遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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( ゚д゚)「まさかの妖刃を理子さんに押し付けるという潤の外道プレイについて、一言」

潤「しょーがねえだろ役割分担なんだから。あいつの相手するなら、俺より理子の方が向いてるんだよ」

( ゚д゚)「アリアさん呼べば良かったのでは?」

潤「あいつの気配遮断はアリアの直感をすり抜けるよ、相性が悪すぎる」

( ゚д゚)「誰だこんなキャラ用意したの」

潤「オメーだよハゲ」

( ゚д゚)「まだ禿げとらんわ!」


 そんな感じで(どんなだ)、今回は戦闘回です。潤達は生き延びれるのか!?
 
セーラ「……60%」

理子「死亡率変わってねー!? ちょ、セーラ理子的にはシャレにならないんだけど!?」

セーラ「私は嘘を吐けないから。それにこれは遠山潤の死亡率」

理子「え、じゃあ理子はどれくらい?」

セーラ「……」サッ

理子「ちょおおおい!? お願いだから言ってよお!?」


第四話 ここまでやって五分ならいいなあ(後編)

「頭上と足元注意だ」

 

「そちらは上下ですね!」

 

 五つの魔術陣から熱線の雨が降り注ぎ、足元の影が伸びて主人に牙を剥く。頭上は簡易の結界、影は手を向けると静止し、元の形に戻った。『回帰』の魔術か、環剱を操りながらよく使えるねえ。

 

 こっちは雷撃を纏って首と両膝を切り落とさんとする環剱を回避ーーするも追尾してきたので、HK417をぶち当てて軌道を逸らし、魔術式を破壊した。ち、破壊しても即座に次のが補充されやがる。

 

 どーも、遠山潤だ。ただいまバトル中、魔剱改め、アリスベルとのな。もう(なんとなく)名乗り上げたし、わざわざ通り名で呼ぶ必要も無いだろ。

 

「モーレツ!」

 

「うおっと!? それ口癖なのかい!?」

 

「言うと気が入るので! はあっ!」

 

 環剱だけでなく、近接戦も厄介だ。八卦掌と八極拳をベースにした独自の中国拳法は自由自在で、隙が無いったらありゃしない。嫌だねえ万能優秀型は!

 

「っ、ちっ!」

 

 避けきれない一撃を敢えて受けて衝撃を流し、距離を取ったところで『奥の手』の一つを切る。

 

 亜空間より現実へ一瞬で出現し、対象に喰らいつく先端が鋭利な口となっている鎖、『八頭束(はっとうそく)』。背後より不意打ちで迫る八本のうち四本に、アリスベルはーー

 

「ーー読めていますよ」

 

 予測し、背後に設置した環剱で全て弾いた。

 

「初見で叩き落とすか、厄介だねえ」

 

「あんな痛そうなもの、当たるのはお断りですよ!」

 

 環剱が纏う電撃が空に開放され、輪の形になってこちらへ襲い掛かる。こっちは魔導書二冊に風刃を放たせて相殺、アレ当たったら痺れながら裂かれるよな。

 

「ならこっちはーーどうだ?」

 

 今度は『八頭束』が全方位、アリスベルを中心に波状攻撃で襲い掛かるが、

 

「っとと、嫌な攻撃の仕方ですね」

 

 鎖を足場にしていき、アクロバティックな動きで回避を行う。曲芸師かよ、なんかダンスっぽいし。

 

「きゃっ!?」

 

「ん?」

 

 魔術陣から放たれた不可視の風弾が鎖に当たったと思ったら、アリスベルが悲鳴を上げて体勢を崩した。ああ、なるほど。

 

「空中戦、苦手なんだな」

 

 魔術陣を足場にして(・・・・・)跳躍し、魔術で空に浮かぶ。高所が有利と分かった以上、その位置を取るのは基本だろう。

 

「……ええ、お恥ずかしながら」

 

 熱と風、更に地上から即席の傀儡人形を精製して襲い掛からせ、防戦一方のアリスベルは不機嫌そうに、

 

「だからこそーー補うためにもこれを使います」

 

 かと思ったら一変して不敵な笑顔を浮かべ、右手の指輪から出てきたものーーパワードスーツに見えるそれを背中に装着し、勢いよく空へ舞い上がってきた。

 

「みたいじゃなくてパワードスーツだったか、それ」

 

「ええ、友人に京菱の関係者がいますので。いいものですよ、このPADは」

 

「ああ、あの先端科学兵器を研究している企業か。それにしても、魔女がパワードスーツを使うとはねえ」

 

「『魔術師は己の実力でなく、己以上に動く手足となるものを持てばいい』、でしたっけ?」

 

「ーーは。自分で言ったことだけに、全く正しいとしか返せねえなあ!」

 

 妖刃あたりにでも聞いたのかね。笑いながら弾幕の密度を上げていくが、アリスベルはPADによる三次元軌道を駆使していき、動きを止めようと放った重力増加の魔術も加速で回避する。思ったより厄介だな、あの速度は。

 

「さて、逃げてばかりは性に合いませんね。ーー『紫電壁(ブリッツウォール)』!」

 

「わお」

 

 環剱二本とアリスベルを三点として結び、進行方向のもの全てを薙ぎ払う電撃の壁がこちらに迫る。魔導書は『透過』を発動させて避けられたが、魔術陣は三割ほどやられてしまった。術式も精密だし、恐ろしい威力だな。

 

「『無間の穴に果てはなく』」

 

