遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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 この間友人と、『異能バトルもので最強の能力はどれか』って話になったんですよね。友人は時間干渉系、私は認識妨害系だと答えました。
 認識されなければ対処も何も出来ないから強いと思うんですよね。まあ完全にアサシンの発想ですから、異能系だと見つかれば即効でやられるのがお決まりなんですけど……
 皆さんはどれだと思いますか? と、本編にまるで関係ない話題を投げてから開始します(オイ)
 
 


第三話 一人増えてもやることに大差なし(後編)

 

(抜き足差し足)

(し、忍び足……)

 どうも皆さん、お兄ちゃんのカワイイ唯一妹遠山かなめです! もう一人いるんじゃないかって? アレはただの自称、イイネ?

 さてただいま私が何をしていますかというと――白雪お姉ちゃんと一緒に一人さまよっているお兄ちゃんを追跡中なのです! ストーカー? ノウ、兄が心配で影ながら見守る出来た妹の所業です(真顔)

(ね、ねえかなめちゃん、本当に良かったのかな? 潤ちゃんは気にしないだろうけど、プライベートを勝手に探って……)

 白雪お姉ちゃんが心配そうにこちらを見てくる。ちなみに声は念話でしてるから一切聞こえない。魔術って便利だよね~、まあ変な人みたいに見られることもあるけどそこは致し方なし、風聞よりお兄ちゃんのことを心配するのは妹の義務です。

(でもお姉ちゃん、お兄ちゃんが普段一人で何してるか気になるでしょ?)

(そ、それはそうだけど……)

(それに、億が一くらいだけどお兄ちゃんを騙す悪い女がいるかもだし。もしそうなってたらどうする)

(例え人誅と言われようが一切の容赦なく斬ります)

 怖い怖い、適当に言っただけだから完全な無表情にならないで!? 「白雪は怒らせない方がいいわよ」っていうアリアお姉ちゃんの言葉が良く分かったよ……(その後あなたが言うかって呟いたらしばかれたけど)。

(ま、まあそれは会った時に対処するとして)

(うん、もしそうだったら穢されちゃった潤ちゃんを清めてあげないとね!)

(殺傷力のない浄化の炎で物理的に清めそうだね)

(……そ、そんなことしないよ?)

 目を逸らさないで、フレイム何とかじゃないんだし。お兄ちゃんのキャラ的に黒焦げパーマになっちゃいそうだから。

 話が大幅に逸れたけど、実際お兄ちゃんが何をしているかというと謎な部分が多い。誰かと一緒にいる時、基本相手に『合わせる』ことが多いからだ。

 白雪お姉ちゃんやリサお姉ちゃんも同じタイプだけど、そういう相手でもお兄ちゃんは『相手が好みそうなこと』を選択して行動できるからねー。だからこそ男女問わず仲良くなれるしモテるんだろうけど(三日間聞いて回ったら結構な数の女子に好意持たれてた、スゲエビックリ)。人気者の兄を持つと妹は辛いですわ……。

(かなめちゃんも随分だと思うけど……転入して三日間で男女上下問わず色んな人と仲良くなれてるし、警戒してた間宮さんのグループとも一緒にお昼食べてたよね? うう、コミュ力オバケの二人ほどは望まないけど、私ももうちょっと緊張せず話せればなあ……)

(あかりちゃんはお菓子分けてあげたら簡単に和解できたんだけどねー)

(……)

 うん、そりゃ微妙な顔になるよね。あんまりにもちょろいから将来が心配になるよ。妹さんいるらしいけど大変だろうなあ……。

 と、また話が逸れた。まあまとめると気になったので、午後一から「仕事がねえ」とボヤいてたお兄ちゃんを尾行してる訳です。午後の専門講義? サボった! 大丈夫、サボり魔のレッテルを貼られれば今後動きやすくなる――

(いや普通にダメだからね?)

 アッハイスイマセン。

(もう……潤ちゃんの事だから大目に見るけど、今回だけだよ?)

 プリプリ怒ってるけど、お兄ちゃん絡みって言えば大抵許してくれそうな気がする。チョロい(確信)

(うーん、でも……本当にいいのかなあ)

(まあまあ白雪お姉ちゃん。三歩下がって影踏まず、夫のことをそっと見守り知らないところで助けてあげるのもいい奥さんの条件だよ?)

(そうだねかなめちゃん、旦那さんを影に日向に支えるのは妻として当然のことだよね! 潤ちゃんなら話せば分かってくれるんだし!)

