玉座の間は4畳半   作:820

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お盆最終日…

帰る前に…


闇×3=ロ〇コン

ナザリック円卓の間

 

悟は、某人型決戦兵器の司令官の様に、テーブルに両肘を付け、自身の口の前で手を組んでいた。

 

 

「なぜだ!」

テーブルに拳を叩きつける。

 

「今までなら、仲間が居た筈だ!」

悟は、自身が叩きつけたテーブルに視線を落とす。

 

その視線の先には、13枚のマスクが綺麗に並べられていた。

 

なにかを思い出し噛み締める様に1枚1枚マスクを手に取った。

 

そのマスクは、通称嫉妬する者たちのマスクと呼ばれる物だ。

 

聖なる夜に一定時間ユグドラシルにログインしていたプレイヤーに運営から送られたプレゼント。

 

「ああ…楽しかったな。あの時は…」

悟は、様々な思い出が湧き上がる。

 

 

 

今日は、アインズ・ウール・ゴウン非モテ同盟『リア充爆ぜろ会』の数年振りの会合であった。

今年は、久々に何かしましょうと、メールで参加を呼び掛けていた。

 

しかし、約束の集合時間を過ぎていても誰も集まらなかったのだ。

 

【しかたない、俺が何か考えて皆にプレゼンしてと…準備だけでもしておこうか】

 

悟は、宝物殿に転移するのだった。

 

同じ頃、某所ブルーローズの宿舎の一室で、携帯端末を手にした少女が

部屋の中でウロウロしていた。

 

【あ~、どうしよう?送るべきか?送らない方がいいかしら?】

ブルーローズのリーダーである花子は逡巡していた。

 

携帯端末の文面は、ルサト(パンドラ)に会って食事でもとの簡単な内容であるのだが、

 

【でもでも、軽い女だと思われないかしら?】

 

花子の左手人差し指は携帯端末の送信ボタンの上を行ったり来たりしているだけだ。

 

「【くっ!忌まわしき力よ!私は負けない!この左腕に宿りし暗黒の力を制御してみせる】」

 

バ~ン!と乱暴に部屋のドアが開けられた。

 

「どうした!花子!大丈夫か!」

そこに居たのは、仲間である蘭子だった。

 

「ひゃい!」

可愛らしい悲鳴を上げる、花子。

声のした方に振り向き

「だ…大丈夫よ!?蘭子」

「暗黒の力とか、闇の…なんとかって声が聞こえたからよ」

 

花子の叫び声が響いた。

 

「大丈夫なら、構わないけどよ」

「イヤ~~~~!?」

悲鳴を上げる

「だ、大丈夫だけど…ち、違うのよ!どうしてくれるのよ~~」

「な、何だ…!?」

花子は携帯端末の画面を蘭子に向ける。

 

その画面には、送信済の3文字が点滅していた。

 

「はあ~?送信済がどうかしたか、花子?」

「いや、こ、これは…」

理由を尋ねる蘭子に、歯切れの悪い返答をする花子。

 

2人の間に暫しの静寂が訪れる。

 

ピロリロリン♪

 

花子の携帯端末の着信音が、その何とも言えない空間を切り裂いた。

 

花子は端末に視線だけ落とす。

蘭子は身構え一言

「指令か?」

 

「はやっ!!」

花子は蘭子の声で我に返り声を出す。

「ち…違うわよ…し…私用の連絡よ…ね?」

 

「なぜ?疑問形???」

 

 

数日間、宿舎のベッドで悶える、花子が目撃されていた。

 

 

 

当日…

箱根アーコロジー、足湯AOG…

 

悟は息抜きの散歩がてら足湯を愉しんでいた。

 

【ふ~…落ち着くな~】

 

ナザリックが転移を済まして、デミウルゴスが箱根アーコロジーを掌握し

ギルメンが集まって来るまで、悟はAOG財団本部の建物に軽い軟禁状態に置かれていたのだ。

単にNPC達の悟に対する、超絶過保護が原因だったのだが、

最近は周辺の散策は一人で出来る状態なのだが、実質は各NPCが造物主である

ギルメンの世話に集中して少し悟への干渉が減っているのだ。

 

