灰かぶりは舞踏会の夢を見る?   作:焔勅

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卒論がヤバいのに何やってんだろう。


前書きは基本作者の愚痴なので読み流し推奨です。


その2

小昏社長との話が終わり、正式に雇用契約を交わした翌日、私はとある人物に連絡し、会う約束をしていた。

 

会う場所として、指定したのは大学のゼミ室。

呼びだした相手は同じゼミに属している女生徒のため、ゼミの開講時間の少し前に来てもらうよう頼んだ。

 

 

相手は自分と同じく大学の人気者。

少しでも噂になると周りがうるさくなるため、共通するゼミを隠れ蓑として使う。

 

呼んだ相手は、東郷あい。

男性よりも、イケメンだと女生徒からの人気の高いクールビューティーだ。

 

 

 

 

「さて、私を呼んだのは、どういう用件かな。」

 

 

指定の時間のちょうど5分前になるとゼミ室へと入ってきた、彼女。

ずいぶんと余裕な態度をとってはいるが、意図的に接点を作らないようにしていた相手からの呼び出しだ。

心の中では、さまざまな憶測が飛び交っているだろう。

 

 

「来てくれてありがとう。

ゼミまで時間はあるが、単刀直入に言うよ。

 

君にアイドルになって欲しい。」

 

 

私の言葉がよほど、予想外だったのだろう、きょとんとした様相を呈している。

私の時は、前置きがあったため、スカウトされたときも冷静でいられたが、突然すぎる言葉に人は反応ができなくなるのだろう。

 

 

「……すまない。

私の聞き間違えだろうか。

君の口からアイドルという言葉が聞こえた気がしたんだが?」

 

脳が処理をしきれていないのか、それともよほど私のイメージに無かったのか、とぼけたように聞き返す。

当然、私は同じ言葉を放つ。

 

 

「君にアイドルになって欲しいと頼んでいる。

先日、就職先が決まってね。プロデューサーとスカウトを兼任することになった。

 

東郷さん。貴女は常々、自分に自信を持っていて、取り巻きの女の子に対して女性としての魅力をアピールしている。

アイドルに興味があるんじゃないか?」

 

 

「そうか、君がプロデューサーね……。

確かに私は、自分の魅力に自信を持っているさ。

しかし、女性であることをアピールした覚えはないね。

 

同性愛の気がないから、彼女たちにそれを示しただけのこと……。

 

でも、アイドル……か。どうやら君は思っていたよりも面白い人間のようだ。

いいだろう。私が皆を魅了させるために、君にも存分に働いてもらうから、覚悟するように。いいね、プロデューサーさん。」

 

 

よし、まずは一人目。

すんなりとスカウトに成功した。

 

 

 

「ところで、契約書を交わす前に会社の実績を知っておきたいのだが、まず所属人数は何人だい?」

 

 

「……一人。」

 

 

「もしかして、アイドル部門は新しく設立されたとかかい?」

 

 

こちらの言葉を冗談ととなったのか、笑顔で聞き返してくるが、所属アイドルは一人しかいない。

しかも、私もまだ会ってはいない。

 

こちらが無言でいるとこちらの事情を察したように顔がゆがむ。

 

 

「新しく開業したということか……。

だから、ロクな説明もせずにスカウトしたんだね。

 

まぁ、約束した以上は反故にする気はないけれど、詐欺まがいでは信頼されなくなると覚えておくといい。」

 

 

分かってはいる。

しかし、実績がない以上は、まずは人数だけでも増やして、実績を作らなければならない。

 

当然、契約書を交わすときには詳しい説明が必要なので、断られることも覚悟している。

しかし東郷さんを含めた、今日スカウトする3人ならば言質さえ取れば、断ることはないと踏んでいる。

 

 

 

「この後、まだ二人スカウトする予定だよ。

詳しい話はその二人と後日、事務所でしよう。

住所は名刺に書いてあるから確認しておいてくれ。」

 

 

昨日、小昏社長から支給された名刺入れから一枚を取り出し、渡す。

 

 

「……ふむ。

随分と自信があるようだけれど誰を誘うんだい?

まさか、君のハーレムメンバーか?」

 

 

ハーレムを形成した覚えはないが、いつのまにかその名で知られるサークル。

当然、健全なサークルで、正式には第二文芸サークル『テ・セル・スカープ』。

 

 

「まぁ、そんなところ。

 

さて、そろそろ、ゼミの時間だ。

今日も噂が立たないよう、離れて作業をしようか。」

 

 

お互いカバンからノートパソコンを取り出して、作業を開始する。

論文は完成しているので、アイドル業界に関する情報の収集だ。

 

スカウトマンとしてのスカウトに関する常識。

プロデュースする上での暗黙の了解。

伝説とまで言われる765プロのプロデューサーが書いた書籍など。

 

 

プロデューサーとして最低限、必要な知識を取り入れる。

 

 

 

 

……気が付くとゼミが終わっていた。




次回は、キュートとパッションを一人ずつで、二人スカウトの予定です。

キュートは決定済み。
パッションが3人から悩み中……。


プロデューサーの口調が安定しない。

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