全ては誰かの笑顔のために   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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#69 助っ人たちの戦い 

繰り出されるゾンジスの攻撃をいなして、ゼットオーは反撃の一撃を叩き込む

そこを起点に更にゼットオーはキック、そしてパンチと連続して攻撃を打ち込んでいく

その華麗な戦いを横で量産型ジオウと戦闘していたダブルもちらりと彼女の方を確認しながら

 

<…あの人、なかなか強いね>

「あぁ、結構な場数踏んでると思う」

 

右目が発光して語り掛けてくるアリスの言葉に翔が返答する

無駄のない動きに的確な反撃、それでいて余裕を損なわない落ち着いた雰囲気

仮面の下で少し小さめに笑みを浮かべている姿さえ想像できる

 

「ぐ…! バカにして!」

 

いい加減イラついたゾンジスは徐に腕にセットしてある時計のようなデバイスを取り外し、再び顔を形作る

突き出したその手に持っているものは一見化け物にしか見えないような出で立ちだ

ゾンジスはそのデバイス―――ライドウォッチを起動させる

 

<シン>

 

その電子音声が響いた後、ゾンジスはまず手刀を形作る

そしてそのまま一直線にゼットオーへと接近し〝刃のような〟切れ味の手刀を叩きつけた

 

「いったぁ!?」

 

思わぬ反撃にゼットオーはそんな情けない声をあげながらゴロゴロと転がりつつも体制を立て直し反撃を試みる

ただの手刀にしては恐ろしいくらい威力が跳ね上がっていた

もしかしたらさっき起動させた時計型のデバイスが関係しているのかもしれない

これは少し骨が折れるかな、と思ったその時だ

 

<LUNA TRIGGER>

 

電子音声と共にダブルルナトリガーのマグナムから放たれる光の弾丸がゾンジスを射抜く

自由自在に動き回る光り輝く弾丸がゾンジスの動きを封じるように降り注いだ

弾丸の跳んできた方向を見ると量産型ジオウを蹴散らしたダブルがゼットオーの隣に馳せ参じていた

 

「貴方…」

「さ、こっから共同戦線と行こうぜ」

<残るは一人だからね、一気に決めちゃおう>

 

翔の言葉の後に、右目が点滅してアリスの声が聞こえてくる

ゼットオーは仮面の下で笑みを浮かべながら「うん」とそれに頷いて再度ゾンジスへと身構える

先に動きだしたのはゼットオー

そしてそれを援護するようにルナトリガーがトリガーマグナムの引き金を引いて光の弾丸を繰り出す

ゾンジスは手刀で光の弾丸を何とか迎撃しようと試みるが継続的に降り注いでくる弾丸全てには対応できず何発かもらってしまう

そこにゼットオーからの追撃がやってくる

跳躍からの跳び蹴り、からの腹部への拳撃によろめいてしまう

 

<HEAT METAL>

 

そこに今度はヒートメタルへとメモリチェンジしたダブルのメタルシャフトの追い打ちが続く

長物に対して素手というのはこちらが圧倒的に不利でもあり、何度か迎撃できたものの最終的にシャフトを腹に叩きつけられ吹き飛ばされ地面をゴロゴロと転がった

 

<CYCLONE JOKER>

 

再度サイクロンジョーカーへと戻ったダブルとゼットオーが並び立つ

互いが顔を見合わせて無言で頷き合うとそれぞれが必殺の構えを取る

ダブルがジョーカーのメモリを抜き取るとそれをマキシマムスロットにセットして軽くたたいた

 

<JOKER MAXIMAMDRIVE>

 

そのまま巻き起こる風と共に、ダブルは空中へと浮かび上がる

ゼットオーはそのダブルの動きに合わせるように軽く体制と整えて、繰り出せる準備をし―――

 

「<ジョーカーエクストリーム!>」

「ライダーキックッ!!」

 

二つの一撃が同時にゾンジスに襲い来る

ゾンジスが体勢を立て直したときは、その攻撃はもう眼前に迫っており、防ぐ手立ては存在していなかった

 

「―――きゃあぁぁぁぁぁっ!!!」

 

そんな短い断末魔と共に蹴り抜けたゼットオーとダブルの背後で大きく爆発が巻き起こる

ゼットオーとダブルは互いの顔をもう一度見合わせると軽くその場でハイタッチを交わした

 

「やるじゃんっ」

 