 

 

同時刻…

箱根アーコロジーセントラルゲート前

 

ブルーローズの一行は、羅奈の護衛業務を行っていた。

 

「なあ?花子。最近、姫さんのここに来る回数が多くねえか?」

 

「そうね、蘭子。出発前に羅奈と少し話しをしたのだけど、はっきりと答えてくれないのよね。なにか新しい楽しい友達が出来たとか言っていたわ」

 

「怪しい?」

「新たな男の影?」

「智亜、智菜!だめよ。憶測で言ってわ。」

 

「まあ、あの姫様は国男、一筋だしな。それはないぞ」

 

「そうそう、藍の言う通りだよ。で…花子、この後はどうする?」

 

「そうね、2~3日は自由行動ね」

少し落ち着かない態度で腕時計と蘭子に視線を彷徨わせて呟くだけだった。

 

「そうかい、じゃ?智亜と智菜はどうする?」

「「私たちは、蘭子の狩りを見学する。」」

「はは、まあいいけどよ。手伝ってくれないのかよ」

「初心な女の子なら…」

「無垢な香りのする、30年物なら…」

 

「相変わらずだな。ハハハ!藍はどうする?」

「ああ、私は、ここは初めてだからゆっくりと調査でもしているさ」

 

「花子は?…悪かったな…引き留めて…」

「え!?何の事?わ、私は…別に…?」

 

「ああ、言わなくっていいさ!じゃあ解散だな。智亜、智菜行こうか。藍も無理するなよ!」

 

先程より速い速度で視線を時計とメンバーに交互に見る花子に気を使い、蘭子が解散を宣言する。

 

 

【さて、そろそろ行かなければ遅刻してしまいますね】

男は小さな声で呟き、椅子に掛けてあったコートを翻して肩に掛け歩き出した。

 

 

中央通り

 

テケテケと音がする様に足早に、フードを被ったマーレが周囲を警戒しながら歩いている。

 

「やっぱり!かわいい男の娘は最強よね、やまちゃん」

茶釜が振り返り後ろを歩いている、やまいこに声を掛ける。

 

音夢と手を繋ぎ楽し気に歩いていた、やまいこの表情が引き攣りながら

背後に視線を送る。

 

「ひっ!」

憔悴しきった足取りで歩いていた、絵梨の口から悲鳴ともとれる声が漏れた。

 

昨晩、茶釜とやまいこは悟が救った箱根アーコロジーの衛星都市に一泊し

やまいこが今回開設するA・O・G学園の下調べに来ていて

 

案内をかって出た 絵里、音夢姉妹特に絵里を気に入って茶釜が弄り倒したのだ。

 

 

「あ~あ、何処かに居ないかね~年代者は?」

ブツブツと独り言を話しながら周囲を見渡す蘭子。

 

その時、数百メートル先からこちらに向かってくる人物を見て智亜が

「我、正義を発見!これより別行動する」

「おい!どうした?智亜」

蘭子が声にするが、それよりも早く智亜は走り去る。

 

 

「まあいいか、智菜行こうか」

蘭子と智菜は公園に向かって歩いて行った。

 

 

目標に向かって気配を殺し、自身の姿も通りを歩く人々で隠し近づいて行く智亜。

 

その人物の数メートル手前で蔦の様ね植物が生えて身体を拘束されてしまった。

 

 

「くっ!」

 

「ぶくぶく茶釜様、だ…大丈夫でしたでしょうか?」

 

「マーレ、私は大丈夫だよ。どこか痛い所とかはない?」

マーレに駆け寄る茶釜。

 

「あら!この娘は?あの時の」

茶釜の目の色が変わった瞬間だった。

 

【あ~あ、ご愁傷様】

やまいこが溜息交じりに拘束されている少女に憐みの気持ちがこもった視線を送る。

 

すでに、茶釜は拘束されている智亜のあっちこっちを触り倒していた。

 

「ふふ…こんばんは絵梨ちゃんも居るし弐倍楽しめそう」

瞳がすでにハートマークになっている茶釜のその言葉に

 

