【習作】ネギま世界にドラクエ系技能持ちで転生する話【テンプレ】   作:1ch

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 ひょうじそくどをかえる
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 ぼうけんのしょをけす

 ▶ぼうけんのしょ 2
  ぼうけんのしょ 3


レベル2

「――様、母様、母様」

「――キティ、エヴァンジェリン」

 

 私は、エヴァンジェリン・K・マクダウェル。体の弱い私は、療養のために小さいけれど素朴で空気の美味しい領地を治める領主の城へ預けられ、少なくない援助をされながら何不自由ない生活を送ってきた。

 幼少の頃から病気がちで、それほど長くは生きられないと医師に診断されていたけれど、それでも限られた時間を精一杯使って愛してくれる両親。なにも返すものがない私たち家族を援助してくださる領主夫妻。

 長く生きられなくても、成人することすら絶望的だと言われても、私はそれでも幸せだった。

 

 

  ――――――

 

 

  ―――――

 

 

  ――――

 

 

  ―――

 

 

  ――

 

 

  ―

 

 

 

『――体調が良かったら、家族みんなで釣りに行こう、キティ』

 

 今日は私の10歳の誕生日。体の調子も良く、掛かり付けの医師から外出の許可が出たため、家族水入らず釣りへ出かけることになった。

 目的地へ続く道を歩く途中、複数の馬の足音が聞こえる。ふと気になり振り返ってみると、遠く続く道の先からローブを纏った一団が馬に跨り近づいてくるのが見えた。

 

領主の館へ帰ると、客人が待っていた。それは先ほど遠くから見えた馬に跨る一団で、母様が言うには、彼らは私の病気を治すために来てくださったらしい。治療が成功すれば私も他の子たちと同じように走り回ることができるようになるのだとか。

 

 

  ――――――

 

 

  ―――――

 

 

  ――――

 

 

  ―――

 

 

  ――

 

 

  ―

 

 

 確かに、結果だけを見れば私の病気は治った。

 吸血鬼(ばけもの)に生まれ変わることによって。

 

「――死なない身体だ」

「死な…ない?」

「死なず、滅びぬ不滅のからだ。君の望んだ力だろう? キティ……いや『不滅の子猫(アタナシア・キティ)』と呼んだ方がいいかな?」

 

 私に処置を施した男曰く、私は『真祖の吸血鬼』というものになったらしい。決して死なず、決して滅びぬ、不死身の化け物。

 

――いやだ……そんなのいらない……ッ! いやッ……!

 私はそんなもの、望んでなんかいない!私が望んだものはこんなものじゃ――!

 

 気が付いた時には、男の首筋に噛み付き、血を啜っていた。

 身体を支配する飢え、渇き。そして精神を支配する怒り、憎しみ。それに抵抗できずに、人間の首に牙を突き立てて血を啜る。まるで、本当に吸血鬼になったようで――。

 

「――――ッッ!!」

 

 声にならない悲鳴が喉の奥から漏れ出る。帰らなくては、こんな所に居てはいけない。ここは私の居場所ではない。母様と父様の、家族のいる故郷へ帰らなくては。

 

――母様……! 父様……!!

 

 ローブの男の屋敷から逃げ出し、自分の故郷へと走る。どれ程の距離を走ろうとも疲れを知らず延々と走り続けることができ、否が応にも自分が人間(ヒト)ではなくなったことを感じる。

 恐ろしかった。自分の変化が、人外(かいぶつ)へと変わってしまった自身の身体が。

 母様と父様に会いたかった。これは質の悪い夢なんだと、何時もの様に頭を撫でて寝かしつけて欲しかった。

 

 

 しかし、たどり着いた故郷は、変わり果てていた。

 

「母…さ……」

 

 家屋は轟々と燃え盛り、領民はろくな抵抗も出来ずに、槍に貫かれて地に縫い付けられ、その場に屍を晒す。――その中には両親や領主夫妻の姿も見えた。

 

 

 

 私はその日、人間(ヒト)としての身体と同時に故郷(かぞく)も失った。

 

  ――――――

 

 

  ―――――

 

 

  ――――

 

 

  ―――

 

 

  ――

 

 

  ―

 

 

――それからの世界は、延々と、延々と、どこまでも、どこまでも、いくら歩き続けても、誰にも会わず、待つ人はいない。無限に続く荒れ野のような、目覚めの来ない悪夢のような。そんな地獄だった。

 

 寒さに凍え、飢えて眠り、蹴られ、蔑まれ、血に濡れて戦った。

 

 『死なない身体』……? 病気の私のためだと言った。でも、こんな地獄を生き続けても、こんな何もない世界を歩き続けても、その先にはきっと何も……。

 

 

 

 

 




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