変身を解いたゼットオーが屈託のない笑みをと共にそう言った

ダブルもそれに答えるように変身を解除しながら

 

「…だろ?」

 

と返した

 

「彼女さんと仲良くね。…それじゃ」

 

最後に望月は窓からこちらに向かって手を振っている女の子―――アリステラへと視線を向けるとそんな言葉を呟いた

彼女の隣にいる女性たち―――両儀式や黒桐鮮花らへと視線を向けるとその人たちにも手を振って、オーロラと共に消えていった

 

「…結局なんだったんだろ、あの人」

 

謎は深まるばかり

けどまぁ、この謎は別に解けなくてもいいかもしれない

そんな感じさえしたのだった

 

◇◇◇

 

襲撃してくる量産型ジオウの攻撃を捌いて、アマゾンネオは反撃の蹴りを叩き込む

そのまま身構えながら量産型ジオウの間を通ってザモナスがボウガン片手に襲撃してきた

繰り出されるキックを数発防御するが至近距離からアマゾンネオ目掛けて発射されるボウガンに思わず防御しつつ後方へ押し出される

 

そんな時、ドライバーの目が不意に青く変色し、アマゾンネオにとっては慣れた声色が聞こえてきた

 

<ちょっとちょっとぉ。あんなのに手こずるだなんて。腕が鈍ったんじゃありませぇん?>

「! ガリィ!?」

 

不意にベルトから聞こえた、彼にとっては懐かしい声

同時に後ろの三人からしたら誰? というような具合だ

 

<仕方ないから手伝ったげますよ。スロット下げてインジェクターを押し込んで戻しなさい>

 

量産型ジオウの攻撃を掻い潜りながら、言われた通りにアマゾンネオはドライバーのスロットを一度下げてからインジェクターを押し込んだのち、再度スロットを戻す

 

<スコアラー ワン ガリィ=トゥマーン>

「<りょうかーい! ガリィ、頑張りまーす!>」

 

声色と共に現れた彼女の幻影がアマゾンネオに重なる

刹那頭に入ってきたイメージに導かれるまま、アマゾンネオは走っていた

否、走るではない―――地上を高速で移動している

瞬時に地面が凍り、そこを滑るようにアマゾンネオが移動しているのだ

 

「はぁっ!」

 

すれ違いざまに量産型ジオウへ一撃

そのまま移動を繰り返しながらもう一人の量産型ジオウ、そしてザモナスへと攻撃を叩き込んでいった

 

<このまま連撃、行きますよ! 行程は同じ、違うのはインジェクターを二度押すこと!>

「わかったっ!」

 

ベルトから聞こえるガリィの声に合わせるようにさっきと同じようにスロットを倒してインジェクターを二度押し込み戻す

 

<スコアラー ツー レイア=ダラーヒム>

「<私に地味は似合わない…>」

 

先ほどのガリィと同じようにアマゾンネオの隣にレイアの幻影が現れ、それが重なる

すでにさっきのガリィで理解していたアマゾンネオは今度は迷うことなく右腕を突き出し、そこから形成された発射口からコインに似た散弾が吹き荒れた

 

スドドドド、と弾丸の雨に晒され量産型ジオウたちはそのまま吹き飛びながら爆散していった

仲間を失い徐々に苛立ち始めてきたゾンジスは「ちっ!」とその様子を隠すこともなく舌を打つと手から一つのライドウォッチを取り外した

 

<アマゾン ネオ>

 

「! 俺!?」

 

自分と同じ電子音が鳴り響くと同時、ザモナスの手からネオブレードのようなものが生成され、一気に走り込むとこちらを斬りつけてくる

時折こちらもコインを放ち牽制を試みるが思いのほか決定打にはなり得ない

 

<剣が相手? なら私の出番ね>

「あぁ!」

 

聞こえてきた声に答えると同じようにインジェクターを動かして、今度は三回押すとそれを戻す

 

<スコアラー スリー ファラ=スユーフ>

 

「<フフ…思っていたよりもショボい相手ね>」

 

隣に並び出た幻影にアマゾンネオが重なり、アマゾンネオブレードと同等な〝ソードブレイカー〟が形成された

アマゾンネオはそれを構え、相手が振るってくるネオブレードに一撃を叩き込む

するとあっという間にネオブレードは粉砕し、地面にはブレードの残骸がパラパラと零れ落ちた

 

「バカな!? ぐぅあっ!」

 

