とりあえず完成したのではありますが、愛も変わらず微妙な出来…
私に自信なんてものはない(白状
いつもどおりな出来ですが楽しんでいただけたのなら幸いです
ではどうぞ
欠けた月が闇夜を照らし、時間も過ぎゆくこの時間帯
場所はどこかの取引現場
人気も少なく、場所も廃れた廃墟の場所に、何人かの男がいた
そいつらは無線で連絡を取り合っている
「―――確認しろ。指定時間は過ぎているぞ」
<こちらポイントA。それらしい人物は見当たらない>
◇
「なんだ、逃げたのか…? ははっ、吹っかける相手を間違えたみたいだな」
一人の男は無線でそう連絡をしながら車の中で待機していた
どうやら今日の取引は何事もなく終わってくれそうだ―――そう確信しかけたその時
<そんなことないわよ>
こちらの無線に割り込んでくる女の声
誰だ、どこからだ!? と男は動揺し辺りを見回すが周囲にそれらしい人物は見当たらない
<おい、今の声なんだ!?>
<ちゃあんと来てるじゃない。―――アナタのそばに>
そう無線から女の声が聞こえて数秒後―――その車は爆発する
正確にはその車の近くにいつの間にかセットしてあったぬいぐるみが爆発したのだが―――
目の前でそれを見ていた男はアタッシュケースを握り、爆風から身を守ろうと手で己を庇う
◇◇◇
「―――おい、聞こえるか!? 中止、取引は中止だ! そちらも至急撤退―――」
そう言いかけたポイントAの男は背後に誰かが降り立つ気配を確認した
すたり、と着地してきたのは女だった
月光に照らされた金髪の髪に、幼げのある立ち姿
「―――お、前は…」
「―――ふふんっ」
目の前の金髪の女は口角を歪ませ笑みを作り、そして
◇◇◇
「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!!」
叫び声が聞こえた
聞こえた方向からすると恐らくポイントAにいた男だ
自分もとっとと逃げなくては、恐らく同じ目に合わされる
そう判断した男は自分もここから逃げ出そうとして―――目の間に誰かいることに気がついた
フードを頭に被った、女の子だ
「き、貴様っ!」
男はすかさずナイフを構える
それに対して女の子取った行動はとてもあっさりしたものだった
「―――はぁ」
彼女は一つ息を吐くと一気に接近し、そのナイフを持つ手に鋭い蹴りを叩き込んだ
「いぎっ!?」
手首に走る鋭い痛み
持っていたナイフは吹っ飛び地面をコロコロと転がり、男はあまりの痛みに膝をつく
すぐ近くには女の子がいる
彼女は自分の意識を刈り取ろうと再度蹴りを叩き込もうとするが、男はすんでの所で後ろに大きく飛ぶことでそれを回避した
そして自分の懐に忍ばせていた、もう一つの道具で、自分だけでもなんとか奪回を図る
男は取り出したそれのスイッチを押して、起動させた
<ZEBRA>
そしてそのまま首筋へとそのメモリを挿入させ、己の体を化物へと変化させていく
それを見ていたフードの女の子はもう一度ため息を吐いて
「…超めんどくさいですね。…遼馬、出番ですよ」
「みたい、だね」
先ほどフードの女の子が出てきたところから歩いてくる一人の男
着替えやすい黒のワイシャツにジーンズを履いた男は天へとその手を伸ばす
するとどこからともなく彼の手に何かが飛来し、手に収まった
収まっているモノは、クワガタのような形状をしている
彼はそれを顔の近くで構えながら、呟いた
「―――変身」
そしてそれを自身の腰に巻きつけてあるベルトへとセットする
<HENSHIN>
クワガタのアイテム―――ガタックゼクターからそんな電子音声が響き、男―――鏑木遼馬を変えていく
やがて全身へと行き渡ったその姿は青い装甲に包まれた戦士の姿―――マスクドガタックになっていた
赤色の複眼に、分厚そうな鎧、そして両肩に備え付けられたキャノンのようなものが特徴的だ
「―――お前は…!」
「名乗る必要は―――ない」
直後に彼の両肩のキャノン―――ガタックバルカンから光弾が発射され、ゼブラドーパントを容赦なく焼き払う
数秒間乱射し続けて、煙が晴れたときには倒れた男と、彼が使用したメモリだけ
マスクドガタックはメモリへと歩み寄ると、躊躇なく踏みつぶす
