誤字等訂正しました。
その日、セバスは悟と共に街を散策していた。
「モモンガ様、たっち・みー様はお元気なのでしょうか?」
「すいません、セバスさん。たっちさんには連絡してるのですが、都合がつかないようなんです。」
「左様でございますか。お気遣い頂き、このセバス感謝の言葉もありません。」
とある閑静な住宅街の中
立木 稔の家はあった。
「あなた、久々の休日なんですから、出掛けて食事なんてどう?」
「あ~、いいかもな。じゃあ出掛けるか。」
「パパ!あたしオムライスが食べたい。」
「ははは、オムライス食べにいこう。」
稔は5歳になった娘を抱き上げて笑顔で答える。
A・O・G財団本部
「マーレお願いします。」
「は、はい。デミウルゴスさん」
「では、行きましょうか。」
デミウルゴスとマーレは、富士山の裾野に広がる樹海だった場所に来ていた。
マーレが杖を頭上に捧げ魔法を詠唱する。
「アース・リペア。」
マーレの周囲に魔法陣が輝き広がっていく。
その魔法陣の広がりと共に枯れ果てていた木々が緑の葉をつけ、大気も浄化され自然が復活してゆく。
「やはり、マーレが全力で魔法を使用しても周囲数キロが精一杯ですね。」
「で、デミウルゴスさん…ご、ごめんなさい…」
「マーレ、謝る必要はないですよ。実験は成功なんですから。」
デミウルゴスが、優しい笑顔をマーレに向ける。
「では、このまま永続化の魔法を、マーレ。これでナザリックの転移が出来ますね。」
「いらっしゃいませ、御2人様ですか?」
「はい。」
「では、ご案内致します。」
悟とセバスは、洋食で有名な店に入る。
席に案内され着席する。
「ここは、自然食材を使用した店で有名なんですよ。」
「落ち着いた、良いお店ですね。モモンガ様」
「セバスさん、鈴木でいいですよ。アバターネームで呼ばれるのは少し恥ずかしいですから。」
「畏まりました、鈴木様。」
「様もいらないだけど…」
「そのような不敬は…」
「はあ、セバスさんが呼びやすいので結構ですよ。」
「いらっしゃいませ。」
「わ~い、オムライス!オムライス!」
「こら、実里。はしゃいじゃだめよ。」
「ごめんなさい。」
「ははは、実里はいい子だな。」
「もう、貴方。甘やかし過ぎよ。」
悟は、入店してきた家族連れを見た。
「あ、あれは、たっちさん!」
セバスは、悟の呟きに眼光を鋭くし、その家族連れに視線を移す。
「たっち・みー様!?」
セバスは放心状態の様に席を立ちあがり、フラフラと歩み出す。
「セバスさん、落ち着いて。」
悟はセバスの腕を取り、席に戻す。
「し、失礼いたしました。鈴木様」
「挨拶に行きたいのは、俺も同じですが今回は遠慮しよう。家族サービス中みたいだから。」
「畏まりました。」
セバスの瞳が悲しみに包まれているのを感じ、悟は申し訳ない気持ちになる。
「いらっしゃいませ」
「個室を頼むよ、君」
「申し訳ございません。本日は予約が入っておりまして。」
「君、私を誰だと思っているんだね。民主社会党の仁藤だぞ。君じゃ話にならない、支配人を呼べ。」
店内の雰囲気が一気に悪くなる。
眉を顰める悟。
その悟を見て、セバスが動こうとする。
「セバス!…さん、落ち着いて。」
その時、1人の男が仁藤と名乗った男に近付き二言、三言声を掛ける。
「仁藤議員、落ち着いて下さい。」
「な、何だね、君は!」
「失礼しました。私、警察庁公安調査部所属の立木と申します。」
「公安調査部!君…が立木君か。」
「はい。」
返事をして敬礼する、立木。
「今回は君の顔を立てよう。」
「有難うございます。」
公安調査部とは、複合企業体、政治家の事件をメインに調査する部署だ。
仁藤も先日同僚の議員が汚職容疑で逮捕されているので、公安調査部の怖さを理解している、今回は素直に引き下がり奥の席に着く。
「流石は、たっち・みー様。」
セバスは感動していた。
「お待たせいたしました。」
「セバスさん、料理も来たし食べようか。」
悟とセバスは食事を始める。
