玉座の間は4畳半   作:820

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あれ?なんで?こうなったの?




隣りの夜のおかず・・・

ナザリック時間 午後3時

いつもの様に、エントマは黒棺でおやつの時間を愉しんでいた。

 

「おいしいですぅ…」

更に腕を伸ばし捕まえようとしたと時、ある物が目に飛び込んできた。

 

「あ、あたりぃ…皆にみせようっと」

そこには黄金色をしたゴキがいた。

傷を付けない様に千鞭蟲で捕まえメイド服の小袖の中に大事にしまう。

 

 

 

ナザリックから少し離れた樹海の深部

マーレは今日もアース・リペアで再生した小さな森の管理に来ていた。

「やっぱり、定期的に魔法を掛けないと枯れてしまいますね」

そう呟き、アース・リペアを掛けるマーレ。

この季節の花である、梔子(クチナシ)の花で満開になっていた。

「今日もご苦労様です」

視線を地面に落とし声を掛ける。

そこには、侵入者を警戒する為に数匹の恐怖公の眷属がいた。

眷属達は横1列に並び羽を広げマーレに挨拶をする。

マーレは、恐怖公の眷属を見張りにしてから、徐々にではあるがアース・リペアの魔法を掛ける回数も少なくなっていっていると感じている。

「どうしてかな?今度、コキュートスさんかデミウルゴスさんに聞いてみよう。眷属さん達の身体の色も変わっていっているし。次は、ぶくぶく茶釜様とお姉ちゃんと3人で来たいな」

転移門を潜りながらマーレは呟く。

 

 

 

「ですからね、モモンガさん。届いた荷物を開けると可愛いメイドさんが入っていてですよ、あんな事や、こんな事をしてくれるんですよ。憧れるな~」

「いや、そんなシチュエーションってベタ過ぎません?」

「そのベタさがそそられるんですよ。モモンガさんもまだまだ素人ですね」

「いや、素人でいいですよ。ペロロンチーノさん」

「で、別室でその行動を観察して楽しむと。愚弟の頭にしてはいいアイデアね。」

「だろう!姉ちゃん」

茶釜とハイタッチする、ペロロンチーノ。

[なんでこの2人、こういう悪戯的な事をする時は仲がいいのかな?]

話しが進んでいく中、悟は考え込んでいた。

「でいいですね。モモンガさん」

「え!?は、はい」

 

「じゃあ。オペレーション『可愛いメイドさんを届けて驚かそう』発動ね。デミデミに準備してもらうね」

 

 

 

第6階層の湖の畔で、デミウルゴス、コキュートス、マーレ、アウラの4人でお茶会が開かれていた。

「ほお、なかなかと興味深い話ですね。その恐怖公の眷属達の色が変色しているというのは」

「フム、不思議ナ事モアルノダナ」

「で、マーレの魔法回数も減っていっているんだよね?」

「うん、そうだよ、お姉ちゃん。それに魔法強化の位階も落ちて来ているんだよ」

「推測できる原因としては、汚染土壌が恐怖公の眷属によって浄化されていっていると思いますね」

「「「おお~」」」

「じゃあさあ、マーレ、今度はぶくぶく茶釜様もお連れして3人で行ってみようよ」

「そうだね、お姉ちゃん。じゃあもっとお花とか植えて綺麗にしておくね」

「素晴らしい考えですね」

「ウム、至高ノ御方々ニオ喜ビ頂ケル事ダロウ」

 

 

 

ピンポーン

「宅配便です。お荷物をお届けに来ました」

インターフォンからの声で男は動き出す。

男の歩幅に一致する場所以外は様々な物で埋め尽くされている。

[なんだ、この荷物は…差出人はAOG財団?]

