玉座の間は4畳半   作:820

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幕間的な話。
クリスマスに合わせようとしましたが・・・

やっぱり掲載すると時系列の齟齬がでるので、投稿しないつもりでしたが




いつかは・・・

デミウルゴスが買収した温泉旅館の大広間で、

今日はアインズ・ウール・ゴウンの忘年会が開催されている。

 

悟を中心に参加できたギルメン、階層守護者、プレアデス達が並ぶ。

料理は、ナザリックより運び込まれ 山海の珍味が並ぶ。

 

「いや~贅沢ですよね~。温泉に、豪華料理って。」

「本当ですよね~」

悟やギルメン達はそれぞれ話をする。

 

 

料理も揃い、悟は立ち上がり乾杯の音頭をとる。

「今年1年も皆ご苦労だった。今日は無礼講で楽しもう。乾杯」

「乾杯~!」

 

 

杯を交わし、料理を楽しむ、ギルメン、階層守護者達の中で

プレアデスが長女ユリ・アルファだけが苦虫を潰した様な顔をして酒を煽っている。

 

その原因は、彼女の横を通り過ぎる一般メイド達の誇らしげな笑顔にあった。

ユリたちプレアデスのメンバーは戦闘に特化されているとはいえ至高の御方々の世話をするという行為が何事にも変えがたい至福の時なのだ。

その時を奪われたユリ。

 

更にユリを悩ましているのが妹たちだ。

ルプスレギナ、ソリュシャン、エントマは完全に意識が料理にいっている。

至福の時を彼女達が放棄していることに。

 

シズは既に茶釜に捕まっている。

 

そんな中、ナーベラルだけが、険しい顔で何か呟いている。

「お世話ができない…、お世話ができない…、お世話ができない…」

 

「ナーベラル!貴女だけね。」

御猪口と徳利を持ったユリが優しく声を掛ける。

 

「ユリ姉さん。」

2人の周りには、夥しい数の空になった徳利が積みあがる。

 

 

 

そんな2人には知るよしもなかったが、一般メイドが近寄れない空間があった。

 

そこには、至高の御方の1人である、ペロロンチーノが座り隣には殺気を撒き散らす

シャルティアがいたのだ。

ペロロンチーノを甲斐甲斐しく世話するシャルティアは、少し着ていた浴衣を着崩し

無い胸を無理に寄せて上げ、その胸元に刺身を1切れのせる。

「ペロロンチーノ様~!どうぞでありんす。」

 

そんなシャルティアを見て

「うお~!誰得!?俺得ぅ~~~!」

と訳の分からない叫びを上げるペロロンチーノ。

 

「わかめ酒って旨いのかな~?」

ペロロンチーノはそう呟き、シャルティアの浴衣の裾を捲ろうとした瞬間

茶釜の拳骨がペロロンチーノの頭に落ちる。

 

「愚弟!あんた何しているの!アウラとマーレの教育に悪いでしょ。」

ペロロンチーノが大人しくなり、シャルティアからも殺気が消え

一般メイド達は安堵の表情をして給仕を続けていく。

 

そんなペロロンチーノの隣には悟が座り、悟の横には捕食者の目をしたアルベドがいた。

 

「モモンガ様、一杯どうぞ。」

アルベドは慈母の微笑みで悟に酌を勧める。

「アルベド!」

温泉上がりのせいなのか、アルコールのせいなのか、浴衣姿のアルベドの頬、胸元がほんのりとピンク色になっているのを見て悟は唾を飲み込む。

 

「わ、悪いな、アルベド。私は酒が飲めないのだよ。」

悟の言葉を聞き、顔を逸らしたアルベドは鬼の様な形相になり舌打ちする。

[ちっ!私の崇高な作戦が、3日3晩シミュレーションを繰り返したのに、モモンガ様を酔わせて介抱するふりをして別室に連れ込んで御寵愛を頂くという。

名付けて、御馳走様でした作戦が…]

 

そのアルベドの変化の瞬間を、たまたま給仕の為に通りかかったシクススが目撃してしまい腰を抜かしその場にペタリとしゃがみ込んでしまう。

 

「大口ゴリラの考えは見え見えでいやでありんすねぇ。」

再起動を果たしたシャルティがアルベドに声をかける。

 

「なんですって~!この八目ウナギ。背中の肉まで寄せて上げないと無理って悲しいわよねぇ~。」

先程の刺身の件を皮肉るアルベド。

 

「酔い過ぎると使い物にならなく殿方も居るでありんすえ。そんな事も知らないとわねぇ守護者統括とあろう御方が…」

赤と紫のオーラが立ち上り、周囲に居る一般メイド達は震えだす。

 

「児戯は止めよ。二人とも!」

「「申し訳御座いません。モモンガ様。」」

悟の一声で大人しくなる2人。

 

「今は、楽しく過ごそうではないか」

そう言って、2人の頭を撫でる悟。

 

 