 『穴』の概念を付与した魔術で、自身が入れるくらいの隙間を作って雷の壁をーー

 

 

荷電粒子砲(メビウス)

 

 

 避けようとしたところで、穴を埋めるようにアリスベルの十八番であるビーム砲ーー相手を『無力化』することに特化したメビウスが放たれた。

 

 回避は不可能、これを当てるために行動を制限された俺は動くことが出来ずーー嗤ってやった。

 

「『あなたの力はあなたの元へ』」

 

 詠唱による『反射』の術式。神代文字の方が早く紡げるが、あれやりすぎると喉がズタズタになるからな。魔力消費も大きいし。

 

 メビウスは防御不可能の術式であるが、反射の弱点があるのは承知済みだ。タイミングは良かったが、術者自身に返ーー

 

「ーーーーうおおお!?」

 

 る寸前、俺達の間に割り込んできた環剱がメビウスを反射させ、再び迫ってきた。

 

 思わず悲鳴を上げながら風の衝撃波を自分にぶつけ、ギリギリ回避する。あぶねえ!? しかも環剱の貯蔵魔力を吸って威力上がってーー

 

「ぬおおお!? 今度は後ろかよ!?」

 

「モーレツに甘いですよ、遠山潤。もう既に包囲網は完成しました」

 

「そんな素っ裸にしたいかこのヤロウ!? そーいうのは妖刃にやっておけ!?」

 

「んな!? そ、そんな意図はありませんよこのスケベ! 大体改良したから服は吹き飛ばしません!

 あと凍刃君の裸は見たら負けた気分になりそうなので、見たいけど見るのは嫌です!」

 

「オメーも大概だろなんだその矛盾発言、乙女か!」

 

「乙女ですよ!? もう三度目、許しません! モーレツにぶっ飛ばしてやります!」

 

 もう十分やる気じゃねえか。軽口を叩き合いながらも、六本の環剱によって乱反射を繰り返すメビウスの輪ーーというより、牢獄から抜け出せないで回避を強要される。弾幕STGの主人公側みたいになってきたな、攻撃できない上制限時間未定だけど!

 

 包囲の空白地帯に誘導しても設置された環剱が移動し、反射を繰り返すたびに威力も速度も上がっていく。魔術式構築の時間もーー

 

荷電粒子砲(メビウス)ーー」

 

 そこにおかわりのもう一本が迫る。ええい、難易度が跳ね上がーー

 

(ブレイク)!」

 

 アリスベルが追加の詠唱をすると、帯状だったメビウスは光の弾幕になり、こちらに襲い掛かる。オイオイマジかよ。

 

 回避ーー不可、密度が濃すぎる。

 

 迎撃ーー不可、展開追いつかず

 

 防御ーー論外。一撃が弱くても、当たり続ければ無力化は免れず、性質上防御術式を貫かれる。

 

 迫る光弾をスローの世界で見ながら思考を回すも、解決策は見出せない。完全に追いやられた形だ。

 

 ……氷壁で幾つか潰されたとはいえ、魔術陣地でこっちに有利な状況を作りつつ、魔力切れも心配しなくていいのにこのザマか。

 

 ……仕方ねえ。

 

(『斑目(まだらめ)』)

 

 口には出さず、魔術式を起動。そうしている内に拡散したメビウスへ手を向けーー俺に触れる直前、『消滅』。

 

「ーー掌に複数の目、しかも『魔眼』!? 術式そのものを『消去』するーー」

 

「ーーーー」

 

 見下ろす瞳で、アリスベルは言葉を中断する。気付いたか。

 

 表情も雰囲気も変わっているし、よほど愚鈍でもない限り理解するだろうが。

 

「……なるほど、凍刃君が早急に決着を付けろと言ったのを理解しました。

 時間を掛けるほどに学習し、対策されるというのもありますがーー」

 

「ーー」

 

「あなたをその気にさせるな(・・・・・・・)、という意味でもあったんでーー」

 

朱雀塵路(すざくおうじ)

 

 アリスベルの言葉を遮り、朱雀を模した炎塊を放つ。『なった』以上会話はしないし、意味がない。

 

「! 荷電粒子砲(メビウス)(ピアース)!」

 

 アリスベルも即座に反応し、貫通力に長けたメビウスと朱雀がぶつかり、相殺される。無論、この程度は予測済み。

 

「傀儡童子」

 

 魔導書達を自身の直掩にし、残った魔術式をアリスベルの包囲に。足りない分は亜空間から展開した『人形』ーー人と全く同じ形をした駒を加える。

 

「ぐ、本当に容赦ないですね!」

 

 自身の近くに移動させた環剱とメビウスで迎撃の構えを取るアリスベルには、アリスベルの瞳には焦りと、若干の怯えが見えている。

 

「殺す気で来るといい」

 

 『切り替える』べきではなかったとなる前なら言うだろうが、もう遅い。

 

「俺は、殺すから」

 

 無駄と理解しながらも、敢えて宣言をする。何故なら今は『殺すこと』を前提とした、心理と数理から最適解の合理を常に求め続ける、『魔術師』としての戦い方なのだから。

 

 

「にゅああああああ!? 死ぬ死ぬ、マジで死ぬからぁ!?」

 

「……さっきまでの威勢はどうした」

 

「対応できるとか調子乗ってすいませんでしたぁ!」

 

「……」

 

「ぎゃあ!? 髪掠ったぁ!? ばっちりセットしたツーテールが!?」

 

「髪の心配をしているあたり、余裕だな」

 

 どうも峰りってまた掠ったあ!? 挨拶してる余裕なんてねえよチクショウ! というか気配遮断を見切ってやったぜ(ドヤァ)とか言ってた一分前の自分を殴りてえ!

