インフィニット・ストラトス ~ぼっちが転校してきました~ 作:セオンです
ですが、作者が文才ないため戦闘描写が少ないです。
申し訳ありません。
それに、途中可笑しいところもあると思います。
僕の文才がもっとあれば…。
それでも良いと言う方はどうぞ。
八幡は一夏と箒が飛び立ってからこっそりとISを展開し、束と通信を開始する。
「篠ノ之博士、聞こえますか?」
「聞こえるよ~。」
「今の状況を教えて下さい。それと、俺が飛び立ったらハッキングしている国を掴んでくださいよ。」
「わかってるよ~。この天災発明家篠ノ之束さんを信用しなさい‼」
疑ってはないけどね。
やる人だってことはわかるし。
でもなんでだろう、なぜか心配にと言うかイラッと来るのは。
「わかりましたよ。では、行ってきます。」
「はちくん、頑張って。」
少し神妙な口調になり、そう言ってくる束。
八幡は少しだけ笑って通信を切った。
さて、今の状況は?
紅椿と白式の2機を見ると福音とそう遠くない位置にいた。
早えよ。
想定してたより早えよ。
ったく、自分でこの役回りやるとか、らしくねぇな。
そう自嘲気味に飛び立つと、マックススピードで福音の元まで飛んでいく。
しばらくすると、八幡は再び今の状況を確認する。
二人は福音と交戦しており、どうやら一撃で倒すのは無理だったようで、若干苦戦している。
それを見た八幡は舌打ちをして、やはりスペックデータだけでは情報不足なのだと思い知った。
「くそっ…。思ったより福音の戦闘能力高すぎだろ…。」
八幡はそう呟くと、背中についている流星をパージすると福音に向けて放つ。
流星は福音へ向かって一直線で向かう。
と、その時気づいた。
一夏が船を守って戦っていた。
あれは…密漁船か?
あいつらしいが、篠ノ之は気に食わんだろうな。
だったら、福音の攻撃を何とかしてやるよ。
八幡はその場に止まると、背中に月華を装備し、それを腰だめに構える。
空中なのでどれだけの反動があるのか不安ではあるのだが。
それでも八幡は構える。
狙うは広範囲攻撃しようとするその一瞬の止まる時。
そのときは意外と早く来た。
「よし…。ファイア‼」
ビームの奔流が空を焼き、それは福音へ真っ直ぐと進んでいく。
福音はそれに気付いたが、回避不能だった。
そのビームは福音に直撃し、そのまま海に落ちたが、爆発音などは確認できなかった。
それを見た一夏と箒は呆然としていたが、八幡の姿を見て気を取り戻した。
八幡は止まった空中から大分後ろに下がった位置にいた。
どうやら反動で動けないらしい。
一夏と箒はそれを見て、八幡のもとへゆっくりと進んでいく。
だが、何か異変に気づいた。
海の波がおかしな揺れ方をしており、何かが移動しているのが見えた。
「あれは何だ?」
「一夏?」
どうやら気づいたのは一夏だけらしい。
すると、そこから先程落としたばかりの福音が八幡に向かって高速で移動していた。
「まずい‼八幡が狙われてる‼」
「なっ‼行くぞ一夏‼」
二人は急いで八幡のもとに駆けつけようとするが遅かった。
福音は八幡にエネルギー弾を放つ。
八幡は反動で回避行動が出来ず、そのまま直撃し海に落ちていく。
その瞬間、一夏と箒の元に一本の通信が入る。
千冬からだった。
「作戦は失敗だ。帰ってこい。」
それを聞き、一夏は歯を噛み締めるのと同時に八幡を回収し、箒と共に宿に戻っていく。
その途中、意外にも福音は攻撃してこなかった。
いや、出来なかったのかもしれない。
八幡の流星がスラスターを撃ち抜いていたのだから。
「やっぱりただ者ではないな…。」
「あぁ。八幡は何者なんだ?」
一夏の背中に乗せられている八幡を見て、箒と同様謎に思っている事を呟いた。
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やられちまった…。
まぁ、いいや。
これでなんとか時間は稼げるだろう。
篠ノ之博士、早く見つけてくださいよ。
八幡はそう届くとも知れないエールを心のなかで言うと、世界が暗くなり、やがて真っ暗となった。
