やはり俺が恋愛に積極的になるのはまちがっていない。 作:部屋長
川崎と付き合って2週間が経ったある日。今は昼休みで川崎と一緒に屋上で飯を食べている。
あ、ちなみに2日に1回はテニスをする戸塚を慈しむためにベストプレイスで食っている。これだけは譲れなかった。川崎には白い目で見られたけど気にしない。
食事中は基本的に俺も川崎も喋らないので近頃聞く噂について考えてみることにした。
最近、総武高では変な噂が立っている。屋上に現れるヤンキーとゾンビについてだ。ぼっちの俺でも耳に入ったくらいだ。その会話の一部がこれだ。
『なぁ知ってるか? 最近屋上にヤンキーとゾンビがいるらしいぞ』
『あぁ……それ俺も聞いたわ。なんでもヤンキーの後ろにゾンビが犬のように付いて行ってるらしいぞ』
『ゾンビで犬……? それって……』
『『太郎丸だよな……?』』
みたいな会話が聞こえてきた。まぁ考えなくとも俺と川崎のことなんだよな……。
川崎は見た目不良っぽいからしょうがないとしてもなんで俺はゾンビなんだよ。まぁ絶対この目のせいだと思うけど。
しかもヤンキーの後ろを付いて行く犬扱いだぞ! 泣きそう。
というか太郎丸アニメだと重宝されすぎだろ。思わず号泣しちゃったじゃねーか。
帰ったらもう1回見ようかな……と悩んでいるうちに飯を食べ終えてしまった。嫌なこと思い出してたけど今日も弁当は美味しかったです。
「ごちそうさま。今日も美味しかったわ」
「そっか、お粗末さまでした」
川崎は俺が美味しそうに食べていたからか、嬉しそうに微笑む。
まぁ俺は基本的にはポーカーフェイス(自称)だからな。顔の表情はほとんど変わらないんだけど川崎はそれでも喜んでくれる。
「あたしも食べ終わったよ」
「んじゃ、今日もやるか?」
「ん、よろしく」
今はもう飯を食べたあとの恒例行事になっている頭を撫でる時間でございます。
一昨日なんて川崎の頭をひたすら撫でてたら昼休み終わってたし。それくらい川崎の頭は撫で心地がいい。なんでこんなにサラサラなんだろうか。
川崎はあの告白の日以来、だいぶ慣れてきたようで俺と一緒にいてもほとんどテンパらなくなった。
あの慌てようも可愛かったけど俺と一緒にいるだけで常に顔赤くされると、それはそれで気恥ずかしいし。まぁそれも可愛かったんだけどな。
「ねぇ比企谷」
「ん、どした」
頭を撫で続けると目を細めながら川崎が話しかけてくる。そういや呼び方が「あんた」からたまにだけど「比企谷」に変わったんだよな。最近まで気付かなかったけど俺って川崎に名前で呼ばれたことがなかったっぽい。
ちなみに1回だけ八幡って呼ぼうとした時は本当に可愛かった。
『は、はち……はち……ううぅ……』
『ぐはっ!』
『え!? だ、だいじょうぶ!?』
って感じだった。顔を真っ赤にしながら頑張って名前で呼ぼうとする川崎が可愛すぎて死にそうになった。というか1回死にました。その日はもう頭の中でそれがひたすらリピートされ続けて何もできなかった。
でもあれだ。俺が沙希って呼んだ時はもっと可愛かった。
『なぁ沙希』
『え!? なななな、きゅきゅ急に名前で呼ばないでよ!』
『……嫌か?』
『嫌じゃないしむしろ……、ううぅ……比企谷のすけこましぃ』
涙目になりながら俺に抱きついて顔を胸にこすりつけてきたんだっけな。
あの時は鼻血出そうになるくらい興奮したんだけど、俺別にすけこましではないんだよなぁ……。
「比企谷? 聞いてるの?」
川崎に肩を揺すられた。あ、そうだ。俺川崎に呼ばれてたんだっけ。
ふむ、ぼーっとはしてたけど頭を撫でるのはやめてないとかやっぱり俺ってすけこまし?
