全ては誰かの笑顔のために   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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なんかがっこうぐらしみたいなサブタイになった
あとキャラ崩壊警告(してないよっていう意見もあるかもですが念のため)

出来はお察し

誤字脱字見かけましたら連絡をば

ではドウゾ


#0.5 あれから

学園都市

 

東京西部に位置する完全独立教育機関の事

 

そこには総勢二百三十万人もの人口(その八割は学生)が滞在し、日々自身の能力開発に打ち込んでいる

 

そんな学園都市の第七学区

 

この区は主に中高生の少年たちが多く住み、故に学生が多い

高級感あふれる〝学舎の園〟や逆に治安の悪い裏路地など雰囲気は様々である

そんな七区の一角

時刻は夜

夜と言ってもまだ七時前後の時間帯

 

一人の男子学生がふわぁ、とあくびを噛み殺しながら道を歩いていた

彼の片手にはビニール袋をぶら下げており、その中には後輩に頼まれた弁当が入っている

当然買うときに温めますか? と聞かれたがそれは支部で温めればいいやと考えた彼はそれを拒否、さっさとお金を払ってお釣りを貰い出てきた所存である

 

「…目的のものは買えたし、さっさと初春と黒子に持って行ってやらにゃあね」

 

本日も書類整理ともろもろが重なって夜遅くまで事務作業している彼女らに弁当でも買ってくるよと言って自分は外に出たのだ

常日頃頑張っている彼女らにたまには先輩らしいことでもしよう、ということで今回は自分がお金を出すことにした

 

「…結構使ったな」

 

少し財布が軽くなってしまった

見栄を張りたい気持ちもあるが、これからは自重しようと肝に銘じる

と、そこで前方の通路から話し声が聞こえてきた

見ると一人の女生徒が数人の不良らに絡まれていた

学園都市と言えど半数が学生、こう言った輩も少なくはないのだ

 

「こ、困ります、私、これから友達と…!」

「いいじゃんよぉー…夜道の一人歩きは危険だぜぇ?」

「そうそう、だから俺達が一緒に行ってやるって言ってんだよー…なぁ?」

 

そう言って三人いる不良グループの一人が女生徒の顔にずい、と自分の顔を近づけた

女生徒は「ひっ」と小さくかつ短く悲鳴を上げて若干顔を引く

そして小さく目を開けて周囲に助けを求めるべく視線を巡らせる

しかしその視線を合わせるものは一人もいない

当然の反応である

好き好んで面倒事を引き受ける人間などこの時代にそうはいない

 

「じゃあ、行こっか。さっさと」

 

そう言って不良の男は女性の手をつかもうとした時だ

ぱし、と横合いから伸びてきた

傍らにビニール袋引っさげた男性である

 

「…あぁ!? なんだテメ―――」

 

彼の言葉は最後まで言い切ることはなかった

ふと彼自身が気がついたときには自分の体は宙に浮いており、眼前には地面が見える

そのまま重力に引かれるように彼の体は吸い寄せられ、顔面から地面に激突

ゴシャア、と結構エグい音が聞こえ不良その一は激痛に悶えるように体をジタバタ動かした

 

「て、テメェ―――」

 

次に向かってくる不良その二

明らかに大ぶりな攻撃を軽く回避して彼の胸元に軽く手を添える

瞬間、何が起きたのだ言わんばかりに不良その二は口から胃液を吐き、その場に蹲ったあと、地面に顔から突っ伏した

腹を押さえているあたりまだ意識は残っている

 

「…あの人みたいにはいかないなぁ」

 

あの人は意識まで奪っていたのに自分がすると意識を刈り取れるまでに至っていない

まだまだ自分も下手くそだ

それを見た三人目の不良その三は徐にナイフを取り出して、身構えた

たがその構えはまるでなっていない

腹部を突き刺そうと低く構えた体勢からナイフを突き出してくるが、自分の体を横に動かすことで普通に回避し、足を不良その三の足に引っ掛けて地面へと突っ伏させる

どしゃりと倒れ手から離れたナイフを徐に手に取ると倒れている不良その三の顔のすぐ横に突き立てた

一歩間違えば刺さっていたかもしれない、という恐怖

 

