もうすぐクリスマスですが、皆さん予定はありますか? 私は仕事です(血涙)
「アタシに足りないのは火力だと思うのよ」
アドアシードから数日後、理子と一緒にリリカルな〇はを見ていたアリアが唐突に言い出した。ちなみに白雪は星伽に用事があるとかでいない。しかし理子が帰ってきた日は大変だった、部屋に戻って白雪が理子に喧嘩売ったからな。まあ詳しくは後日にでも。
「何だ突然」
「アリアんには既に強烈なツッコミがあるじゃないですか」
「そりゃ
アリアが画面を指差す。ちょうど主人公がライバルキャラを拘束して極大砲撃魔法をぶっ放してるところだった。いつ見ても容赦ねえなあ。あとその主人公の掛け声『全力全開!』だから、一撃必殺なら死んでるから。
「ほほう、アリアん魔法少女コスをしたいということですかな? よっしゃあ理子に任せろー! バリバリー」
「やめて! 割といつも通りだから!」
「違うわ!? アンタはそうやって何でもかんでもコスプレに繋げるのはやめなさい! あとジュンも乗るな!
そうじゃなくて、何か高火力の技が欲しいのよ。イ・ウーには
「……流石にこんな砲撃は撃てんぞ? 試作の小型
「何で使うのが砲撃前提なのよ、というかそのオーバースペック臭い一品何……? そうでもなくて、
「ほうほう、つまりアリアんは必殺技が欲しいと」
「まあ、間違ってはいない……かしら?」
首を傾げながらも頷くアリア。俺もその解釈で正しいと思う。
「で、アンタ達そういうの心当たりない? アニメとか漫画ばっかり見てるんだから、使えそうなの知ってるでしょ」
「いやそのりくつはおかしい」
「くふふ、しかしそういうのならこの理子にお任せあれ! アリアさん運がいいでっせ~」
「誰よアンタ」
アリアが冷めた目でツッコミを入れているが、これあかんやつや、理子のスイッチ踏み抜いたなアリア。
「よっしゃあそうと決まれば早速始めなきゃ! ユーくん資料集めるの手伝って、アリアん今日は寝かせないから覚悟しなよ~!!」
「資料集めは任せろバリバリー」
「やめて! それ天丼!」
「は? 何どういうこと――うきゃあ!? ちょ、どこ触ってんのよバカリコー!?」
オオォォォ……とドップラー効果を残してアリアは理子に連れ去られていった。おかしいな、二つ隣の部屋移動しただけなのに。
とりあえずお前ら、始めるならお風呂入ってからにしなさい(←主夫感)
午後二時過ぎ、グラウンドの片隅にて。
「……眠いわ」
「昼過ぎまで爆睡してたのにだらしねえな」
「逆にアンタ達は何でそこまで元気なのよ……寝てないのに」
「理子は七徹までなら余裕ですから!」
「それ不眠症じゃないの……ふあぁ……」
サムズアップする理子にツッコミ入れながらも、眠そうに欠伸するアリア。聞いたところによると徹夜するのは始めてらしい。そら眠いわな。
結局授業サボって午後の講義半分ほどまで部屋で爆睡していたのだが、昼夜逆転は辛いのかまだフラフラしている。これじゃあ特訓どころじゃねえわな。俺と理子? 授業にも出たし徹夜明けでテンション上がってますが何か?
「ユーくん、スイちゃん投下!」
「了解であります理子少佐! ほれアリア、あーん」
「あーん……」
寝惚けているのか、素直に口を開けるアリアに紫のドロップを放り込む。理子はアリアのレア姿に興奮しながら写真を撮っている。いつも通りだな。
「ふぉあ!?」
お、新しいタイプの擬音。
「な、何? 急に眠気が吹っ飛んだんだけど? ……ジュンアンタ、やばいもの食べさせてないわよね?」
「いやいや、『スイハーくん四号』はちゃんとした材料使ってるぜ? 服用してから八時間すると死ぬほど眠くなるけど」
「結局副作用あるんじゃないの!? しかもそのセリフだと死にそうななんだけど!?」
「大丈夫、仮死状態になるだけだよ! やったねアリアん、臨死体験が出来るよ!」
「やめんかこのバカどもおおぉぉぉ!!」
うむ、元気になったようで何よりだ。ジャイアントスイングで理子共々天高くに放り投げられながら、俺は満足して頷いた。
宙空から危なげなく着地し(アリアには舌打ちされた)、とりあえず食べたドロップにヤバイ副作用が無いことを(渋々)納得させた後、特訓という名の試行錯誤が始まった。
始まったのだが……
ヒュウン!
「うーん、調整したらこんなもんかしら。ジューン、ちょっと相手してくれる?」
「……お、おう」
「? 何で及び腰なのよ」
「いや、だってなあ……」
首を傾げているアリアに、言葉を濁すしかない。なんというか……ねえ?