 チョロい(二回目)。

 説得が終わったところで気配遮断しながら尾行を続けていると、お兄ちゃんが入った場所は――特別教室棟の一番奥にある図書館だった。

 学校案内してもらったリサお姉ちゃん(自分から案内を買って出てくれた)によると、武偵校の図書館利用率は物凄く低いらしい。偏差値の低さと比例するように勉強嫌いが多いのと、入り組んだ場所にあるのが原因だとか。

 人がいるのはテストの時期によっぽど追い詰められてる時くらい。秘密の実験とか逢引き(武偵校では大抵リア充が目の敵にされる、同姓同士は例外)には良い場所なのだが(図書委員は存在するが誰かいるところを見たことないとのこと)、ここはまず選ばれない。特別棟だけでも他に使える場所なんて腐るほどあるし、実験なら自分の部屋や専用の研究部屋を持つ生徒が珍しくないからだ。

 長々と語ったけど、人が訪れることはまずない場所ということ。しかも中にある本は生徒や教師から寄贈されたものが大半で、雑多なジャンルが半端に揃い、果てはマンガ本もある(しかも全く整理されてない)。もう図書館というより古本屋か無限○庫だよねここ。

 そんな本が雑に詰まれたり並べられたりする中で、お兄ちゃんは特に迷うことなく十数冊の本を抜き取っていく。ジャンルは心理学、政治、ヨーロッパ史、神道、機械工学etc……うん、統一性が全くない。あ、烈火の○もある。

 それらを机の端に置き、懐からノートPC、ノート、ボールペン二十一本(多い)、辞書並みに分厚い二十冊(多い)の魔導書らしきものを取り出す。理子お姉ちゃんもそうだけど、どれだけ懐に入れてるんだろう。容量は空間拡張の魔術でポケットを拡張すればいけるだろうけど、亜空間に閉まってるわけじゃないから重量もシャレにならないとかなめは思うの。

 私達が見守る(ここ重要)中、お兄ちゃんが机を指で叩くとボールペンと魔導書が宙に浮き、図書館の本が三冊、お兄ちゃんの見やすい位置に移動する。

「……」

 本が自動で同時に捲られていき、右手はノート、左手はPCに記入する。器用だなあ、その気になれば足で打ち込みとかも出来るんじゃないかな。

 本は数分で最後のページまで行くと元の位置に戻り、次の数冊が前に来る。後はこれの繰り返し、その間もお兄ちゃんの両手は止まらず書き続けていく。

(潤ちゃん本を見てないけど、内容入ってるのかな……?)

(アレ使って内容を抜き取ってるみたいだね)

 私が指差しお姉ちゃんが目を凝らすと、お兄ちゃんと本の間には細い糸が何本か繋がっていた。魔力の流れを感じるので、多分内容を頭の中で読みながら『記録』しているのだろう。お兄ちゃんの特性上、『視た』ものは忘れないしね。

 書き込みを進めていくと、周りの魔導書も記入が進められていく。こっそり見てみるが、PCと同じ内容みたいだ。多分書き写しかな、凄い勢いでページが埋まっていくよ……

「……」

(す、すごいねかなめちゃん……ああでも、無表情で作業に打ち込んでる潤ちゃん様の姿も……はふう)

(…………)

(? かなめちゃん?)

(あ、ごめん今いいところなの)

(何でBlack ○at読んでるの!?)

 いやだって、ニューステイツだと出回ってないんだもん。……あ、八巻抜けてるし。オッノーレ!!

 と、マンガ読みながらお兄ちゃんの動向を見守るという無駄に高度なことをしていると、蛇形の折り紙が凄い速度で跳んできた!!

(ほいっと)

(見もせずに受け止めてる!? 無駄に高性能だね!?)

 いや、白雪お姉ちゃんも余裕でしょ。たかだか魔力が込められて音速で飛んできただけだし(真顔)

 よく見ると折り紙に何か書かれている。ので開いてみると、

『何してんだお前ら』

 わあい、バレテーラ(予想通り)

 

 

「結局何がしたかったんだお前は」

「いやあ、たまには魔術師なお兄ちゃんも見て心の栄養を補給しようかと」

「なるほど、意味分からん」

「ご、ごめんね潤ちゃん。勝手に見たりして」

「別に隠してる訳じゃねえから問題ねえよ。そもそもお前がストーカーやってるのなんて珍しくないだろ」

「な、ナンノコトカナー」

「常習ストーカー認定されてる白雪お姉ちゃんで「他人のこと言えんのかバカ妹」あたたたたた!!? お兄ちゃんつむじ、つむじを思いっきり押さないで!?」

「押すとハゲるんだっけ」

「それ迷信だよ!? 痛い痛い背が縮むーー!?」

 それも迷信だろ。あ、どうも遠山潤です(遅)