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八幡がやられたと言うのは瞬く間に専用機持ちに知れ渡り、衝撃を受けさせた。
みんな宴会場にいたのだから当然のことなのだが。
救護班と共に千冬をはじめ、専用機持ちや摩耶も一夏達の帰還を待つ。
しばらくすると、八幡を背負った一夏の姿が見えると、慌ただしく担架の準備と救急医療の準備が始まり、八幡を担架に寝させてからはスムーズに宿へと運んでいく。
その際、シャルロットやラウラが八幡の事を呼んでいたが一言も発するどころか目を覚ますこともなかった。
他の者は何も出来なかった自分を攻め、後悔し、そして戒めた。
そんな中、一人だけ落ち着いて指示を出していたものがいた。
千冬だった。
束でさえ少し取り乱していたのに対して何事もなかったかのように振る舞っていた。
そう、みんなの前でだけ。
一夏達が飛び立った砂浜から少し離れた岩場で千冬は握り拳をつくり、それを岩に叩きつけていた。
「くそっ…。」
あの時比企谷の作戦を断っておけば、浮わついた気持ちの篠ノ之を引き締めておければ、一夏やその他の専用機持ち全員でこの任務を行っておければ、千冬の中に様々な後悔の念が出てくる。
そんなことは意味を持たないと知ってはいても。
比企谷の容態はこれからどうなるかわからない。
だったらこれからどうするか考える必要がある。
だが、今こんな状態で専用機持ちに作戦を伝えたとしても混乱している最中ではミスをすることになるだろう。
だったら。
千冬はその場を離れ、宿に戻ると宴会場へ入り、専用機持ちに待機命令を伝え、これからどうするかを考えることにした。
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待機命令を伝えられた専用機持ちは、八幡の眠る部屋へと足を運んでいた。
中に入ると、束がすでにそこにいた。
一夏と箒は顔を見合わせ、不思議そうな顔をしていると、束がこちらに気づいたようで笑いかけてきた。
「いっくん、箒ちゃん、どうしたの?」
笑顔ではあるものの、元気がなかった。
「姉さん、どうしてここに?」
「はちくんのお見舞いだよ。」
「どうしてお見舞いを?」
「大事な人、ううん。とても大切な人だから。」
箒は目を見開く。
なぜここまで他人であるはずの彼にここまで言えるのか。
その事に対してすごく驚いた。
「姉さん、比企谷と何があったんですか?教えて下さい。」
箒は疑問に思っていることの解消を行おうと、直球で質問する。
すると、それに反応したのかシャルロットとラウラも声を揃えてお願いをしていた。
「そういえばその事に対してまだ何も言ってなかったね。あれははちくんがISを動かしてしまった日の次の日、たまたま町の中であったんだよ。最初は興味本意で声をかけただけだった。目も腐っていたし、何でISが動かせたのか気になってね。そこで私の本性が暴かれちゃった。黒い部分を必死で隠そうとして不自然に振る舞っている悪い人、ってね。初対面でそんなこと言われたの初めてだったな~。」
懐かしそうに目を細める束。
そして気がつくといつの間にか全員が座って聞き入っていた。
「私、はちくんに聞いたんだ。この世界は楽しいか、ってね。そしたら即答で、そんなわけないでしょ、こんな理不尽で欺瞞に溢れてる世界なんて楽しくないですよ。それに、この世界は俺の目と同様に腐ってる、ってね。笑えちゃった。同時に興味が出た。何でこの年でその回答が出せるのか、そして何よりどうしてそんなに強くいられるのか。そしたらなんて言ったと思う?」
束はみんなにそう質問した。
シャルロットとラウラは何か心当たりがあるのか、察した顔をしていた。
