灰かぶりは舞踏会の夢を見る?   作:焔勅

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とりあえず公開。

リアルの都合と他の作品の関係で更新速度は激遅です。



その1

 

【本編】

 

アイドル。それは、特別な存在。

 

アイドル。それは、夢を与える仕事。

 

アイドル。それは、選ばれた者だけがなれる。

 

目の前の男は私にそう語ると、どう思うかと尋ねてきた。

 

 

 

 

私の名前は茂庭 飛李(フェイリー)

都内の私大に通っている。

 

実家が自営業なため、跡を継げばいいと考え、就活などしてはいない。

既に、卒論も口述のみとなり、暇しているところを、この男性に呼び止められた。

 

男性はスーツを身に纏い、体育会系のがっしりとした体格をしている。

 

彼は、名刺を取り出しながらスカウトしに来たと言う。

 

名刺には小昏芸能株式会社 社長 小昏 洋志とある。

聞いたことのない会社だが、両親と面識があるようで、手紙を持っているらしいため、近くの喫茶店で話を聞くこととなった。

 

 

そして、席に着くなりアイドルというものについて尋ねられたのだった。

 

 

 

「芸能界には詳しくはありませんが……。

実力が無ければ仕事が来ないのですから、ある種、間違っていないのでは?」

 

 

 

そういうと、あからさまに落胆した様相を見せる。

 

 

「確かに、カリスマを含む実力は必要だ。

しかし、実力というものはレッスンで身に着くものだと思わないか。

ともすれば、特別で選ばれた存在などというのは間違いではないかね!」

 

 

大仰に腕を広げて熱弁すると、周りの席から注目を浴びていることに気が付き、咳払いをして落ち着いた口調で言葉を続ける。

 

 

「ワタシはだね、どんな女の子でもアイドルになれると思うのだよ。

そこで、アイドルというお姫様に憧れる女の子をシンデレラにする、シンデレラプロジェクトを立ち上げようと思うんだ。

 

このプロジェクトで重要なのは女の子たちをシンデレラに導く魔法使い……プロデューサー。

 

飛李くん。君をプロデューサーとしてスカウトしたい。」

 

 

「なぜ、私なのですか?」

 

 

小昏社長の話を聞いている間、同時に手渡されていた両親からの手紙を読んでいた。

確かに両親と旧知の仲らしく、自分のことを知っていたとしてもおかしくはないが、実際に会ったのは今日が初めてだ。

 

芸能関係の勉強もほとんどしていないのに、何故この人は自分をスカウトするのだろう。

 

 

「……この業界は、基本的に恋愛はご法度なんだよ。

だがね、恋する乙女は美しいという。ワタシは恋愛を禁止したくないんだ。

 

そこで、スキャンダルを完全に封じる方法を考えた。

倫理的にはあまり認められることではないが、所属するアイドルたちには決して報われない恋をしてもらいたい。

 

聞いたところ君は、その容姿で幼いころから、女性に囲まれていたのに誰とも交際していないらしいね。」

 

 

これも、両親から聞いたのか、確かに交際の経験は一度もない。

モテている認識はあった。告白されたこともある。

 

しかし、中高の時は自分が、ハーフだということに劣等感があった。

大学で留学生や、他のハーフと接するうちに解消されたが、当時はこんな自分が、とその気にならなかった。

 

大学で、劣等感が解消された後は、好きなヒトが居たがフられてしまった。

だから、交際経験がない。

 

 

「身持ちが固く、悪い噂もない。

その話を聞いた時、アイドルに惚れてもらう役には君が適しているとワタシは考えた。

 

それに……さっき君を実際に見たとき、何というか。直感が働いたんだ、これは運命。

偉大な先人の言葉を借りるのならば、ティンと来たんだ。

 

どうだね、君とアイドルには辛い思いをさせることになるだろうが、受けてはくれないか。」

 

 

「……正直、あまり気が乗りません。

社長の言い分は自分勝手ですし、親の紹介があっても、あまり信用できません。

 

ですが、私もその運命を信じたいと思います。

是非とも私を雇ってください。」

 

 

これから何が起きるか。

どんなアイドルをプロデュースすることになるか。

 

私は笑みを隠しきれず、互いに笑いながら握手を交わす。

 

 

 

 

 

 

「ああ、所属アイドルなんだが、一人しかいないからね。

めぼしい人が居れば、スカウトしてくれ。」

 

 

……え?





1ページ当たりの長さがしばらく安定しないと思います。


台本書きのように【名前「」】のほうが良いですかね?

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