驚きに浸る間もなくザモナスはアマゾンネオの一撃を食らい大きく吹っ飛ばされる

どうにか両腕を使い起き上がると恨めしそうにザモナスはアマゾンネオを睨みつけた

 

「…はえーすっごい。俺たち出番ないんじゃないの?」

「バカなこと言ってないで。行くわよ、二人とも」

「うんっ!」

 

ここで傍観…というか入る余地のなかった三人のアマゾたちが動く

カラスアマゾンの布束が先陣を切り、彼女を追うように赤と緑のアマゾンが追いかけた

構えなおすアマゾンネオの横を通りすがり、ザモナスへと攻撃を仕掛ける三人を見て、アマゾンネオは一瞬動きを止めた、がすぐに後に続くようにアマゾンネオも攻撃にかかる

 

<出番がないと寂しいんだゾ?>

「わかってる!」

 

走りながらアマゾンネオはインジェクターを操作し、今度は四度押すとそれを戻した

 

<スコアラー フォー ミカ=ジャウカーン>

「<解剖の時間なんだゾ!>」

 

同じように幻影が重なると、アマゾンネオは三人の連携の合間を縫うようにザモナスへ飛び蹴りを打ち込み、距離を開かせる

そのあとで周囲に赤いクリスタルのような結晶を生み出すとそれをザモナスへと叩き込んだ

 

「ぐぉぉっ!?」

 

体勢を整えていなかったおかげでザモナスはそれらをまともに喰らった

どうにか踏ん張ってダウンは耐えたみたいだが、もう長くはないだろう

 

「equal これでおしまい」

「おい青いの、フィニッシュは譲るぜ」

「え?」

「僕たちから先に行く!」

 

アマゾンネオの言葉を待たず、先に動いたのはカラスアマゾン

即座にザモナスへと駆け寄るとシンプルなあびせ蹴りを叩き込み、ザモナスから体力を奪う

 

<Violent Strike>

<Violent Strike>

 

そんな電子音が鳴り響くと共にアマゾンアルファとアマゾンオメガが跳躍し、ライダーキックの同時攻撃で追撃

当然避ける暇などなかったザモナスはどうにか防御したものの、そのまま更に後方へと吹き飛ばされる

 

アマゾンネオはインジェクターを倒したあと五回以上押し込み、それを戻し、再度インジェクターを操作すた

<オートスコアラー アルケミスト>

<Amazon Strike>

 

彼の周囲に現れる、四人の影

いつかの仲間たちは思い思いのポーズのまま、そのままアマゾンネオへと重なる

そしてアマゾンネオは空高く跳躍すると真っ直ぐに右足を突き出してアルケミストアマゾンストライクを放つ

 

「クソッタレがぁぁぁぁぁっ!!」

<ザモナス タイムブレーク!>

 

それは気力を振り絞った最後の抵抗だったのだろう

力を込めたその拳を打ち出して、アルケミストアマゾンストライクに太刀打ちしようとしたが、目論みは叶わず、そのままタイムブレークごと貫通されザモナスを撃ち抜いた

 

「そんな…! バカなぁぁぁぁぁっ!!」

 

あっけない慟哭

射抜かれたザモナスは威力を殺しながら着地しているアマゾンネオの背後でドォン、と大きな爆発音と共にその場から消滅した

 

戦いはこうして終わりを告げる

アルファはネオの近くに歩み寄るとその背中を軽く叩いて

 

「おっす。おつかれ」

「え? あ、は、はいっ…おつかれ、さまです」

「なんだなんだ、戦ってた時の勢いはどこ行っちまったんだよ〝千翼〟ぉ。…あれ? なんで俺名前知ってんだ?」

 

アマゾンアルファは困惑し始める

そんなアルファに向かってオメガも歩み寄りながら

 

「…どうしてだろう、なんでか僕も名前が思い浮かぶよ、千翼」

「奇遇ね。meto 不思議なこともあるものね」

 

カラスアマゾンもオメガの言葉に同意する

ここの三人は知らないが、オメガ、アルファ、カラスアマゾンとは別の存在だがアマゾンネオ―――千翼に多大な影響を及ぼした人たちだ

 

アマゾンネオがどう答えようか迷っているとき、不意に強風が吹き荒れる

突然の強風にアマゾンネオは思わず顔を手で覆った

手を顔から戻したとき、不意にぽん、と頭に手を置かれたような感覚があった

 