「アンタが言葉濁すなんて珍しいわね、明日は吹雪かしら。
まあいいわ、それじゃあ」
アリアは小太刀二刀を逆手に構える。俺もそれに合わせて普段のUSPではなく、防御に向いた幅広の短刀二刀を取り出す。
こっちが構えるのを見てアリアはこちらに突進し、小太刀を振るう。左右同時、そう錯覚させるほどの高速斬撃が俺を襲う!
「うおおお!?」
ガキキキキキキン!!!
叫びつつも、必死になって八連撃を防ぐ。
「あら、防がれちゃったか。うーん一撃くらいは入れられると思っんだけど」
「いやいや十分だから!? 正直防げたの運要素も絡んでるから! というか今峰じゃなくて刃でやったよな!?」
「アンタなら当たっても平気でしょ、急所は外してたし」
「いや斬られれば滅茶苦茶痛いからな!?」
「平気なのは否定しないのね」
「うわーいアリアんが回転○舞覚えたー」
しかも本家より多い八連撃でな。もう調整というより魔改造じゃねえかこれ。
昨日、俺達は漫画とかアニメの技をネットや動画で見て取り入れられそうなものを研究していた。三人であーだこーだと議論し(意外にアリアも乗り気だった)、アリアが実用できるようアレンジを加える、これの繰り返し。とりあえず同じ小太刀二刀の使い手ということで、最初は某御庭番衆お頭の技を参考にしたのだが……
再び小太刀を振るい始めるアリアを尻目に、俺は理子をちょいちょいと手招きする。
「……一時間足らずで小太刀二刀流マスターしてねえか?」
「理子の目から見ても完成度やばいよ、しかもアリアん自分用に調整済ませてるし……こいつぁグレートにデンジャーですよ旦那」
「精度は続けてれば上がるだろうし、時間の問題だよな……改めてアリアが天才であることを思い知った」
普段から感じてるけどな、ツッコミで。本人が聞いたら『アンタ達のせいでしょうが!』って言いそうだが。
「ねー理子、この辺に砕いてもいいちょうど良さ気な大きさの石ってない?」
「あ、すげえ嫌な予感する」
「いあいあ、そんなまさか……ねえ? 幾らアリアんでもそんな」
まっさかーと笑いつつ、適当な石を幾つか拾ってアリアに投げ渡す。理子、笑顔が引きつってるぞ。
「ん、ありがと。てや!」
渡された石の一つを掌に載せ、可愛らしい掛け声とは裏腹に石は砕け散る。
「流石、リンゴを素手で握りつぶせる握力の持ち主でアタランテ!?」
「次余計なこと言ったら石をぶつけるわよ」
「もうぶつけてるよね!? というより刺さってるからね!? 普通に痛いからね!?」
砕いた石の破片が理子の眉間に刺さった。普通死ぬと思うが痛いで済むのはギャグ補正か(←微妙にメタ)
えぐえぐうるさい理子に破片を抜いて治癒の超能力を掛けてやりつつ(本編初登場、出るタイミング間違ってるよな?)、アリアの行動を見守る。二つ目の石にも同様に拳を振るったが、結果は同じく砕けて散るだけだ。
「おっかしいわねぇ? じゃあこれで、どうだ!」
再度三つ目の石に拳を振り下ろすと、パァン! と爆発音のようなものが聞こえ、石が粉々になった。
『ファ!?』
理子と揃って素でビビった。いやいやちょっと待て、流石にこんな早くできねえだろ!?
「あ、そっか。アタシの筋力とかリーチだとタイミング違うわよね。うっかりしてたわ」
いけないいけないと額に手を当てるが、そーいう問題!?
「……ねえユーくん」
「……何だ理子」
「理子たちは、とんでもないものを目覚めさせてしまったのかもしれない……」
「ああ、なんというか……やっちまったなあ……」
まさか二重の○をここまで早く習得するとは……今も適当な石相手に練習(全部粉々にしている)アリアを見つつ、俺達は戦慄する。
正直、出来たら面白いかなーと思っていた程度なので、この展開はマズイ、非常にマズイ。このままアリアの必殺技バリエーションが増えていけば、
((ふざけた時のお仕置きがヤバイ……!!))