 しかしかなめのやつ、最近俺達の周りをかぎ回ってる様子だ。理子とアキバへ出兵したり(俺も無理矢理連れてかれた)、アリアにランバージャックを(ノリで)挑んでボコられたり、白雪と和菓子屋巡りしたり、リサとメイド服合わせで(俺が)もてなされたり、メヌが用意したエグいシナリオのTRPG(最近のお気に入りはサタ○ペ)をプレイして絶叫してたり、レキとセルフ大食い大会してたり、エルに女物のカワイイ服を着せようとして追いかけっこしたり……あれ、普通に遊んでるだけじゃねこれ。

「うおーん痛かった……ん? どしたのお兄ちゃん、そんな情熱的に見つめちゃって」

「普通に見てただけなんだが」

「じゅ、潤ちゃん近親愛はさすがにダメだよ!?」

「何の心配してるんだ白雪」

「まさかお兄ちゃんがお姉ちゃん達に靡かないのは、妹しか愛せないから……?」

「なん、だと……」

「そんなおにあ○か俺○みたいな展開も性癖もねえよ」

「おに○いはかなめの愛読書です」

 何故ドヤる。まあ俺含めた全員を知ろうとしてるだけと予想できるし、放置でいいか。

「まだ時間あるし、夕飯前だけど何か飲むか?」

「お兄ちゃん特製のアレ!!」

「好きだなマイシスター、まあ構わんが。白雪も飲むか?」

「わ、私はお茶で大丈夫だよ!!」

 青い顔をしてるけど、そんなやばいもんかあれ。

 かなめの言うアレとは、俺自作の『キャラメルちょここあ』(命名理子)。キャラメル、チョコ、ココアの黄金比を計算して気紛れで作った一品で、かなめのソウルドリンクとなっている。味は甘さに極振りしており、ももまんが半主食のアリアをして「甘!? 甘さが天元突破して歯と喉と胃を溶かされてる感じがするわよこれ!!?」と言わしめた一品である。

「はー……この一杯こそ至福の時ですなあ……」

「かなめちゃんよく平然と飲めるね……甘いのもそうだけど、何よりカロリーが……」

 恐ろしいものを見る目の白雪が言うとおり、こいつはカロリー度外視で作られている。具体的に言うと一杯で1000カロリーくらい、ミス○のドーナツ二個強分である。まあ元々メヌ向けに作ったものだしな、甘すぎて本人には不評だったが。

「ところでお兄ちゃん、不肖妹である私かなめ、お兄ちゃんへの質問コーナーなるものを考えたのですが」

「いきなり何言ってるんだお前は」

 白雪に玉露を貰い、いつも通りトチ狂った感じの妹に白い目を向ける。誰が得するんだそんな――

「ユーーーーくーーーーーん!!!」

「ノーフォーク!?」

 気配遮断しながら帰宅した理子が飛びついてきた。脇腹に突き刺さったので地味に痛い。

「ごふぉ……お帰り理子、なんだ急に」

「カマドウマ、間違えた構って!」

「あ?」

 だからなんなんだよ、二重の意味で。

「ユーくん理子に構って~!! 最近めーちゃんばっかで理子のこと完全に放置プレイじゃん!! 放置少女イクナイ!」

「この間アキバ行っただろ、普通にバカもやってるし」

「それ以外あんまりないじゃーん! りこりんもっとベタイチャしたいんです~、ナデポされたいんですー!! 

 お熱いキッスまでした仲なのにこの扱いはあーんまりでしょーよおにーちゃん!!」

「理子お姉ちゃんお兄ちゃんをお兄ちゃんと呼んでいいのはかなめだけ!!」

「もう引っかかる場所間違ってるとかツッコミ入れねえぞ。というか医療行為だっつーのにまだそのネタ引っ張り出すか、前は口にするだけで赤面してた癖に」

「うるせーユーくん成分が不足してる状態で手段もクソもあるかー!! さありこりんに構え、存分に甘やかせー!」

 酒の切れたアル中かこいつは。「理子さん、潤ちゃん困ってるんだし離れようか。後それ自慢なの?」って白雪が額に青筋浮かべながら言っても「やーだー!!」しか言わんし、完全にだだっこモードだよこいつ。