立木は、奥さんにお小言を貰っている様だった。
「たっちさんらしいな。」
悟たちが食後のコーヒーを飲んでいた時、数人の男達が店内に乱入してきた。
「全員大人しくしろ!」
男達は天井に向け銃を乱射する。
店内が騒然となる。
「我々は、アヴァロンの騎士連盟だ。ここに民主社会党の仁藤が居るだろう、出てこい!」
アヴァロンの騎士連盟…反複合企業体、反政府を掲げるある宗教を基礎とするテロ組織であった。
「我らが神に仁藤を生贄に捧げる!」
床に伏せる悟に、
「鈴木様、私が殲滅してまいりましょうか?」
セバスが問い掛ける。
「いや少し様子を見ましょう。」
悟は、いくらなんでもそのような事がセバスに出来るとは思わなかった。
その時、仁藤が恐怖に負け入り口に向って走り出した。
「大人しくしていろ!」
仁藤に銃が向けられ引き金が引かれる。
一発の銃声が響いた。
1人の男性が仁藤を庇い被弾する。
「あなた!」
「パパ~!」
「たっちさん!」
立木が倒れると同時にセバスが行動を開始していた。
発砲した男に向け踏み込むと一瞬で距離を詰め、その男の顔面に向け正拳を突きだす。
「へっ!」
男の最後の言葉だった。男の頭部は風船が割れる様に飛び散った。
「な、なんだ!」
武装集団がセバスに視線を向けた瞬間、セバスの姿が消えた様に見えたと
同時に鈍い破裂音と共に3人の男が倒れ込む。
「ちぃ!お前はなんだ!」
リーダーらしき男が声を出す。
「あなた方に名乗る名は持っておりません。」
セバスがリーダーらしき男に向け踏み込む。
発砲音が響く、セバスの左肩を銃弾が掠める。
体勢を崩したセバスは左足で踏ん張り軸にして回転し回し蹴りを繰り出す。
リーダーはなんとかライフル銃で防ぐが、セバスの動きは止まらない。
セバスは止められた体制のまま体をひねり、振り上げた左足の踵を男の頭部へ落とす。
踵を落とされた男の体は鋭利な刃物で切られた様に左右に割れた。
セバスは背広の右肩口に着いたほこりを掃うと、たっち・みーに駆け寄り傷口に右手をあてる。
「あなたしっかりして~!」
「パパ~死んじゃやだ~!」
「たっちさんしっかりしてください。くそ!」
「鈴木様、私の治癒魔法だけでは…」
セバスが悟に小さな声で報告する。
悟はこの状況をどうするか思案していた。
だがたっち・みーの状態が気になり考えが纏らない。
その時、店の前にリムジンが止まり、ユリ・アルファが出てくる。
「モモンガ様、あの車でたっち・みー様をナザリックへお連れ致します。」
「わかった。」
「モモンガ様、あの女性もよろしいでしょうか?私が銃撃された時の銃弾があの女性にあたってしまったので。」
「たっちさんだけでいいじゃないか!」
セバスの真剣な眼差しを見た悟。
「わかった一緒に連れて行こう。」
「有難う御座います。」
リムジンにたっち・みーと女性を乗せ走り悟の部屋からナザリックへ向かう。
ナザリック内…たっち・みーの自室
ベッドに寝かされたたっち・みーの周囲に、ペストーニャ、ルプスレギナ、桜花部隊等治癒魔法が使用できる者達が集められ治癒魔法を掛けていく。
悟はその様子を見ているのが辛くなり自室に居た。
「デミウルゴス、たっちさんの家族は?」
「はい。たっち様のご家族はあの後、別の車でA・O・G財団の本部へ。」
「そうか、分かった。ところで、たっちさんの治療はなんとかできないのか?」
「はい我々の力だけでは、今の仮死状態の状況を維持するので精一杯で御座います。」
デミウルゴスは悟の苦悩を救う事が出来ない自分にイラついていた。
「失礼いたします、モモンガ様」
アルベドが入室してくる。
悟の耳元で囁くアルベド。
「そうか!その手があったか。アルベド感謝する。」
「勿体無きお言葉。」
「アルベド、デミウルゴスたっちさんを頼む、俺も直ぐに準備して行く。」
「「畏まりました。」」
アルベド、デミウルゴスが退室する。
悟は円卓の間に急ぐ。
「アルベド、一つ聞いてもいいですか?」
「何かしら?デミウルゴス。」
「モモンガ様に何を言ったのですか?」
