玉座の間は4畳半   作:820

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新年あけましておめでとうございます。

年末年始に数話投稿しようと書き散らかしてたら

全て数百文字で終わるという始末…orz





町へ・・・

A・O・G財団本部執務室

 

先日、デミウルゴスの依頼もあり会社を退社した悟は、A・O・G財団の理事として業務をしている。

書類に目を通し判子を押していく。

「俺、こんな仕事したこと無いのになあ。」

 

一段落ついた悟は手持無沙汰になり炬燵に入り蜜柑を食べる。

 

「はあ~、冬はやっぱりこれだよな~。」

 

足を伸ばし寛ぐ悟。

 

プニ!

つま先に何かが当たる感触がある。

悟は炬燵布団を捲り、中を覗くと、丸い物体が2つ見える。

 

「うん?」

目を凝らしよく見ると、その2つの物体は、丸まって眠るシズとエントマだった。

 

「え!?エントマは蟲人だから寒さに弱い感じだけど、シズって自動人形だったよな?

自動人形って暑さ寒さって関係ないはずだよな?」

 

気持ち良さそうに眠っている2人を起こさないように悟は炬燵から出て、

執務室から移動する。

 

 

(観光もさせてくれないからな)

守護者一同から危険だからと外に散歩に行かないで欲しいと涙を流され説得されていた。

 

財団本部に作られた円卓の間に移動してきた悟の傍には監視役のセバスがいた。

 

(散歩も出来ないなら、こいつを試してみるかな?)

 

悟はアイテムボックスから《遠隔視の鏡》を取り出し操作する。

 

「ゲーム時代ならコンソールで場所を指定するだけだったのになぁ」

 

悟はブツブツと独り言を言いながら、腕を振り上げたり、両手を鏡の前に突き出して念を送ってみたりしたが思うように動かない。

 

コンコン

扉をノックする音、セバスが扉を開ける。

「失礼しますよ。モモンガさん」

「たっちさん!もう出歩いて大丈夫なんですか?」

「すっかり元気になりましたよ。今日はみんなにお礼がしたくてお邪魔しました。」

「お礼なんて、なあセバス」

「はい、当たり前の事をしただけで御座います。」

「モモンガさん、何しているんです?」

「外に出させてくれないんで、《遠隔視の鏡》で外を見ようかと考えたんですが、これが上手く操作出来なくて困っていた所です」

そう言い悟は両手を上げ、お手上げのポーズを取る。

「あれ!?」

「お見事で御座います。モモンガ様」

「動きましたね」

「有難う御座います。たっちさん、セバス」

「へ~、箱根の近くにこんな町があるんですね」

「確か、この街は箱根をアーコロジー化する際に箱根向けの食糧生産の為に作られた簡易版のアーコロジーですね。この箱根の周りに数か所あったはずです」

「そんな町まであるんですか、凄いですね」

「まあ、確かにそうなんですが、この町の住人はロストナンバーズなんですよ」

興奮気味に話す悟に少し暗い表情で説明するたっち。

「すいません」

「モモンガさんが謝る事ではないですよ」

話しながらその町を眺めている悟とたっち。

 

「おや?イベントですかね?」

「いや!これは」

 

 

 

いつも通りの一日の始まりだった。

今日もいつも通り農園での作業を終えて自宅に戻った時に異変が起きた。

迷彩服を着た男たちが町になだれ込んで来たのだ。

 

抵抗する者には下卑た笑みを浮かべる男達がナイフを突き立てていく。

 

「逃げるんだ!」

父と母の叫び声で私たちは逃げる。

 

 

「なぜこんな町が襲われるのですか?」

「モモンガさん、分かりませんが…」

たっちは険しい顔をする。

 

「たっちさん!こんな光景を見ても何とも思わない自分は変ですか?」

「モモンガさん…」

「やっぱり私は人間であって人間でないのですね、ユグドラシル時代の種族特性的なものが出ているようです。」

悟は人が殺されているという状況を冷めた目で見ていた。

「困っている人が居れば…」

部屋を出ようとするたっち。

セバスは困惑する、モモンガとたっちどちらを優先するのかを。

 