「粋がるのもいいけどさ、ナイフなんて素人が持つもんじゃないよ」

 

少しだけトーンを低くし、彼は言う

不良その三はがたがたと短く震えだした

…やりすぎただろうか

 

◇◇◇

 

「じゃああとお願いします」

 

数十分後

 

周囲にいた野次馬の通報を受けて付近にいた風紀委員が急行してくる

本来なら自分がしょっ引けば問題ないのだが今回は腕章を支部に忘れてしまっているので他の風紀委員にやむなく頼んだのだ

定例会に真面目に出ていないから顔を知られていないから、というものあるのだが

 

「じゃあ後はお任せを。ご協力ありがとうございます」

「はい。では自分はこれで」

 

短く挨拶をしてその場から立ち去ろうと踵を返したときに

 

「あ、あのっ」

 

女生徒に声をかけられた

なんだろうとかと思い振りかえり女生徒に視線を合わせる

 

「その…ありがとうございました…」

 

涙ながらにそう言われて、彼は笑って女性に返答する

 

「別に大したことしてないから。そだ、なにかされてない? 大丈夫?」

「はい、特になにも…」

「じゃあよかった。それじゃあまた」

 

短くそう返すと彼は改めて支部に向けて歩を進めた

…弁当とかは大丈夫だろうか、と気になって歩きながらビニール袋を徐に開けて弁当を確かめる

少しおかずが溢れたりはみ出たりはしているが別に食べれないというほどでもない

問題はないだろう

 

そう思いながら道を歩くのは、この町の高校生、鏡祢アラタ

一七七支部に属している、風紀委員の一人だ

 

◇◇◇

 

がちゃりとノブを回して鏡祢アラタは支部の扉を開けた

視界には名門常盤台の制服を来たツインテ女子と柵川中学の制服を着込んだ頭に花の…カチューシャをつけたおかっぱ頭の女の子が入ってくる

ツインテ女子はコーヒーでも入れていたのか起立しており、初春は目の前のパソコンをカタカタとタイピングしている

 

それぞれ名前は白井黒子と初春飾利

両方ともアラタの後輩である

黒子は大能力者(レベル4)空間移動者(テレポーター)で、本人の戦闘能力も高く、隣にいてくれるととても頼りになる存在である

初春は強度(レベル)こそ高くはなく、戦闘には不向きである

しかしその実態は卓越したパソコン操作技術にあり、おそらくこの支部では最も機械に強いだろう

 

どちらもなくてはならない存在なのだ

 

「ういー、いま帰ったぞっと」

「あ、お帰りなさいお兄様、いまコーヒーを入れますけど、お飲みになります?」

「飲む、っと、弁当買ってきたから、食いたい方を初春と相談して選んでくれ」

「うわぁい! ありがとうございますアラタさん!」

 

そう言って作業を一旦中断し初春はテーブルの上に置いたビニール袋に小走りで近づいていく

同時に机に置いてあった(忘れてた)風紀委員の腕章を手に取り、アラタはそれをポケットに突っ込みつつ中をなんとなしに見渡してみる

 

「なぁ、そういえば固法はどうした」

「固法先輩なら一足お先に帰りましたわー」

 

そう黒子は短く返答して、相談して選んだであろう親子丼を温めようとレンジの前に移動していた

初春は既に温め終えていたのか、自分の前に置いた焼肉弁当を美味しそうに食べている

実に幸せそうに食べている後輩だ

見ているこっちもなんとなく笑顔になってくる

ふと、もきゅもきゅしている初春がこちらの視線に気づき、ふいに頬を赤らめた

 

「…た、食べづらいですアラタさん…」

 

そう言われて悪いと苦笑い混じりに返答する

確かに大口開けてご飯を食べる姿など見られたら食べづらいに違いない

外に出ていた分、自分の仕事をこなしていこう

 

