【習作】ネギま世界にドラクエ系技能持ちで転生する話【テンプレ】   作:1ch

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▶ぼうけんをする
 ひょうじそくどをかえる
 ぼうけんのしょをつくる
 ぼうけんのしょをうつす
 ぼうけんのしょをけす

 ▶ 1:アデル   Lv 1
   2:エヴァ   Lv 15


レベル3

 

 母さんと同様に焼け死んだはずだが、気が付くと焼け落ちた我が家の跡地に倒れていた。

 

 どれだけの時間が流れただろうか、意味も分からず呆然とへたり込んでいると、何処からともなく突風が吹き、花弁が舞う。堪らず目を閉じていると風が止んだ。目を開けるとそこには、華美な装飾の施されたドレスをまとった貫禄のある大女がいた。

 

 大女はアデルをじろりと鋭く睨め付けた後、一言告げる。

 

「あんた、一度死んだね」

 

 大女はアデルを興味深そうに観察しながら告げる。その言葉は間違っていないだろう。アデル自身、魔女狩りの連中に磔にされ、焼き殺された記憶が鮮明に残っている。

 

「私はダーナ。ダーナ・アナンガ・ジャガンナータ。『狭間の魔女』何て呼ばれているよ」

 

 周りに花弁を撒き散らしながら大女、ダーナは威厳たっぷりに自己紹介をする。

 アデルも吃りながらではあるが、アデル・アリアハンと名乗った。

 

「こんな場所で立ち話するのも何だ。私に付いておいで」

 

 そう言って、その場に白い綺麗な扉を出現させる。

 ダーナは扉を潜り、さっさと来るようにとアデルを急かす。アデル自身も彼女の後を追いかけるように扉を潜った。

 

 

 

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 ダーナと名乗る大女に連れられて移動した場所は先程までの古ぼけた寒村とは様変わりして、空中に浮かぶ巨大な美しい城のバルコニーのような場所だった。

 ダーナが言うには『次元の狭間』という空間に浮かんでいるらしい。彼女が『狭間の魔女』と呼ばれる所以なのだとか。

 

「さあて、何故あんたを此処に連れてきたか教えてやるよ」

 

 アデルにはダーナの言っている意味はよく分からなかったが、彼女は『不死者』という存在らしい。正確には『吸血鬼の真祖(ハイ・デイライトウォーカー)』。訝しげに見るアデルに対してダーナは腕を切り飛ばしてはすぐ再生させたり、上半身を消し飛ばしては華やかに復活して実演してくれた。

 そして、アデル自身も『不死者』であるらしい。

 

「にしてもあんた、変な能力だね。その場では復活しない、回数に制限もなさそうだ。何らかの加護を受けているか、何らかを代償に要求されるタイプかね?」

 

 加護もしくは代償で復活していると言われても、アデルには加護を受けた覚えも無いし、代償に何かを失った喪失感も無い。失うモノも無い。

 

「それに魔力も。大きな枠組みで見れば同じ魔力だけど、私らの使う魔力とあんたの魔力は全くの別物だね。あんたには私らが使うような魔法は使えないだろう」

 

 そう言われてみれば、とアデルはふかくおもいだす。アデルには『火よ灯れ(アールデスカット)』を使う事が出来なかったし、発動するイメージも一切わかなかった。

 もしもあのまま、母親に言われるがままに魔法を練習していても発動する日はついぞ訪れなかっただろう。

 

「ふうむ、私が稽古つけてやるつもりだったけど、止めておこう。こっち着いてきな」

 

 また移動するらしい。アデルは何も言わずダーナの後に続いた。

 

 

 

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 城の中、長い廊下を進んだ先。ダーナは突き当たりの扉を開ける。部屋の中は『これぞ魔法使いの研究室!』といった様相で、部屋の中央には、ジオラマ模型のような小さな大地が、ボトルシップのように浮かべられた大きなフラスコが設置されていた。

 

「さあ、こいつに魔力を注ぐんだ。私特製の『ダイオラマ魔法球』だよ。実験用に用意していたんだが、あんたの魔力を注いだ方が面白い結果になる気がしてね」

 

 魔力。母親によって教えられてきた魔法に必要な力だ。アデルは習った通りに魔力を操作し、大きなフラスコ――ダイオラマ魔法球に魔力を流していく。

 魔力を注ぎ込まれたダイオラマ魔法球は発光を始め、中に浮かんでいた大地は少しずつ形状を変えていく。

 

「今あんたの魔力が注ぎ込まれて、あんたの魔力に合った魔法球に変化しているのさ。……にしても、ここまで大きく変わるとは」

 

 光が収まり、ダイオラマ魔法球の中にあったのは――ドラゴンクエストⅠの、アレフガルド大陸だった。

 