「わかった人もいるみたいだね~。はちくんはこう言ったよ。俺は強くなんてないですよ。本当に強い人は何かを守れる人でしょ。あなたも、そのなかの一人じゃないんですか?俺は誰も守ったことないから知りませんけどね。ってね。びっくりしちゃった。確かに私は守りたかった。今は言えないけどね。それを言い当てられるんだもん。その後、私はつい聞いてみたくなっちゃった事があって聞いたんだ。何か欲しいものはある?って。それがとても心に響いたんだ。ところでみんなの欲しいものは何かな?」
一同は考え込む。
そして、一番最初に思い付いた一夏から口を開いた。
「俺はみんなを守れる力が欲しいです。」
「なるほどね~。」
笑いながら束は箒へ目を向ける。
「私は何者にも屈しない強い心が欲しいです。」
「箒ちゃんらしいね。」
「わたくしはみんなを支えれるほど強い心を。」
「さすがオルコット家のご令嬢。」
「あたしは何事にも負けない強い力。」
「そっかそっか。」
「僕は、誰かと一緒に歩める力が欲しいです。」
「なるほどね。君の境遇から行くとそうなるよね~。」
「私は、自分自身を見つけるために私自身が欲しい。」
「ふんふん。」
束は全員の欲しいものを聞き、口許を少し上げたが、すぐに元に戻り、冷たく突き放すかのような声でこう言った。
「みんなの欲しいものは綺麗で、それぞれが正しくて、それに手を伸ばそうと必死で目指してる。でも、ちっとも心に響かない。」
束の顔を見て、その場にいた全員が目を見開いた。
それは驚いたわけでも何かを察したわけでもなく、ただただ恐れてのことだった。
それほどまでに冷たい声だった。
「だからこの世界は退屈で、生きにくくて、理不尽で、詰まらなくて、自分勝手で、欺瞞に溢れてる。みんなの言ったことは綺麗事で、独りよがりで、偽善。確かにみんなを守れるのは大切かもしれないけど、視界に入らない人はどうやって助けるの?君は何でも出来るの?出来ないよね?」
一夏はそう言われ、何も言えなかった。
「箒ちゃん、何者にも屈しない強い心が欲しいって言ったけど、それ無理だよね。だって中学の時の大会、自分自身に屈してたじゃん。何かに苛立つのはわかるけどそれを表すようでは無理だよね。」
箒はそれを聞いて呆然とした。
確かにそうだと認めるしかなかった。
「みんなを支えれる強い心か。なら、自分自身が貶されて、汚されて、落とされ、最後には絶望を知ることになってもそれを表に出すことなくいつも通り振る舞える?これから努力すれば良いとか思ってるかもしれないけど、必ずしも努力は報われる訳じゃないんだよ?逆に報われない方が多いのに、それでもやるの?ううん、やれるの?」
挑発するようなその顔で見られたセシリアは少したじろぐ。
やらなきゃいけない、けれど出来るとも限らない。
そんな葛藤の中でセシリアは答えを見つけることが出来なかった。
「何事にも負けない強い力、じゃあみんなに蔑まれ、嘲笑され、貶められ、落とされ、そしてすべてを失っても強いままでいられる?」
鈴はわからなかった。
でも、そんなのは仮定の話だ。
いられるかもしれないし、いられないかもしれない。
道は一本ではないから。
だからこそ、鈴は悩み、選択する。
鈴がこの場で選択したのは、何も言わない、であった。
「誰かと一緒に歩める力。それって裏切られたらどうするの?裏切らないって確証がない相手って見つけるの大変だと思うけど?って言うかそれってつまり相手にそれを押し付けるってことじゃん。」
シャルロットは何も言えなかった。
確かに、と納得してしまう自分もいたから。
「自分自身が欲しいって、君はもう君じゃん。それ以外の何者でもない。それは欲しいものには含まれない。」
ラウラは言葉に詰まる。
それはすでに八幡にも似たようなことを言われた。
だったらどうすれば良いのかわからない。
何を言えば良いのかもわからない。
結局、黙ることしか出来なかった。
「私の言葉は全部正しいのかもしれないし間違ってるかもしれない。でも心に響かなかったのは本当。」
「だったら姉さんはどうして比企谷の言葉は心に響いたんですか?」
睨み付けながら箒は束にそうやって言葉をぶつけた。
「はちくんの欲しいものは?そう聞いたらこう返ってきた。
言わなきゃダメですか?