「…え?」

 

きっとそれは幻覚だったのかもしれない

多分そうなのだろう

どういうわけか、目の前に自分の父親である〝鷹山仁〟がいたのだから

いや、仁だけではない

その後ろには〝水澤(ミズサワ)(ハルカ)〟と〝イユ〟といった、かつて自分と敵対したものと、守りたかった人がいた

仁はゆっくりと口を開く

 

―――悪いな、お前には父親らしいことなーんにも出来なかった。…今度はしっかり生きてくれよ、…俺の分まで

 

水澤悠も続く

 

―――君ならできる。…君にはもう、仲間がいるから

 

イユは何も言ってくれなかった

ただその代わりに、笑顔を見せてくれた

心の底からの、太陽みたいな、笑顔

仮面の下で、千翼は思わず涙が出そうになった

その涙をこらえ、アマゾンネオは言葉を綴る

 

「―――うんっ…!! 俺…生きるよ。―――今度こそ、〝生きる〟よッ!!」

 

それがアマゾンネオの言葉だった

その言葉を皮切りに、出現したときと同じようなオーロラが出現しアマゾンネオを覆いこむ

気づいた時には、アマゾンネオの姿はもう消えていた

 

「…何だったんだろうな、アイツ」

「…最後、誰かと話していたみたいだけど」

「…わかんない。…けどあの青いアマゾン、嬉しそうだった」

 

(ユウ)の言葉に布束はそうね、と肯定する

自分たちはちっとも意味は分からなかったが、あの青いアマゾンには意味はあった

なら、それでいいじゃないか

 

どういうわけか、不思議とそう思えたのだ

 

◇◇◇

 

振るわれた黒い拳をアールエックスは目の前のバールクスに攻撃を仕掛ける

バールクスもその拳を受け止めながら、押し返して反撃とばかりにケンカキックを繰り出した

腹部に軽い一発をアールエックスはもらったがその程度で怯みはしない、お返しと言わんばかりにアールエックスはシンプルなストレートパンチをバールクスの胸部に叩き込んだ

 

「ぐぉッ!!」

 

思いがけない力のこもった一発に吹っ飛ばされバールクスはゴロゴロと地面を転がる

そんなバールクスに対して、アールエックスは一つ問いかけた

 

「…答えろ、なんでこの世界に来た、お前の目的は」

 

ゆっくりと立ち上がりながら、仮面の下でニヤリと笑みを浮かべながらバールクスは「ふん…」と適当に息を吐きながらアールエックスを見やると

 

「いいだろう、冥土の土産に話してやる。どうせ理解できないと思うからな」

 

くくく、と嘲るような小さい笑いと共に、バールクスはその質問に答え始める

 

「…俺たちの目的は、〝セカンドテイナー〟の作り出した、世界の排除だ」

「…〝セカンドテイナー〟?」

「知らないのも無理はない、〝知るはずのない〟言葉だからなぁ…。この世には、〝エンターテイナー〟と呼ばれる、素晴らしい世界と、物語を紡ぐ創造神のような存在がいる…俺はそんなエンターテイナーの生み出した物語が大好きでなぁ…」

 

? とアールエックスは首を傾げる

何を言っているんだ、目の前のこいつは

言葉が何一つ理解できない―――それどころか、理解してはいけないような、そんな気さえする

 

「だがある日、そんな素晴らしい物語を捻じ曲げ、ありえない〝もしも〟のようなありえないイフのような世界を生み出す、愚かな連中が現れた。―――それが〝セカンドテイナー〟だ」

「…なんだと?」

「エンターテイナーの生み出した、素晴らしい物語に泥を塗りたくるようなその愚行を、俺は許せない。そんな創造神の真似事をするような、愚かしいセカンドテイナー共も! そのセカンドテイナーによって生み出された、下らない世界も!! だからすべてぶっ壊すと誓ったのさ、下らない願いを振りかざす、セカンドテイナーの世界をなぁ!! ―――リボルケイン!!」

 

叫びながらベルトから一本の剣を取り出すと、アールエックスに向かって攻撃を仕掛けてきた

アールエックスはすかさずその攻撃を防御して接近戦へと持ち込む

 

「これまで幾度もセカンドテイナーの世界を滅ぼしてきた!! 奴らはその世界には存在しえない力を介入させることで、本来ある物語の道筋を捻じ曲げる!! 死すべき人間が生きていてほしい! あの時もしあんなのがあれば!! そんなつまらない理由で! 素晴らしいエンターテイナーの物語を汚した!! それだけで許されざる罪だ!!」

