ゆうかりんか   作:かしこみ巫女

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第四十四話 わたしたちの失敗

 家の中に入った私。幽香は椅子に腰掛けて普通にくつろいでいた。こちらの気も知らないで紅茶なんか飲んでる。春でポカポカ暖かいというのに、首まで覆うタートルネックのセーターなんか着てるし。胸のラインがくっきりだ。そんなに豊満な胸を強調したいのだろうか。母性溢れると表現できないのが悲しいところ。

 その幽香が、こちらに視線をむけてくる。ビクッとする私。いきなり攻撃されかねないので、腰を落として身構える。く、くるのか!?

 

「…………」

「た、ただいま戻りました」

 

 超小声で呟いた私を一瞥すると、何事もなかったかのように視線を本へと戻す。麗しの読書タイムだったようだ。

 いきなり処刑タイム突入かと思ったので、私はホッと胸を撫で下ろす。そして自分の部屋に逃げるように駆け込んだ。

 

「ふぅ。とりあえずファーストインパクトは無事に終わったか。問題はこれからだ」

 

 荷物を放り投げ、ベッドでとりあえず落ち着こうとする私。これで終りとは思えない。一体どんな罰が待ち受けるやら。

 

「……うん?」

 

 ベッドの上に、奇妙な巾着袋があった。結び目には紫のバラが刺さっている。換気のために開いていた窓から身を乗り出し、外を確認するが特に誰もいない。今日もニアミスか。ちゃんと会ってお礼を言いたかったのに。

 中には、『早く元気になってください』という手紙と、薬草らしきものが入っていた。煎じて飲むと、身体に良いと添え書きがしてある。私が帰るのを見越して置いていってくれたのだろうか。幽香に先に見つかっていたら捨てられていただろうし。とにかく、嬉しいサプライズだった。

 

「本当に嬉しいなぁ。……ん? こっちはなんだろう」

 

 ベッドの陰に隠れるように何かがおいてあった。……私の春用の服だった。上着とかスカートとかが丁寧に折り畳んで置いてある。どれも見覚えがないので、多分新しい物だ。幽香が気紛れで作ったのだろうか。悪魔のくせに趣味が読書や裁縫だというのだから面白い。これで性格が天使だったら私は今頃幸せな生活を送れていただろうに。実に残念なことである。

 どうせ鍛錬でひどいことになるだろうから、替えはいくらあっても困らない。あいつにとっては、サンドバッグにお気に入りのカバーをつける程度なのだろう。

 

「…………あー。なんだかなー」

 

 それにしても寂しい。今まで賑やかだった分、一人でぼーっとするというのが拷問に感じる。もう壁に話しかける気にはならない。フランやルーミアや妖夢と楽しくやりとりしていたことを思い出すと、涙が出てきそうになる。

 とはいえ、これが当たり前なのだ。私の家はここ。幽香を倒して自由を勝ち取る、もしくは殺されるかしか道はない。

 

「……お母様は、いないな。今がチャンス」

 

 扉を少し開けて、居間の様子を窺う。幽香の姿はない。自室に戻ったのか。こっそりと台所に向かい、お酒がないか漁ってみる。

 大量の酒瓶が外に出ているが、残念ながら全部空だった。その数は十本や二十本ではない。ずらーっとボーリングのピンみたいに並んでる。

 

「す、凄い量。種類も沢山だし」

 

 ワインやら日本酒やら焼酎やら、統一性が全くない。あの女、この一週間で一体こんなに飲んでいたのか。鬼もちょっとは驚きそう。

 うーん、もしかしたら友達でも呼んで宴会でもやっていたのかも。いくらなんでもこの量は一人では飲めないと思うし。桜は満開だし、花畑は綺麗。花見で一杯と楽しんでいたに違いない。自分ばっかりずるい。もしかして、そのために私を厄介払いしていたのか。だったらそのまま放置してくれればいいのに。