男に届いた荷物は人が一人入りそうな大きさの箱だった。

 

[まあいいか、さてと]

荷物を無造作に置いた男は隣室の扉を開ける、開けられた部屋は男が普段生活をしている

部屋と比較すると雲泥の差があった。

その部屋は、全ての物が綺麗に整頓されガラスケースが整然と並んでいた。

 

「ジョセフィーヌ、マーガレット、アリス、……いってきます」

整然と並べられたガラスケース1つ1つに声を掛けて部屋を出ていく男

 

 

外出した男の部屋の2軒隣りの部屋の中

「お~い、真っ暗で何にも見えないぞ~、愚弟」

「いやいや、姉ちゃん。そりゃあそうだろう、荷物開けられてないみたいだし」

部屋の中では、ぶくぶく茶釜とペロロンチーノ姉弟が遠隔視の鏡の前で待機していた。

 

「まあ、戻ってくるまで楽しみはお預けみたいだから、ナザリックでアウラとマーレと遊んでいるから」

そう言って茶釜は転移の門の中に消える。

「えっと?フィースだったよね?君も戻っていいよ」

傍に控えていたメイドはそう声を掛けられ一礼し茶釜の後を追うようにして転移の門の中に消えて行った。

 

「さて、俺も…おっと忘れるところだった。《伝言》エントマ、自由に動いていいよ」

ペロロンチーノは部屋をあとにする。

[まさか、源次郎さんの本名が源 次郎(みなもと じろう)だったなんて…]

 

 

 

伝言を受け取ったエントマは箱から出て周囲を見渡す。

 

「きちゃないですぅ…」

エントマは自身の立ち位置を確保する為に掃除を始めた瞬間、見慣れた存在が走り出す。

 

「お腹も空いていますぅ…」

存在が隠れたあたりを整理していくエントマ。

存在を見付けると目にも留まらないスピードで捕食していく。

 

「美味しいぃですぅ…程よく引き締まった肉の歯応えもいいですぅ…噛むたびに美味しさが溢れますぅ…野生の味ですぅ…」

エントマは恐怖公の眷属にはない味に夢中になり捕食する為、部屋の掃除を進めていく。

 

数時間後、身動きもとり難かった部屋が綺麗になる。

 

「綺麗になりましたぁ…」

エントマが満足気に呟き、視線を動かすと奥へと続く扉を見詰める。

 

「もっといるかなぁ…」

奥の部屋へと入っていく。

 

エントマは眼前に広がる光景に瞳を輝かせる。

そうケーキ屋さんのショーケースを眺める少女の瞳だった。

 

「デザートが一杯ぃ…」

 

数分後満足したエントマは部屋の主が戻ってくるまでの間

する事も無くなり満腹感も合わさり押入れの中に入り眠ってしまう。

 

「もう食べられないですぅ…美味し過ぎますぅ……ムニャムニャ」

 

 

 

「で、ペロロンチーノさん。なぜ俺がここに居るんですか?」

「いや~モモンガさん暇そうだったし、姉ちゃんはアウラとマーレに連れられてどっかに行ったし…」

「まあ確かにそうですけど、ペロロンチーノさんの様な覗き趣味はないですよ」

「の、覗きって…失礼な。これはモモンガさんのしれ‥勉強の為ですよ」

「いや今、試練って言いかけませんでした?勉強ってなんの勉強ですか?」

「まあ見てれば分かりますよ。おっと帰って来たようですよ。源次郎さん」

「でも、遠隔視の鏡は真っ暗なままですけど?」

「なんでなのかな?一応エントマの視線に合わせて映るようにしてもらっていたんですが、俯瞰視点に変えましょうか」

悟とペロロンチーノが遣り取りしていると、源次郎が帰宅した。

 

 

源次郎が部屋の明かりをつけた瞬間固まる。

「え!部屋間違った?…いや俺の部屋だよな、ここ」

今朝仕事に出かける時はいつも通りのあらゆるもので埋まった部屋であった筈だ。

 

慌てて源次郎は、奥の部屋の扉を開ける。

「ジョセフィーヌ、マーガレット、アリス……ど、どこに?」

ガラスケースの中で飼っていた虫達が消えていた。

過去に1度だけ源次郎の母親が無断で部屋の掃除をして、飼育していた虫達までも捨てられた事があったのだ。

「まさか、またお袋が?」

 

…カタン…

押入れからの音に警戒をしながら源次郎は押入れを開ける。

 