 

 リン。鈴の音の直後、斬撃が迫る気配。

 

「おおうっ!?」

 

「ブリッジで回避、か。器用だな」

 

「こーするしかないん、だよ!!」

 

 リン、リン。やけくそ気味にウィンチェスターを片手撃ちで連射するも、あっさり姿を消したと思ったら射程範囲外に逃れられていた。ヒット&アウェイ戦法が死ぬほど厄介だなあ。

 

 リン、リン。

 

 ……ちなみにさっきから聞こえる鈴の音だけど、別に妖刃の動きに合わせてではなく、動いている間一定間隔で鳴り続る魔導具の類だ。しかも気配遮断中は音が止まるしで、感覚狂わされるわ!

 

『妖刃の強さを支えているのは、大きく分けて二つ。気配を消すのと速度です。

 前者は厄介ですが、攻撃の瞬間に僅かながら気配がするだけマシになりましたね。前は『攻撃されても気付くことすら出来なかった』ですから。

 厄介なのは速度ですね。私達が出会った最初の時点で、秒速一里(約4㎞)の速度を魔術その他一切の補助なし(・・・・・・・・・・・・)で出すのがデフォでしたし。

 その後ですか? 計測不能なものは分かりませんよ。亜光速には最低でも達していたと思いますけど、それだって三年前のことですから。

 あと、『裁断』の概念起源がありますから、どんな攻撃も常時防御不可の斬撃になりますね。

 まあ要約すると、

・連続で飛んでくる防御不可の視えない即死技

・防ぐんじゃなくて避けろ

・失敗したら首が胴体と泣き別れ

ということです』

 

(軽々しく言うことじゃないよなあホント!?)

 

 潤の支援を限界まで受け取り、自分でもバフ山盛りで継ぎ足し、斬撃の未来予測を立てる。ここまでしてようやくギリギリ回避できて、稀に反撃が出来るレベルだ。もうチートってレベルじゃないよ、MUGE〇でいう神か論外レベルだよ、理子的に!

 

「にゃああああ!?」

 

「俺は犬派、だが」

 

「んなこと聞いてないんですけどお!?」

 

 あーもう、潤に「お前の方が妖刃に対抗できる、頼んだぞ相棒」とかおだてられたからってやるんじゃなかったなあ!? これだったらガチギレしたアリア相手にした方が百倍マシだよ、終わったらぶん殴ってやる潤のーー

 

「ふおおおお!?」

 

 リン。斬撃が来てから鈴が鳴る。おせーよホセ!(ガチギレ)

 

「……なるほど。あのバカより厄介、だな」

 

「いやいや何もできず死にそうなんですけど!?」

 

「掠り傷で済ませているくせに、よく言う。それにあいつと同じか、それ以上の速度で『学習』しているな」

 

「そりゃ何度も受けてますからねえ!?」

 

 お陰で回避精度は鰻登りだよ、視えてはいないし代償に傷だらけだけどね! もうお嫁にいけない!

 

「……あいつに責任を取らせれば、いいだろう。傷物でも気にしない類だ」

 

「うえ!? えーいやそのー、元相棒さんにそう言ってもらえるのは嬉しいし潤も言ってたけどいざそう考えるとおおおおおお!?」

 

 照れてたら気配遮断を併用した一撃が飛んできた。マジで危ない、首がお空を散歩するところだったんだけど!?

 

「これが孔明の罠……!?」

 

「お前がバカなだけだろ」

 

「何でツッコミだけ早口!?」

 

 あとその無表情ながら残念なものを見る目はヤメロォ!!

 

(……とはいえ、どうしたもんかなあ)

 

 正直、予測以上に隙が無いので下手に手札を切れない。潤から対妖刃用の武装は渡されてるが、そもそも当たらなければ意味がないのだ。亜空間を利用した全方位からの攻撃も、あっさり斬り伏せられーー

 

 

 誓いは夕暮れ格子 私を引き寄せ

 

 

「ーーーーっ!?」

 

 距離を取った妖刃から紡がれる、澄み切った美しい歌声。氷の壁によって反射されて全方位から響くそれは、こちらの感覚を狂わせる。

 

(や、ばーー)

 

 妖刃の歌は、相手の精神や肉体に作用する魔曲であり、長い『詠唱』でもある。

 

 潤に言われたことを思い出す。なるほど、これは想像以上にキツイ。

 

 

 指切りし また明日と 微笑みを浮かべながら

 

 

「ぐ、う!?」

 

 しかも歌いながらでありながら、攻撃の手は一切緩まない。デバフ+詠唱効果の歌唱とかそれだけでも厄介だというのに。しかも居合の一撃離脱をやめて、二刀での連続攻撃にシフトしてきた。

 

「ぐ!」

 

 

 張り詰めた鼓動の糸を 弾かれて

 

 

 髪を操作し、一本一本に魔力を載せて炎の鞭としながら、対抗の歌唱を開始する。

 

「ーー」

 

 よっし、デバフの効果は打ち消せた。妖刃も歌いながらちょっとだけ目を開くーー驚いてるみたいだし、練習した甲斐があったね! 詠唱としてはまだ効果あるし、これだけ手数増やしても押されてるけど! 髪切られてくし!(泣)

 

 

