やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。   作:部屋長

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小町√ラストです!


やはり俺の妹はお兄ちゃん思いである。【後編】

 

 目が覚めた。しかし、どうにも身体に違和感がある。別に気だるさや痛みとかではないが、のしかかられている様な重みを感じる。

 閉ざしていた視界を開いてみると、肌色の何かが映った。同時に、唇にはしっとりとした柔らかさや生ぬるい液体のような感触が伝っていて──。

 

「んっ、はぷっ、んん……」

 

 寝ぼけている頭をフル回転させて考えてみる。

 

 俺、小町とキスしてね……?

 

 小町はうっとりとした表情で目を細めながら何度も唇を啄むように重ねてくる。

 あ、う、え? 何このイベント。俺起きたばっかだよ?

 

「んっ……ちょっ、なにしてんの?」

 

「えへへ、起きたらお兄ちゃんの顔が目の前にあったからさ。それでそのまま……ね?」

 

 いや、「……ね?」じゃねぇよ。可愛いすぎて死んじゃうから。

 

「だからってんむっ?」

 

 俺の言葉を遮るように小町が唇を重ねてくる。この子最初からちょっと飛ばしすぎじゃない? 

 

「んっ……いいじゃん、小町とお兄ちゃんはこ、恋人なんだからさ……」

 

 恋人と言うのが恥ずかしかったのか、頬を赤らめながらごろんと反対側に寝返った。

 え、えー……この子本当に小町? ってくらい可愛いんだけど。や、小町は可愛いんだよ? でも今までの百倍くらい可愛くて頭おかしくなりそうなんだけど。

 とりあえず小町のお腹に手を通して抱きしめてみる。

 

「ふふっ、お兄ちゃんは甘えん坊さんだなぁ」

 

 すぐにごろんと寝返った小町は俺の胸元に顔を埋めながら「えへへ」と嬉しそうに声を漏らす。いや、どう考えてもお前のが甘えん坊だろ。

 

「まぁ俺がこんなに甘えるのは小町だけなんだけどな。お、今の八幡的にポイント高いよな?」

 

 ふふん、どうだ? と得意気に言ってみたが、小町はうへぇ……とした感じで顔を歪ませた。辛い。

 

「はぁ……ほーんとお兄ちゃんってバカだよね」

 

「は? なにが?」

 

 聞くと、小町がもぞもぞと動いて俺と顔の位置が同じになる。そして、おでこ同士をぴとっとくっつけてきた。

 

「色んなフラグへし折っちゃって妹の小町を選んじゃったことだよ」

 

「はっ、ばっかお前。俺にフラグなんて立ってるわけないだろ」

 

 本来なら明日から彼女作ろうと頑張ってたはずだったんだしな。

 ていうかなんでこの子はおでこくっつけてきたの? さっきから吐息が顔にかかってくすぐったいし甘い匂いするしで死にそうなんだけど。

 

「はぁ……これだからごみいちゃんは……」

 

 なんかさっきからため息つかれてばっかな気がするんだけど……。

 

「まぁあれだ。仮にフラグが立ってようが立ってまいが俺が選んだのは小町なんだよ」

 

 あ、今のも八幡的にポイント高いよな? とドヤ顔で言おうとしたが、小町に唇を塞がれてしまった。

 ……小町はキス魔かなんかなの? 起きてからめっちゃキスされまくってるんだけど。や、別に全然いいしむしろ大歓迎なんだけどね。

 

「んっ……うぅ、そんなこと言うなんてずるすぎるよ……。もうお兄ちゃんのことしか見れなくなっちゃうじゃん……」

 

 小町は頬を朱に染めながら恥ずかしそうにぽしょりと呟いた。いやいやいや。なんでそんな顔真っ赤にしてんの? 

 ていうか結構恥ずかしいこと言われた気が……。多分俺の顔も真っ赤になってんだろうなぁ……。

 とりあえず可愛かったので小町の頭に手を乗せてゆっくりと撫でてみた。

 

「あう……」

 

 可愛らしい唸り声を上げながら小町も俺の頭を撫でてきた。

 ……なんで?