「おわ!感激の御対面のようですよ。モモンガさん」

「はあ…ペロロンチーノさん。私がシャルティアを連れて来た時ってどんな感じだったんですか?」

「固まりましたね。夢が現実で動いているんですよ。もうね、ペロロンコレクションを

全部燃やしてしまってもいいと思いましたよ。ははは…そんな事は実際しませんけどね」

悟は、恍惚の表情を浮かべ語るペロロンチーノを冷めた目で見詰める。

 

 

「へっ!」

源次郎の目に飛び込んできたのは、スヤスヤと寝息をたてるメイド服に身を包んだ少女だった。

その少女の頬を指で突く源次郎。

 

「王道ですね。源次郎さん。俺ならおっ○いからいきますけどね」

自身の趣味嗜好も混ぜて解説する、ペロロンチーノ。

 

数度頬を指で突く源次郎。

そして目を開ける少女。

 

「いい睡眠でしたぁ…」

「エ、エントマ…?」

自身の名を呼びかける存在に我に返るエントマ。

片膝をつき臣下の礼をとる。

「左様です。エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ。御身の前に」

シニヨンに擬態した蟲が揺れている。

 

エントマの両肩を掴み立たせる源次郎。

「モモンガさんのメールで書いていた事はこれだったのか!」

 

 

「これですよ!モモンガさん。見詰め合う2人。さあどうします?」

「いや…どうしますって…どうするんですか?」

「押し倒す…ですよ!」

「犯罪じゃないですか!」

「いえ、愛の表現です」

真顔で答えるペロロンチーノ。

悟は頭を抱えながら、遠隔視の鏡を見詰める。

 

エントマの顔を凝視する源次郎は、ふとエントマの口元に視線が止まる。

 

「エントマ、1つ聞きたいのだがいいかな?」

「このケースの中身は?…まさかとは思うが」

「美味しかったですぅ」

素の口調で満面の笑みを見せるエントマ。

「た…食べちゃったのか…」

項垂れる源次郎。

 

だが突然頭を上げてエントマに手を伸ばす。

「ジョセフィーヌ、マーガレット、アリス…の事はどうでもいい。今はこの現実を」

伸ばした手がエントマの和服に模したメイド服の帯に引っ掛かる。

エントマの帯が解け体も独楽の様に回転する。

 

「お~!いきなりの大技ですよ。モモンガさん」

「何が大技なんですか?」

「あれはですね。『お代官様、あ~れ~』ですよ。これは繰り出すタイミングが超絶に難しいんですよね~。タイミングを間違えると、縮緬問屋の爺さんとか、般若のお面を付けたのとか、白馬に乗った旗本の三男坊とか、お邪魔キャラが出現してボコボコにされてゲームオーバーになるんですよ」

「は、はあ~、そうなんですか?」

悟は何かに達観したかのような返事しか出来なかった。

 

独楽の様に回転を続けるエントマは布団の上に倒れ込む、和服を基調としたメイド服の前合せが少し乱れ、体を構成している蟲の姿がチラリと覗いている。

エントマの顔が少し赤くなっており、体を構成している蟲達も恥ずかしいのだろうキチキチと音をたて蠢いていた。

 

 

 

「う…美しい…」

源次郎が呟く。

「美しいぃ?」

2人は見詰め合う。

 

「モモンガさん!これ持って乱入して下さい」

「えっ!」

悟はペロロンチーノから大きなしゃもじを渡された。

そのしゃもじには『突入!隣の夜のおかず』と大きく描かれていた。

「へ?なぜ俺が?」

「これ以上いくと18禁になります。まさか源次郎さんが、あんなイケメン言葉を使うとは、

さあ行って下さい。俺はモモンガさんに姉ちゃん特製パインサラダを準備しておくんで」

 

悟は源次郎の部屋へ突入した。

 

そして、悟の突入に驚いたエントマによって千鞭蟲の犠牲になった。

 

 

「「「モ!モモンガさん(様)~!!!」

 




アルベド「さあモモンガ様、私をイケメン言葉の練習台に…くふ~」
モモンガ「えっ!」
ペロ「さあ、ペロロンコレクションのプレイ時間だ」
モモンガ「た、助けて下さいよ」

アルベド「くふ~このモモンガ様等身大抱き枕の中には、
     モモンガ様の髪の毛が入ってます」
デミ「モモンガ様の御尊毛入りとは、うらましい」

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