「…これで、終わりかな」
「えぇ、多分終わりです。超お疲れさまでした、遼馬」
◇◇◇
「えぇ、またぁ? …別にいいけど…。で、相手は? 製薬会社って…管轄外じゃないの?―――」
自分たちのリーダーが髪をいじくりまわしながら電話で話をしている
そういった交渉仕事は基本的にリーダーに任せて、自分たち構成員は目の前の仕事に集中する
「けどさ、結局水着って人に見せつけるのが目的ってわけだから、誰もいないプライベートプール行っても意味ないっていうかー」
金髪の女の子―――フレンダが男から拳銃のマガジンを抜きつつ、そんな日常の会話をしている
それに返事をするのは、同じように先のドーパントへと変異した男を壁に叩きつけ、完全に意識を刈り取りながら視線フレンダへと向けるフードの女の子―――絹旗最愛
「だけど、市民プールは人が超混んでて、泳ぐスペースなんて超ありませんけど」
「それもそうなんだけどねぇ。…絹旗はいいよねぇ、見せる相手いるし」
「なんです? 超羨ましいですか? 遼馬はあげませんよ」
言いながら絹旗は遼馬と呼ばれる男性の元へ小走りで駆け寄ると彼の腕へと抱きついた
抱きつかれた遼馬はもう一人のメンバー、滝壺理后と取引のブツを確認していた最中で、唐突なことに驚いている
「ど、どしたの最愛」
「なんでもありません。超気分です」
ふふん、と僅かに笑みを浮かべる絹旗に笑みを作る鏑木
フレンダは相変わらずなその二人を見て立ち上がりながら
「かーっ。結局お二人さんはおアツイってわけよ。あ、滝壺はどう思う?」
「うん。かぶらぎときぬはたは仲良し」
「そっちじゃなくって。プールよプール」
「そっち? …そっちは、浮いて漂えるスペースがあるなら、どっちでもいいよ?」
その言葉にフレンダは苦笑いする
どう返せばいいんだろう、と苦い顔をしているとパチン、と手を叩く音が耳に聞こえた
「はいはーい、お仕事中に駄弁らないイチャつかない。新しい依頼が来たから戻るわよ」
「新しい依頼? なんです、それ」
腕から離れる絹旗を軽く撫でつつ、鏑木はリーダー―――麦野沈利に聞き返す
麦野は鏑木からそう問われると小さく笑みを浮かべながら
「まぁわかりやすく表現すると、正体不明の
「それで、いつ?」
アタッシュケースを鏑木から預かりながら、滝壺がそう問うた
それに対して麦野はやれやれと言わんばかりに両手をあげて
「わからない。色々不明瞭な依頼でさ」
「えー、なにそれ。…まぁ麦野がいいなさいいけどさ」
ぶーっという表情の後でフレンダがしかめっ面をする
その話を聞いた絹旗は大きく背伸びをした後に
「まぁ、超ちょうどいいとは思いますけどね」
「えぇ。ピッタリよ。―――私ら〝アイテム〟の仕事としては」
◇◇◇
時間帯は午前の十時ごろか
青空の見える中、黒い大きめなワンボックスカーの中にアイテムのメンバーはいる
リーダーである麦野沈利を中心にフレンダ、絹旗、滝壺、そして鏑木の五人のメンバーからなる暗部組織である
最も軽い雑用処理などは鏑木の仕事なのであるがそれに対して特に不満はない
アイテムは現在モニターの前にメンバーが座り、上司からの声に耳を傾けている最中である
「…電気を扱う能力者ねぇ」
<通信回線を使ったテロと、電気的なセキュリティに引っかからないことから、そう推測されているみたいね。最も、依頼主の方も誰かは特定できてるっぽいんだけどねぇ>
「…目星がついてるのなら、なぜこちらから超襲撃しないのですか。不意をついた方が超楽勝だと思うのですが」
<…手出しは目標が施設内に侵入してきた時のみ、素性は詮索しないというのがオーダーよ。依頼主のね>
「…なんですかそれ。正直あんまり目的がわかりませんよ」
「鏑木の言うとーりってわけよ! 全く意味がわからないんだけど!」
そうフレンダの文句に上司の声も若干苛立ちを露わにしながら
<なによ。私だって受けたくて受けたわけじゃないわよ! それにこういう依頼には向こうにも色々事情があるの! ゴチャゴチャ言わないで仕事しろ!>
思いっきり逆ギレされた
それに対してフレンダはかぶってる帽子をかぶり直し「はぁい」と短く返事する
