玉座の間は4畳半   作:820

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ほのぼの話を考えて

書き始めたら…こうなってしまった。

完全に別物と化してます。

続きはない…。




1話 読み切り ららら…らぶろーど

DMMO-RPG ユグドラシル

 

それはかつて日本で一世を風靡した仮想現実体感ロールプレイゲーム

これでもかと考えうる限りの要素を詰め込み、更にはプレイヤーの外装、建造物、道具などを自身の好みで創造できるゲーム。

 

そのユグドラシルも盛者必衰の通り、衰退の一途を辿り

ここに12年という長い歴史の幕を降ろそうとしていた。

 

骸骨の姿をした者の目の前は磨き上げられた黒曜石の円卓とその周りに同じ黒曜石で出来た40の椅子、だがその椅子には誰もいない。

 

「来る?…来ない?…来る?…」

 

骸骨は、その手には相応しくない花を持ち1枚、また1枚と花びらを摘んでいく。

 

ここは、たった41人で数千はあろうギルドの中でギルドランク9位にまで上り詰めた

ギルド《アインズ・ウール・ゴウン》のギルドホーム《ナザリック地下大墳墓》の円卓の間と呼ばれる場所。

 

たった1人いる骸骨の名は、モモンガ。

このアインズ・ウール・ゴウンのギルド長である。

 

この数年、ユグドラシルが衰退の道を下って行くのと時を同じくして

ギルドメンバーが1人、また1人と引退やログインすらしなくなっていた。

 

モモンガは、ユグドラシルのサービス終了の告知を受け、ギルドメンバーに最終日に顔を見せてくれる様メールをしていた。

 

「…来ない?」

全ての花びらが無くなった花をモモンガは背後に投げると同時にその茎だけになった花は虚空へと消える。同時にモモンガの手には新たな花が光と共に現れる。

 

彼は、有休を取り朝からログインしていた。

 

ギルド《アインズ・ウール・ゴウン》のメンバーは全員が社会人でありアバターは異形種のみで構成されていた。

 

夕方から夜にかけ、数人のギルドメンバーは来てくれた。

 

【あ~、ナザリックを維持してきてよかった。】

 

モモンガは、数年間たった1人でこのナザリックを維持してきた自分の思いは間違ってなかったと誇りに思っていた。

 

現在の時刻は、23:30。

 

ではなぜモモンガは花占いの様な事をしていたのか。

 

その答えは、テーブルに置かれた小さな箱が答えだった。

 

「やはり、無理だったのかな?」

そう呟きながら、モモンガは花びらを摘んでいく。

 

《ピロリン♪》

メンバーのログインを合図する音が響いたが、モモンガは気付かず花びらを摘む。

 

 

「モモンガお兄ちゃん!」

突然聞こえた声に驚きモモンガは椅子ごと後ろに倒れる。

モモンガの頭の中では、この椅子倒れたんだ。と思考が別ベクトルに飛んでいた。

 

「もう~モモンガお兄ちゃんのイジワル~。」

再度、甘ったるい幼女の様な声が響く。

モモンガは我に返り声のした方に視線を向けると、そこにはピンクの肉棒としか形容し難い物体がウネウネと脈動していた。

 

「ちゃ、茶釜さん!来てくれたのですか!」

そう、そのピンクの肉棒はギルドメンバーである、ぶくぶく茶釜だった。

彼女はアインズ・ウール・ゴウンの中では数少ない女性メンバーでリアルでは声優を生業にしていた。

 

「茶釜さん、おつです。お仕事の方は大丈夫なのですか?」

 

「おつです!うん、やっと落ち着いて。私…来ちゃった、モモンガお兄~ちゃん」

地声からのいきなりのロリボイスにモモンガはアタフタと両手を振る。

 

テーブルの上ではピンクの肉棒が仁王立ちし胸を張っているのか反り返っている。

 

モモンガは落ち着きを戻して椅子を起こし定位置に直している。

 