モモンガを見詰めるセバス。

 

「確かにそうですね。たっちさん。ここは私がいきます。セバス!アルベドに完全装備で後から直ぐに来るよう伝えろ。」

悟は青の嫉妬マスクを被りながらセバスに指示を出す。

「モモンガさん!自分も」

「たっちさんはここで見ていて下さい。貴方は普通の人間です。私にとっては大切な仲間です!貴方は今もユグドラシルのアカウントが有るんですか?」

悟はたっちに告げる。

たっちは答えに詰まる。

悟は転移の門を展開する。

「アカウントが無ければ能力も使えないんです。セバス、たっちさんを頼む。」

そう言い残して悟は転移の門に入っていく。

 

 

 

幼い妹の手を握り逃げる。

さっき二人の兵士に見つかってしまったのだ。

 

鍛えられた男の足は直ぐに私に追いつく。

追いついた男の手のナイフが振り下ろされる。

 

私は背中に熱を感じた、切られたのだ。

痛みで足がもつれ倒れ込む、何としても妹だけは助けなければ。

 

ナイフを振り上げる男。

私は目を瞑り、その時を待つ。

しかしその時が来ない。

顔を上げた私の目の前には、禍々しい闇の渦があった。

その闇から黄金色の杖を持った人が出てくる。

 

心臓掌握(グラスプ・ハート)

悟は自身の手に目の前の男の心臓を握りつぶした感触があった。

その男は力なく倒れる。

「え!」

悟は自身の手を握ったり開いたりしている。

「な、なんだ!お前は」

 

「女子供は追い回せても、毛色の違う者は無理か?」

もう1人の男は後ずさり背を向けて走り出す。

 

龍撃(ドラゴン・ライトニング)

悟の指先から稲光が迸り、逃走を図る男に命中する。

辺りに肉の焦げる匂いが漂う。

「弱いな。人間とは。」

悟に人を殺したという罪悪感はなかった。

 

 

私は、夢でも見ているのだろうか、一瞬で2人の男が死んだ。

 

目の前の闇からまた何かが現れた。

その現れた人は全身鎧を身に着けてその手には巨大な斧が握られている。

「モモンガ様。こちらの人間(下等生物)は如何いたしましょう?」

その鎧の人は大きな斧を軽々と、私達に向けて振り上げる。

「ま、待て!早まるな、アルベド。」

「失礼いたしました。」

「大丈夫ですか?これを飲んで下さい。」

そう言った男の人の手には真っ赤な液体が入った瓶があった。

得体の知れない液体を前に私は戸惑う。

「お姉ちゃん!ダメだよ!」

妹が私の袖を引っ張る。

 

「至高なるモモンガ様が下賜されようとしているのに、不敬な!」

再度、振り上げられる斧。

「アルベド!控えよ!セバスに何を聞いてきた。」

 

モモンガと呼ばれた男の人は、私達に目線を合わせ。

「これは治癒の液体です。大丈夫ですよ。」

私はそう言われ、差し出された液体を一気に飲み干す。

 

「え、痛みが消えた!傷もない!」

私は切られた背中を手で確認する。

 

 

「助けて頂いてあいがとうございます。町を、私たちの両親も助けて下さい。」

 

「下位アンデッド作成」

悟は自身のスキルを発動する。

上空より黒い靄が発生し、その靄が心臓掌握で死んだ男に纏わりついた瞬間

その男の体が有り得ない速度で変形していき死の騎士(デス・ナイト)になる。

 

(うへ!現実の死体が変身するのか)

 

「デス・ナイトよ。この町を襲っている、この迷彩服を着た者達を倒せ」

 

創造されたデス・ナイトは禍々しい雄叫びを上げ、町に向け走りだす。

 

(え!守るべき対象がここに居るのに、何で)

ゲーム時代召喚したデス・ナイトは召喚者の傍で守るのが普通で、このように独自の行動など起こさなかった。

「ま!いいか、命令したのは俺だし。あ!そうだ、生命拒否の繭(アンティライフ・コクーン)

