絶対支配者と暗殺神、虚圏に光臨。【現在凍結】   作:小狗丸

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二回目の異世界転生

 皆は「異世界転生」という言葉に聞き覚えがあるだろうか?

 

 ある日、普通に暮らしていた人間が何らかの原因で常識が異なる異世界や、漫画やゲームの世界に生まれ変わったり転移したりする物語の総称だ。

 

 主人公が転生した時に得た特別な能力や前世の知識を上手く使って異世界で活躍をするこの手の話は、俺が生まれる前から多くの読者に支持されていた。

 

 では「異世界転生が現実に起こると思うか?」と聞かれたら皆はどう思う?

 

 まず間違いなく、ほとんどの人は「そんな夢みたいなこと起こるはずないだろ」と一笑するだろう。だけど俺は起こると思うね。

 

 ……だって俺、今実際に異世界転生しちゃってるもの。

 

 しかも俺、これが初めての異世界転生じゃなくて二回目なんだぜ?

 

 元々俺は趣味が漫画とゲームっていう普通の会社員だったんだ。

 

 それがある日、十年以上遊んでいたDMMO-RPG「ユグドラシル」のサービス終了日にオンラインすると、ゲームで使っていたキャラクターとなってユグドラシルに似た異世界に転移していたのだ。これが一回目の異世界転生。

 

 転移した俺は異世界をあても無く歩き回り、途中で一人の仲間と出会い、そしてようやくユグドラシル時代の拠点である「ナザリック地下大墳墓」に辿り着き、俺と同じように異世界に転移した友人と再会できたと思ったら今回の二回目の異世界転生だ。

 

 二回目の異世界転生は仲間が開いてくれた俺の帰還を祝うパーティーの最中に起こって、拠点ごと一緒に転移した先は見渡す限り砂漠の夜の世界。何故夜の世界と言ったかというと、この世界に来てもう三日も経つのに夜が明けないからだ。

 

 一体この世界はどこなんだろう……っと。

 

「ああ、ここにいたんですか。『クモエル』さん」

 

 外で夜風にあたりながらこれからどうするか考えていると聞き覚えのある声が俺の名前を呼んだ。「クモエル」というのは俺のこの体の名前だ。もちろん本当の名前は別にあるのだが、元の世界に帰れて元の姿に戻れる保証はどこにもないので、元の姿に戻れるまではこの名前を名乗っていくつもりだ。

 

 そして俺の名前を呼んだのは、左手に禍々しいオーラを放つ金色の杖を持ち、漆黒のローブで身を包んだ骸骨だった。……うん。いつ見てもやっぱり悪役のような姿だ。昔のRPGだったら充分ラスボスに配役されるだろう。(褒め言葉)

 

 この全身から魔王のような雰囲気を感じさせる骸骨こそが俺と同じ世界で生まれた仲間で、彼はゲームのユグドラシルでは俺が所属していたギルド「アインズ・ウール・ゴウン」のギルド長を務めていた。その事もあって、話してみると気さくないい人なのだが、いざという時になると凄まじい機転のよさと決断力を見せる頼れる友人だ。

 

「どうしたんですか、『アインズ』さん?」

 

 俺は魔王のような骸骨の友人の名前を呼んだ。彼はユグドラシル時代の時は「モモンガ」という名前だったのだが、最初の異世界転生を体験した時にある理由から「モモンガ」という名前を捨てて、俺達のギルド名である「アインズ・ウール・ゴウン」を名乗るようになったのだ。

 

「ええ。実はさっき探索用のマジックアイテムで周囲を探索していたら、なんと三人の人間がこのナザリック地下大墳墓に向かってきている姿を見つけたんですよ」

 

「……! それは本当ですか?」

 

 どことなく興奮した様子で話すアインズさんの言葉に俺は思わず驚いた。

 

 こんな見渡す限り砂漠の、生物が生きていけそうもない世界に人間が三人も? しかもこのナザリック地下大墳墓に向かってきているって?

 

「ここがどんな世界なのか知っているかもですし、これから部下をつれてその人間達に会いに行こうと思っているんですけど、クモエルさんはどうします?」

 

「……そうですね。俺も一緒に行きますよ」

 

 確かにこの世界の事を知るには現地の者達と接触を行うのが一番の得策だろう。そう思ったから俺もアインズさんに同行することに決めたのだが……。

 

 ……何故だろう? 少し、嫌な予感がする。


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