「ふーむ。……あんた、これに見覚えがあるのかい?」

 

 アデルは混乱している。ダーナの言う通り、アデルにはその大陸に見覚えがあった。自身がこの世界に生まれる前の、前世の記憶。転生者であるアデル・アリアハンはそれを覚えていた。

 

 ドラゴンクエスト。伝説の勇者ロトの子孫となり、光を失い闇に覆われた世界で、光を奪った犯人である竜王を打倒して世界に光を取り戻す冒険譚。家庭用ゲーム機で発売されたロールプレイングゲームである。

 

「その記憶にあるアレフガルド大陸と、この『ダイオラマ魔法球』の中にある大陸がそっくりってことかい」

 

 アデルが前世で寝食を忘れるほどに熱中したドラゴンクエストに登場するアレフガルド大陸。それを忠実に再現してジオラマ模型にしたものが大きなフラスコに入れられた状態でアデルの目の前に出現した。

 感動を隠しきれない様子でダイオラマ魔法球にベッタリとへばり付くようにして眺めていたアデルだったが、突如立ち眩みによって尻餅をついてしまう。

 

「おや、もう魔力切れかい。だらしないねぇ、私はしばらくコレの調整をするからあんたはどっか適当な部屋で休んでな」

 

 そういってダーナはダイオラマ魔法球を指し、アデルを部屋から追い出す。部屋を追い出されたアデルは、よろめきつつも休める部屋を探して歩き始めた。

 覚束ない足取りで近くにあった扉を開き、ベッドを見つけたアデルはそのままベッドに向かって前のめりに倒れこみ、気絶するように意識を失った。

 

 

 

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「――ほら、何時まで寝てるんだい! さっさと起きな! ……目ェ覚めたかい。そら、ちゃっちゃと付いておいで。

 あんたがこれから暫く暮らす場所に連れて行ってやろう」

 

 朝日が昇り始め、東の空が紅黄色に染まる頃。アデルはダーナに大声で叩き起こされた。ダーナは目が覚めたばかりのアデルを急かして昨日の研究部屋らしき部屋まで連れていき、アデルをダイオラマ魔法球の前に立たせる。

 

「さあて、これからコイツに……何? そもそもダイオラマ魔法球とは一体何か、だって?」

 

 ダーナはため息を一つ吐き、アデルに説明を始める。ダイオラマ魔法球とは、別名『箱庭』や『別荘』と呼ばれる魔法の道具マジックアイテムの一種で、現実の大地を触媒にして異空間を閉じ込めた物。異空間内での一日は外での一時間に相当する。ただし、一度入ると内部時間で一日経たないと出ることができない。

 今回用意した魔法球はアデルだけが内包する『この世界の魔力とは似て非なる魔力』を使って作り替えられた、この世に二つとない特別製だという。

 

「精神と時の部屋みたい、だって? それはまた前世の記憶かい? ……まあいい。

 でだ、これからあんたには10年間この魔法球の中でサバイバルしてもらう」

 

 ダーナはダイオラマ魔法球に手を触れる。するとアデルの足元に魔法陣が現れ、アデルの身体を光が包み込む。

 

「あんたは不死者だが強者じゃあない。戦い生き残る(すべ)を知らない。幾らでも生き返ることができるだけの一般人だ。

 そんな戦いの"た"の字も知らない一般人を一から育てるなんてやってられないからね。暫くはこの魔法球内で勝手に生きて、勝手に強くなってもらう。

 修行をつけるのはそれからだよ。

 なあに、この魔法球内では10年だが外じゃあ152日程度だ。ちょっとした旅行を楽しんできな」

 

 ――最低でも、私に一撃喰らわせられるくらいには強くなってから出ておいで。

 

 アデルが光に驚き目を瞬くと、そこは先程までいた研究部屋ではなく、床に魔法陣の輝く玉座が鎮座する部屋だった。

 大きな二つの玉座、中央には二つの宝箱。赤い絨毯や装飾に彩られたこの広間はおそらくラダトーム城の玉座の間だろう。

 

 だが、玉座には王は居らず、近衛の兵士も見当たらない。アデルは宝箱を漁り、魔法の鍵を手に入れるとその鍵で扉を開け、無人のラダトーム城から城下町に出た。

 

 

 

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  ―

 

 

 城下町はとても賑わっていた。――人間ではなく、魔物達によって。

 雫のような形状の水色のゼリーが町中を跳ね回り、禿鷹の頭と蛇のような体に羽の生えたモンスターが上空を飛び回る。

 道具屋では頭部から触角を生やしたコウモリのような翼を持つモンスターが、宿屋では真っ白な毛むくじゃらの巨漢が店番をしていた。

 

 ドラゴンクエストに登場するモンスターが、人のように生活する姿がそこにはあった。




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