その頃、コキュートスはカチカチと顎を鳴らしソワソワとしていた。

そんな盟友の動きに気付いたデミウルゴスが声をかける。

「どうかしたのかね。コキュートス。」

「イヤ、何時至高ノ御方々ヘノ御酌ニ行コウカ、タイミングガ掴メナインダ。」

 

「流石、コキュートス。私は失念していたよ。よくぞ気付かせてくれた。不敬にならなくて助かったよ。では今から2人で行こうとしようじゃないか。」

「オ~、デミウルゴス。一緒ニ行ッテクレルノカ、感謝スル。」

コキュートスとデミウルゴスが酌に回る。

 

 

ステージでは、デミウルゴス配下の3魔将によるコントや選抜メイドによるショーなどが演じられていた。

頃合いを見て、悟はステージに上がる。

 

「少し遅くなったが、皆にクリスマスプレゼントがある。色々準備したので抽選になるが、司会は私モモンガ。」

「アシスタントのペロロンチーノよぉ~。よろしくねぇ~。」

悟の声に一同は姿勢を正す。

下座には一般メイド達が並んで座る。

 

「全員に番号札は渡ったな。では抽選会を開催しよう。」

「最初の商品はこれよ。」

何故かオネエ言葉のペロロンチーノは1枚の色紙を手に持ち揚げる。

 

「まずは、たっちさん直筆の色紙だ。座右の銘とサインを書いて貰った。」

守護者達の目の色が変わる中、セバスは周囲を威圧するかの殺気をだす。

 

「少しは落ちつたらどうかね、セバス。」

「失礼しました。デミウルゴス。」

デミウルゴスに窘められるセバス。

 

抽選箱から1枚の紙を取り出す悟。

自身が持つ数字を書かれた紙を見詰め続けるセバス。

 

「34番!」

 

「うおぉ~~~~~~!」

両腕を上げ叫び立ち上がるセバス。

 

涙を流し、セバスが絶叫する。

「私はやりました!たっち・みー様!」

 

「うわぁ!びっくりした~」

「セ、セバスさんがあんなに、こ、興奮するなんて。」

「あんなセバスを見るのは初めてでありんす。」

アウラ、マーレ、シャルティアがビックリして飛び上がっていた。

 

ステージ上では、悟自らセバスに色紙を手渡した。

その色紙を大事そうに抱える、セバス。

 

下座では、そんなセバスを愛おしい眼差しで亜美が見詰めていた。

 

「次は、餡ころもっちもちさん御手製のぬいぐるみだ。当選番号は14番」

「ふむ、ではプランCの発動だ。」

その声を聞き、男性執事は振りかぶりエクレアを投げる。

エクレアは空を飛んでいる。目指すは悟の胸元だ、嘴で狙いを定める。

 

時速190kmで迫るエクレア。

そのエクレアを指先で止める悟。

「流石で御座いますな。モモンガ様。私の狙いを見ぬくとは。」

「エクレアよ。まだまだ甘いな。」

シズに抱かれステージを降りるエクレア。

 

 

「やはりモモンガ様は慈悲深い御方。」

「流石はアルベド気付いていましたか。」

「もちろんよ。デミウルゴス。あの箱の中は空で、私達に渡した番号の控えをモモンガ様はお持ちになっているわ。」

「そして我らを創造なされた御方の品が当たる様に手の中に、その番号が書かれた紙を御隠しになって、さも本当に引いている様に見せておられる。」

「流石ね、デミウルゴス。そこまで見えているとは。」

 

 

「あ~もう~。出来レースすぎじゃない?モモちゃん」

「茶釜さん、酔っています?」

「う~ん!酔ってないぃ…」

マイクを奪い司会進行する茶釜。

 

「じゃあ、次はホワイト・ブリッちゃん謹製のメイド服よ。2着作って貰ったから2人ね。番号は…」

一般メイド達の目の色が変わる。

 

「29番!」

 

「きゃ~~~~~~~~~~!!!!」

インクリメントが絶叫する。

普段物静かな彼女の変貌振りに、周りに居たメイド達が驚く。

 

「次は、44番!」

メイド達が周囲を注目する中、さっと立ち上がる人物。

 

参加者全員が固まる。

 

 

立ち上がった人物は、デミウルゴスだったのだ。

 

「あの~如何すれば良いのでしょう?」

「デミデミ!今着るしかないっしょ!」

「私がですか?ぶくぶく茶釜様。」

「そうよ!はい、直ぐ行動ね。デミデミ。」

「か、畏まりました。」

数分後退出していたデミウルゴスがステージに登場した。

 

会場中に悲鳴とも笑いともとれる絶叫が木霊した。

 

 

 

 

 

悟は目を覚ます。

炬燵で眠ってしまっていたのだ。

 

「ゆ、夢?」

 




モモンガ「デミウルゴスのメイド姿、似合ってたな。」

アルベド「くふ~!モモンガ様の寝顔。ごはん10杯はいけます。」

デミウルゴス「最近、私を見る、モモンガ様の視線が…」

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