて答えてくれた。

 

 まず藍染達は人間ではなく死神で、死神とは「ソウルソサエティ」という所謂「天国」にあたる世界で暮らす世界の魂の流れを司る存在らしい。

 

 次に虚とは死んでソウルソサエティに行くことができなかった死者の魂が命ある者を襲う怪物となった、悪霊みたいな存在だそうだ。

 

 そして俺達がいるこの世界は「虚圏」といって、人間達が暮らす現世とソウルソサエティを隔てる次元の狭間にある虚達が暮らす世界なんだとか。

 

 虚と呼ばれる怪物のような悪霊と、それから現地の人間を守るべく戦う死神、か……。この世界も中々にファンタジーだな。

 

「なるほど……。お陰でこの世界のことが少し分かりましたよ、ありがとうございます。それにしても虚と今まで戦い続けてきたとは、藍染さん達死神とは素晴らしくお強い存在なのですね」

 

 俺がこの世界について考えているとアインズさんが説明をしてくれた藍染に礼を言う。……あっ。何かアルベドが不満そうな顔をしている。

 

 自分の意思を持つようになったアルベドはアインズさん第一主義だものな。多分「真の強者はアインズ様ただお一人だ」とか考えているのだろう。

 

「ふふっ、ありがとう。……しかし私達死神が虚と戦えるのは『コレ』の力が大きいんだ」

 

 アインズさんの言葉に藍染は友好的な笑みを浮かべながら答えると自分の腰に差してある刀を軽く叩いた。

 

「その刀の力、ですか?」

 

「ああ。この刀は『斬魄刀』といってね、力がある死神が持つとその死神にあった特別な力が発現できるんだ。……そうだね。実際に見せてみよう」

 

 藍染はそう言うと腰の刀、斬魄刀を抜いて俺達に見せる。相変わらず藍染は邪気を感じさせない笑みを浮かべているのだが、この時俺の中では警戒心が最大限まで上がっていた。……コイツ、何をする気だ?

 

「砕けろ『鏡花水月』」

 

 キィイイン!

 

 藍染が斬魄刀を抜いて呟いた瞬間、俺の頭の中で何かが何かを押し返す幻聴が鳴り響いた。クッ! 頭が痛い! よく見るとアインズさんにアルベドとセバスも頭痛を堪えるかのように額を抑えていた。

 

「うう……。き、貴様、一体何をした……?」

 

「ほう……? 私の鏡花水月の力が通用しないとは……流石は異世界からの来訪者と言ったところか。うまくすれば新たな戦力を得られると思ったのだが」

 

「……貴様! この下等生物が!」

 

 額を抑えるアインズさんを興味深そうに見ながら言う藍染の言葉にアルベドが般若の表情になって武器を構える。しかし藍染達三人は余裕の表情を崩す事はなかった。

 

「どうやら君達三人には鏡花水月の力が効かないようだが……君達の部下はどうかな?」

 

「「「ーーーーーーーーーー!」」」

 

 藍染が言った直後、アインズが作り出したアンデッドモンスター達が突然アインズさん達に襲いかかってきた。何だ? どうしてアンデッドモンスターが自分達を作り出したアインズさんを攻撃するんだ?

 

『アインズさん? 一体どうなっているんですか?』

 

『わ、分かりません! アンデッドモンスター達のコントロールが急に効かなくなって……!』

 

 俺が念話でアインズさんに聞くと焦った声の返答が返ってきた。

 

「私達はこれで失礼させてもらうよ。アインズ・ウール・ゴウン、異世界からの来訪者よ。また会おう」

 

 アインズさん達がアンデッドモンスターに襲われていると、藍染達は空間に開いた黒い穴に入っていく。ふざけるな、逃がすものかよ!

 

『待ってください、クモエルさん! 彼らにはまだ攻撃しないでください!』

 

 黒い穴に入っていく藍染達を攻撃しようとした俺だったが、それはアインズさんからの念話によって止められてしまう。

 

 アインズさんにが俺を止めた理由は大体想像がつく。俺は前もっていくつもの隠密スキルを使っていたため藍染達に存在が知られていないので、ここで下手に情報を漏らすのを避けるためとかそんなところだろう。

 

 結局アンデッドモンスター達はアルベドとセバスの二人によって全て倒されたが、その間に藍染達が入っていった空間に開いた黒い穴は完全に塞がってしまい、三人の死神の足取りは掴めなくなってしまった。

 

 ……クソッ! ふざけやがって。

 

 あの死神……藍染惣右介とか言ったな。ツラはしっかりと覚えたからな、次に会った時は今日の借りを倍にして返してやる。




怒られる前に先に宣言しておきます。
今回の話でアインズ様とクモエルにあるフラグが立ちました。

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