 とりあえず腰にしがみつきながら揺らすのやめなさい、色々当たってるから。

「結果的に当たってるの!!」

「まあまあ理子お姉ちゃん、お兄ちゃんこれから夕飯作るんだし、あんまり困らせちゃダメだよ?」

「くっ、この妹構われまくってるからドヤ顔してやがる……! そんなに妹が偉いのかコラー!!」

「違うよ理子お姉ちゃん、私が目指すのはエロい妹だよ!」

「でっかい夢があるね!」

 そんな夢は捨てなさい、リアクションに困るから。

「とにかくユーくん、ユーくんは理子を甘やかす義務があイダダダダダダダ!?」

「んなもんねーよ。いいから離れろっての」

 額グリグリしてやるもなおくっついたままだ。何がコイツをそこまで駆り立てるんだ、いい加減ウザい。

「はーなれろっちゅーに」

「いーやーじゃー!! 今日のりこりんは執念深いんじゃー」

「――いい加減にしろやゴラァ!!」

「えぇ!? 潤ちゃん!?」

「ビックリするくらいお兄ちゃんが唐突にキレた!?」

 そりゃ俺だってキレる時はキレるわ、しつこいんだよコイツ! 

「がう!!」

「いってえ! いきなり噛み付くんじゃねえ脳味噌百合色!」

「妹にかまけてばっかのユーくんが悪いんだよ! こうなったら首に一発やってキスマークっぽくしてやる!」

「あらゆる意味で誤解しか呼ばねえからやめろやハゲ!」

「誰がハゲか、腰までふっさふさだよ!」

「いい加減にしなさい理子さん!」

「羨ましい癖に常識人気取りしてるユキちゃんにどーこー言われたくないね!」

「なあ!? き、キスしたくらいで調子に乗ってえ! じゃあユーくん奪われても文句言わないよね!?」

「オイ白雪助けろよ!?」

「大丈夫、理子さんぶっ飛ばして私が潤ちゃんのものになるだけだから!」

「ぶっ飛ばす言いながら色金殺女を抜くんじゃねえ!?」

 三つ巴の状態が出来ただけじゃねえか!? というかかなめの奴も煽ってないで止め、

「いやあ、これぞ愉悦のこうケイローン!?」

「何AUOスタイル気取ってんだコラァ!!」

 デストロイくん三号を顔面にぶつけてやった。あーもう収集つかねえじゃねえか!! ラブコメ? ねえよんなもん!(ガチ)

「……何この状況、痴話喧嘩?」

「仲良き事は美しきかなですわ、お姉さま」

「うん、多分違うけど楽しそうねアンタ」

 結局アリアによって俺と理子は制圧(物理)され、白雪は宥められて落ち着いた。オイ扱いの差「今更論じる必要ある」ですよねこの暴力ツインテ!!

「誰が脳筋ミニマムよ!」

 んなこと言ってネプチューン!?(←再度ブッ飛ばされる)

 

 

 




登場人物
遠山潤
 図書室を利用して色々やってるのは「部屋だと当たり前のように邪魔されるから」とのこと。
 珍しくキレていたが、キレてもアリアに勝てる訳ではない。そもそもコイツの売りは冷静さである。

 
星伽白雪
 珍しく煽られた結果争奪戦に参加した良妻賢母の卵。実は理子にリードされてる状況に焦ってる、かもしれない。
 
 
峰理子
 「むしゃくしゃして飛びついた、反省も後悔もしていない」とのこと。

 
遠山かなめ
 お兄ちゃん大好きだが、お兄ちゃんが不幸な目にあっているのを見るのも好き。
 
 
神崎・H・アリア
 人間制圧兵器。
 
 
あとがき
 後半ノリの神様が湧いてきた、話は進まないけどまあいいか(オイ)
 というわけでどうも皆さん、ゆっくりいんです。あとがき書いてる段階で結局ニューステイツの紹介してないやん!! と気付きましたが……後半の予定が丸ごと変わっちまったんだ、是非もないネ!
 とりあえず次回はいい加減話を進めます、というかいい加減妹編終わらせにかかります。進む進む詐欺ではない、はずです。筆が暴走しなければ(白目)
 信じられるか、ここまでGⅢリーグの連中誰も関わってないんだぜ……? などとバカなこと言いつつ、今回はここまでです。
 感想・評価・お気に入り・誤字脱字訂正など一言でも何かいただければとてもありがたいです。
 それでは読んでいただき、ありがとうございました
 
 
 

ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

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  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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