ゲート チート自衛官 彼の地にて理不尽に戦えり 作:メガネ二曹
高校生のメガネです。
授業が辛くて眠くてしょうがない····
でも明日は機械の実習だーやったー
ではGO。
―朝。アルヌス駐屯地、ゲート前。
そこには、二人の男が立っていた。
左の男、名は暁。
迷彩服に弾帯、サスペンダー、弾倉、マガジン、水筒、そして小銃を持っている。
左腕の腕章には、要人警護の文字が。
厚い生地の迷彩服を長袖で着て、日に当たっているが、汗をかいたり疲れた様子はない。
彼の体はほとんどが作り物。熱を受け付けない物質で出来ている為、汗を使って冷却する必要も、暑さを感じることも無い。
例え感じても、血管も、筋肉や骨すら通っていない彼の体は、汗を一滴も出さないだろう。
右の男、名は伊丹。
ただでさえ暖かい特地なのに冬用制服を着込まされ、制帽を被って、荷物をもっている。
手にはカバンと緑の上着。
防衛記念章も徽章も付いていない、階級章と名前だけの上着は、なにか寂しい。
そして暁とは対照的に、汗だくだくである。
「暑いってわかってんのになんで冬服きてんの?バカなの?」と思わないであげて欲しい。
何故なら、ゲートの奥。これから彼が行く祖国、我らが日本は、現在冬なのだ。
たまに資材を積んだトラックが通り、ゲートが開くたびにこちらに冷風が吹き込むのだが、
たまらなく気持ちいい。
そのため、彼は開くたびにゲートに向かって腕を広げ、風を受けていた。
それほど暑いのだ。
しかもこの時間帯。
日は上り、朝露を蒸発させている。
そのため、ムシムシした暑さが周囲を包んでいるのだ。
「····暑い·····暑い·····なぁ、暁、」
「なんですか?」
隊長がだるそうに話かけてくる。
「お前暑くねえの?」
「まあ、体が少々特殊な構造ですからね。」
「作り物···だっけか?結構うらやましいな。自由に動くし、動力もいらないんだろ?」
俺は苦笑いする。
「結構不便っすよ?指紋が無いから色々めんどくさいし、コタツとかでぬくぬくしててもあんまり暖かくないし。あと調子悪いと、完全に感覚が抜けます。」
「マジか。お前も苦労してんだな。」
「···ま、戦闘に支障は無いですし、いいんですけどね。俺、戦う以外出来ないし、やったことないんで。」
「···お前、彼女とか居たことねえの?」
「高一の時居ましたよ。愛想尽かされました。」
「作らねえの?」
「作り物で人殺しの化け物と付き合いたいヤツ居ないでしょう、?」
「暁···お前、「隊長ー」
伊丹が何かを言いかけると、後ろから声がした。
振り向くと、栗林と富田、そしてテュカ、レレイ、ロゥリィ、ピニャにボーゼスが居た。
「すいません、準備に手間取ってしまって。」
「いいや、良いよ。ははは。」
伊丹は苦笑いだ。
恐らく頭の中では「もっと速くこいよ畜生」とか思っているのだろう。
そんな事を考えていると、レレイ達に声をかけられた。
「アカツキ、」
「ん?どした?」
「ショウジュウがいつもと違う。ダンソウが曲がっているし、アクハの形状も異なる。そして何より、ぐりっぷと、すとっくの素材が違う。」
「本当ねぇ?」
「いつものより、少し短いわね。」
「ああ、コイツは89式小銃。自衛隊で制式採用されてる小銃だ。」
「?ジエイタイで制式採用されているのは、「ロクヨンシキショウジュウ」ではなかったのか?」
「64式は日本では退役済みの旧式なんだよ。陸自の部隊じゃもうほとんど使われてない。教育隊でも今は89さ。」
「?!そ、それは本当なのかアカツキ殿!」
ピニャが何故か驚いた表情でこちらを見ている。
「?はい。64式は、もう40年近く前から使われてましてね。1989年から89式に変わってます。今ココに持ち込まれてたのは、予備として倉庫に置いてあったヤツです。」
「あれが····40年前の旧式だと····?ほ、他の装備はどうなんだ?センシャとかは!流石に最新の兵器だろう?」
「ええっと、74式戦車はまだかなり使われていますが、最新のは10式です。74式は約35年くらい前からですね。ちなみに74式と10式の間に90式というのもあります。」
「た、大砲は?!」
「退役済みのが優先配備されていますが、現用の物もそれなりに持ち込まれています。」
「へ、へりこぷたぁは?!」
「あれは現用です。」
ピニャは少しほっとする。
流石に、帝国軍を圧倒的な力で蹂躙した装備が、あちらでは旧式だというのには耐えがたかったらしい。が、一部最新の物が使われていたので、少し安心したようだ。
(それでも30~40年は使ってますとか言ったら、絶望した顔になるんだろうなぁ···言わないでおこう。)
そんな暁を尻目に、何故かピニャはほっと息をつくのだった。
――――――
「ゲート、開きます!」
門の管理をしている自衛官の声がすると、門を覆っていたコンクリートのドームの扉がゆっくりと開いていく。
そして、ゲートが見えた。
真冬の日本からの冷たい風が吹き込む。
「じゃあ、行こうか。」
「日本へ。」
そして、レレイ、ロゥリィ、テュカ、ピニャ、ボーゼスの五人は、未知の日本へと、
暁、伊丹、栗林、富田は、久しぶりの祖国へと踏み出した。
前回よりはマシかな。
ではでは。