今まで黙っていた滝壺は目を伏せつつ呟いた
「やることは、待ち伏せして倒す、ってことだけか」
「そう、内容は単純。…なんだけど、問題は二箇所狙われるかもしれないってことなんだよねぇ」
滝壺の言葉に麦野が口を挟んだ
どうやら守らないといけない施設は二箇所あるようだ
メンバーをどう振り分けるか悩む麦野に向かってフレンダは勢いよく挙手しながら
「はいはーい! 片方には私一人で行く!」
「…えぇ?」
「なんでです? 超不満そうだったのに」
「それとこれとは別ってわけよ! 単独撃破なら、結局ボーナスもゲットでしょ?」
欲望ダダ漏れなフレンダに麦野と絹旗はため息を漏らす
別段彼女の実力を侮っているわけでもないのだが、それでも妙に不安が残るのも事実なのだが
「まぁわかったわ。…だけど、連絡は必ず入れること。―――先走るんじゃないわよ」
麦野の言葉にフレンダはウインクをする形で答えた
「気をつけてねフレンダ」
「わかってるってー! 心配症だな鏑木はっ。ボーナスゲットしてみんなで打ち上げとかでも行こうって訳よ!」
…大丈夫だろうか
◇◇◇
夜
風力発電のプロペラがくるりくるりと回っている中、一人の女の子がとある研究所を見つめている
帽子を被り、半袖と短パンを履いた女の子の名前は―――御坂美琴
「ここを潰せば…あと一つ…」
黒子やアラタに相談することなく、たった一人でいくつもの研究所を破壊してきた
潰した研究所は地図に印を書き入れておいたから、数は間違っていないはずだ
(―――どのくらいのペースで実験が行われてるかは、興味ないけど―――)
そう思案しながら美琴はその場から跳躍する
自身の能力を用いて着地し、その研究所を睨んだ
(今日で何もかも終わらせる…!)
◇
そんな美琴を遠目から見ていた数名の男性がいた
「…依頼にあったのはアイツか」
彼は自分の近くにいる黒いレザージャケットを着込んだ男性に問いかけた
問いかけられた男性はタブレットを操作して送信された情報と照らし合わせる
「間違いないわ。超能力者の第三位。…全く嫌な話よね、面倒な研究の対象に選ばれちゃってさ」
彼はそんなオネエ口調で呟きながらタブレットを閉じて深くため息をする
報告を聞きながら男性はアタッシュケースの中から一つのドライバーと一本のメモリを取り出して
「まぁ、世話になっている博士からの頼みだ。何もないに越したことはないが…行ってくる」
「ほかのメンバーはどうするの?」
「待機だ。恐らく俺一人で事足りる」
「了解よ。気をつけてね」
自分を見送る声を聞きながら男性はその場から飛び降りた
こうして彼女の知らぬ間に、もう一人の人物がその研究所に侵入した
◇
「…ギャラに釣られて手を挙げちゃったけど…結局こっちに来ない可能性もあるってことなのよねぇ」
足をバタバタさせながら人形を弄ぶのはフレンダ=セイヴェルン
アイテムのメンバーだ
周りには弄んでいるやつのとは別にたくさんの人形が散らばっている
「結局もう一個の方に行っちゃったら、こんなに退屈したのにぜーんぶ無駄に―――」
そう呟いた刹那、耳にドォン! と言う轟音を耳にした
それは誰かがこの研究所に侵入した証拠
つまり退屈せずに済むという話だ
フレンダは勢いよく跳ねおきながら
「キタキタキターっ!」
結局日頃の行いって訳よ! と内心で喜びながら戦闘準備へ入るのだった
◇
「…目的の施設は最上階か…」
携帯端末でハッキングした美琴は画面に表示された施設の場所を見て小さく呟いた
彼女は携帯端末を折りたたみそれを短パンのポケットに仕舞う
角に隠れながら美琴はちらりと先を覗き見る
ここをまっすぐ進めれば上へといけるのだが…
(何事もなく行ってくれればいいけど…)
心内で思いながら美琴は歩を進めようとした―――その時
天井から火花が迸り爆発する
美琴は磁力を用いて落下してくるコンクリートの軌道をずらすことでそれを咄嗟に回避した
「…ま、そう簡単には行かないか」
そう呟いて美琴はゆっくりと周囲を警戒しつつ進み出す
それを物陰から見ていたフレンダは内心驚愕していた
(…一つも当たんない? 磁力で落下物の軌道をずらしたんだ…。この能力者、デキるわね…)
