遠山潤は楽しみたい   作:ゆっくりいんⅡ

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今回は色金や超能力(魔術)も交えた半解説回みたいになると思います。多分原作やアリスベルとも違う本作の設定がようやく出るかと……まあキンジがいない時点で今更ですけどね!
 
 


第二話 魔術と科学の両刀持ちはチート臭い

「さて、今日は新人もいるし属性から話していくか」

「はいお兄ちゃん先生! 魔術でお兄ちゃんを責めるなら何の属性がいいですか?」

「よし問答無用で座れかなめくん。強いて言うなら水が苦手だ」

「そこは公言していいのかい……?」

 どうせ言わなくてもばれるし。あ、どうも遠山潤です。

 今日の場所はいつもの自室、ではなく選択教科棟の一室。教壇に立った俺が何を教えているかというと――超能力(ステルス)、というか魔術の講座だ。以前エルにこちら側へ付く条件として教える約束をしていたのだが、どっから聞きつけたのか「ルっちー(エルのあだ名)がユーくんと二人きりになろうとしてる!?」などと理子が騒ぎ、耳にした白雪が久々に暴走しかけ、意味を理解したエルが「じゃ、じゃあ複数人いれば問題ないだろう!?」と提案した結果、まとめて教える羽目になった。

 講師は俺、補佐は白雪と理子、生徒はエル、アリア、リサ、メヌ、かなめ。見学人? はレキ(端でイラスト描いてる)。実は夏季休暇以降、アリアメインで定期的に教えてたりする。

「まずは属性についてだが、これは東洋の陰陽五行、西洋の四大属性どちらかの解釈が基本となる」

「火・風を+の属性、水・土を―の属性を基本として考え、雷を+、木を―、金を中間の複合属性として考えるのが潤ちゃんの魔術理論かな」

「+と-の属性でも足すことは可能なのかい?」

「可能だ、そもそも+、-は特性による便宜上の区別だからな。他に+の極致として光、逆の―に闇の属性がある。これらの適性は金を除いて人間なら一個か複数持っており、基本多くて二つだ」

「金が適性候補から外れるのは?」

「魔術の発展過程で生まれた『人工の属性』だからだ。適性は生来のものであり、あらかじめ仕込みでもしない限り金の適性持ちは生まれんな」

「つまり金以外の厨二能力に目覚めるチャンスがあるということなんだよ!」

「な、なんだってー!?」

「そこ、静かに」

「「アッハイ」」

 理子とかなめ、二人揃って( ´・ω・`)顔になる。理子(お前)は何しに来たんだ、いつものことだが。

「モーイ、メガネ姿のご主人様も真面目で素敵です……」

 リサがなにやらウットリしてるけど、お前と白雪が押しに押して付けさせたものだからなこれ。

「……話が逸れたな。で、適性の開放には先天性と後天性がある。分かりやすく言うなら、魔術を使うスイッチがオンになっているかどうかの違いだと思えばいい。白雪達SSRの人間が先天性だな」

「そうなると、後天的の人はスイッチをオンにする必要があると?」

「うん、そうだね。そして潤ちゃんはその方法を理解してるの。『表』ではあまり知られてないけど、覚えれば誰でも出来るんだって」

「くっ、ジュンにもっと早く会っていれば今頃忍術マスターになれたかもしれないのに……!」

 何だそのダサい名称、あとお前忍術言うけどN○RUTOみたいな忍者のイメージは後世の創作だからな? 現在で言うならスパイとかの方が近いんだし。

「あと最後に、適性はあくまで『使いやすい』程度の違いだから、慣れれば適性外の魔術でも大体は使えるぞ。

 説明はこんなもんか。あと何か聞きたいか?」

「はいはーい! かなめも色金について聞きたいです!」

「……GⅢに聞いてないのか?」

「『説明しても聞いてねえんだから自分で調べろ』って言われたんだよね。自分が説明下手の癖に失礼しちゃうよ、プンスカ!」

 いやどう考えてもお前が悪いだろマイシスター。

「……まあそれなら説明しとくか、興味本位で使われても困るし」

「何でりこりんを見るのかな? かな? は、まさかこれは信頼のサイン……!?」

 そうだな、(こいつにだけは悪用させちゃいけねえという意味で)信頼してるよ。

「じゃあ簡単に説明するか。まず色金は三つの種類に分かれる」

 ホワイトボードにそれぞれの種類を書き込んでいく。

 アリアがシャーロックから押し付けられ(継承し)、星伽神社の祭神でもある『緋々色金』。

 理子が母親の形見として持っているロザリオに微量含まれている『瑠々色金(るるいろかね)』。

 レキの故郷、ウルス族に伝わり(多分)髪色の原因となった『璃々色金(りりいろかね)