 

「……なぁ小町」

 

「ん、なぁに?」

 

「なんで俺の頭撫でてんの?」

 

「んー、なんでだろうね?」

 

 自分でも分かっていないのか小町はくりんと首を傾げた(可愛い)。

 ていうかお互いわしゃわしゃと撫であってるからどっちも気持ちよくなってそのまま寝ちゃいそう。

 

「んにゃぁ……」 

 

 5分ほど撫で続けると、小町は本当に気持ち良さそうに目を細めながらくぁっと小さく欠伸をした。俺も撫でられ続けてたから少し眠くなってきた。

 

「もっかい寝るか?」

 

「ううん。まだ最後の練習してないもん」

 

「は? え、あれまだやんの?」

 

「まだ一つだけやり残してることがあるからね!」

 

 さっきまでの眠たそうな顔をどこえやら、小町は楽しそうな声音で言いながら体をぴょんっと起こしてベッドの上に立ち上がった。

 何をするかは分からないがとりあえず俺も立ち上がる。

 

「んで、なんの練習だ?」

 

「次は好きって言う練習だよ!」

 

「……なにそれ」

 

 呆れるように言うと、小町はむすっと頬を膨らませた。

 

「だって小町、お兄ちゃんにまだ好きって言ってもらってないんだもん……」

 

 小町はいじけたような声振りで呟き、俺の胸元にぽすっと頭を乗せてきた。

 あぁ、そういや確かに言ってなかったっけな。寝る前に愛してるって言った気がするけど、好きと愛してるは小町にとって別物なのか。

 ううむ、謎だ。でもまぁ小町の要望だからちゃんと言ってやるか。

 

「……ならそれは練習じゃなくて本番だろ?」

 

「え……?」

 

 素っ頓狂な声を上げる小町の背中に両腕を回して、ぎゅっと抱きしめる。そして一つ、大きく息を吐いて心の準備をする。

 

「……好きだぞ、小町」

 

「ちょ、ちょっとポイント高すぎてなに言ってるかわからないかなぁ……」

 

 何言ってんだこいつ……。テンパりすぎておかしくなっちゃったの?

 はぁ……しょうがねぇな。

 

「大好きだよ……」

 

 今度はちゃんと分かってもらえるように小町の耳元に顔を近づけ、しっかりと思いを込めて優しい声音で囁いた。

 ……うん、超恥ずかしい。

 

「はうう……」

 

 顔を真っ赤にして可愛らしく唸る小町に、慈しむようにそっと唇を重ねた。

 

「んっ……えへへ、小町もお兄ちゃんのこと大好きだよ!」

 

 そう言い、小町らしい快活で無邪気なとても可愛らしい笑顔を見せてくる。

 そんなストレートに言われたら結構恥ずかしいな……。

 

「あ、今の小町的に超ポイント高い!」

 

「はぁ……台無しだよアホ」

 

「あははっ!」

 

 ほーんとアホ。それがなかったら八幡ポイントカンストしてたぞ?

 ……まぁそれも照れ隠しで言ってるのは分かってるから、結局八幡ポイントはカンストしちゃってるんだけどな。

 

 うん、とりあえず小町が幸せそうだしいっか。小町が笑顔でいられることが俺にとって一番の幸せだしな。

 なんだかんだでこれからの日々を楽しみに思いつつ、目の前で満面の笑みを咲かせる小町を俺は優しく抱きしめた。




小町√いかがでしたでしょうか!小町かわいいよ小町。小町アフターもいつかやりたいものですね。

次回ヒロインは完全に未定です。誰にしようかしら……。まだ書いてないガハマちゃんとゆきのんのアフターも書きたいですし悩みますね(๑´ω`๑)

あ、あと活動報告のほうのリクエストに答えてもらえると助かります!もう何個かはやってみようかなーっと思える意見もありました。とりあえず皆さんの意見待ってます!

ではでは今回もお読みいただきありがとうございました!

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