◇◇◇

 

「あ、そうだ白井さん、明日の約束忘れてないですよね?」

 

仕事もひと段落し、今日は帰ろうとなった時ふと初春がそんな事を口にした

 

「約束? あぁ、お姉様のことですのね」

「? なんか明日あるの?」

 

初春はそーなんですよー! と言いながらアラタに向き直って満面な笑顔を作る

すごい嬉しそう

 

「実は、御坂さんと会わせてくれるように白井さんに頼んでみたんです。そしたら明日OKって出たんですっ」

 

そう言って彼女はその場で満面の笑みを浮かべたままくるくると回り始めた

その回転はバレリーナみたいにくるくるしていた

 

「へぇ、よかったじゃないか。美琴は有名人だしさ。しっかりエスコートしてやれよ黒子―――」

 

そう言いながら黒子を見てちょっと思考が止まった

なんか知らないが黒子がぶつぶつ呟いている

しかも何やら黒い笑みを浮かべながら

クレヨンし○ちゃんみたいな笑みだ

 

(…これきっとあかんやつや)

 

そう思わずにはいられない、そんな笑みだった

 

◇◇◇

 

黒子や初春と別れ自宅という名の学生寮へ歩いていく

アラタが通う高校には男子は男子寮、女子は女子寮に住まう制度となっている

責任もってお子さんを預かる、という決意の表れか

 

「ま、憧れるからなぁ。超能力って奴は」

 

夜空を見上げながらなんとなしに呟いてみる

 

超能力

 

誰でも憧れたことはあるだろう

漫画やアニメでよく見るそんな力を使ってみたいと思ったことがないとは言えないのはアラタだって同じだ

しかし現実は非情なもので、才能がないものには容赦なく無能力者(レベル0)の烙印が押されれ不良になってしまうケースも珍しくない

 

「ま、今となってはどうでもいいんだけどさ」

 

そうして視線を正面に向けたとき懐に入れた携帯が震えだした

マナーモードにしていたことをすっかり忘れていた

携帯には蒼崎橙子の名前がある

またなんか面倒なことじゃないよね、と思いながらアラタは通話ボタンを押した

 

「…もしもし?」

<おぉ、アラタか。今どこにいる? もしくは帰るところか>

「…寮に帰るところだけど、どうしたの? なんかあった? メモリ関係? それとも魔術的な?」

<いや、ある意味それ以上に大事かもしれないことだ>

 

珍しく真面目な声音

ゴクリと唾を嚥下させて橙子の言葉を待った

 

<アラタ>

「…何さ」

<ちょっとタバコ買ってきてくれないか。不味いので構わないからさ>

 

―――ここまで緊張して損したと心から思ったことはない

 

「…切りますね」

<まぁ待てアラタ、なんでもいいんだ。セブン○ターとかそういうので―――>

 

プツリと電話を切った

はぁ、と深ァいため息を吐いた後、仕方なくコンビニに向かって歩き出す

橙子好みのタバコなど未だに把握していないが、本人がなんでもいいと言ってるので適当に買っていってあげよう

―――大事な恩人なのだし

 

「…高校生にタバコ売ってくれるコンビニなんてあるのかな」

 

常識的に考えてなさそう、っていうかないだろう

…普段から通っているコンビニに行って、もしそこに知り合いがいれば買えるかもしれない

買えなかったら…身分証明書とか不要な自販機とかで買うしかないだろうか

 

そんなどうでもいいことを考えながら、彼は夜道を歩いてく

そうだ、今晩は橙子のところで寝よう

コンビニを探す道すがら、アラタは思った

 

 

 

これらはほんの日常の一ページ

これからの物語がどう動くは、まだ誰もわからない

 

これは、誰かの笑顔のために戦わんとする男の物語―――




前作のプロローグの焼き直し

変えてないところもちょっとある

あと最近は牙狼とかハイスクールD×Dとかに浮気しまくってるから感覚が鈍ってる(言い訳


頑張ります、てか頑張らせてください(懇願

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