けど、簡単にミッションを遂行できたらそれはそれで面白くない
フレンダは小さく笑みを浮かべながら移動を開始した
ここに、フレンダ対御坂美琴が開幕する―――
◇◇◇
一方で、もう片方の研究所にて
「本当か」
「はい、病理解剖研究所の方に現れた、とのことです」
職員の一人が局長と思われる人物にそう報告する
局長は安堵したように息を吐きながら次の行動を指示していく
「よし。こっちも移送作業を進めてくれ」
「はい」
「あの、すみません」
不意に局長に向かって別の職員がやってきた
彼は局長に近づいて
「ん? どうした?」
「あの…お客様が」
◇
待合室に一人の女性と、一人の男性がいる
女性は飾られている風景画でも見ながら時間を潰し、男性は椅子に座りながら呆けている
やがてガチャリ、と音がして誰かがここに入ってきた
見た感じはここの最高責任者だろうか
「いやぁ、お待たせしました。はじめまして。…えっと…?」
「―――御社のテスタメントの監修をしました。…布束です」
◇
「わざわざありがとうございます。とりたてお願いすることはないのですが、何分これだけ大掛かりな移送は始めてなのもので。それで、レディオノイズ計画の頃からいた布束さんに、万が一のためにいてもらおうかと」
いけしゃあしゃあとよく口が回る
その万が一が起こったときに全ての責任を押し付けるためにここに呼んだことなど、とっくの昔に気がついている
布束はとりあえず出されたコーヒーについていたミルクの封を開けながら返事した
「了解しました」
感情など一切篭っていない声色
そのことを知ってか知らずか、目の前の男は「いやあ助かります」などと呟いたあとこの場を後にした
―――動き出すなら、今だろうか
布束は左腕に装着している〝とあるアイテム〟を確認するように、白衣の上からそれに触れ
「―――貴方はここで待っていて。悠」
「うん。けど、何かあったら」
「ええ。―――わかっているわ」
布束はその場から立ち上がり、周囲の視線を気にしつつ、この場を後にする
―――アレを実行するなら、襲撃と移送準備で警備が疎かになっているこのタイミングしかない
◇◇◇
「はぁ…はぁ…はぁ…」
御坂美琴は肩で息をしている
正直に言って、状況はかなりまずい
目の前に現れたあの金髪女―――フレンダを追い掛け回しているうちに、自分はこの広い施設に誘い込まれた
逃げられないのは向こうも同じ
しかしそれとは違う危険が美琴を襲っている
それはイグニスと呼ばれる気体爆薬
相手が投げてきたビンを雷撃で迎撃したとき、軽く爆発を起こしたそれが、美琴が今いる部屋にばら蒔かれている
その爆発に気を取られた隙に、フレンダがパルプを回しその気体をこの部屋に侵入させたのだ
雷撃で発火した時に、小規模の爆発が起こったそれが、部屋全体に充満した状態で発火したらどうなるか
考えなくてもわかることだ
―――というのは、御坂美琴の勝手な推測だ
確かに一番最初に放り投げたのは本物だが、今充満しているのは単なる窒素ガス
咄嗟に放ったブラフではあったが、効果はあったみたいだ
そこから先はフレンダの一人勝ち
素手でもそこそこいける彼女はキックと投げの連携で形勢を逆転させ、かなり優位な状態に立っている
そう、相手がどんな高レベルでもこちらのペースに嵌めてしまえばこの程度
あとはこのまま痛めつけて、撃破で任務完了だ
「…さって。そろそろケリをつけよっか。粘った方だとは、思うけど、ね」
そう言って靴の調子を確かめるように左足のつま先を軽くたたく
消してもいいが、そこまでする必要性は今のところ感じないので意識を奪うくらいで止めておこう
最も、骨くらいはへし折るつもりだが
「別に、アンタの運命や人生になんて興味ない。…それでも、ここまで踏ん張ったアンタに敬意を評して、苦しまないよう次の一撃で落としてあげる…!」
呟いてフレンダは渾身の蹴りを美琴に叩きつけるべく助走した
今繰り出す蹴りは、鏑木がライダーキックする際にする動きの真似事ではあるが、意識を刈り取るには十分な威力のはず
一気に接近し美琴の顔面にその蹴りを見舞うべく己の足を繰り出した―――が
バキィ! と美琴の腕に阻まれた
(うそ、まだそんな力が!?)