「この三つだな。色金にはそれぞれ意思があり、所有者に超々能力(ハイパーステルス)と呼ばれる力を与える」

「超能力とか魔術とは違うの?」

「近いが違う。色金は魔術だけでなく気術――ドラゴン○ールとかの『気』に該当するものも操作出来る。

 で、色金はそれぞれ能動、中立、抑制で性質が分かれる」

「そろそろ長くなってきたからユーくん産業で!!」

「緋々色金は人を選ぶけどすげえパワーを与える代償に乗っ取られる危険あり。

 瑠々色金は緋々より弱いが誰にでも力を与える汎用性が高い。

 璃々色金は逆に超能力の力を弱め封じるもので、長いこと近くにいたレキは高い対魔力持ち。

 あと色金は大きさと力が比例する関係だ」

「必要なこと言ってるけど四行だね」

「産業ルールは破るためにあるのです」

「破るの前提ならルールはいらないんじゃないかな……」

 破ると楽しいから仕方ないんだよ(クソ理論)

「ねえジュン、アタシがやたらと力強いのは色金のせいよね? そうよね?」

「色金の影響はあるけど、覚醒する前から筋力は大概だったろ」

「うぐぐぐぐ……」

 いやそんな本気で悔しそうにされてもな。あとどう足掻いても怪力少女のイメージは拭えな「殴るわよ」とりあえず殴ろうとするのをやめればいいと思うよ。

 

 

「じゃあ次は、術式の事前準備による詠唱短縮と自動発動についてを」

「 」チーン

「……実践してたんだが。おーいアリア、アリアさーん? ……知恵熱でぶっ倒れてるな」

「アリアーん? 起きないとりこりんが悪戯しちゃいますぞー?」

「  」プシュー

「……くふふー返事がないならいいってことですよネルソン!!?」

 きっちり裏拳が入った。もう条件反射だなこれ。

「ところでエルおにぇーちゃん、お兄ちゃんと二人っきりになろうと思ったのはどのような心境で?」

「え、いや、そんなつもりはなかったんだよ? 純粋に教えを請おうと思ってただけで」

「で、本音は?」

「忍術教えてもらえるのに浮かれてたから改めて言われると恥ずかしくなってきた」

「何この人乙女」

 文化祭で一緒に行動したせいか、かなめとエルの仲は良いようだ。ツッコミ役と察して積極的に絡んでるだけかもしれんが。

「アリア、大丈夫? はい、お茶とももまんだよ」

「ありがとう白雪……あーもう、なんでエルやかなめにも抜かれるのよ」

「暇を見て忍術を使えないかと色々調べていたから……」

「基礎知識くらいは勉強してたので。一応超能力使いですし」

「一応ってレベルを超えてるでしょ……腹立つところで謙虚なのは兄貴そっくりよね」

「八つ当たりは良くないと思いま「あ?」なんでもないですアリアお姉さま」

 やだありあこわい。普段から睨まれててよく平気だな俺(他人事)。

「まあまあお姉様、循環系は誰よりも上手いじゃないですか。特に身体強化と治癒活性化は」

「そればっかりなんだけどね……放出系は進歩が亀の歩みレベルだし」

 幾らなんでも凹むわよ、とふて腐れてしまう。天性の『勘』があったから、能力面で壁に当たることは少なかったんだろうな。人材面はアレだ「誰が独りよがり系コミュ症よ!!?」そこまで言ってねえから。

 ちなみにホームズ姉妹のいう循環系・放出系とは魔術の種類を大別したものであり、前者が術者の内部(肉体・精神)、後者が空間や一定範囲に作用するタイプだ。あとアリアが得意なのは身体強化。理子が即行で「超能力まで脳筋仕様だよ、やったね(ry」とか騒いでたな(無論その後ぶっ飛ばされてた)。