「あれ~?みんなは?」

「皆さんバラバラで来ていただけましたよ。何人かの方はメールで返事も頂きましたから。」

「ふ~ん、そうかぁ~。」

「はい。」

「時間もないけど、ここで終わるのも何だか寂しいよね?」

「では、玉座の間に移動しましょうか?」

「おっ、いいね~それ。ついでにそれも持って行っちゃおうよ。」

茶釜はモモンガの背後に飾られてある1本の杖を指差す。

指刺すといっても茶釜のアバターはスライム種の為粘体を触手の様に伸ばしている様にしか見えないが。

「いいんですかね?」

「最後だし、玉座の間に行くならそれを持ってポーズしているモモンガさんカッコイイと思うんだけど。」

飾ってあった杖はギルド武器スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンだ。

このギルド武器が破壊されるとギルド及びギルド拠点の崩壊を意味する物だった為に

ずっとこの場所に飾られていた。

 

恐る恐るモモンガはその杖に手を伸ばし掴むと杖から禍々しい表情のエフェクトが浮かんでは消えていく。

 

モモンガはこの杖の製作過程を思い出していた。

「これを作るのに、皆さん無茶しましたよね。」

「そうだね。材料集めで有休取ったり、家族サービスほったらかしたりしてギルド崩壊より早く家庭崩壊しかけたり、形を決めるのに徹夜で話し合ったり喧嘩したり、楽しかったね。」

「そうでしたね。楽しかったですよね。あ!時間がヤバイですね行きましょうか?」

モモンガはテーブルの上の小箱をアイテムボックスにしまって移動を始める。

 

玉座の間までの移動中、2人は想い出話に花を咲かせていた。

 

「お!セバスにプレアデスだ。モモンガさん一緒に連れて行きましょう。」

茶釜が待機していたNPCにコマンドを入力していく。

 

「よく覚えていましたね。名前とか。」

「姉妹は美味しいものです。」

「お、美味しい?」

茶釜の性格を思い出しモモンガは乾いた笑い声をだす。

「そうだ、ペロロンチーノさんは?」

モモンガが伝えたペロロンチーノとは茶釜の弟だ。

「あ!あのおバカまだ来てないの?」

「え~、なんでも今日は気になるゲームの発売日で朝から並んでいるとはメールを貰ってたんですが。」

「ははは、じゃあ灰になっているかも。私が声入れしているから。」

「そうなんですか!……」

ペロロンチーノはエロゲマニアでモモンガもよくエロゲ談義に付き合わされていた。

気合を入れて購入しプレイを始めたら声優が実の姉で度々げんなりしていたのは良い思い出だった。

 

 

玉座の間に入った2人は驚嘆の声を上げる。

「やっぱり、いつ来てもここは凄いね。」

「そうですね。」

 

セバスとプレアデスを待機させた茶釜は玉座の横に佇むNPCを見ていた。

 

「名前は、確かアルベドだったかな?」

「そうですね。このナザリックの全NPCを統括する役ですね。って茶釜さん何しようとしてるんですか!」

 

茶釜は佇んでいるアルベトに触手を伸ばしていた。

「最後の最後に垢バンなんてシャレにならないですよ!」

 

「えへ、ごめん、ごめん。だって凄い可愛いからつい。」

「気を付けてくださいよ。」

モモンガは茶釜に注意しながらアルベドの設定を読んでいた。

「な!長っが!」

横から覗き込む茶釜。

「タブラ君だもんね作ったの。」

「そうかあの人設定魔でしたね。」

 

流し読んでいく2人は最後の1文で動きを止めてしまった。

《ちなみにビッチである。》

 

「なんで最後の最後に、この1文?」

「確か、タブラ君ってギャップ萌じゃあなかった?」

「そうでしたね。はあ~」

モモンガは溜息をつきながらスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを使用する。

通常時であれば創造者のみが書き換えなど行えるのだが、このギルド武器を使えば

ギルド長権限で変更等は可能であった。

 

モモンガは最後の1文を消すと、考え込む。

 

茶釜はアルベドを眺めた後、階段下で待機しているプレアデス達を眺めていた。

 

モモンガは、何かを閃いたのか浮かんでいるコンソールで文字を入力していく。

 

《ぶくぶく茶釜を愛してる》

 

【うわぁ!子供かよ俺は。】

 