割と本気で死活問題だ。これじゃあふざけた後にすぐ復活できる可能性が下がるジャマイカ(←寝てろ)
「ふう、ようやく安定したわ。……アンタ達、深刻な顔してどうしたの?」
「……ねーアリアん、何でここまで修得が早いのかな?」
「どうしてって……見た資料の動きとか方法を思い出して、後は実際に使えそうな形にしてるだけよ?」
「その動きが一番難しいと思うんだが……」
「元のアイディアはアンタ達じゃない」
「いやまあそうだけどさ、ここまで完成度高いのは予想外でして。何がアリアんの技成立を助けてるのかなーって」
「勘」
言った、たった一言で済ませた。
「……ユーくん、心理学」
「探る必要あるか?」
顔見りゃすぐに分かる、嘘など吐いてないし適当に言っている訳でもない。確かに納得できるが、直感凄有能過ぎやしませんかねえ……
『……』
「……何で無言でorzしてるのよ、二人揃って」
「いや、なんというか……天才との差を改めて感じるわ……」
「理子だって極のマスターは三日掛かったというのに、一時間足らずとか……こんなの絶対おかしいよ!!」
「いきなり目ぇかっ開いて迫るな、怖いわよ!? 大体、アンタ達も十分その部類に入るけど」
「いいえ、アリアんと理子にはト○とア○バくらい差があります」
「それ言ったら俺なんかモヒカンクラスだぜ」
「どんだけ自分を卑下すんのよアンタ達……それ言ったらアタシだって推理は下手すればモヒカン以下……」
嫌なことを思い出したのか、アリアもへこんだ顔になった。トラウマ発動したっぽいな。
『……』
微妙な空気になってしまった。もうどうしたらいいんだろうねこれ。
ちなみに、アリアは夕食までにる○剣の使えそうなのは一通り使えるようになっていた。げに恐ろしきは感覚型の適性である。
で、翌日の朝。
「いい加減にしろやこのバカ理子があああぁぁぁ!!!」
「ダゴン!?」
夜中にいつの間にかアリアの布団に入り込んでいた理子が、小太刀の峰で顎を打ち付けられ、
「オラァ!」
「ハイドラ!?」
追い討ちの振り下ろしで床に叩きつけられた。まさかのオリジナル連撃、というか以前より跳躍力上がってねえか?
そして理子がピクピクしたまま起き上がってこない。バカな、回復力が追い付いていないだと!? いつもなら即座に回復するというのに。
そんなパジャマ姿で行われた一連の攻撃に、アリアの恐ろしさを垣間見たのだった。……まあ、痛い目見ようが自重する気はないけどネ!(オイ)
登場人物紹介
遠山潤
前回に引き続き割りとツッコミを入れていた一応主人公。悪ノリでやってみたらホントに出来たアリアの姿は予想外すぎた。
余談だが理子、アリアの三人の中では一番才能がない、というか才能に関しては平凡。無い分は技量や策で補っている。
神崎・H・アリア
何か色々とパワーアップしてしまったピンクツインテ。直感万能説。もう何があっても直感で済ませられるんじゃないかな。
チームを組んだ当初から理子に付き合って(付き合わされて)ゲームやアニメ、漫画などを嗜むようになり、その後自分から見るようになった。ツッコミがネタ混じりなのはこれが原因である。
俺の中でのアリアの直感ランクはA+、どこぞの騎士王さんよりやべえイメージである。そりゃ万能だわ(白目)
最後に、リンゴを潰せる握力というのは公式です。
峰理子
アリア必殺技計画企画者。どんどん技を吸収していくアリアの姿を見て、『これ武偵殺しのときに持ってたらやばかったんじゃね?』と内心冷や汗をかいていた。
ちなみにアリアに教えた技は理子も使える。故に対処法も心得ているが、流石にここまで修得は早くなかった。凹んでいたのは割とマジである。
星伽白雪
原作二巻相当の番外編なのに出番が無かった、地味に不遇な星伽巫女。しかしそのお陰で二巻はお淑やかさを維持できた。
ちなみに今回は星伽に禁制鬼道を使った報告に行ったのだが、「別に大して使ってないし適当でいいんじゃね?」と言う潤の言葉に開き直り、口八丁で誤魔化して色金殺女は没収されなかった。潤からいらん影響を受けているのは間違いない。
後書き
アリアさん強化フラグ。いやフラグじゃないか、確定だわ(白目)
えー、この話を書こうと思ったきっかけなんですが、原作だとアリアって必殺技みたいなの無いじゃないですか? キンジ君は一杯あるのに。
で、それだと目立たな、不公平だなーと思い今回入れてみたんですが……うん、パワーアップ速すぎねえ? フ○ーザ様か君は(←原因)
ちなみに今後、暇を見つけてはアリアの技が増えていきます。書くことは無いと思いますが、正直潤と理子がへこむだけだし。
さて、次回は原作三巻相当、『無限罪』編です。正直一番書きたいとこの一つなんで、今からテンションマックスです! ……でも、サブタイこれでいいのかなあ?
最後に、60件を超えるお気に入り登録、暖かい感想、ありがとうございます! 皆さんの言葉を受けて、私、決めました! 白雪は間違いなくぶっ飛んだ感じになります! コメントで『やるなよ? 絶対にやるなよ?』的なこと言われたからね、仕方ないね!!(ゲス顔)
では、今回はここまで。感想・誤字訂正・あのキャラのことが知りたい、こんな話を書いて欲しいなどの質問・リクエスト、心臓に杭を打ち込むような批評、お待ちしています!(←ヅダくらい爆発しやすいメンタル)。
追記
るろ剣キャラの皆さん、和田先生、何かすいませんorz