 罪無き魂を道連れ 地獄への扉を開いた いざや隠れ鬼

 

 

「ーー灰の寒炎」

 

 ショートバージョン(それでも二分近い)の詠唱が終わり、妖刃の頭上を漂うのはーー青白い気を纏う、灰色の炎ーー

 

「ーーっ!」

 

 歌を途中で止めて、私は高速で離脱する。が、少し遅かった。銃を握った左腕ごと凍り付き、動かなくなってしまう。

 

(アフーム=ザー……)

 

 生ける炎の子供と言われる、極寒の冷気を纏った炎。一つのを丸々凍らせたという神性の一柱。

 

 知ったのはメヌエットの遊びーーTRPGに付き合ったからだが、まさか実在? それとも妖刃の魔力で造り出したーー

 

「ーーーー」

 

 もちろん、思考の隙を妖刃が見逃してくれるわけがない。極寒の炎を従えたままこちらに近付き、二刀を振るう。

 

 

八十禍(やそまがつ)(つがい)

 

 

 先程より更に速いと感じさせる斬撃。その名前は潤に聞いた覚えがある。確か、一瞬八十連の斬撃ーー

 

(あ、こりゃ死ぬかな)

 

 迫る不可視の白刃を他人事のように感じながら、私は思考する。まったく、ユーくんが見誤るなんて珍しいこともーー

 

 

「この、モーレツ!!」

 

『ーーーー!!』

 

 私、アリスベルは迫りくる傀儡兵を環剱で捌いていく。

 ……人形達は斬る度、甲高い絶叫を上げながら爆発していきます。流れる血も人間と同じような、赤くて生温いものなのが嫌らしい。

 

 置き土産でこっちの集中力を削ぐのとダメージを与えることに専念している、ということでしょうか。呆れた物量ですね。

 

 環剱という『質』で勝負をかけた私と、魔術・魔導具・人形までも惜しみなく投入する『量』の遠山潤。彼の魔術の運用方法は、私一人を殺すために統率された『軍団』のようです。

 

荷電粒子砲(メビウス)(バレット)! (ディストーション)!」

 

 遠山潤を追撃していた環剱からメビウスが放たれ、一度回避したのが進路を90度曲げながら再び襲い掛かるが、

 

「『散逸』」

 

 彼と直掩の魔導書が魔力を練ると、メビウスの魔力がほどかれるように分散し、届く前に無力化されてしまう。

 

 ……悔しいですが、もうメビウスは通じせんね。それならーー

 

荷電粒子砲(メビウス)(アンデュレート)!!」

 

「「「ーーーーーー」」」

 

 近くに寄っていた傀儡兵と魔術式をまとめて吹き飛ばす。キリコに感謝ですね、PADが無ければ宙空からの広範囲攻撃は難しかったーー

 

 

「星を穿て」

 

 

 ぞくり、とその詠唱に肌が泡立つのを感じる。目を向けた先には、魔導書と魔力をリンクさせた遠山潤の姿。そしてその背後から感じる、馬鹿げた量の魔力。大陸一つ滅ぼす気かとツッコミを入れたくなりますね。

 

 ……『魔術陣地』と呼んでいた支援があっても、遠山潤の魔力は通常より一段階引き上げられている程度です。

 

 なのに、あそこまでの凶悪な魔術式を造り上げる。まさに本人が言う通り、己以上に動く手足となるものを持てばいいってことですね。

 

『アレの厄介さは、単なる能力では計れないこと、だ。適性ーー才能という面では、凡百の域を超えないがーー

 何百手も先を読み、最適解を求め続けーー時間を与えれば、こちらを追い詰める。

 ……悪辣さでは、俺達の中でも上位の魔術師だ』

 

 凍刃君が事前に言っていた評価を思い出す。全くその通りですね、能ある鷹は爪を隠すと言いますがーー彼は、隠しているものが多すぎます。

 

 

「イクリプス・カノン」

 

 

 夜闇を白く染め上げる極光。メビウスとも、前回の逃亡戦とも比較するのが馬鹿らしい大きさと威力、回避も防御も不可能な一手。

 

 滅びを告げる神の光。そんなフレーズが私の胸中に浮かびーー

 

 

「「ふっざけんな!!」」

 

 

 そんな想いを否定するため、はしたないと分かりながら自分に活を入れるため叫ぶ。誰かと声が被った気がしますが、気のせいでしょう。

 

 確かに絶望的だ、これを止めることなど出来ない。だからといってーー諦めていい理由にはならないんですよ!

 

「私はまだーー凍刃君に何も、伝えられていないんです!」

 

「ーーーー」

 

 魔導書を従えた遠山潤と目が合う。合理を求めた結果の行き着いた先の状態である彼の目は、酷く感情が薄い。思いの丈を叫ぶ私に対しても、何のリアクションもない。

 

 ならその顔ーー元の間抜け面に戻してやります!

 

荷電粒子砲(メビウス)ーー」

 

 私自身と、周囲に浮かぶ六つの環剱を同時に励起させる。限界以上の魔力行使に循環経路が悲鳴を上げ、口と瞳から血が流れ出てきますが、死ぬよりはマシです!

 

 

(クラスター)!」

 

 

 ぶっつけ本番の新技、それは七つ同時に放たれたメビウスを接近させーー束ねた極大の閃光。

 

「ぐ、ううう!!」

 

「ーーーー」

 

 光同士がぶつかり合う余波で吹き飛びそうになるが、私はPADを必死に制御する。

 

 これだけの威力でも、あちらの極光には及ばない。でも、逸らすくらいならーー!