矢守りの障壁(ウォールオブプロテクションフロムアローズ)これで他の兵士からの攻撃は防げる筈です。それとこれを」

悟は小鬼将軍の笛を放り投げる。

「この笛を吹けば召喚された者達が守ってくれるはずですから危険を感じたら吹いて下さい。」

 

「有難う御座います。貴方は何者なんですか?」

この人を見ていると心臓の鼓動が早くなる、顔も熱を持っている様だった。

 

「私ですか、あっちの方からやって来た者ですよ。」

悟は箱根の街の方を指差す。

 

「あ!わ、私、江本絵梨って言います。こっちは妹の音夢です。」

「絵梨さんに音夢さんですか、良い名前ですね。私は、モモンガと言います。では私達は町の方へ行きます。」

 

 

町の中心部

住人が集められ、その周囲には迷彩服を着た男たちが、突如現れたデス・ナイトによって

蹂躙されていた。

 

「ペ隊長、私たちはどうすれば?」

「知らん!それよりも私を守れ!」

町を襲っていた部隊の隊長である、ペ・リューシュンは戸惑っていた。

自分の任務は単なる住人を襲い蹂躙すること、これまでは上手くいっていた。

自身の欲望も十分に堪能していた。

 

副長のロン・クーランは、現れたサイバロイドと思われる戦士に驚愕していた。

勇敢に立ち向かった兵士には、手にする盾で叩き飛ばし、逃げようとする兵士には、

巨体からは考えられない俊敏な動きで大剣で斬りつける。

 

「このままでは全滅する。」

「早く、こいつをどうにかしろ!」

叫んだペ・リューシュンをデス・ナイトは睨みつける。

 

ペ・リューシュンは数歩後退するが何かに足を掴まれる。

ペの足を掴んだのは、先程斬られ体が二つに分かれた部下だった。

 

「ひっ!」

尻餅をつくペ・リューシュン。

「た、助けて…く、下さい。お、お金上げますから…」

そういった瞬間、大剣がペの腹部に突き刺さる。

「お、おがね…お、が、ね…差し上げ…ますから…」

その言葉が続く限り大剣が腹部を数度突き刺さる。

 

ロン・クーランは意を決して、隊長を蹂躙しているデス・ナイトに斬りかかる

瞬間ロン・クーランの目には空が映り自身の体が見えたのが最後だった。

 

「そこまでだ!デス・ナイトよ」

残った兵士たちの目の前に突然現れた得体の知れないマスクを被った人物の言葉で

デス・ナイトは動きを止める。

 

腰を抜かし動けない兵士が数人、残った数人の兵士は背を向け走り出す。

 

「私が処理してきましょうか?モモンガ様」

「構わない、後詰めのエイト・エッジ・アサシンとシャドウ・デーモンに任せよう。」

 

悟は、腰を抜かした兵士に向き直り

「さて、貴様達のじょ…飼い主に伝えよ。これ以上行動するなら、貴様たちの国にお邪魔するとな。行け!」

兵士達はけんもほろろに逃げ出す。

 

「貴方様は?」

1人の老人が悟に声を掛ける。

「たまたま、この町が襲われているのを見て来た者だが?」

「我々を救って頂き、感謝の言葉も御座いません。私はこの町の取り纏め役をしています。」

そう言って土下座をする老人。

「まあ、私も酔狂で助けた訳ではないので、そこまでされなくても結構ですよ。」

 

「モモンガさん、貴方は…」

《遠隔視の鏡》でこの光景を見ていた、たっちは呟く。

 

「む、あれは?」

《遠隔視の鏡》には、町に近付く一団を映していた。

 

「あの人は…確か…」

 




ペロロンチーノ「Oh!Yesロリータ…音夢ちゃん!」
モモンガ「シャルティア!許す」
シャルティア「ペロロンチーノ様!」

アルベド「ま、まさか!モモンガ様もペロロンチーノ様と同じ趣味嗜好なのですか?」

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