辺りは何もなくただ真っ暗な空間。そこに1人の青年が浮かんでいた。
「……う」
青年の名前は『
彼は顔を見上げその真っ暗な空間を見る。4年前、北極での決戦の時と同じような空間なため比較的冷静だった。
「……フェストゥムの世界」
「その入り口……『存在』と『無』の地平線だ」
「総士!」
声がした方を向くと、そこに彼の親友ともいえる『
「僕は今度は地平線を超えるであろう…無と存在の調和を……未来へ託して」
「待て、総士。俺も…っ!甲洋…来栖…」
一騎は総士の元へと駆け寄ろうとするが2人の青年に止められる。2人の顔を見た一騎は思いとどまる…「まだそこへ行くべきじゃないと」。
一騎は穏やかな表情で総士を見送ろうと決める。
そして、総士と一騎の一時のお別れの言葉を紡ごうとした……、
【おまえらもいなくなればいいんだ】
総士の後ろに突如、幼い少年が現れる。激しい憎しみの感情を蓄積させ、世界を支配しようとしたベイグランドのコアのフェストゥムである。
【お前等のせいで世界が…「憎しみ」の世界でなくなる。だったらそうなる前にお前等を消してやる!】
ベイグランドのコアは突如ワームスフィアーと呼ばれる湾曲空間を展開。総士を飲み込もうとする。
「総士ぃぃぃぃぃ!!!」
一騎は甲洋と来栖の手を振り払い、総士の元へと駆け寄る。だが、そんなことをすれば……。
「「一騎!総士!」」
甲洋と来栖の叫びも虚しく一騎は総士と共に湾曲空間に飲み込まれた。
【はは、これで未来へは繋がらなくなった……あは、はははははは】
「お前がぁぁぁぁ」
甲洋はフェストゥムの力を使い、ベイグランドのコアを真っ二つに斬り裂いた。切り裂かれたベイグランドのコアは今度こそ消滅した。
「はぁ…はぁ…」
「そんな…一騎が…総士が…」
元凶は倒した。が、2人は戻ってこない。残された2人は打ちひしがれそうになった。
こうして、『真壁一騎』と『皆城総士』は世界から……いなくなった。
―――――――――――
【なんとか間に合いました】
「そうね。でも、神樹。本当にこの世界の2人でいいの?」
誰もいなくなった空間に青色に透けている織姫と虹色の球体のような存在が浮かんでいた。
【はい。私の世界に来てもらうにはあの方法しかなく、条件を満たすのはこのタイミングだけでしたので…】
「そう…それで次は?」
【次の可能性を紡ぐ世界へ向かいます】
「わかったわ」
織姫の了承を得ると、2つの存在は次の世界へと跳びたった。
不死身モードになった一騎を最強状態で転生するためにちと無理やりな展開でした。