「―――こんなところで、終われねぇのよォッ!!」
そのまま美琴が空いてる手で拳を作りそれを突き出してきた
今現在、フレンダは飛びまわし蹴り…いわゆるボレーキックを叩き込もうとしていた最中で、もう片方の足は跳躍のために使ってしまっているので、わずかばかりに宙に浮いてる状態だ
そんな状態でパンチなんて受けたら、どうなるか
「っがふっ!」
割といい一撃が極まり、地面をゴロゴロと転がってしまった
けほけほと軽く咳をしながら立ち上がった拍子に、スカートの中からツールが溢れてしまった
それは扉などを焼き切る際に用いられるツールで、この部屋も事前にフレンダが仕込んだ着火式のトラップが敷き詰められている
そんなトラップに、着火専用のツールが触れるとどうなるか
「しまっ―――!」
当然ながら爆炎が迸りフレンダは身を転がしてその炎を回避する
しかしそれは、自分の
それを目撃した美琴は軽く手のひらから雷を迸らせる
「…なぁんだ。…こんな初歩的なハッタリに引っかかってた…てことか」
「―――ホッント、私ってば最後の最後でツメが甘いなぁ…ハハッ」
フレンダは苦笑いをしつつ、身体を脱力させる
流石に雷撃を伴った彼女には勝てるビジョンが思い浮かばない
自分の戦い方の基本は裏をかいての奇襲は襲撃
現状相手の警戒心はマックスだし、接近しても雷が飛んでくる
―――詰みだ、これ
「―――とりあえず計画について知ってることを洗いざらい吐きなさい。そうすれば黒焦げだけは勘弁したげる」
「…、」
正直計画とか全くもって意味わかんない
とはいえ変に答えるとこの女の怒りを買うかも知れない
フレンダは美琴の眼光を見据える
―――大丈夫だ、この女は誰かを〝殺せない〟
黒焦げ、という言葉は本物だとしても、喰らえば〝重症〟は間違いないだろうが死ぬことはないだろう
だから―――フレンダは甘んじて黒焦げを選択することにした
「…そう。仲間は売れない、ってわけ。…嫌いじゃないけど―――」
その時だった
外側からドアごと貫通して熱戦が美琴を襲う
咄嗟に美琴はバックステップし、それを回避するが、避けられたその熱線は反対の壁に直撃する
ちらりとその壁を見やると、かなりの高温で溶けており、そこから溶けた壁だったものがドロリと溶け出した
「―――あんまり静かだから、やられちゃったと思ったケド」
ぶち開けられた扉から一人の女が歩いてくる
よく見ると彼女の後ろにも別の女性がこちらを伺うように覗いていた
紫色の服を着こなすその女はこちらの様子を一瞥し、フレンダの安否を確認すると
「―――危機一髪、みたいね。―――フレンダ」
小さく微笑みながら、その名前を口にした
戦いはまだ―――終わってない
鏑木遼馬と絹旗はリメイク前は気の合う友人みたいな関係でしたが今作ではすっ飛んで恋人同士になってます
また全体的にアイテムの一部のキャラは若干丸くなってます(若干ネ