 幽香は私以外には結構社交的な対応をするから、友達もそれなりにいるのだろう。多分。紫とか、古参妖怪たちには顔が広そうだし。

 私も負けじと酒を飲みたいのだが、未開封なのは棚の中にしか見当たらない。それを開けたら、流石に音が出てしまう。幽香に見つかったら確実に殺される。

 残念だが今日は諦めるかな。ちょっとだけ残っていたお酒を飲み干し、私は部屋に戻る事にした。

 なんだか心が寒くなってきたので、宝物である赤いマフラーを首に巻きつける。そして、特に何かをすることもなく、ベッドの上に座りこんでいることにした。

 

 

 

 ――気がついたら夜になっていた。楽しくない晩御飯の時間だ。その後はお風呂に入って、ぼーっとしてから寝るだけだ。明日からはきっと辛い鍛錬が始まるだろう。それが私の日常なのだ。地獄とそんなに変わらない気がする。アリスの家は天国だ。天国と地獄の落差が激しい分、私の精神へのダメージは大きい。

 

「…………」

「…………」

 

 そして食卓。私は幽香と相対しながら夕食を食べている。なんだか今までにないほど凄く豪勢だった。もしかして、さっき見当たらなかったのはこれの仕込みをしていたからか。

 幽香が料理は上手なのは認めよう。だからさっさと結婚してどっかに行ってくれないかな。私が仲人をやっても良いし。もしくは私を追い出すとか。これが一番オススメ。

 

 まぁそれはともかくだ。おかずは種類が本当に多くて、懐石料理みたいだった。盛り付けられている小皿もいつもより洒落てるし。岩魚の塩焼き、筍の煮物、たらの芽のテンプラ。お吸い物や茶碗蒸しまであるし。ご飯は筍ご飯。これは凄い手間がかかってそう。旬のものばかりだ。海原先生も思わず納得。いわゆるご馳走というやつ。

 一体どういう風の吹き回しなのか。多分、自分が食べたかったからだろう。私が帰ってくるからといって、ご馳走を出すような妖怪ではない。絶対にだ。

 

「今日は、とても豪勢ですね。食べ切れるかなぁ。あ、あはは」

「…………」

 

 沈黙に耐えかねて、話をふったのに当然の如く無視。食事中に会話を交わしたのはいつが最後だったっけか。その時も会話ではなく、一方的な罵声だった気もするが。ああ、アリスの家に帰りたい。同じ食事でも、どうしてここまで違うのだろう。刑務所の食事か!

 幽香だって、私以外には普通に接しているのに。威圧的なのは変わらないが、コミュニケーションはちゃんと取っている。

 全部私のせいなのだろうか。ならば、なぜ家に置き続けるのか。幾ら考えてもさっぱり分からない。出て行けといわれれば喜んで出て行くのに。私が苦しむ姿を見るのが趣味なのかもしれない。それならば理解できる。

 

「…………」

「……美味しいなぁ。……うん」

 

 再び沈黙。凄い美味しいのに、美味しく感じない。食器に箸が当たる音だけが響く。空虚。

 感情が昂ぶってきた。なんだか分からないドロドロとしたものが私の中を渦巻く。箸を持つ手が震える。カタカタと食器にあたってうるさい。無作法だからきっと怒られる。それとも無視のままか。

 

「……ねぇ」

「……は、はい?」

 

 幽香が無表情のまま唐突に声を掛けてきた。私はいきなりのことで、つい声が上擦ってしまう。鼓動が早くなる。

 

「前の異変のとき、博麗霊夢と弾幕で勝負したでしょう」

「は、はい。しました」

「そして、お前は負けた」

「……はい。見事に負けました」

「次は勝ちなさい。絶対にね」

「は、はい」

 

 私が頷くと、幽香はさらに言葉を投げかけてくる。

 

「アリスとの生活はどうだった?」

「凄く楽しかったです」

「妖夢との鍛錬は?」

「ちゃんと武器を使ってやりました」

「そう」

「……あの、私が目障りなら、言ってくれればいつでも出て行きます。二度とここには近づきません」

 