 

 拮抗は一瞬、私のメビウスは飲み込まれて爆発してしまうがーー極光の進路は僅かに逸れ、私には向かわず空へと消えた。

 

「はああああ!!」

 

 極光同士の結末を見てすぐ、私は環剱を手にPADのブースターを全開にし、突進を掛ける。

 

「ーーーー」

 

 予測が外れていたのか、それとも想定を超えたのか。僅かに目を見開き魔導書の魔力も尽きた遠山潤は、それでも銃ーータスラムと呼んでいたルガーP08を構えて迎撃の体勢を取る。

 

 でも、遅い。ここまで接近すれば、私の間合いだ!

 

「終わりです、遠山潤!」

 

 宣言通り、首だけにしてあげます!

 

 

 迫る刃より一瞬早く、使い物にならなくなった左腕を前に突き出し、魔力を流す。私ではなく、ロザリオに収められた瑠々色金のものを。

 

(こんな時くらいすぐ応えろ、色金!)

 

 感情の高ぶりからか、色金の魔力は通常より遥かに速く左腕に集まり(代償に内臓の幾つかがいかれた感覚がする)、

 

「『爆ぜろ』!!」

 

「ーーっ」

 

 中の氷ごと、自分の左腕を『自爆』させた。

 

 爆発の衝撃と降り注ぐ氷。さすがの妖刃も至近距離でのこれは避けきれず、

 

「ご、ふっ」

 

 氷の破片が刺さりながら、派手に吹き飛んでいった。やっと一撃与えてやったぜ!

 

 もちろん喜ぶ間もなく、私はすぐに追撃を掛ける。肘から先がグロいことになっていたり爆発の衝撃を受けてクッソ痛いが、千載一遇の好機、逃してたまるか!

 

 加速の魔術で迫りながら、態勢を整えようとする妖刃に接近し、胸の隙間から出した『切り札』ーーお母様の形見であるデリンジャーを胸部に押し付けてやる。

 

「峰、理子っ……」

 

「くた、ばれ! 妖刃!」

 

 パン。私の叫びとは正反対の、軽い銃声が響いた。

 

 

「ーー惜しかったな」

 

 アリスベルが放った渾身の一撃。文字通り首の皮一枚のところで、『静止』の魔術式が起動した。マジでマジカル首刈るされるところだったわ。

 

「そう、ですね。でも、このまま戦えば私が勝つと思いますよ?」

 

「そうだなあ、こちとらカノンで魔力もほぼ空だし」

 

 魔力路(体内の魔力流動機関、人体でいう血管のようなもの)の幾つかがイカれているが魔力にまだ余裕のあるアリスベルと、『魔術陣地』の維持が限界なところまで擦り減った俺。いやあまさか、あれでノーダメージなのは予想外だった。

 

 まあ、それでもーー 

 

「俺()の勝ちだよ、立花・氷焔・アリスベル」

 

 

 ニヤリと我ながら悪どい笑みを浮かべると同時、氷の壁が粉々に砕け散った。

 

 

「!? まさか、そんなーー凍刃君!?」

 

 余程この展開に動揺したのだろう。アリスベルはとどめを刺すのも忘れて、妖刃の方にすっ飛んでいく。刃を引くときにもう一回首を掠ったけどな! 無意識で殺しに来ないでくれませんかねえ!?

 

「ーーさて、と」

 

 魔導書を浮かせたまま、俺は地上に降り立つ。そこには左手が吹き飛び、あちこち切り傷を作りながらも立っている理子とーー

 

「凍刃君、しっかりしてください凍刃君!?」

 

「……」

 

 アリスベルの悲痛な呼びかけにも応じず、うつ伏せに倒れた妖刃の姿があった。

 

「よう理子、なんか焦げ臭いけど大金星じゃねーの」

 

「おー潤、やってやりましたよこんチクショウ。とりあえず後で一発殴らせろ」

 

「後でな、後で。妖刃はどうなったよ?」

 

「……『切札』を胸のところにぶち込んでやったから、当分は立てないと思う。死ぬほどじゃないと思うけど、私も限界近いわ」

 

「そうかい、俺も魔力のストックがすっからかんだがーーまあ、よくやったよ、本当に」

 

「……そう思うなら褒めちぎれ、あと頭撫でるのもな」

 

「それも後でな。さてーー」

 

 改めてタスラムを構えると、こちらの意図に気付いたのかアリスベルが立ち上がりーー妖刃の前で両手を広げる。

 

「凍刃君は、やらせませんよ……!」

 

 自身も限界が近く足が震えてるのに、それでもあいつを守ろうとするアリスベル。健気だねえ、妖刃も庇われるのは初体験だろうよ。

 

「……なーんか理子達完全に悪役じゃない、ユーくん?」

 

「『眷属』側だし、実際ヴィラン側の方が性に合うけどな。

 さて、まだやるか魔剱? 二体一の状況で、倒れたそいつを庇いながらは非合理だとーーオイオイ」

 

「……うっそお」

 

「……」

 

 亡霊のように緩慢な動きながら、妖刃が起き上がる。理子がぶっ放した『疵』の概念効果で、傷の再生も出来ないだろうに。

 

「凍刃君!? ダメです、動いちゃ! 私が戦いますから、下がってーー」

 

「…………お前、こそ、無理を言うな、アリスベル。もう、限界だろう。

 ……俺は、まだ動ける」

 