「たっち・みー様を救えるかも知れない方法よ。」
円卓の間で悟は少し思案するが、アルベドの言葉を思い出し右手を伸ばしそのアイテムを掴み、たっち・みーの部屋へ向かう。
悟の手に握られているのは、アインズ・ウール・ゴウンのギルド武器である、スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンだった。
たっち・みーの部屋の扉を開け駆け込む悟。
その姿を見た、アルベド、デミウルゴスは息を飲む。
悟の姿は自身がユグドラシルで装備していたゴッズアイテムで身を固めていたのだ。
「全員下がれ。」
悟の鬼気迫る口調にペストーニャ、ルプスレギナ、桜花部隊は慌てて部屋の隅に移動する。
悟はベッドの横に立つと右手の人差し指に指輪をはめる。
「モモンガ様、その指輪は?」
デミウルゴスが質問をする。
「後で答える。今は時間が惜しい。」
「失礼いたしました。」
悟の気迫に押され、デミウルゴスが一歩さがる。
「
悟の周囲に魔法陣が広がる。
[大丈夫だ、今ならギルド武器のおかげで能力値も上昇している。]
悟は更に力を籠め願う。
「たっちさん、今こそあなたに頂いた恩をお返しします。」
魔法陣の光が増幅される。
部屋全体が光に包まれ収束する。
たっち・みーの体が七色の光に包まれる。
その七色の光が消えると同時に悟も倒れる。
「「モモンガ様!」」
たっち・みーが目を開ける。
「たっち・みー様!」
「こ、ここは、お前はセバスなのか?」
「はい、左様でございます。」
セバスの瞳から涙が一筋流れ落ちる。
「お、俺は助かったのか?」
たっち・みーは、デミウルゴスに抱えられている悟を視界に捉えた。
「も、モモンガさん?」
「左様です。モモンガ様がお助け致しました。たっち・みー様を。」
瞳に涙を湛えたアルベドが答える。
「セバス、こちらはペストーニャに任せて、あの女性の様子を見て来てください。」
背を向けたままデミウルゴスが言う。
一緒に連れてきた女性は軽傷で、ポーションを使って治癒していた、
「ここは?」
起き上がろうとする女性
「目が覚めましたか。無理はよくないですよ。」
「貴方が助けてくれたのですか?有難う御座います。」
「いえ私のミスでしたので、怪我をさせてしまい申し訳ありません。貴女のご家族に連絡をしないといけませんからお名前を教えて頂いてもかまいませんか。」
「あ!すいません。私、津田 亜美です。家族は居ないので大丈夫です。」
「これは、失礼しました。私、セバス・チャンと申します。何かありましたら私をお呼び下さい。」
「セバスさん…」
亜美の顔は少し赤く染まっていた。
ナザリックの自室で目を覚ます悟。
「モモンガ様!お体は大丈夫ですか?」
「アルベドか、大丈夫だ。心配を掛けた様ですまない。ところでたっちさんは?」
「はい。たっち・みー様は命を取り留めました。暫くは療養が必要なのでペストーニャを傍につけております。」
「そうか、よかった…。そうだ1時間後に今動ける全ての僕を玉座の間に集めてくれ。皆に話したいことがある。」
「畏まりました。」
1時間後…玉座の間
階層守護者を先頭にありとあらゆるナザリックの僕達が緊張の面持ちで並ぶ。
その時、厳かに玉座の間の扉が開き、悟と付き従うアルベドが入場する。
玉座に着席した悟は
「皆、忙しい中よく集まってくれた。たっちさんの件と合わせて礼をいう。」
「礼など勿体無きお言葉。ナザリック階層守護者並びに僕達、御身の前に。」
デミウルゴスが代表し答える。
「うむ、集まって貰ったのは全員に、おれ…いや私の…いや我々の願いを厳命する為だ。それは、アインズ・ウール・ゴウンを不変の伝説にせよ。地上に、天空に、海に、この世界全てにアインズ・ウール・ゴウンの名を知らしめるのだ。」
「この世の全てに御方々の偉大さを知らしめる事を誓います。」
悟の宣言に僕一同が答える。
すいません。
タイトル釣りを発動してしまいました。
モモンガさん支配者に目覚める。