表情に少し明るさが戻っていた絵梨は顔が青くなっていた。

 

 

同時刻

中央公園…時計塔前

悟の最近のお気に入りの場所だ。

 

「フリーメイソンの物差しの角度は?」

「はい?」

佇んでいた悟はその声に驚いていた。

【えっと、この娘は何を言っているのかな?】

その瞬間、悟の左胸が疼きだす。

 

【確か、コンパスは7時25分で物差しは10時10分だったかな?】

「10時10分…?」

その言葉を聞き少女は笑顔を悟にむけ

「遅れてごめんなさい。ルトサさん」

【ルトサ?誰それ】

前髪を掻き揚げながら悟は、少女の方に振り返るが、その視線は不思議ちゃんを見る視線だった。

 

【えっ…やだ…あの振り返り方、そして左手の角度】

花子は、視線を動かせなかった。

 

「あの~、何方かと勘違いされていませんか?」

「えっ!…ルトサさんですよね?私です!…ら…ラキュースです」

「ラキュース…さん?」

悟は小首を傾げながら聞き返す。

 

【いや…私の勘違い?でも、なにその首を傾げる角度…素敵…】

悟の疑念の視線が鋭く、花子に刺さる。

【待って…ラキュース…この人はルトサさんじゃない!…ルトサさんよりも闇が深い…

いいえ、深いというよりも深淵の更に暗き闇を抱えている。】

 

「「あの~…」」

二人同時に声を出した瞬間。

 

「おや~!これは、ち…兄上ではないですか!」

 

「はい!?…ルトサさん」「ぱ…ルト…サ?」

悟と花子は素っ頓狂な声を同時に挙げる。

そこに現れたのは悟に瓜二つの顔をしたパンドラズ・アクターだった。

パンドラは、右手を水平に伸ばし左手の人差し指と中指を少し広げ左目に持っていき

身体を半回転し踵を揃え優雅に一礼した。

 

「これは兄上、そしてフロイラインラキュース殿ではありませんか。ラキュース殿…1分の遅刻お許し下さい」

 

【うわ!やめてくれ俺の姿でその動きは!】

悟の精神に大ダメージがヒットしていたが、なぜか悟はパンドラに負けない様に

両腕を広げ

「我が弟よ!貴様の邪魔をしてしまった様だな。我が魔眼の疼きは美しきラキュース嬢の邪眼の調べに呼び覚まされたのだな。」

「お~!兄上…流石に御座います。麗しき堕天使であるラキュース嬢の真の力を見破るとは」

「我が弟ルトサよ、我はこの地を離れようぞ、貴様の邪魔をするのは我の本心ではないからな」

「兄上!後日ラキュース嬢を、我らが屋敷にご招待しても?」

「うむ…許す。では我は行こう。ラキュース嬢、これで失礼する…後日また」

「は…はい!」

悟とパンドラの槍とに圧倒されていた花子は慌てて返事をする。

【す、すごいわ!私の闇の力で、ルトサさんと出会いさらに強大な人まで呼び寄せるなんて、2人の会話、仕草、どれをとっても…ま、まさか私を求めてこの二人が争ったりしたら】

花子は自己世界に浸っていた。

 

 

悟は二人に背を向け左腕を軽く上げその場を後にするのだった。

 

 

【リーダーは何をしているのだ?】

植込みの陰から花子を見詰めていた藍は小首を傾げる。

 

 

藍の背後で小さな音がした。

藍は近くセンサーをそちらに向け危険がないことを理解する。

 

藍の背後に現れたのは、藍と同じ位の少女だった。

「す、すまない。少し隠れさせてくれ」

藍は花子に危険がない事を理解しその少女を連れ立って隠れていた植込みから移動するのだった。

 

「ごめんなさい。私は、堂本織莉子という」

「私は、伊藤藍。困りごとか?」

「ある男に、追われているの」

「理解した、保護対象とする」

 

藍は織莉子の手を引っ張り、裏道を進む。

 

路地から大通りに出る手前で藍が止まる。

 

「おやおや~、どこに行くのかな~」

藍の目の前に一人の男が現れる。

 