 ビームとか瞬間移動? 出来るけどチャージに時間掛かるしめっちゃ魔力喰うぞ。

「ううううう……ルーンもカバラも陰陽道もさっぱり理解できないのはなんでなのよお」

「直感の癖で過程をすっ飛ばして理解しようとしてるからだな。数式を覚えずに答えを導き出そうとして間違えるようなもんだ」

「返す言葉もないわ……ねえジュン、高速処理用のデバイス作れない?」

「作れるけど修理とか維持がハイパー大変なものになるぞ」

「あーうー……」

 脳がとろけた顔してやがる。面倒と投げ出さないのは立派だが、このままじゃ袋小路だな。修験道の術式を基にした印を組んでNINJUTU使ってはしゃいでるエルを恨めしそうに見ている。進み早かったからなあ。

「……しゃあない。理子、白雪、ちょいちょい」

「ほいほーい」「潤ちゃん何かな?」

「アリアのことでなんだが……」

「あ、耳にフーはダメだよユーくん?」

「お前じゃねえんだしやらねえよ」

 ゴニョゴニョゴーニョ。

「ほむほむなるほど、それなら大丈夫だよー。基礎は理子がつくっちゃる!」

「私が監修するから読めるものになるよう頑張るね」

「ちょ、ユキちゃん理子の作品は信用できないと申しますか!?」

 前に顔文字の暗号形式でメール送りつけたのどいつだよ。あれ読み解くの地味に時間掛かったんだぞ。

「まあ俺も手伝うし、頼むぞ」

「はい、潤ちゃん様!」

「オッケー! ズドン!」

 口でズドン言うな。

「あ、ジュン! 木遁ってどういう術式を組めばいいんだい?」

「ああ、それだと水と土をベースにして」

 アリアの視線がより厳しくなるけど、しゃーないだろこういうのは個人の進みに合わせた方がいいんだから。あと今のエルちゃんくんは浮かれてる状態だから勘弁してやれ。

「そういえばお兄ちゃん、理子お姉ちゃんと白雪お姉ちゃんは教える側なんだね」

「去年似たようなことを教えたからな。理子はあんまり超能力使わんから分かりにくいだろうが、教えられるくらいの知識はあるぞ」

 ほぼ遊んでるだけだがな。今はアリアのフォローと直感のシステムの聞き込みを「シュノーケル!?」あ、セクハラ未遂でサマソ喰らってるわ。

 その後、三人でアリア用の術式を編み出したが――使いこなせるかは、また別の問題である。エルはその日の内に大体の属性使いこなせたけどな。

 

 

「そういえばレキお姉ちゃんは超能力使わないの?」

「『風』に長く触れていたので」

「?」

「簡単に言うと璃々色金の影響で魔術が使えん状態なんだよな。その代わり――『炎矢(フレア・○ロー)』」

 パン

「?」カキカキ

「この通り、天然の対魔力持ちになってる」

「おー、なるほど」

「潤さん、攻撃の謝罪にスコーン(カロリーメイト風味)のお代わりを要求します」モキュモキュ

「お前それ十個目なんだけど」

 

 

「ううううぅぅ……」

「がるるるるる……」

「……」

「おお、しゅらバトル状態」

 翌日、かなめの編入手続きを終えて帰宅すると、義妹(予定)の風雪とリアル妹が睨み合っていた。何も見なかったことにして扉を閉めたい衝動に駆られたが、後ろの理子が邪魔で引くに引けない。