「凍刃君! やめて、やめてください! 死んじゃいますよ!?」

 

 うーんこのラブコメ臭、どうしたもんかーーとか言ってる場合じゃねえな。

 

「オイ妖刃、まさか『妖刕』を使う気か?」

 

「……」

 

「やめとけって。そいつの能力は俺の予測が正しけりゃ、お前の体質に『余りにも合わない』。

 そんなこと、お前が一番分かってるだろ?」

 

 妖刕(ようとう)。妖刃、原田凍刃が使っている刀の銘であり、いわゆる魔剣、妖刀の類だ。

 

 感知し分析した能力が正しければ、その能力は『潜在能力の開放』。他にもあるが、それは置いておこう。

 

 確かに限界を引き出せるというのは魅力的だ。だがそれは同時に、肉体への過負荷を伴うものであり、妖刃にとっては致命的な欠点だ。

 

「笑えないくらいの虚弱体質がやるもんじゃねえだろうよ」

 

「……」

 

 妖刃は、その異常な速度と気配遮断術の代償に、極度の虚弱体質となっている。どれくらいかといえば、その辺の一般人に殴られても骨が折れちまうレベルだ。今は多少改善されてるようだが、それでも根本の脆さは変わっていない。

 

 そんな人間が、妖刕の能力を使えばどうなるか? 

 

 あいつの速度から使うのは一瞬で済むだろうが、良くて致命傷、悪ければ全身が負荷に耐えられずバラバラになるだろう。

 

 現に、前の追撃も今回も、妖刕の能力は一切使ってなかったしな。多分、意図的に抑え込んでいるのだろう。

 

 逆に純粋な技量だけであの戦闘力なのが、こいつの恐ろしいところなんだが。

 

「凍刃君……」

 

「ねえ妖刃、いや原田凍刃。女を泣かせるのは中々に重い罪だよ? それでもまだその刀を振るう?」

 

「……」

 

 アリスベルが涙を溜めて見上げ、理子が説得の言葉を投げかけても、妖刃は刀に手をかけたままだ。うーん、どうしたもんだかーー

 

 

 ピリリリリ

 

 

「あ?」

 

「お?」

 

「……」

 

 緊張した空気をぶち壊すように、無機質な携帯の着信音が響いた。発信源はーー妖刃からだな。

 

「あ、私が出ます凍刃君! はい、もしもし……あ、レオさん。どうしました?」

 

「行儀がいいのか天然なのか、普通に電話対応出られると反応に困るよねー。

 ……どったのユーくん?」

 

「……いや、レオの名前に聞き覚えがあるんだが。まさかなあ」

 

「理子は西欧財閥の名前が出た時点で予測してたけど」

 

 マジかよお前優秀だな。

 

「はい、分かりました。……遠山潤! レオ君があなたに話があるそうです!」

 

「そんなでかい声出さんでも聞こえるって、っとと」

 

「……」

 

 予告なしに携帯を投げつけられ、お手玉しながら携帯をキャッチする。妖刃は毒気を抜かれたのか、刀から手を放してしまった。そりゃ相棒がこの態度じゃなあ。

 

『こんばんは。初めまして、遠山潤さん、峰理子さん』

 

 スピーカーモードから聞こえてきたのは、流暢な日本語で話す少年のものだ。

 

「どーも、初めまして。妖刃の上司でいいんだよな?」

 

『はい、妖刃ーー凍刃さんの上司兼友人、

 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイと申します』

 

「わーお、超ビッグネームが出てきたね」

 

『はは、お褒めに預かり光栄ですがーー偶然党首の座に着けだだけの若造ですよ、ボクは』

 

「それは謙虚を通り越して嫌味か貴様! というレベル」

 

『おや? 日本人には謙虚スタイルの受けがいいと聞いたのですが、違いましたかね?』

 

 謙虚の度が過ぎるんだよあんたの場合。

 

 レオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ。十代半ばの若さで西欧財閥のトップの座に着いた男であり、彼の名を知らないものはまずいないだろう。

 

 トップにふさわしいカリスマ性、政治力を併せ持つことから、着いたあだ名は『少年王』。ちなみに趣味は人をおちょくることらしい、ちょくちょく会見で顔真っ赤にする議員とか見るもんな。

 

『まあ会話のジャブはこれくらいにして、早速本題といきましょう。遠山さん、峰さん。ボクと取引をしませんか?』

 

「それはあんた個人か? それとも西欧財閥の総意か?」

 

 財閥は強大だが、関わると面倒だからな。黒い噂が絶えないのは構わんが、小間使いはごめんだ。

 

『前者ですよ、そもそも今回『師団』に凍刃さんを傭兵として貸し出したのも、ボクの独断ですしね。

 アリスベルさんは勝手に付いてきちゃったみたいですが』

 

「……」

 

 妖刃が無言で見つめてアリスベルが赤い顔で目を逸らした。ラブコメならよそでやれお前ら(ブーメラン)

 

 まあ、個人の権限でこの戦力を動かせるというのが、レオという男の権力基盤を窺わせる。

 

「まあ、それなら交渉の余地はあるな。で、内容は? 負けを認めて色金を譲れとか言うのなら応じないぞ?」

 

『あはは、逆ですよ逆。『師団』の負けを認めるので、ここで極東戦役を終わりにしませんか?』

 

「ーーあ?」

 

『ああ、鬼から手に入れた色金もお渡ししますよ? あなたが悪用しなければ、という前提ですが』

 