ってね。私はもちろんだよ、言わなきゃわからないしね、そう言った。
そうしたら真剣に言ってくれた。
そうですね。
言わなきゃわかりませんよね。
でも言ったからって理解できますか?
出来ませんよね。
人間、言葉にしたってわからないことだらけなんです。
それをわかった振りをして、言葉を見繕って、相手のご機嫌を伺い、嘘で塗り固めて、それで出来た偽物の理解で欺瞞の関係を持ち、暮らしていく。
醜い自己満足と、そんな傲慢な思い上がり。
だから言ったからわかるって言うのは傲慢なんです。
だから俺は言葉はいらないんです。
俺が欲しいのはもっと残酷で、過酷で、貪欲な願いです。
俺はすべてを理解したいんです。
完全にわかって安心したい。
わからないことはすごく、ものすごく怖いことだから。
でもそんなのは出来ないのは知っています。
こんな世界でそんなことが出来無いことも理解しています。
それに、そんな願望を抱いてる自分が嫌で、気持ち悪くて、ヘドが出ます。
でも、それでも、残酷でも、過酷でも、貪欲でも、欺瞞でも、お互いがお互いに完全に理解したいと思えるような、醜い自己満足を押し付け合い、その傲慢ささえ許容できる関係性が築けることが出来るのなら。
例えそれが悪だと糾弾されても。
それに手を伸ばし、例え、酸っぱくても、苦くても、毒でも、不味くても、そんなものが存在しないにしても、どれだけ背伸びしようと届かない願いであろうと、望むことが罪だとしても、その先に絶望しかないのだとしても、独善的で独裁的だと言われても、それでも俺は…。
俺は…。
俺は…本物が欲しい‼
そう言ったんだよ。」
穏やかな笑顔で懐かしむようにそう言った。
「私はその本物が何なのか分からない。でも、いつか見つけられる気がするんだ。だから私はそんな考えが出来るはちくんが羨ましかった、妬ましかった、憎ましかった、でも、それでも愛しかった。」
束の言葉に驚く一同。
それもそうだろう。
これは公開告白なのだから。
「だから私ははちくんを応援することにした。だから、はちくんを鍛えた。これが私とはちくんの関係。」
そう締めくくる。
一同は八幡に対しての評価が変わった。
と言っても気づかないものもいるようだが。
卑屈で卑怯で最低で、それでも優しい、そう思っていたのが、真っ直ぐで口下手でそれでもやっぱり優しい。
途中で気づいたのは、シャルロットとラウラだったが、今はその事に気づいたものもいる。
「そっか、だから八幡はあんなに優しいのか。」
「どう言うことだ?」
「俺にもさっぱりだけど…。」
「あんたねぇ…。」
「でも、勘でも八幡は優しいってことはわかった。」
「確かにそうですわね。」
「そうだね。僕も八幡には助けられたしね。」
「そうだな。嫁は素直になれないだけで本当は優しいからな。」
一夏、セシリア、シャルロット、ラウラの四人は八幡の優しさに気づいていたが、箒と鈴は納得できずにいたが、何も言わずに我慢していた。
「いっくんたちははちくんの優しさがわかるんだね。特にデュノア社の娘と黒兎隊隊長さんは私のライバルになりそうだね。負けないけど。」
「僕も負けません。」
「嫁は誰にも渡さん。」
三人が睨みあっているとき、布団の上の八幡の指先がピクリと動いた気がした。
はい。
変なお話でしたね。
すいません、皆さんの目を汚してしまいました。
本物が欲しいのところはやっぱり原作もしくはアニメから引用した方がいいでしょうか。
でも、あまりコピーしても…。
どんどん話を重ねていくごとに悪くなっていく…。
これからも我慢して読んでくれると嬉しいです。
では、また次のお話でお会いしましょう。