 お互いが幸せになれる最良の選択肢を提示する。だが、幽香は口元を歪めて残酷に笑う。獲物を甚振る獣のような顔だ。

 

「ふふ、面白い提案だけど駄目よ。お前の家はここ以外にはありえない。誰が何を言おうとも、絶対にね」

「どうしてです?」

「…………」

 

 暫くの沈黙の後、幽香は少しだけ口を開いたが、直ぐに閉じてしまった。自嘲するように薄く笑うと、台所に行ってしまった。酒を取りに行ってきたらしい。

 結局私の言葉には応えず、幽香は早いペースで酒を飲み始める。私も混乱したまま食事を続ける。一体何を言いたかったのか。いろいろと考えたけど、良く分からなかった。

 デザートには苺のゼリーが出てきた。それも凄く美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 翌朝。地獄の鍛錬がまた始まるのかと億劫だったのだが、幽香は私に構おうとしなかった。平和な朝食なので大歓迎である。

 それに、またタートルネックのセーターを着ているし。昨日とは違う色で、普通に似合ってるけど。一体どれだけ寒がりなのだ。今日は暑いくらいなのに。私の心の寒さを分けてやりたいぐらいである。

 そんな幽香と違い、外の向日葵たちは太陽の光を浴びて元気一杯だ。私の彼岸花はだんだん元気がなくなっている。季節が違うから仕方ない。彼岸花パワーが全開になるのはもう少し先である。

 

「……今日はちょっと用事があるから出かけてくる。お前は自分で考えて勝手に特訓していなさい。グズでもそれくらいできるでしょう」

「はい、分かりました! いってらっしゃい! どうぞごゆっくり!」

 

 ちょっと用事だって。なにやらよからぬことを企んでいそうな気がする。が、今は気にしないでおこう。先のことを話すと鬼が笑うからね。

 だから元気にお見送りの挨拶だ。心の中でガッツポーズをした私を見透かすかのように、額に人差し指をつきたててくる。爪がちょっと刺さって痛い。

 

「さぼることは許さない。後で何をしていたか報告するように。人間に負けた惨めな負け犬のくせに、怠けていたら殺すわよ?」

 

 博麗霊夢に一度負けただけで、私は負け犬君にランクダウン。属性は惨めなグズ。誰も仲間にしてくれなそう。頑張るので骨付き肉ください。人間のじゃないやつ。レベルが上がるのは早いから育てやすいよ! 直ぐに限界になるから冒険についていけなくなるけど!

 

「さぼりません。今日は全力で頑張ります!」

「つまり、いつもは全力で頑張ってなかったのかしら」

「い、いえ。い、いつも頑張ってます。超頑張ってます」

「ならなぜわざわざ余計なことを言ったのかしら。救いようのない馬鹿だから?」

「…………」

「答えに詰るとすぐに口ごもる。そして反抗的な目つきをする。お前は本当に憎たらしいわね。この救いようのないグズが」

 

 ネチネチネチネチと鬼上司かお前は! このお局様! この風見幽香! 死んじゃえ!

 

「ほ、本当の本当に頑張ります。いつもの通り全力でやります!」

「御託はいらないの。口じゃなく結果で示せ」

 

 命令口調で言い切ると、幽香は家を出てどこかに飛んで行ってしまった。何をする気かは知らないが、どうせ碌なことじゃない。私に対しての嫌がらせ道具でも開発しているのだろう。実に恐ろしい。

 とりあえず、花たちの世話と、雑用をサクッとこなしてしまうことにする。特訓は妖力光線の連射を適当にやろう。やった事実さえあればいいのだ。嘘をついてもすぐ見抜かれるけど、嘘じゃなくしてしまえば大丈夫。本気で適当にやったということにする。

 

 

 