モモンガは自分の気持ちを入力した。

過去に告白する勇気がなく、もし勇気があり告白していたとしても成就しようかしまいが

大問題になっていただろう。

こういうネットゲームではよくある問題だ。

カップルになるのはいいが、そこから他のギルメン達との付き合いなどがおろそかになり

最終的にはギルドの崩壊などよく耳に、目にしてきたからだ。

だが今日は、最終日モモンガは意を決してログインしていた。

来てくれないかもしれない人を待っていたので、あのような花占いのまね事をしていたのだ。

 

「モモンガさん、なにか変な物でも食べたの?」

「えっ!」

「動きがシュール過ぎて。」

モモンガは近付いてくる茶釜をみて慌ててコンソールを閉じる。」

「いえ!…な、なにも…」

口ごもってしまうモモンガ。

「はは~ん、さてはアルベドにあんな事やこんな事してる妄想してたのかな?モモンガお兄ちゃんのエッチ。」

「そ、そんなこと。」

「アルベドは美人でスタイルいいものね。」

ジト目でモモンガを見詰める茶釜。目はないが、モモンガの脳内再生ではそう見えた。

 

23:50

「ま、いっか、時間もないし。モモンガさんポーズポーズ。」

「え!は、はい」

ポーズを取るモモンガをスクリーンショットに収めていく茶釜。

「明日にでも皆に配っておくね。」

「じゃあ、茶釜さんもポーズ取って下さい。俺が撮りますから。」

「え~!そういって。私をノリノリにさせてヌードまで撮る気でしょう?」

「いや、そんなことしませんよ。それに、ヌードってまんま肉棒ですけど。茶釜さん。」

「はは、それもそっか。」

 

【玉座にそそり立つ肉棒って…シュールだな。】

 

 

23:55

茶釜を玉座に座らせたまま、モモンガは横に立ち頭上に掲げられたギルドメンバーのサインフラッグを見て。メンバーの名前を読み上げていく。

 

「俺、たっち・みー、死獣天朱雀、武人建御雷、ヘロヘロ、ペロロンチーノ、……」

「そして私。」

 

23:58

モモンガはアイコンに表示される時計を確認し、行動に移す。

おもむろに、モモンガは玉座のまえに片膝をつきアイテムボックスから小さな箱を取り出し、蓋を開け茶釜に差し出す。」

モモンガに片膝を付かれた茶釜は驚いて固まっていた。

 

「わた…俺とけっ」

23:59:30

玉座の間の扉が勢いよく開かれる。

「ちょっと待った~。」

 

00:00:00

「こんして」

 

00:00:05

駆け込んで来たのは茶釜の弟である、ペロロンチーノだった。

「早まるな、モモンガさん。」

 

00:00:30

「ください。ってペロロンチーノさん!?」

悟の視線の先には、全裸で駆けてくるペロロンチーノの姿があった。

 

00:01:00

「弟よ!その粗末な物を見せびらかすな!」

地鳴りの様な茶釜の声が響く。

 

00:01:30

「モモンガお兄ちゃんのおっきいよ。」

頬をピンク色に染めてはにかんだ様に茶釜の澄んだロリボイスが響く。

 

00:02:00

「ぺ、ペロロンチーノさん!何でそんな恰好で?」

「えっ!あれっ!何で俺全裸なの?」

そして視線を玉座に移したモモンガは直ぐに俯くと自分も全裸だった。

「姉ちゃんこそ!なんで、裸で仁王立ち?」

ペロロンチーノの声で茶釜は視線を落とすと2つの双丘の間からは、磨き上げられた床面に映っている自分自身の裸姿であった。

「きゃー!」

その場に座り込む茶釜。

「見た?見たわね?モモンガさん。」

「いえ、…少しだ…、滅相もないです。」

 

混乱の極みにある玉座の間に第3者の声が響く。

 

「このぉぉぉ~下等生物共がぁぁぁ!神聖なナザリック地下大墳墓に踏み込むとは~」

 

3人が声の方に視線を動かすとそこに鬼の形相をし、戦斧を振り上げているアルベドの姿があった。

 

これが終わりの始まりであった。

 




数日間、
続きを考えましたが、
どう考えてもモモンガさんの代わりを茶釜さんがするだけなんですよね。

モモンガさん…引きこもり化
ペロロンチーノ…ネムルート固定終了
茶釜さん…女性キャラにヒャッハーする(ガガーラン除く)


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