「悪い。ちょっと考え事をな。で、なに?」
「はぁ……あんたってたまにぼーっとしてるときあるよね。授業中も集中してるのかしてないのかあんまり分かんないし」
胡乱げな視線を向けられ呆れるように言われてしまった。そうだ、いいこと思いついた。
「へぇ、授業中も俺のこと見てんのか」
「えっ、あっ、その、違……うわけじゃないけど……その、気づいたらあんたのこと見ちゃってる……かも」
胸の前で指をもじもじと絡ませながらぽしょぽしょと呟く。
いやいやいや。そこは否定してくださいよ……。
「……んで、なんだ?」
気付いたら話が逸れてた。完全に俺のせいですねはい。
「えっと、そ、その……」
川崎はさっきより頬を赤く染めてちらちらと流し目を送ってくる。いや、なにがしたいのこの子?
「なんだ? キスでもして欲しいのか?」
ついアホみたいなことを言ってしまった。まぁ実際は付き合った日以来1回もキスしてないんだけどな。
いや、したいんだよ? でもあんまりがっつきすぎると嫌われたりしないかなーって怖いじゃん? 今日もいつも通りただのチキンの八幡君でした(自己完結)。
「……うん」
「そうかそうか……え?」
え、用ってそのことなの? てかまじで? 川崎もキスしたいの?
「だってさ……あたしたちあの日から、その、1回もしてないじゃん?」
「……まぁそうだな」
「だから……その、……しよ?」
胸の前で手をぎゅっと握りながら、上目遣いで俺を見てくる。
あー……そんな顔されたら俺だって我慢できなくなんだろ……。
「……おう」
川崎の背中に両腕を回して、そっと優しく唇を重ねた。
「んっ……」
うっすらと目を開けてみると、川崎はうっとりとした表情で幸せそうに甘い吐息を漏らす。相変わらず唇柔らけぇな……。
「……その、なんだ。別にしたかったらいつでも言ってくれていいんだからな?」
恥ずかしくて頬をぽりぽりと掻いてしまう。まぁ川崎の幸せそうな表情から見て分かるように、多分ずっと我慢をしていたんだと思うしな。
キスが大好きの川崎とか最高じゃないか……!
「ありがと。じゃあ……ん」
俺の首に両手を回して目を閉じて唇を差し出してくる。
そして、もう一度ゆっくりと唇を重ねる。ほんとに幸せそうな顔してんのな。思わず俺の頬も緩んでしまった。
「ふふっ、今日は5限目サボっちゃおっか」
唇を離すとくすりと微笑みながら川崎が言う。
「え、まじで?」
確か次って現国だった気が……。俺死んじゃうんだけど。主に物理的な意味で。
「2週間もあんたがあたしに何もしないのが悪いんだよ?」
少しだけ頬を膨らませながらいじけたような声振りで呟く。川崎の頬を膨らませるのなんて初めて見るから、思わずその表情に見惚れてしまった。
「……今日だけだからな?」
まぁ断れるわけないよね。川崎ほんとに可愛すぎるし。
「ならその代わり、これからは毎日ちゃんとキスしてくれる?」
「……おう」
「ふふっ、ならいいよ」
柔和な笑みを浮かべてから川崎から唇を重ねてきた。彼女は俺が今まで知らない表情を見せてくるからどんどん惹かれていってしまう。それがまた愛おしくて川崎を抱きしめる力が思わず強くなってしまう。
でも、結構強く抱きしめてしまったからたわわな実りがむにゅむにゅとされてですね……。川崎も俺にくっつくために抱きしめる力を強めるからどんどんむにゅむにゅとされる。うん、柔らかいのでもっと押し付けてくださいお願いします。
この後結局5限目をサボってしまった俺たちは、平塚先生に放課後呼び出されてめっちゃお説教されました。主に俺は物理的にも殺られました。
川崎はそんな俺を見て呆れるように笑ったけど、お前がサボろうって言ったのが悪いんだからな?
と、まぁこんな感じで毎日楽しくやらせてもらってます。
……誰に言ってんだこれ。
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