「これで今日の鍛錬は終わりっと。ルーミアでも遊びにこないかなぁ。フランはそんなに出歩けないだろうし。妖夢さんは忙しいから無理だよね。……あはは」

 

 悲しき独り言。返事をしてくれる者は誰も居ない。孤独はとても辛い。幸福を知ってしまうというのがこんなにもつらいものだとは。私は背を丸めて屈みこみ、顔を両手で押さえる。辛い。

 

「……よし、決めた。私は飲むぞ! 鬼がいない間に飲む!」

 

 こういうときは、お酒しかない。アリスに注意されていたけど、私はまたお酒に逃げる事にした。都合が良い事に幽香もいない。軽く飲むぐらいならバレないだろう。あいつだってあんなに飲んでいるんだから、私もちょっとぐらい良いじゃないか。うん。

 そして気分をちょっと良くしてから、花畑で呑気にお昼寝だ。飲む、寝る、撃つの繰り返しで地獄の日々を乗り越えよう。戦闘民族っぽい生活スタイルだが仕方ない。

 

「酒酒酒っと。高そうなお酒さんはどこかなぁー」

 

 家の台所、そのずっと奥のほうに、幽香専用のお酒の棚がある。私はたまにここから頂戴していたわけだ。既に開いているのを、ちょっと頂く感じで。

 以前の幽香はお酒はたまにしか飲んでなかったので、私が一本丸ごとくすねたら一発でバレていただろう。

 だが、見る限り最近は酒の量が相当増えているようだ。だから、私がこっそり飲んだりしても絶対にバレないのである。うむ、完璧なロジックである。

 

 棚を開けて高そうなのがないか物色する。指紋が残るとバレる可能性があるので、ちゃんと袖で手を覆っている。あの悪魔はどこから嗅ぎつけるか分からない。警戒しておくに越したことはない。

 流石に、触れただけで爆発はしないだろうけど。あいつがキラークイーンをいきなり出現させても、私はあり得る話だと納得しちゃいそう。その場合、私は重ちーになる。

 

 

「……ん?」

 

 なにやら奇妙なものを見つけた。細かい装飾が施された綺麗な大瓶がある。ここには焼酎がおいてあった気がするが。瓶の中には透き通ったピンク色の液体が入っている。底には色々な種類の花と何かの果肉が沈殿している。これは、花と果物を使ったお酒だろうか。

 私はそれを取り出し、蓋を開ける。その瞬間、芳醇な香りが辺りに漂う。とても良い匂い。指をつけて、ちょっと舐めてみる。

 

「!!」

 

 なにこれ。超美味しい。これは本当に美味しい。馨しい香りが喉を通って鼻へと抜けていく。舌触りは滑らか。甘味はあるが、後味すっきり。これなら美食倶楽部に出しても大丈夫。私が太鼓判を押しちゃおう。至高の一品である。

 もう一度確認のために飲んでみる。今度はさわやかな香りを楽しめる。飲むたびに味や香りが変わるのか? 色々な花が漬けてあるし、もし太陽の畑のものだとしたら有り得ない話ではない。妖力を目一杯に浴びせられているわけで。妙な効能がついている可能生は大きい。

 

「すっごい美味しい! こんなものがこの世にあったなんて。幽香め、私に内緒でこんなものを! ずるい!」

 

 脳内にお花を大量に咲かせた私は、マイグラスを用意して、遠慮なく花酒を注いでいく。グイっと一気に飲み干す。

 

「くーっ、美味い! もう一杯!!」

 

 なんだか段々楽しくなってきた。もう酔ってきているのだろうか。確かに飲みやすいけど、度数は高い気もする。しかし止められないし止まらない。止めるつもりもない。私は遠慮なくぐいぐいと飲み干していく。大瓶を小脇に抱え、台所に座り込んだ私はすっかり飲兵衛である。でも今が幸せだからこれで良いのである。

 

 

 ――そして30分後。

 

「…………」

 

 ちょっとトイレに行きたくなって、戻ってきた私は超大事なことに気がついた。

 大瓶に入っていたお酒が、もう半分しかない! さっきは満杯まで入っていたのに。後先考えずにこんなに飲んだのは誰だ!