「潤義兄様と理子さん、お帰りなさい!」

「お兄ちゃんと理子お姉ちゃん、お帰り!」

「ただいまーらいおん~。……りこりん扱いが明らかにおまけな件について」

「無視よかマシだろ。ただいま、それでお前ら何やってるんだ」

「白雪姉様に内緒で遊びに来たら義兄様の妹を名乗る不届き者がいたもので」

「お兄ちゃんの義妹を自称するファッキ○女がいたもんで」

「「排除しようかと」」

 言いつつそれぞれ和弓とアー○ーシュナイダーを取り出す。オイマテ武器を取り出すんじゃねえ。

「義兄様の妹は――」「お兄ちゃんの妹は――」

「「私だけ」」

「やめんかバカタレ」

「あいた!?」「タイラント!?」

 ハリセンで二人の頭を引っ叩いた。マジかよこれで止まるのか。

「どーどー、めーちゃんドードー」

「ドードリオ!!! 離して理子お姉ちゃん、出来た妹は一人だけで十分なんだよ!」

「二人いちゃいけない理由はないだろ。風雪も何してるんだ」

「近親憎悪です」

 断言しないで、普段無表情なのにテレビだったら見せられない顔になってるぞ。

「メヌちゃんは妹としての方向性が違うからいーけどオメーはダメだ星伽風雪ー!!」

「それはこちらのセリフですぽっと出妹! 奉仕系妹キャラの座は一つしかないんです!!」

「何をー! 私はお兄ちゃんと血の繋がった妹だぞコラー!!」

「血の繋がりで優位性を示すなど笑止! 私は潤義兄様と三年前に出会ってから慕い続けているんですよ!!」

 それでいいのか卑弥呼の子孫。

「とりあえずお前ら武器を放しなさい、部屋壊れたら直すの俺なんだぞ」

「その節はお世話になりまシスターズノイズ!?」

 ガンド(物理)を理子にぶつけてやった。世話じゃなくて迷惑だろコノヤロー。

「この脳味噌凝固ジャパニーズ!! こっちと代われコノヤロー!!」

「うるさいですよ都落ちステイツ!! 嫌です、潤義兄様の体温を間近に感じられるんですから!!」

「お前そんなキャラじゃないだろ」

「めーちゃん、りこりんでは不服と申すか」

「理子お姉ちゃんだって羽交い絞めされるならお兄ちゃんの方がいいでしょ!?」

「理子は男女どっちもいけるからオッケーです!!」

「…………」

「無言で抜け出した後引くのやめて!? そういう所はユーくんにそっくりだね!?」

 似てる似てないじゃなくて引くだろ普通。

「ただいまー……風雪!? 何でいるの!? 何で潤ちゃんに抑えられてるの!?」

「止めないでください白雪お姉様、これは私の存在意義を賭けた戦い――」

「風雪!!」

「は、はい!」ビクン

「うらやまけしからんから私と代わりなさい!」

 止めろよお姉ちゃん。

 

 

 その後、暴走寸前の二人を宥めるため理子の一計(という名の趣味)に俺も巻き込まれて落ち着いたのだが……うん、詳細は語りたくない。女子に「尊い……」とか言われてもどうすりゃいいんだよ。

「ゆ、ユーくんユーくん。この衣装、ハロウィン用の衣装に……」

「ぜってえ嫌だ」

 これだけは絶対ごめんだよ。

 

 

 




登場人物
遠山潤
 バンドリの黒髪でオドオドしてる子って可愛いよ(銃声)


神崎・H・アリア
 直感任せが超々能力修得の仇になっている色金継承者。なおこの世界の色金は『右手に魔力、左手に気』みたいなことも出来る(使えるかは人によるが)
 
 
エル・ワトソン
 忍術修得ですっごいはしゃいでいた男装の麗人。想像すると微笑ましい、気がする。
 
 
遠山かなめ
 不倶戴天の敵が現れて怒髪天状態の妹。目と目が遭った瞬間に「キャラ被りな、殺さなきゃ……!」となったらしい。
 
 
星伽風雪
 クールキャラをかなぐり捨ててお義兄ちゃん(の妹という立場)を守ろうとする星伽巫女の次女。交渉帰りに立ち寄ったら運悪くエンカウントしたらしい。
 なお、作者は原作における彼女の役割を忘れていた模様(オイ)
 

レキ
 天然対魔力A。どっかの自称アイドルサーヴァントよろしく自覚はない。
 
 
後書き
 ニューステイツの説明を入れると言ったな。アレは嘘だ
 ……はいすいません、ゆっくりいんです。本音言うと魔術の説明終えたらニューステイツの説明ぶち込みたかったけど、風雪とかなめの喧嘩シーンが楽しすぎて……(マテ)
 今後入れる隙なかったら登場人物の欄にでもねじ込もうかと思います。正直今回の魔術に関する説明も雑オブ雑ですけど……質問あれば感想欄かツイッターで、重度のネタバレにならない範囲でお教えします。
 さて次回は……いい加減かなめちゃんを編入させようかなあと。同じクラスには原作準拠なんでぶち込みません、当然ですよね(真顔)
 では、今回はここまでで。感想・評価・お気に入り・誤字脱字訂正など一言でも何かいただければとてもありがたいです。
 読んでいただき、ありがとうございました。
 
 

ぶっちゃけ中学時代の話って見たいです?

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  • 各ヒロインとのイチャイチャを……
  • エッチなのはいいと思います()

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