「いや、する気はねえが……」

 

「どっちかというと、こんなあぶねえもん持ってられるか! 宇宙に捨ててやる! って勢いだよねー」

 

「一歩間違えれば世紀末世界になるからな」

 

 モヒカンだの伝承者がうろつき回る世界とかごめん被るわ。

 

『ああ、それでしたら処理をこちらで手伝いましょうか? ボクのポケットマネーでも、宇宙船くらいなら都合できますし』

 

「ーーあん?」

 

 思わず二度、訝しげな声を上げてしまう。ポケットマネーでというのは西欧財閥のトップだからスルーとして、それよりも、

 

『そちらへの条件が有利過ぎて都合がよすぎる、ですか?』

 

「これで疑うなって方が無理だろ」

 

 プラスだけ示される交渉ほど、信用できないものはない。

 

『そうですね、もちろんこちらにも利はあります。というか、既に目的は達成していますね。

 一つ、凍刃さんが功績を上げたことで、バチカンに貸しを作れたこと。

 二つ、非々色金という厄介なものをバラまいてくれたシャーロック卿の遺物を回収し、最終目的がボクと同じなあなたと接触できたこと。

 そして三つ、』

 

「俺ーーいや、俺達バスカービルと繋がりが出来ること、か?」

 

 さすがにこれはないだろと思ったが、返事は拍手だった。

 

『その通りです。流石遠山さん、優れた頭脳を持っている』

 

「褒め言葉として受け取っておくよ。で、そっちの条件は?」

 

 さすがに何も求めてこないということはないだろう。

 

『はい、それに関しては簡単です。ボクの個人的な『依頼』を、空いた時でいいのでこなして欲しいのですよ。もちろん、武偵校経由で単位も貰えるようにしておきますので』

 

「……他には?」

 

『え、それだけですが』

 

「うわー胡散臭ーい」

 

『そう言われても、ボクとしても欲しいものはそれくらいですからねえ。

 ああそうだ、もう一つありました』

 

 焦らすなあコイツ。と思ったら、急に真面目なトーンになり、

 

『……これはボク個人としての意見ですが。極東戦役なんていう局面で、友人である凍刃さんを死なせたくないのですよ。

 彼の代わりが務まる人なんて早々いないですし、こんなところで死なせてしまったら、あの世の兄さんに叱られてしまいます』

 

「……ああ、なるほど。あいつは『毒蠍』の後継って訳か」

 

 道理で情報を洗い出しても出てこないわけだ。アリスベルと同じ居鳳高に通ってたのに、面白いくらい偽の経歴だらけだったからな。

 

『はい。というわけで、手を引いてくれませんか凍刃さん? あまり女性を泣かせるものではありませんよ』

 

「……お前まで言うか」

 

 溜息を吐きながら、妖刃改め原田は、戦闘態勢を解いた。

 

「元より、レオが持ってきた依頼だ。色金も不要なら、これで手打ちにーーこふっ」

 

「凍刃君!? 無理せず座ってください!」

 

『あ、追加条件で治療もお願いしますね遠山さん』

 

「はいはい、分かってますよっと」

 

 とりあえずエリクサー(もどき)を飲んで自分を回復させてから妖刃の弾丸を取り除き、破壊された魔力路を元の形に戻す。治療中アリスベルがずっと心配そうに支えてたんで、どういう顔すればいいかわかんねえ。あと理子が横で「理子もなーおーせー!」ってうるせえ。自分で治せるだろお前。

 

「ほい、全快っと。調子はどうよ」

 

「……問題ない。腕は、衰えてないようだな」

 

「そりゃまあ、技術を腐らせるのはごめんだからな。

 さて、これでいいんだよな? レオナルドさん」

 

『はい、ありがとうございます。あと、レオで結構ですよ。

 では、色金は獏さんが持っているので、彼女から受け取ってください。それで契約成立です』

 

「おーきーどーきー!!」

 

「なんでお前が答えるんだよ。まあこっちとしても破格の条件だ、受けよう」

 

『ああ良かった、これで面倒くさい書類整理にアテが出来ました』

 

「オイコラ」

 

『あはは、冗談ですよ冗談』

 

 本気か嘘か判別付きにくいんだよ、おちょくってるのは分かるが。

 

『ああそうだ、おまけのサービスをしておきますね。日本に帰ったら楽しみにしていてください、では』

 

 最後にそれだけ言うと、返事も待たずに電話を切った。サービスってなんだ、菓子なら喜ぶ(いつもの)

 

「……次は敵でないことを、祈っている。遠山」

 

「俺だってお前の相手なんざごめんだよ、原田」

 

 『敵にならない』って約束はしてないから、可能性は0じゃないけどな。

 

「次があればモーレツのボッコボコにします」

 

「くふふーやってみなーよアリスちゃーん? 負けたらりこりんがあーんなことやこーんなことをしてやるぜー」

 

「ど、どんなことする気ですか!? 遠山さん、この人変態です!?」

 

「ごめん昔っからなんだ」

 

 救いようがない変態なんだ、大目に見てくれ(保護者目線)

 

 アリスベルが理子を疑わしい目で、原田はこちらを見ずに去っていった。すごいな、ほぼ初見の相手にも変態認定されたぞ。

 

「……はあ、やれやれっと。生き残れたなあ」

 

「だねー。いやあ、今回はガチで死ぬかと思ったよ……」

 

「マジで大金星だもんな。予想以上の成果でビックリだわ」

 