 ……というか、これって、本当にやばいんじゃ。

 

「ど、どうしよう。やってしまった。ちょっと舐めるだけのつもりだったのに。な、なんで半分に?」

 

 答えは簡単。私が飲んだから! 美味しかったから仕方ないよね。でも仕方ないじゃすまないよね。

 わざわざ幽香が手塩にかけて作った花酒だ。それをゴミと同価値の私が飲んだと知ったらどうなるか。瓶で頭を殴られるぐらいじゃすまない。多分、マジで殺されると思う。お前の死体を酒に漬けてやるとか言いそう。確かに花酒だろうけど、想像するとちょっとグロイ。止めて欲しい。ルーミアはなんだか喜びそう。そのうち人間酒飲もうぜとか言ってきそうだし。

 現実逃避している場合じゃなかった。どう対処するか考えなくては。頭を必死に回転させる。

 

「み、水を足したら……」

 

 量は誤魔化せるが、特徴的なピンク色が薄くなっちゃうし。しかも飲めば絶対にバレる。なぜこんなに薄いのか。誰かが水を入れた。犯人は幽香ではない。消去法で私に確定。弁護士なしの裁判が開かれ、即座に死刑執行。逆転裁判じゃないので異議は認められない。

 最初からそうでしたよと開き直ったらどうか。嘘と断定されてそれも死刑執行。私に発言権はない。

 では全てを正直に話し、土下座して許しを乞うのはどうだろう。『ごめんなさい。飲んじゃいました。てへ!』『良く分かった、じゃあ腹切って死ね』エンド一直線。私は晴れて太陽の畑の肥料となるわけだ。バッドエンド!

 

「……あれ、もしかして詰んでる?」

 

 ――終わった。水ではなく、お酒を手に入れようにも私はお金を一銭も持っていない。ここにある別の酒を注ぎ足したとしても、明らかに味と臭いが違うからバレる。どうする。どうしよう。どうすれば良い。

 

「ぐ、ぐぬぬ」

 

 飲んでしまったのは私のせい。でも、こうなったのは全部幽香のせい。いや、酒に逃げてしまった私の弱さのせいである。やっぱり私はどうしようもないグズである。でもでも、美味しかったから仕方ないじゃない。うん、やっぱり美味しいお酒を造ってしまった幽香のせいだ。間違いない。でも勝手に飲んだのは私のせいなわけで。

 

「ああ、駄目だ、考えが纏まらない!」

 

 いや、発想を逆転させるんだ。言い訳しようとするからいけないのだ。そうだ、とっとと逃げてしまおう。一度も二度もおなじこと。冥界行きが失敗したからといって、逃げてはいけない理由にはならない。どこに行くかは、とりあえず逃げてから考える! 倒れるときは前のめり。思い立ったが吉日だ!

 

「い、急ごう。早くしないと、悪魔が帰ってくる。三十六計逃げるに如かず!」

 

 酔っ払っているせいか、恐怖はそんなに感じない。今の私は恐怖を乗り越えた風見燐香である。そう、精神的動揺による敗北はないと断言できる! 『くらえ幽香、半径二十メートル、ヒガンバナスプラッシュ!』とか撃っちゃいそう。そんな技ないけど。

 

 

 私は中身が半分になった大瓶と、必要そうな手荷物を抱えて風見家を全速力で飛び出した。精神を安定させるために、紫のバラの人からもらった薬草をむしゃむしゃ食べながら。凄く苦いけど、頭がスッキリしてきた! 

 もし逃亡に失敗したら、末期の酒にはこの花酒を全部いただくことにしよう。ついでに辞世の句も考えておかなくちゃ。

 

 ――彼岸花 お酒に溺れて 地獄行き。燐香、心の一句。

 


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