やはり俺たちのロッテ愛は色々まちがっているらしい。 作:乾電池博士
台風が心配です。それではどうぞ!
あとがきに、あることが載っています。ぜひご覧ください。
《前回のあらすじ》
戸塚も誘い、メンバーが揃った。小町と共に、さあ観戦!
* * *
その晩 比企谷家
小町が高校生に、俺が受験生になっても相変わらず親の仕事の忙しさだけは変わらないらしく、二人で夕食をとった。その後は順番に入浴である。もう初夏になるから、さすがに湯船に水は張らないがそれでも、小町はどうも俺の後の入浴ということに抵抗があるらしく、先に入っていった。
十数分ほどしただろうか、小町が上がってくる。兄の…小町からしたら少し大きめのTシャツをちゃっかり拝借して、それだけで過ごすというのは花の高校生としてはどうかと思うのだが、まあ悪い気はしないので特に咎める気もない。
そしてこう切り出すのは俺だ。
「よし小町、やっぱお前も行くぞ。」
「……え?お兄ちゃん何言ってんの?」
小町は呆けた顔で尋ねてくる。可愛い。
「これだよ。お、清田の
そういってずっと点いていたテレビを指し示す。チャンネルはBSの某キー局(?)だ。
「もしかしてお兄ちゃん…あの後誰も誘ってないとかないよね?」
「そんなわけねえだろ…言い訳がましいかもしれんが、知り合いで野球を好きなやつは全員快諾してくれたぞ。」
「ふーん…なら仕方ない、この小町が行ってあげよう!」
今まで若干ジト目だった小町は、向日葵のような笑顔を戻してくれた。だが…
「何で上から目線なんだよ。」
「そんなことは気にしないの!」
「お、おぅ…」
食い気味に言われたものだから、つい閉口してしまう。
「……まあ小町の応援姿がすげぇ好きだから、元々誘うつもりだったんだけどな。」
誰に向けたわけでもない、でもどこか独り言ではないかのように、ギリギリまで声量を絞って呟く。
「ん?なんか言った?」
「…いや、何でもないよ。」
当然それは、小町の耳には届かないだろう―――
――――『これは完璧に捉えたかー!左中間へ!伸びる!まだ伸びる!まだ伸びてー!着弾~!中村奨吾の!試合を決定付ける3号
―――『そうですね、……』
―――しばらく観戦していると、ひときわ大きな歓声や悲鳴とアナウンサーの興奮した実況音声が入ってくる。で、聞き覚えのあるこの声はWBC日本代表にも選ばれてつい最近現役引退した、マリーンズの名捕手だ。どうも引退後、早速解説業に勤しんでいるらしい。
…それはともかく、俺と小町と二人で超叫びました。
「「奨吾~~!」」
…と。
* * *
数週間後 イオン幕張新都心前
小町と本郷駅前から乗り込んだバスに揺られること少し、俺たちはイオンに来ていた。ここの福引きのおかげで行けることになったのだから、買い物もここでしようという、満場一致の意見であった。
で、12時半集合だから正午には着いておこう!…という小町の提案で家を出たのだが、普通に1番乗りであった。
ちなみに俺が大谷(#14)、小町が平沢大河(#13)のレプリカユニフォームを着る予定だ。やっぱ球が速いのはロマンだよな!
後小町であるが、去年までは今江のユニフォームをずっと着用してきた。だが、古かったことと楽天に移籍してしまったのもあり、新しく買い換えたのであった。…その楽天が今日の対戦相手って随分と皮肉だよな。
―――幾分か時が経って、まず戸塚が現れた。俺らを見つけると小さく手を振ってくれるので、これまた小さく振りかえす。テコテコと少し駆け足で寄ってくるとうちの妹が元気よく挨拶する。
「こんにちは、戸塚さん!」
「よっ。」
「うん、よっ!久しぶり、小町ちゃん。八幡は昨日ぶり…かな?」
少し照れたようにはにかむ。さすが天使だ。心の中で『グハッ』と反応しておいた。決して表情と声に出さないのがミソな。
「おう。…そういえば今日はテニスとか大丈夫だったのか?」
これが俺が一番気にしていたところでもある。誘った時はこれをすっかり失念していたのだが…
「ん?今日も一応活動はしてるよ。」
…はっ?俺が呆然としていても、戸塚は続ける。
「でも今日は自主練みたいなものだからね。別に一日参加しなくても大丈夫!それに…せっかく八幡が誘ってきてくれたんだから断りたくなかった、ってのもあるな。」
上目使いで、最後の方が少し小さくなりながらも大変嬉しいことを言ってくれる。
「……そうか。何か…いや、ありがとな。」
「ううん、こっちこそありがとう。」
つい謝罪を口にしてしまいそうになるが、そんなことをしても気まずくなるだけだろう。なら…参加してくれたことに対して気持ちよく返せるのはお礼だろう。
その後は小町も混ざって雑談をした。そういえばこんなことを聞いてみた。
「戸塚、ユニフォームって持ってきたか?」
「うん。お父さんのを借りたけど。だからちょっと大きいんだ。」
「ほー、どんなのだ?」
「これだよ。」
そういって背負っていたリュックサックから取り出した物の背番号は…66。そう、岡田である。
「…渋いな。」
「渋いですね。」
「そう?なんかずっと頑張ってるし良いじゃん。まさに俊足堅守の外野手!って感じだからさ。あとは応援歌?」
「ああ…確かにカッコイイっちゃそうだな。」
「お兄ちゃん、確かその人ってまだ
「ああ、そうだ。よく知ってるな。」
そして守備面で表彰を受けたとは聞いているが。まあその内日ハムの中島に抜かれるだろうけどな…あいつまだ若いし。
と、こんな感じで雑談していると女性陣三人がそろって現れる。現れたのだが…
「お前ら準備良いな…」
若干引いた、俺ガイル。何で今の時点でレプリカユニフォームを着てんだよ…
続く
6話でした。いかがでしたでしょうか?
ご評価、ご意見、ご感想、誤字報告など、よろしくお願いします。
突然ですが、今回はクイズつきです。
『要項』
問① 作中に登場した某BSキー局とは、どこのことでしょう?
問② 名前を伏せた、この解説者は誰でしょう?フルネームでお答えください。
以上の2つの問は、完答です。2つとも正解した、先着1名様は何かご希望がありましたらそれを採用させていただきたいと思います。
展開、新連載など、可能な限りでありましたら、是非やらせていただきたいです。
振るってのご回答、宜しくお願いします!
なお、回答はメッセージのみで受け付けます。感想欄や活動報告での回答は無視させていただきます。僕、乾電池のIDは113293です。
正解者にはその旨を、不正解者には同じくその旨と回答を添えて1日以内に返信する予定です。以上、宜しくお願いいたします。
それではまた!次は活動報告で。