 

ギリギリとバールクスは少しづつアールエックスを追い詰める

気迫はどうやら本物のようだ

それに〝物語〟という言葉

 

あの時ああしていれば

もしもアイツを救えていれば

 

そういった世界は、その〝セカンドテイナー〟が願った世界だろう

いいや―――そういった世界を、もしかしたら誰もが願ったから、セカンドテイナーが生まれたのかもしれない

そんな〝もしも〟を、少しでいいから夢に見たいから

アールエックスは拳を握り、足に力を籠める

 

「つまらない理由なんかじゃない…!」

「なに…!?」

「あの時ああしていればなんて、人間誰もが考えることだ、ましてやそれが大好きな物語なら尚更! そんな〝もしも〟を、みんな思い描いているから、セカンドテイナーってやつは生まれたんじゃないのか!! 誰かの願いを、カタチにするために!!」

「願いだと…!?」

「あぁそうだ!! 誰かがそんな優しい世界を願ったから! みんな笑ってほしいって祈ったから! そういう世界が生まれたんだ! …正直俺には、そこにどんな意図があるのかとか想像もつかない…だけど、その願いの否定はさせない…!! お前の個人的な癇癪で! この世界は奪わせない!!」

 

そのままアールエックスは軽く地を蹴って勢いをつけるとバールクスの顔面に飛び蹴りを叩き込んだ

「ぐあ!?」と不意打ちに反応できず後ろへ下がったバールクスに向かって、アールエックスはあの剣の名前を叫ぶ

 

「〝サタンサーベル〟!」

 

叫びと共に、アールエックスの手に現れる一本の赤い刀身の剣

アールエックスはそれを構えるとバールクスに向かって斬りつけた

 

「ぐっ! なぜおまえがそれを!?」

「答える必要なんかねぇ! ―――ライダーパンチッ!!」

 

そのまま力を込めた拳をバールクスに叩き込む

大きく吹っ飛ばすバールクスに対して、アールエックスはサタンサーベルを仕舞うと地面を叩いて跳躍した

 

「RXキック!!」

 

突き出される両足から繰り出されるドロップキック

バールクスは自身が生んだリボルケインでそれを防ごうとするが相手の力が強かったのか、リボルケインが弾かれて大きく体制を崩してしまった

 

「リボルケイン!!」

 

すかさずアールエックスは先のバールクスと同じようにベルトのサンライザーから一本のソレを引き抜き、その勢いのままにバールクスにリボルクラッシュを突き刺した

そのまま両手にリボルケインを握りしめて、エネルギーを流し込む

 

「ぐ! ぉぉぉぉぉ…!?」

「これからも、そんな願いは続いていく…! だが、誰かの願いを認められない、お前はここで終わりだ!」

 

アールエックスはリボルケインを引き抜いた

そのままRを描くように動かすと、Xを描くように頭の上で両手をクロスさせると左手をベルト付近に、リボルケインを持った手をベルトの真横に構えると火花がほとばしるバールクスを背にする

 

「ば、かな…! 俺が…! このおれがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そんな断末魔を最後に、バールクスは大きな爆発と共に消えていった

振り返ることなく、アールエックスはリボルケインをしまうと、ふぅ、と息を吐きだす

 

「…さて。俺の役目は、ここまでかな」

 

ふと目の前に、来た時と同じようなオーロラが広がっている

変身を解除した浩太郎はそのオーロラへと歩きながら、先へ進んだアラタたちの方を見て

 

「あとは頑張ってくれよ。この世界の仮面ライダー」

 

短く激励の言葉を投げると浩太郎はオーロラへと歩いて行った

オーロラが消えたとき、もうその場には誰も残っていない

ただ、静寂だけだった




エンターテイナーとかは〝電撃学園RPG〟で出てきた単語です
多分もう出てきません
あ、セカンドテイナーはこっちで作った言葉なので電撃学園の単語じゃありませんよ
ありそうだなって思ったんで作りました


狼牙竜さんの千翼についてはああいった裏設定があるんだよーというお話をいただいたのでそれだったらこういう能力ありそうだなーという風に自分なりに想像を膨らませてああいった感じになりました
狼牙竜さん、今回は本当にありがとうございました

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