「それ良くて引き分けくらいになるって予測してたのかなユーくん?」

 

 なんのことでござんしょ。

 

「まあ余罪追及は後にしましょうそうしましょう。

 ではユーくん、お手を拝借」

 

「ん? おお、そうだな」

 

 右手を上げる理子に応じて、俺も反対の手を上げ、

 

「勝ったぞー!」

 

「「イエーイ!!」」

 

 勝利と生き残れたことを、喜ばんとな。

 

 

 余談だが、今回の決着に復活したバチカン側、というかメーヤさんがごねようとしたがーーカツェがヴォルフを呼び出して強制的に黙らせた。最初っからそれ使えばよかったんじゃね。




あとがき
 終わったー! 長かった! 書きたいこと書いてりゃ長くなるよなそりゃ!(自業自得)

 というわけでどうも、ゆっくりいんです。今回で極東戦役編終了となります。潤と理子さん生きてた! 勝った! 第三部(ry)

 え、アメリカとイギリスはどうしたって? いやアリアが緋々神に乗っ取られてませんし、メヌエットさんはウチにいるので……ということです!(何)

 さて、次回からは時系列をすっ飛ばして、日常編に戻りたいと思います。考えてみればほぼ日本にいませんでしたしね、つまりいつも通りになります。

 それでは今回はここまで。読んでくださりありがとうございました。

 感想・評価・お気に入り等、いただければテンションが爆上がりして投稿頻度が早くなるかもしれません(真顔)


PS
 本当はまだ書きたいことあったんだけど、くどいのと作者の体力が限界なのでここで終わりにします。
 


( ゚д゚)「そういえばセーラさん、理子さんの死亡率ってどれくらいだったんです?」

セーラ「90%」

( ゚д゚)「FG〇のピックアップ星5鯖の十倍の確率ですね、そらいけますわ」

理子「十回に九回は死ぬんだよなあ!? ホント生きてて良かった!」


おまけ
おまけキャラ紹介
○原田凍刃
性別:男 年齢:推定十六歳 髪の色:黒 目の色:黒 
職業:西欧財閥暗殺者、学生 所属:居鳳高校1年X組 
趣味・特技:家事全般(特に料理)、歌唱
忌名:■■■■・■■■(既に失われた名前のため、表記不能)
魔術属性:氷・地
技術:居合術
通称:『妖刃』
所有武器:妖刕、黒套、短刀(投擲用)
能力
筋力:E  耐久:E  敏捷:A+ 魔力:A+ 
対魔力:E 体力:A+  知力:C 幸運:B
略歴
 遠山潤の元相棒にして元魔術師、西欧財閥所属の暗殺者。現在は暗殺業を(レオの命令で)休業し、居鳳高校に編入した。

容姿
 人形じみた美しい容姿の、黒髪黒目の大和撫子系。十人が十人見惚れる美人であり、完成された美。
 だが男だ

性格
 ゆっくりとした、独特の間で喋るのが特徴。基本的には物静かで無表情だが、キレると怖い。
 家事万能であり、女性陣より美味しいのを作って凹ませること多々あり(本人に悪気はない)

備考
 鬼達を倒した張本人。自信満々に構える彼等を、気配遮断で『真正面から』斬り伏せた。

能力
高速移動:A+
 『見えない』のではなく『認識できない』速度での移動術。傍からは瞬間移動したように見える。

虚弱:A+
 虚弱脆弱な肉体。筋力と耐久が最低値になり、一般人に殴られても骨が折れるほど脆い。

気配遮断:A
 周囲の空間と同調することで、存在を隠匿する技能。魔術師次代よりランクが落ちており、攻撃の瞬間僅かに気配を感じられる。

魔術:C+
 魔術師時代は魔導具を介さないと発動できなかったが、幾らか改善されたことで自力での使用も可能。

歌唱:A+
 肉体・精神に干渉を行い、同時に魔術の詠唱としても使用する。高速移動・攻撃しながら使用が可能。


〇立花・氷焔・アリスベル
性別:女 年齢:十六歳 髪の色:黒 目の色:黒 
職業:学生 所属:居鳳高校1年X組 
趣味・特技:家事全般、メビウスの研究
魔術属性:雷・光
技術:中国拳法(八極拳をベースにしたオリジナル)
通称:『魔剱』、『魔女狩りの魔女』
所有武器:環剱×7
略歴
 獏との契約を終え、現在は十の環剱を求めながら凍刃を手伝う『魔女狩りの魔女』。

容姿
 原作参照。胸元に凍刃がプレゼントしたペンダントを付けている。

性格
 礼儀正しいが比較的苛烈。恋のライバルには敏感だが、かなり初心。乙女か。
 長く一緒にいたためか、凍刃に対して依存している部分がある(無自覚)
 

備考
 時間移動をしていないため、両親を迎えに行った後は凍刃たちと一緒にいることが多い。 
 両親を日本に招待して一緒に暮らしており、恋路に関しては生温い目で見られている。

能力
環剱:A
 十本ある内の七本を回収済み。自力で回転させるだけでなく、充式させることで独自に浮遊・稼働させることが可能。
 
中国拳法:A
 八極拳と八卦掌をベースにしたオリジナルの拳法。破壊力よりも速度と連撃を重視したもので、達人級の腕前と評されている。

魔術:A+
 メビウスだけでなく光、雷をメインに多数の属性、種類の魔術を使用可能。基本的には慣れたものを多用する傾向にある。

ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

  • 読みたい!
  • いいから続きを書け
  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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