「瀬戸雷也!」

「今日も麗しいね。織莉子…さま。おやそちらの方もそそられますね~」

 

堂本織莉子。彼女は東北地方にある、古の龍の民が納めるアーコロジーの現首長だ。

薄くなった龍の血脈ではあるが、彼女の身体的成長速度はゆっくりとしたものだ。

 

瀬戸雷也、彼は織莉子が納めるアーコロジーに隣接する先の大戦で違法強化を受けた亜人と呼ばれる元傭兵団からの攻撃を防いでいる自身も強化された人間であるが、嗜好は少し歪んでいる。

 

藍は、織莉子を守るために織莉子の前に立ち戦闘態勢を整える。

 

「ほ~、私に勝てると手も思っているのですか?甘いですね」

 

2人の静かな戦闘は激しさを増していく。

 

「ほ~貴女はサイバロイドですか?ですがあなたの身体は美しいままですね。気に入りました。織莉子と二人で私を楽しませて頂きましょうか」

 

藍と雷也の距離が開いた瞬間、2人の間に一人の男が立ち塞がる。

 

「俺の敵はどっちかな?まあ言わなくても分かるか」

 

「危険だ!逃げてくれ」

藍は目の前に立ち塞がった男に声をかけた。

 

藍の目から見て只の人間みえたのだ。

 

「あ~心配しなくても、俺最強だし、幼じ…ゲフンゲフン…か弱き少女の前に限定だけど」

男はそう言って藍に向け親指を立てた。

 

「何処の誰だか知らんが邪魔をしないで欲しいですね」

「おいおい、失礼だな~。萌騎士連盟の閃斬さんよ」

「なぜ?私のコードネームを…お、お前は!まさか、紳士同盟の…ペペロンチーノ!」

「おいおい、俺の名はペロロンチーノだって何回言えばいいんだよ」

2人は語り合っているだけに見えるが、2人の周りには軽く土埃がまっていた。

 

【私の目でも追えない攻防が行われている?】

 

【おっかね~!俺大丈夫だよな?】

実はペロロンチーノは何もしていない。

護衛についている、影の悪魔とレイスが攻撃をしているだけだった。

 

「くそ!なぜ我らの邪魔をする。可憐な蕾を愛でてはダメなのか!」

 

「お前たちの言う、愛でるってやつはな!蕾のまま摘み取って枯らしてしまうんだよ!

硬い蕾からどんな可憐な花を咲かしてくれるかを、楽しむのが愛でるってものだ!

それが俺たち紳士同盟の合言葉…ノータッチ!ノーロリータだ!」

{(伝言)シャルティア、俺の目の前の奴、ニューロリストに所に送ってくれるか?転移門はぎ面に開けてくれ}

 

{了解しんした}

 

即座に転移門が開かれ、瀬戸雷也はその闇に飲み込まれた。

 

「大丈夫ですか?麗しき幼女たち」

藍と織莉子はお互いの身を寄せ合い、心の中で叫んでいた。

【お前も!ロリコンか~!!!】

 

 

 

箱根足湯前

悟は、先程の自身の行動に頭を抱えていた。

 

【な、なんだったんださっきの態度は…でもどこか気持ち良かったかも】

封印していた病が再発したようだった。

 

 

「だめよ!久利須、令香!走ったら危ないわよ」

「亜理紗御姉様!早く、早く!足湯が有るよ」

 

2人の幼女が勢いよく悟の左右の太腿に当たった。

【うわ!ビックリした】

「大丈夫かな?2人とも?」

「す、すいません。妹達が失礼しまし…うっ!げぇ~~~~」

 

【え!ちょっとどうしたの、この娘?いきなり俺の顔を見て吐いちゃったよ】

 

悟は二人の幼女に見上げられ。自身の視線の先には未だに嘔吐している少女がいた。

 

「俺に!どうしろってんだよ~!」

 

箱根の街に悟の叫び声が虚しく響いたのだった。

 




茶釜「楽しみが、2倍…2倍」

ペロ「シャルティアも入れて、幼女祭りだ~」

悟「そんなに俺って…」


デミ「流石は至高の御方…深謀の嗜好。恐れ入りました」

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